相場展望 7月30日号 米国株:原油安が株式相場を支えるも、半導体株は売り・AIは過剰投資で売り 日本株:「AI・半導体相場」の熱狂に踊る ⇒ 頭を冷やす段階に転換

2026年7月30日 18:34

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■Ⅰ.米国株式市場

●1.NYダウの推移

●1)7/27、NYダウ+262ドル高、52,210ドル                (日経新聞)

・7/27の米国株式市場でNYダウは前週末比+0.50%高と、続伸して終えた。
イラン情勢悪化への懸念がやや後退したことで、投資家の運用リスクを取る姿勢が強まった。
もっとも、人工知能(AI)インフラの資金調達を巡る警戒から半導体関連株には売りが優勢となり、NYダウの上値を抑えた。

・米国紙ニューヨーク・タイムズは7/25、トランプ米国大統領は検討してきたイランへの大規模攻撃を当面見送る方針だと報じた。
ロイター通信は7/26、イラン高官が米国の攻撃停止が続く間はイランも攻撃を控えると語ったと伝えた。

・米国とイランによる攻撃の応酬が一服したことで、7/27の米国原油先物市場で期近9月物は一時1バレル82ドルちょうど近辺と、前週末比▲8%安を付けた。
資源高が個人消費や企業業績を圧迫するとの懸念が薄れて株式の買いを誘い、NYダウは一時+660ドル高となる場面があった。

・もっとも、NYダウは伸び悩んだ。
エヌビディアが一時▲5%あまり下落した。
米国オープンAIに対して、約2,500億ドルの資金保証をすることで協議していると、米国紙ウォール・ストリートが7/26に報じた。
AIデータセンターをリース契約で利用できるよう資金面で応援するという。
資金調達や過剰投資を巡る懸念から売りが出た。

・NYダウの構成銘柄ではないが、アプライドマテリアルズやラムリサーチなど半導体製造装置株の売りも目立った。
米国ニュースサイトのジ・インフォメーションが7/27、中国の政府系企業が深紫外線(DUV)露光装置の製造を始めたと報じた。
露光装置を手掛けるオランダのASMLの逆風になるとして同社株が売られ、他の装置銘柄にも売りが波及した。

・主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体(SOX)は▲2.2%下落した。
市場では「投資家はAI関連の設備投資や循環的な資金調達に疑問を抱き始めており、半導体関連には利益確定を目的とした売りが当面続きやすい」との声があった。

・その他の構成銘柄では、セールスフォースやアメリカン・エキスプレス、スリーエム(3M)が上昇した。
アルファベットやマイクロソフト、アップルも買われた。
一方、シェブロンやキャタピラー、ゴールドマン・サックスは下落した。

・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前週末比▲0.17%安と、4日続落した。
サンディスクやシーゲート・テクノロジー、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が下落した。
マイクロン・テクノロジーとマーベル・テクノロジーにも売りが出た。

●2)7/28、NYダウ+537ドル高、52,747ドル                (日経新聞)

・7/28の米国株式市場でNYダウは前日比+1.02%高と、3日続伸して終えた。
市場予想を上回る決算を発表した銘柄を中心に買いが入った。
原油価格の下落も株式市場の投資家心理を支えた。

・シャーウィン・ウィリアムズやコカ・コーラの上げが目立った。
ともに同日発表した2026年4~6月期決算で売上高などが市場予想を上回り、通期の見通しを引上げた。
売上高が市場予想を上回ったボーイングも買われた。

・米国とイランが攻撃の応酬を停止し、対話を進める姿勢を示している。
中東情勢を巡る過度な警戒が後退しており、米国原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近9月物が1バレル=79ドル台と前日比▲約4%安で終えた。

・7/28にはイスラエルのメディアがパキスタンやエジプト、カタールなどの仲介国が「米国・イランの戦闘終結に向けた覚書を近く復活させることができるとみている」などと報じた。
ホルムズ海峡を巡る米国・イランの溝を埋めるための仲介国の提案をイランとオマーンが承認し、トランプ米国大統領の回答を待っているという。

・一方、半導体など人工知能(AI)インフラ関連株への売りは続いた。
中国のAI開発企業や半導体関連企業が台頭していることに加え、米国企業のAI過剰投資への懸念が根強く、7/28は日本・韓国の株式市場でも関連株が急落した。

・米国市場では半導体のマイクロン・テクノロジーやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、半導体製造装置のラムリサーチなどの下げが目立った。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は▲4%あまり下落した。

・その他のNYダウの構成銘柄では、IBMやセールスフォース、アムジェンが高い。
ユナイテッドヘルスなどのディフェンシブ株や、ホーム・デポなど消費関連銘柄も上昇した。
アップルは時価総額が一時5兆ドルを超えた。
一方、キャタピラーやゴールドマン・サックス、シェブロンが下げた。

・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比▲0.22%安と、5日続落した。
4月下旬以来、約3ヵ月ぶりの安値で終えた。
サンディスクやウエスタン・デジタルといったメモリー・ストレージ株の下げが大きかった。
半面、ソフトウェアに買いが入った。

●3)7/29、NYダウ▲1,153ドル安、51,594ドル               (日経新聞)

・7/29の米国株式市場でNYダウは前日比▲2.18%安と、4営業日ぶりに大幅下落した。
6/18以来の安値となった。
下げ幅は2025年4月4日以来の大きさだった。
米国とイランの衝突激化に加え、米国連邦準備理事会(FRB)の金融政策の不透明感から株売りが広がった。

・米国中央軍は7/28、イランが中東に展開する米国軍施設に向けて発射した複数のミサイルを迎撃したと発表した。
7/29にはトランプ米国大統領が「イランを激しく攻撃する」と述べたと米国FOXニュースが伝えた。
7/29の米国原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が大幅に上昇し、株価の重荷となった。

・半導体関連銘柄への売りも続いた。
NYダウの構成銘柄ではないが、半導体製造装置のKLAが▲10.8%下落した。
7/28に発表した2026年4~6月期決算は市場予想を上回ったものの、収益見通しが物足りなかったとの受け止めが広がった。
他の半導体関連株が軒並み売られ、主要な関連株からなるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は▲5.3%安だった。

・NYダウは下げ幅を縮める場面もあった。
FRBは7/29の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を3.5~3.75%に据え置くことを決めた。
インフレ懸念を背景に利上げするとの観測が一部にあり、市場では「金利据え置きが、株式を買い直す動きを誘った」との指摘があった。

・FOMCの採決では3人の地区連銀総裁が利上げを主張し、据え置きに反対した。
ウォーシュFRB議長は記者会見で「必要かつ適切な場合にはためらずに行動する」と述べたが、政策運営の方針については明確な発言を避けた。
金融政策運営を巡る不透明感が拭えず、株式の売りが膨らんだ面がある。

・NYダウの構成銘柄では、アナリストが投資判断を引き下げたキャタピラーの下げが目立った。
ゴールドマン・サックスやエヌビディア、ボーイングが売られた。
7/29朝に四半期決算を発表したプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も安かった。
半面、セールスフォースとシェブロンが上昇した。

・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、前日比▲1.74%安と6日続落した。
4月下旬以来の安値だった。
6日続落は2024年4月以来。
マイクロン・テクノロジーやアプライドマテリアルズなど半導体関連株、スペースXが売られた。

・主要銘柄で構成するナスダック100株価指数は前日比▲2.05%安で終えた。
6/2に付けた最高値3万0,660からの下落率は調整局面入りの目安とされる▲10%を超えた。


●2.米国株 : 原油安が株式相場を支えるも、半導体株は売り・AI過剰投資で売り

●1)原油安が株式相場を支えるも、半導体株は売り

⑴利上げ警戒
・9月利上げ確率が7/27 急上昇
・7月は金利据え置き(FRB)を決定、ただし地区連銀総裁3人が利上げを主張
⑵原油7/27に低下
・WTI原油先物は7/27、79.64ドル/バレルに低下
・WTI原油先物の推移
7/23   92.68ドル
7/27     79.64
7/29     82.1
⑶米国・イランの戦争停止が続く⇒米国がイラン空爆を見送り・イランも報復停止
・ホルムズ海峡の航行再開を目指して協議
・WTI原油先物は7/27に低下
・NYダウは7/27に朝方+600ドル高⇒終値+262ドルへ上げ幅縮小⇒市場の勢い弱い
・親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶への攻撃は続く
・ただし、イランの駐ヨルダン米国軍基地へのミサイル攻撃で、トランプ氏が7/29警告
⑷半導体株も売られる、AI関連株は過剰投資を指摘
➀エヌビディアの信用リスクが7/27に急浮上し一時▲5%安、相場の重荷に
・エヌビディア株価、5/14最高値から続落中
5/14   235ドル
7/29   190
下落幅 ▲ 45ドル
下落率 ▲19.1%
②好決算発表も7/27、インテル売りで▲8%安、サンディスク▲11%安
③サンディスク株価は下げ止まらず、インテルも下落続く
サンディスク             インテル
6/25  2,335ドル 最高値      6/30  139ドル 最高値
7/29  1,015            7/29   81
下落幅 ▲1,320ドル          下落幅 ▲58ドル
下落率 ▲56.5%            下落率 ▲41.7%
④中国の政府系企業が深紫外線(DUV)露光装置の製造を始めたことで、半導体製造
装置株が売られた
・オランダのASML、米国のラムリサーチ、アプライドマテリアルズなど
⑸ハイテク企業の好決算にも見極めの動き

●2)スペースXの株価は公募価格割れ ⇒ 相場全体への懸念につながる

⑴スペースXの上場来の株価推移
・6/12      160.95ドル   新規上場、公募価格135ドル比で+19.2%高
6/15  190.50         前日比+19.6%高
6/16 201.80          +4.8%高、株価上昇の勢い弱まる
6/17  191.82         ▲ 4.9%安
6/18    185.00       ▲ 3.5%安
7/07         149.47   ナスダック100に採用日、前日比▲6.8%安
7/17          123.99   早くも公募価格135ドル割れ
7/22           115.26
7/23           118.24
7/24           115.07
7/27           113.50
7/28           116.41
7/29           112.55 高値から▲44.2%安、公募価格から▲16.6%安

●3)懸念材料が浮上

➀米国・イランの戦闘、さらに数ヵ月続く可能性
・イランによるヨルダンの米国軍基地攻撃を受け、トランプ氏は7/9イランに警告。
②インフレ上昇の可能性
・原油価格反発に連れ、米国10年債利回りは4.63%まで上昇。
・FRBは金利引上げでインフレ抑制の考えが増える。

③7/29、米国株は大幅下落
NYダウ      ▲1,153ドル安  ▲2.18%安
ナスダック総合   ▲ 433 安    ▲1.74%安  
S&P500種     ▲ 112 安    ▲1.52%安
半導体株(SOX)  ▲ 588 安   ▲6.33%安

■Ⅱ.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

●1)7/27、上海総合+44高、3,858                   (亜州リサーチ)

・週明け7/27の中国本土マーケットで上海総合指数は、投資家のリスク回避スタンスが後退する流れとなり、前営業日比で+1.15%高と反発した。

・米国・イランの和平交渉再開が期待されるなか、高騰していた原油相場は値下がりした。
外電は7/24、仲介国パキスタンが米国とイランの戦闘終結に向けた協議の再開を模索していると報道した。

・そうしたなかで、米国メディアは7/25、トランプ米国大統領が7/24にイランに対する新たな攻撃を行わないよう米国軍に命じたと報じられた。
一方、イランのアクラミニア陸軍報道官は7/26、米国軍による攻撃停止を受け、報復作戦を休止したと発表した。

・7/24のNY商品取引所では、WTI原油先物が前日比▲3.1%安と89.31米国ドル/バレルと反落し、日本時間7/27早朝の取引では、一時83米国ドル台まで低下した。

・中国政府の政策に対する期待感も根強い。
月例の中国共産党中央政治局会議は週内に開催される予定だ。
7月の同会議は例年、下半期の経済政策方針や金融政策の方向性などを決定する重要度の高い会議となる。

・中国の景気先行きを不安視し、朝方は弱含む場面がみられたものの、株価指数は上げ幅を徐々に広げた。
寄り付き直後に公表された6月の鉱業企業利益総額は前月同月比で+15.1%増にとどまり、伸び率は5月の+21.1%から縮小した。

・業種別では、
自動車の上げが目立つ。
不動産もしっかり。
素材、医薬、空運、電子部品、銀行・証券、インフラ関連、消費なども買われた。   
他の個別株動向では、中国のDRAM最大手・長キン科技集団が上海のハイテク・スタートアップ企業向け市場の「科創板」に新規上場した。
公開価格8.66人民元を+465.8%上回る49.00人民元で初日を終えた。
半面、
石油・石炭は冴えない。
公益、半導体、保険も売られた。

●2)7/28、上海総合▲44安、3,813                   (亜州リサーチ)

・7/28の中国本土マーケットで上海総合指数は、投資家の慎重スタンスが強まる流れとなり、前日比▲1.16%安と反落した。

・世界的な半導体株安を受け、ナスダック指数が▲0.2%安と4日続落した。
7/28のアジア市場では、半導体株の急落で韓国総合指数がサーキットブレーカーを発動した。
(第1段階は前日比▲8%以上の下落が1分間市場続いたため、全市場を20分間停止)
日本市場でも主力半導体株がストップ安した。
人工知能(AI)を巡る巨額投資への警戒感がくすぶっていることや、メモリー産業の生産拡大で将来的に価格が下がるとに懸念も広がった。

・もっとも、株価指数の下値を叩くような売りはみられない。

・中国政府の政策に対する期待感が支えだ。
月例の中国共産党中央政治局会議は週内に開催される。
7月の同会議は例年、下半期の経済政策方針や金融政策の方向などを決定する重要度の高い会議だ。

・業種別では、
ハイテクの下げが目立つ。
医薬も冴えない。
軍需産業、インフラ建設、素材、証券なども売られた。
半面、
銀行はしっかり。
消費、運輸、不動産、保険、自動車、エネルギーも買われた。

●3)7/29、上海総合+15高、3,828                   (亜州リサーチ)

・7/29の中国本土マーケットで上海総合指数は、政府の政策期待への高まりが投資家心理を上向かせる流れとなり、前日比+0.40%高と反発した。

・中国では今週、下半期の経済政策方針や金融政策の方向などを決定する中国共産党中央政治局の月例会議が開催される予定だ。
市場の一部では、内需の低迷を背景に、消費刺激に向けた追加支援策が打ち出されるとの見方もある。

・また、JPモルガン・チェースの調査担当者は最新リポートで、年内の財政支出拡大と政策金利の引き下げを予想している。
そのうえで、中国は通年の成長率目標「+4.5~+5.0%」を達成できると分析した。

・ただ、株価指数の上値は限定的だ。
中東情勢の不透明感で原油が大幅に上昇していることや、世界的な半導体株安が重しだ。
昨夜の米国株式市場では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)▲4.5%安と4日続落し、5/5以来の安値水準に落ち込んでいる。

・7/29のアジア市場では、半導体株の主導で韓国総合指数が大幅に続落した。
日本市場でも主力の半導体株が売りに押されている。

・中国DRAM最大手の長鑫存諸技術を傘下に持つ長鑫科技集団(CXMT)は7/27、上海証券取引所のハイテク・スタートアップ企業向け市場「科創板」に新規上場し、巨額の資金調達に成功した。
増産投資の拡大により、半導体メモリー市場が悪化するとの不安がくすぶっている。

・業種別では、
消費の上げが目立つ。
自動車も物色された。
医薬、不動産、公益、証券、素材、インフラ関連、運輸なども買われた。
半面、
ハイテクは冴えない。
エネルギー、銀行・保険も売られた。

■Ⅲ.日本株式市場

●1.日経平均の推移

●1)7/27、日経平均+320円高、64,931円                  (日経新聞)

・7/27の東京株式市場で日経平均は前週末比+0.50%高と、反発して終えた。
米国とイランの戦闘停止を受けて、中東の緊張が緩和に向かうとの期待感が高まり、幅広い銘柄に買いが優勢となった。
しかし、人工知能(AI)・半導体関連株には売りが膨らみ、日経平均は下げに転じる場面もあった。

・米国紙ニューヨーク・タイムズは7/25、トランプ米国大統領が検討してきたイランへの大規模攻撃を当面見送る方針だと報じた。
ロイター通信によると、7/26にイラン高官は米国の攻撃停止が続く間はイランも攻撃を控えると語った。
両国の戦闘終結に向けた協議進展の期待が残るなか、日本時間7/27の取引でニューヨーク原油先物が大きく下落した。
景気や企業業績の下振れリスクは後退するとの見方が、日本株の買いを誘った。

・東証プライム市場では、値上がり銘柄数が1,397と、全体の9割を占めた。
ソニーや日立など株価の出遅れが目立っていた銘柄に買いが集まった。
コナミやバンナム、任天堂といったゲーム関連株が大幅高となるなど、売られていた銘柄を買い戻す「リターン・リバーサル」の動きも鮮明になり、日経平均を支えた。
プライム市場では値下がり銘柄数は139、横ばいは22だった。

・日経平均の上値は重かった。
前週末7/24の米国株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が▲4%あまり下落した。
ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)によるAI投資が過剰だとの懸念がくすぶるなか、アドテストやソフトバンクG(SBG)、キオクシアといったAI・半導体関連株が売られて日経平均は一時▲500円近く下落した。

・東証株価指数(TOPIX)は+1.37%高と反発した。
JPXプライム150指数も+プラウ1.47%高と反発して終えた。
東証プライムの売買代金は概算で9兆3,556億円、売買株数は22億6,988万株だった。

・個別銘柄では、ファーストリテイやリクルート、京セラが上昇した。
一方、信越化学や中外製薬、フジクラが下落した。

2)7/28、日経平均▲2,566円安、62,364円                 (日経新聞)
・7/28の東京株式市場で日経平均は大幅に反落し、終値は前日比▲3.95%安だった。
約2ヵ月ぶりの安値水準。
7/28の韓国総合株価指数(KOSPI)急落や、7/27の米国半導体株安を受けて半導体メモリー大手のキオクシアをはじめとする半導体関連銘柄が軒並み売りに押され、日経平均の下げ幅は一時▲3,000円を超えた。

・7/28の近国株式市場でKOSPIが急落し、一時は取引を中断する「サーキットブレーカー」が発動された。
7/27の米国株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が▲2%安となった。
中国企業との競争激化懸念もあって、半導体装置株が売られた。
半導体メモリー大手のキオクシアは節目の5万円を割り込み、制限値幅の下限(ストップ安水準)で配分された。

・ゴールドマン・サックス証券のブルース・カーク氏は、日本株相場が急落した2024年夏の再来への備えが必要と警告したうえで、ヘッジファンドの日本株に対するエクスポージャ(資産残高)の動向や、信用取引による買い残高の多さから、「株式の持ち高は、2年前と比較して大幅な調整に対して脆弱な状態だ」と指摘した。

・東証株価指数(TOPIX)は終値で▲2.52%安と、反落した。
JPXプライム150指数も▲2.27%安と、反落して終えた。

・東証プライムの売買代金は概算で9兆1,959億円、売買株数は25億9,337万株だった。
東証プライムの値下がり銘柄数は1,047と7割近くを占めた。
値上がりは480、横ばいは31だった。

・個別銘柄では、アドバンテストや東京エレクトロン、イビデン、レーザーテクなどの半導体関連銘柄が軒並み安となった。
一方、コナミや任天堂などが買われ、中外製薬や第一三共も上昇した。

●3)7/29、日経平均▲930円安、61,434円                  (日経新聞)

・7/29の東京株式市場で日経平均は続落し、前日比▲1.49%安で終えた。
5/20の5万9,804円以来約2ヵ月ぶりの安値となった。
日経平均は前日に▲2,500円超下落したとあって、朝方は自律反発狙いの買いが先行したものの、買い一巡後は次第に売りが優勢になった。
半導体株比率が高い韓国総合株価指数(KOSPI)が午後にサーキットブレーカーが発動され一段安となる場面では、東京市場でも人工知能(AI)・半導体関連銘柄に売りが膨らんだ。
日経平均の下落幅は一時▲1,900円を超えた。

・7/28の米国株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5日続落し、約3ヵ月ぶりの安値まで下落した。
半導体メモリー関連が大幅安となった。
7/28夕に四半期決算を発表した半導体製造装置のKLAが、同日夕の米国株式市場の時間外取引で急落したことから、日本の半導体関連株の重荷となった。
外資系証券の目標株価引下げが観測されたキオクシアは一時▲15%超下落したほか、イビデンやスクリンも大幅安となった。

・熊本県で7/28に最大震度7を観測した地震に関連して、工場の設備に被害が出た日本紙や事業所の稼働を停止している東京エレクトロンなどが売られた。
熊本県では2016年4月に発生した震度7の熊本地震では自動車関連の工場などに被害が出た。
現在は台湾積体電路製造(TSMC)など半導体関連の集積も進んでおり、半導体関連のサプライチェーン(供給網)への影響を懸念する見方が出ている。
市場では「世界的な半導体株安のなかで熊本での地震が重なったことは、半導体株の売り材料にされやすい」との声が聞こえた。

・中東情勢の緊張が再び高まったことも投資家心理を悪化させた。
米国中央軍が7/28、中東に駐留する部隊がイランから複数の弾道ミサイルの攻撃を受けたが、全て迎撃したと発表した。
イエメンの親イラン武装組織フーシが、紅海でサウジアラビアの石油タンカーに弾道ミサイルを発射したと表明したと報じられた。
日本時間7/29午前の取引で米国指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物が一時1バレル=83ドル台と、前日の清算値から+5%上昇する場面があった。

・一方、東証プライム市場の値下がり銘柄数は491と全体の約3割にとどまり、値上がりは1,044と7割近くを占めた。
横ばいは23だった。
トヨタやOLC、任天堂が逆行高となるなど、出遅れていた銘柄に半導体株から資金を移す動きが見られた。

・東証株価指数(TOPIX)は終値で+0.26%高と反発した。
JPXプライム150指数も+0.42%高と反発して終えた。

・東証プライムの売買代金は概算で13兆1,999億円、売買株数は36億844万株だった。

・個別銘柄では、アドバンテストやTDK、村田製作所が下げた。
一方、リクルートやKDDIが上場来高値を更新した。


●2.日本株 : 「人工知能(AI)・半導体関連相場」の熱狂に踊る⇒頭を冷やす段階に転換

●1)日経平均の日中の動き

⑴7/27の日経平均
前日終値     (64,611円)
始値  +553          中東情勢の停戦で緊張が和らぐとの期待感
安値         ▲488  AI・半導体株に売りが膨らむ
高値 +609     原油大幅安で多数の出遅れ銘柄に買いが集まった    
終値     +320       持ち高調整の売りで上げ幅を縮小した
       (64,931円)

・東証プライム銘柄の9割が値上がった。

⑵7/28の日経平均
前日終値     (64,931円)
始値  ▲358          米国ハイテク株安の流れを受け下落
高値  ▲358         始値が本日の高値となった
安値         ▲3,008 AI・半導体株が下げを主導し大幅急落
終値       ▲2,566    売り一巡後は下げ渋るも、戻りは限定的
         (62,364円)

・キオクシアのストップ安が重荷。

⑶7/29の日経平均
前日終値   (62,364円)
始値   +370        米国NYダウ高を背景に買われる
高値 +774          前日の大幅安に対する自律反発狙いの買いが入る
安値         ▲1,916 個人投資家の売り殺到、韓国株▲13%安が波及
終値       ▲930    売り一巡後は下げ渋る
         (61,434円)

・米国サンディスクが7/28に▲14.25%安となり、キオクシア株価にとって下落要因。

●2)日経平均を動かす、寄与上位5銘柄の状況

⑴7/27、日経平均+320円高に占める上位寄与銘柄の寄与額+238円高、占有率74.37%
銘柄         寄与額    上昇率     株価上昇幅
ファーストリテイ  +93円高   +1.51%高    +1,150円高     
リクルート     +46     +3.77      + 455
コナミ       +39     +6.33      +1,160
バンダイナムコ   +31     +7.49      + 308
京セラ       +29     +2.90      + 107    
 合計       +238円高

・プラス寄与上位に、珍しくAI・半導体関連株以外の銘柄が占めた。
・マイナス寄与上位に、アドバンテスト▲136円、ソフトバンクG▲136円、信越化学▲93円、中外薬▲57円、フジクラ▲54円。
・日経平均の上昇と真逆に、AI・半導体関連が軒並みマイナス。
⇒「相場の流れに地殻的変化」が起こりつつある。
・今までの楽観論から恐怖感に一転。

⑵7/28、日経平均▲2,566円安に占める上位寄与銘柄の寄与額▲1,934円、占有率75.37%
銘柄         寄与額    下落率     株価下落幅
アドバンテスト   ▲693円安   ▲10.11%安  ▲ 2,870円安     
東京エレクトロン  ▲692     ▲10.96    ▲ 6,880
キオクシア     ▲235     ▲18.33    ▲10,000
ソフトバンクG    ▲190     ▲ 4.43    ▲ 236
イビデン      ▲124     ▲11.05    ▲ 1,845
 合計      ▲1,934円安

・マイナス寄与6~10位は、レーザーテック▲82円、村田製作所▲76円、ファナック▲69円、ディスコ▲52円、フジクラ▲51円。
・マイナス寄与1~10位は、すべてがAI・半導体関連である。
1~10位までのマイナス合計は▲2,264円と、日経平均下げ幅の88.23%を占めた。
本日の日経平均は「AI・半導体関連株の総崩れ」となった。

⑶7/29、日経平均▲930円安に占める上位寄与銘柄の寄与額▲1,209円、占有率130%
銘柄         寄与額    下落率     株価下落幅
東京エレクトロン  ▲595円安   ▲10.59%安  ▲ 5,920円安     
ソフトバンクG    ▲285     ▲ 6.95    ▲ 354
キオクシア     ▲145     ▲13.85    ▲ 6,170
イビデン      ▲ 93     ▲ 9.32    ▲ 1,385
TDK        ▲ 91      ▲ 6.20    ▲ 181 
 合計       ▲1,206

・マイナス寄与6~10位は、アドバンテスト、村田製作所、SCREEN、フジクラ、太陽誘電ですべてAI・半導体関連銘柄であり、その合計は▲321円である。
・つまり、1~10位合計は▲1,581円。
AI/半導体関連以外の銘柄が上昇し、買い支えした。
・東証プライムの、値上がり銘柄数は1,044、値下がり491、横ばい23。
日経平均が大幅安のなか、値上がり銘柄の割合が67.0%と多数を占めた。

●3)キオクシア、ついに5万円割れ、7/29終値38,380円

⑴キオクシア株の株価推移
・       株価変動幅    株価(終値)
6/25 最高値           103,850円
7/16~17  ▲20,990円安            52,110円
7/21~22  + 12,160円高          64,270円 
7/23    ▲ 2,390円安          61,880円 
7/24    ▲ 5,870円安           56,010円
7/27    ▲ 1,460円安            54,550円
7/28    ▲10,000円安(ストップ安)       44,550円
7/29    ▲ 6,170                38,380円 6/25比▲63.0%

⑴キオクシア関連情報
・韓国KOSPIは7/28、▲7.41%安、SKハイニックスは▲10%、サムスン電子▲9.15%。
キオクシアと株価連動が高い米国サンディスクが7/27に▲11.0%安、7/28に▲14.2%。
サンディスク 6/25最高値 2,335.0 ⇒ 7/28 1,096.10  ▲53.05%安
・キオクシアで追加証拠金を避けるため売りが出やすく、売り圧力が強くなっている。
・キオクシアは7/31午後に4~6月期決算発表。

●4)日経平均は荒い動きが継続、不安定な相場展開

⑴日経平均の強弱の推移  
・      日経平均上昇・下落幅   日経平均終値
6/22                72,353円
6/23~24     ▲3,179円安       69,174
6/25       + 3,191円高    72,366
6/26       ▲3,005円安       69,360
6/29~7/01    +1,114円高      70,474
7/02       ▲1,741円安         68,733
7/03       +1,010円高       69,744
7/06~08     ▲2,925円安          66,819
7/09~10     +1,738円高         68,557
7/13       ▲1,315円安          67,242
7/14~15     +1,508円高         68,751
7/16~17     ▲4,610円安            64,141 6/25比▲8,225円
7/21       +2,091円高          66,232
7/22       ▲ 116円安          66,115
7/23       +  307円高          66,422
7/24~29     ▲4,988円安           61,434 6/22比▲10,919円
                     ▲15.09%安

・日経平均は、大きく下げた後、反発繰り返しながらも、下値を切り下げる展開にある。

●5)信用残の評価損拡大し悪化

⑴評価損率の推移
6/19  +1.47%益
7/03    ▲2.78%損
7/10     ▲4.95%損
7/17        ▲10.45%損
7/14       ▲8.24%損
⑵信用取引で「AI・半導体関連株」を買ったため、評価損が急拡大した。
⑶AI・半導体関連は独歩高したため、正常値に戻るにはさらなる値幅調整と時間を要すると思われる。
・日経平均の戻り条件として、信用評価損の改善が必要で、解消までは重荷となろう。

●6)日経平均VI(恐怖指数)、大幅に上昇、警戒感強まる

⑴日経平均VIの推移
6/01      28.54
7/07      29.71
7/27   32.41
7/28 41.14
7/29  39.52
⑵日経平均VIの標準は「天井30・底10」と言われている
➀標準の天井30からは、まだまだ高水準の位置にある。
⑶日経平均VIから見ると、日経平均の調整はまだ続くことを示唆

●7)「人工知能(AI)・半導体関連相場」の熱狂に踊らされていたため、頭を冷やす段階に転換


■Ⅳ.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

・6701 NEC       業績堅調
・6702 富士通      業績堅調  
・9843 ニトリ      業績堅調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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