相場展望8月3日号 米国株: 長期金利が上昇、ハイテク株を中心に売られる展開 中国株: イデオロギーの国、中国に再成長は戻ってくるか 日本株: 夏相場に期待できるか

2023年8月3日 17:54

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)7/31、NYダウ+100ドル高、35,559ドル(日経新聞より抜粋
  ・米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続観測の後退が引続き相場を支え、2022年2月以来の高値で終えた。もっとも、週内に大手ハイテク企業の決算発表を控えており、小幅に下げる場面も目立つなど、積極的な売買は手控えられた。
  ・前週末発表の6月米個人消費支出(PCE)物価指数がインフレ圧力の高まりを示さず、FRBによる現在の利上げサイクルが終了するとの期待が高まった。今週発表の7月雇用統計など複数の雇用指標でも労働需給のひっ迫度合いの軽減が示されるとの見方が買いを誘った。
  ・シカゴ連銀のグールズビー総裁は7/31、次回9月会合の利上げ停止を支持するかどうかはまだ決ことなくめていないとしつつも、米経済が景気後退に陥ることなくインフレ率を目標まで引下げることは可能との見方を示した。米景気の先行き不安が薄れたのも投資家心理を下支えした。
  ・今週はスマホのアップルやネット通販のアマゾンなどハイテク大手が2023年4~6月期決算を発表する。内容を見極めようと様子見の投資家も多かった。NYダウは先週まで3週連続で上昇したため、利益確定売りも出やすかった。
  ・映画・娯楽のディズニーやクレジットカードのアメリカンエクスプレスなど消費関連株が上昇した。原油高で石油のシェブロンも買われた。動画配信のネットフリックスの上昇が目立った。一方、医薬品・日用品のJ&Jや半導体のインテルは下落した。交流サイトのメタは下げた。

【前回は】相場展望7月31日号 日本株: 「立ち上がれ!日銀」国民を高インフレから守るために

 2)8/01、NYダウ+71ドル高、35,630ドル(日経新聞より抜粋
  ・8/1に決算発表した建機のキャタピラーが大幅高となり、NYダウを押し上げ昨年2月以来の高値で終えた。半面、長期金利の上昇が投資家心理の重荷となり、指数の上昇幅は限られた。
  ・キャタピラーは+9%高で終え、1銘柄でNYダウを+150ドル余り押し上げた。4~6月期の売上高と1株利益が市場予想を上回り、好感した買いが入った。
  ・米連邦準備理事会(FRB)が7月を最後に利上げを打ち止めにするとの期待も相場を支えた。
  ・8/1に発表された6月雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数は958.2万件と前月からわずかに減少した。7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は前月から改善したものの、市場予想に届かなかった。市場では「米景気の楽観を後退させる内容ではない」との受け止めがあった。
  ・米債券市場では、長期金例が一時4.05%(前日終値は3.96%)まで上昇した。高PER(株価収益率)株の相対的な割高感が意識され、相場の重荷になった。NYダウと機関投資家が運用指標とするSP500株価指数はいずれも前日に年初来高値を付けていた後で、主力銘柄に持ち高調整の売りが出やすかった面もある。
  ・ネットワーク機器のシスコステムズ、クレジットカードのビザ、医薬品・日用品のJ&Jが上昇。一方、通信のベライゾン、化学のダウ、スポーツ用品のナイキが売られた。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾンが下げた。

 3)8/02、NYダウ▲348ドル安、35,282ドル(日経新聞より抜粋
  ・大手格付け会社が8/1に米国債を格下げした。市場予想を上回る雇用指標の発表もあり、米長期金利が上昇。株式の相対的な割高感が意識され、売りが広がった。NYダウの下げ幅は▲400ドルを超える場面があった。
  ・格付け会社フィッチが、米国の長期外貨建て発行体格付けを最上級の「トリプルA」から1段階引下げ「ダブルAプラス」にした。今後3年間で予想される財政悪化、財務上限を巡る政治対立に代表される統治上の問題などを理由に挙げた。
  ・市場では「格下げ理由は新たな問題を提示した訳ではないが、発表時期は驚きを誘い利益確定の売りのきっかけとなった」との声が聞かれた。
  ・堅調な雇用指標も相場の重荷となった。8/2発表の7月ADP雇用リポートは非農業部門の雇用者数が前月比+32.4万人増とダウジョーンズ通信がまとめた市場予想+17.5万人以上に増えた。8/4には7月米雇用統計の発表を控える。労働需給のひっ迫を背景とした物価高が続き、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを停止しにくくなるとの観測を誘った。
  ・米債券市場では、長期金利が一時前日比+0.10%高い4.12%と、昨年11月以来の高水準を付けた。相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)のハイテク株が売られた。ソフトウェアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースが安かった。半導体のインテルや映画・娯楽のディズニー、航空機のボーイングも下げが目立った。前日夕に4~6月期決算を発表した半導体のAMDは▲7%安で終えた。同業他社にも売りが波及し、エヌビディアは▲5%下げた。ネット通販のアマゾンや交流サイトのメタ、電気自動車のテスラなど主力株も軒並み売られた。半面、医療品・日用品のJ&Jや製薬のメルクなどディフェンシブ株は買いが優勢だった。四半期決算を発表した同業のCVSヘルスに連れ高し、ドラッグストアのウォルグリーンズは+4%高となった。

●2.米国株:長期金利上昇で、株式・特にハイテク株が売られる展開

 1)米長期金利が上昇 ⇒ 米ハイテク株が売られる展開へ
  ・米長期金利の上昇に伴って、割高感を意識されやすい高PER(株価収益率)の高いハイテク株が売られやすい。
  ・金利上昇で債券が買われ、リスクの高い株式が売られる傾向が強い。

 2)米長期金利(10年)上昇の推移
   7/03   7/19   8/01   8/02
   3.855%  3.748   4.023   4.088

 3)米長期金利上昇の要因
  ・米連邦準備理事会(FRB)による利上げ。
  ・FRBによる市場からの資金回収⇒滞留資金の減少による資金タイトで金利上昇。
  ・米財務省による大量の債券発行で、市場資金を吸収するため金利上昇。米財務省は債務上限問題を巡り資金が枯渇⇒財務省証券(TB)など1.7兆ドルもの債券を2023年末までに発行し資金を市場から引き揚げる。

●3.独7月製造業PMIは38.8、2020年5月以来の低水準、前月は40.6(ロイター)

●4.米7月ADP雇用統計は+32.4万人増、予想+19.0万人を上回る(フィスコ)

●5.独7月製造業PMIは38.8と、2020年5月以来の低水準、前月は40.6(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)7/31、上海総合+15高、3,291(亜州リサーチより抜粋
  ・前週末の好地合いを継ぐ流れとなった。
  ・中央政治局会議が景気下支え方針を示す中、当局の経済対策に対する期待感が高まっている。国家発展改革委員会は7/31、「消費の回復と拡大に向けた措置」を発表。同措置は6分野、20措置から成る。新エネルギー自動車(NEV)を中心とする自動車や住宅、家電、電子製品などモノの消費に加え、飲食、文化・旅行、スポーツ、ヘルスケアなどのサービス消費も促す方針だ。
  ・寄り付き直後に公表された中国の7月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.3。前月実績と市場予想ともに49.0を上回った。
  ・業種別では、不動産の上げが目立つ。上述した「消費の回復と拡大に向けた措置」では、住宅の実需を支えるため、保障性賃貸住宅の供給拡大、大規模都市における「城中村」(都市の中の農村)の再開発等を進める方針が示されている。中国当局はまた、1軒目住宅ローンの頭金比率、金利のさらなる引下げなども提言した。自動車も高く、ゼネコンや素材のインフラ建設も物色された。金融、発電・設備、ハイテク、小売なども買われた。半面、医薬品は安く、エネルギー、軍事関連、通信も売られた。

 2)8/01、上海総合▲1安、3,290(亜州リサーチより抜粋
  ・売り圧力が意識される流れとなった。
  ・上海総合指数はこのところ急ピッチに上昇し、足元で約2ヵ月ぶりの高値水準に切り上げていた。中国経済対策の期待感が続く中、指数は小高く推移していたものの、上値は重く、後場に入りマイナスに転じた。朝方公表された7月の財新中国製造PMIは49.2と、6月の50.5から悪化した。景況判断の境目となる50を3ヵ月ぶりに割り込んだ。
  ・業種別では、金融の下げが目立ち、不動産も冴えず、消費関連・医薬品・インフラ関連・半導体なども売られた。半面、発電が高く、エネルギー・素材などが買われた。

 3)8/02、上海総合▲29安、3,261(亜州リサーチより抜粋
  ・中国景気の持ち直し遅れが投資家心理を重くする流れとなった。
  ・8/1公表の7月財新中国製造業PMIが49.2に悪化、6月は50.5だった。景況判断の境目となる50を3ヵ月ぶりに割り込んだ。
  ・人民元安の動きも懸念された。中国人民銀行(中央銀行)は8/2、人民元レートの対米ドル基準値を3営業日ぶりに元安方向で設定した。外国為替市場では人民元安・米ドル高が進み、約2週間ぶりの元安水準で推移。
  ・中国経済対策の期待感で朝方は下げ渋る場面が見られたものの、中盤から再び下げ幅を拡大した。
  ・業種別では、銀行が下げを主導し、エネルギーも安く、医薬品も冴えない。公益・酒造・運輸・インフラ関連・軍事関連・素材などが売られた。半面、不動産はしっかり、証券・半導体・自動車の一角が買われた。

●2.中国株:イデオロギー中心で運営する中国に、再成長は戻ってくるか?

 1)中国本土株式は、景気浮揚策と金融緩和に期待して直近の高値水準にある。

 2)中国の業況は厳しく、勢いを失っている
  ・不動産不況
  ・個人消費の低迷
  ・輸出の減少
  ・若者の失業率悪化(直近の失業率21.3%と高水準、約10年前は10%程度)
  ・成長分野のITハイテク、学習塾などへの政府介入で、成長が止まる

 3)だが、中国当局の景気刺激策の具体性が乏しく、大規模景気刺激策は実施されず

 4)中国GDPの部門別内訳
  ・製造部門   約5割弱  外資の生産撤退企業が増加、中国企業も海外移転。
  ・消費部門   約3割強  将来不安から貯蓄増に振り向ける。
  ・不動産部門  約2割強  値上がり期待ができず、購入意欲減退。

 5)製造部門では海外移転が増加し、輸出減
  ・改正反スパイ法
  ・スパイ行為とは、中国国家の機密や情報、国家の安全と利益に関る文書、などの収集である。それらに関して、国民に通報を奨励し、周知の徹底で摘発強化につなげる狙いがある。
  ・経験の長い駐在員、情報機関に関係したことのある中国駐在員は帰国。つまり、中国の成長を支えた外国人の帰国で、中国生産は低下傾向。
  ・拘束回避のためのマニュアル作成、面会時の記録作成など自衛策を講じる。これは、中国当局による安全保障を理由とする拘束を懸念した動きが背景。
  ・高度な技術について中国企業への無償提供と共有を中国政府は迫る。
  ・西側企業は技術移転の強要を拒否。
  ・賃金高騰などでコストメリットが低下
  ・賃金(年間):1992年 2,635元 ⇒ 2021年 106,837元 40倍上昇
  ・労働組合を通じた経営への影響行使、組合委員長は地方政府の承認が必要。その組合委員長は共産党員を指名。
  ・当局の指示に従わない場合は、些細な理由で、営業停止命令を発出して、当局に従わせようとする。
  ・中国は、西側諸国からの投資減、撤退の促進を事実上実施している。
  ・2023年1~5月の米国への輸出は前年比▲25%減の1,690億ドルに減少した。
  ・世界の工場としてインド・ベトナムが台頭、米中対立と関税強化、西側諸国からの投資減と逃避を招き、労働コスト上昇でメリット薄れる。
  ・中国は「一帯一路」戦略で輸出を急拡大させてきた。このところ西側諸国は中国を警戒し、締め出しを始めている。イタリア、バルト諸国、インドが離反、独、英国は警戒を強めている。米国とは緊張し関税継続。結果として、輸出拡大が揺らぎ減少に転換した。

 6)不動産投資、中国経済牽引役の降板、インフラ投資の過大と採算無視のツケ
  ・中国7月住宅販売額、この1年で最大の減少、不動産市場一段と悪化(ブルームバーグ)
   不動産開発上位100社の新築住宅販売額は前年同月比▲33.1%減の約7兆円。民間の不動産開発会社の中で近くデフォルト(債務不履行)に陥るとの指摘がある。

 7)消費拡大策は不発となる可能性大
  ・中国の経済政策を担う国家発展改革委員会は、消費拡大の「20か条」を発表。電気自動車(EV)を買うときの減税継続、有給休暇の取得率向上、自動車販売制限の緩和、充電インフラの充実、家電・家具の買換え補助金
  ・ゼロコロナ政策の解除で、個人の国内旅行は増大しコロナ禍前の水準に戻った。しかし、財布のヒモは締められ、1人当たりの消費額は減少している。
  ・したがって、海外旅行客数も減少している。中国人の訪日客が増えない理由。
  ・企業の撤退や人員削減で失業者数は増加し、マンション投資しても値下がりリスクがあり、不動産投資ができない。個人の消費や投資マインドは低下し、むしろ、家計は借金減に邁進している。個人の家計は「縮小」に向かっている。
  ・しかも、政府の支援策は供給サイドへの助成に片寄り、需要拡大となる個人への現金給付策はない。中国共産党と政府は、本気で需要喚起しようとしているとは思えない。

 8)不動市況の持ち直しは難しい
  ・2020年8月、習近平・共産党政権は不動産の正常化を目指し、不動産業界に強烈な「3つのレッドライン」といわれる融資規制を実施した。
  ・そのため、急速に不動産ディベロッパーである中国恒大集団や佳兆業集団などの資金繰りが滞り「デフォルト(債務不履行)」状態に追い込まれ、業容は軒並み悪化し苦境に立たされた。恒大集団の債務は48兆円と中国GDPの2%もの規模であり、2021年の最終赤字は約9兆円超、2022年は約2兆円の最終赤字だ。
  ・不動産神話の価格上昇期待を打ち破った。マンション価格が下落し、購入者の借入金支払停止事案も多発した。
  ・住宅購入者の個人は、雇用など将来の不安が増えたため消費を抑え、借金を増やすことをせずに、借金を減らすことを優先している。いったん、マンション価格が下落し、購入者が痛い傷を負うと、政府による不動産関連規制をいくら緩和しても効果は出てこない。なぜなら、政府の規制で購入者である個人は損失を被っただけに、政府の政策に乗ってこないからだ。
  ・さらに悪いことに、中国の人口が2022年に減少に転じた。これは新規住宅需要が拡大しないことを意味する。マンション購入の購入者である結婚数も減ることになる。つまり、マンション価格の大きな上昇要因が減ったことを示す。このような状況から、個人消費と住宅の需要は盛り上がらない。

 9)インフラ投資の拡大は困難
  ・新幹線部門は幹線網の急拡大で、借入過多となり金利の支払に難渋している。黒字路線は、北京=上海路線で、他の多くの路線の収益は厳しいそうだ。高速道路も同様の状況にある。
  ・新規投資はますます採算の悪い投資となる。
  ・投資の主体となる地方政府の財政だが、土地利用権売却益が思ったように計上できず、膨大なゼロ・コロナ対策費も加わり、インフラ投資の余力が乏しい。

 10)ITハイテク、学習塾など高成長・高賃金分野を抑圧し、成長の芽を潰す
  ・これら分野は、民間部門が担ってきた。アリババなどが有名。しかも、給料が高く、雇用力も強いため、大学生の人気企業が集中していた。特に学習塾分野は廃業に追い込まれた。「共同富裕」の名目で多額の寄付金拠出も求められた。第2の税金である。

●3.中国7月非製造業PMIは51.5と、市場予想53.0を下回った(フィスコ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)7/31、日経平均+412円高、33,172円(日経新聞より抜粋
  ・前週末の米株高や円安・ドル高を背景に買いが優勢となった。上げ幅は一時+600円を超えた。もっとも、買い一巡後は戻り待ちの売りなどが出て、上値が重くなった。
  ・日銀が前週末に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟にすると決めた。一方、日銀の植田和夫総裁は記者会見で「政策の正常化へ歩みだすという動きではない」と発言した。前週末の東京市場は円高が進み、株価が一時的大幅安になるなど大きく揺れたが週明けは再び円相場が下落基調に戻り、日本株の見直し買いを誘った。大幅な株価の反発を受け、売り方による損失覚悟の買い戻しも入りやすかった。
  ・午後にかけて、伸び悩んだ。日経平均が年初来高値に接近し、高値警戒感から戻り待ちの売りが出た。日銀の政策修正に伴う国内金利の先高観も重荷となった。決算発表を材料に個別銘柄も動きやすく、市場では「主要企業の利益成長を見極める上で、明日のトヨタの決算発表に注目したい」との声が聞かれた。
  ・日経平均への寄与度が高い東エレク・ファストリが上昇した。朝方発表の6月鉱工業生産指数を受け、自動車生産の回復が改めて意識され、トヨタ・ホンダも買われた。三菱UFJなど銀行株も高い。一方、ファナック・アドテスト・KDDI・キーエンスは下落した。

 2)8/01、日経平均+304円高、33,476円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株式相場の上昇で投資家心理が上向き、朝方から買いが優勢だった。8/1の外国為替市場で円安・ドル高基調となったことで、輸出株を中心に次第に上げ幅を広げた。
  ・7/31の米株市場で主要3指数が揃って上昇した流れを引き継ぎ、東京市場では東エレクやアドテストなどの値がさ株を中心に買いが入った。午後の日経平均はじりじりと上げ幅を拡大する展開となった。東京外国為替市場で円相場が142円台後半まで下落し、自動車や機械など輸出関連銘柄の支えとなった。
  ・「日銀は先週に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用の柔軟化を決めたが、大規模金融緩和の出口には距離があるとの見方から円安・株高に振れやすい」との声があった。
  ・トヨタが発表した好決算を受けて他の自動車株にも買いが広がった。トヨタ株は一時+3%高を付け、日産自やホンダなども一段高となった。
  ・ファストリ・豊田通商・中外薬・TDK・村田製が買われた。半面、ファナック・京セラが下落、三菱電・住友ファーマの下げが目立った。

 3)8/02、日経平均▲768円安、32,707円(日経新聞より抜粋
  ・米ハイテク株安の流れを引き継いだ売りが出たほか、国内長期金利の上昇にも警戒感が強まり、利益確定売りに押され、今年最大の下げ幅となった。午後にかけても株価指数先物主導で下げ幅を拡大する展開となった。
  ・前日の米市場では米長期金利の上昇でハイテク株が売られた。さらに8/2朝方に大手格付け会社フィッチによる米国の長期外貨建て発行体格付けの引下げが伝わった。米株価先物指数は日本時間の8/2の取引で下落したが、それ以上に今日の日経平均の下げはきつかった。
  ・海外勢が休暇入りする8月は例年、中旬にかかて夏枯れムードが強まりやすい傾向がある。今年は日銀の金融政策修正という日本独自のリスク要因もある。日銀は過度な金利上昇を抑える姿勢を示しているものの、国内長期金利は一段と上昇し、投資家心理を冷やした。前倒しで日本株の利益確定に動く投資家が増えたことで、一方的に下げる展開となった。
  ・国内長期金利の上昇で割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)株を中心に売りがかさんだ。アドテストをはじめ半導体関連が下げた。直近までほぼ一本調子で上昇していたゼンショーも個人投資家などから売りがかさんで急落した。
  ・トヨタが逆行高となったほか、コマツなど機械株の一角にも買いが入ったが、局所的な物色にとどまった。
  ・ファストリ・東エレク・ソフトバンクG・テルモ・豊田通商が下落した。一方、フジクラ・富士電機・キーエンスが上昇した。

●2.日本株:日経平均の夏相場は上昇できるか

 1)8/2日経平均は▲768円と大幅下落も、外人の先物手口はわずか▲893枚の売り
  ・短期筋の海外投資家は機を見るに敏であるが、8/2の先物売りは小幅であった。8/2の日経平均の大幅安の寄与は小さい。
  ・空売り比率が45と前日の37.9から上昇していることから、現物株と空売りの急増で大幅下落したと見る。
  ・海外投資家の先物売りの少なさから、外人売りが本格化したとは言い切れない。

 2)8/2大幅下落の要因
  ・7/31・8/1の2日間で日経平均が+717円高していたことと、8/1の日経平均が33,476円と高値水準であったため、利益確定売りが出安い状況にあった。
  ・決算発表シーズンが終盤となり、好材料が乏しくなる時期で、売りが出やすい。
  ・海外投資家の日本株買いエネルギーが一服しており、買いの勢いがなかった。
  ・海外投資家の夏季休暇入りで、持ち高調整の売りが出る時期であった。
  ・タイミング悪く、米格付け会社フィッチの米国格付け引下げ「AAA⇒AA+」の報道が重なり、売りを誘った。

 3)日経平均の夏相場は上昇が期待できない
  ・8/2の大幅下落のインパクトは大きく、余韻は引きずると見る。
  ・4~6月期決算発表シーズンが終わり、相場は「夏枯れ」となりやすい。
  ・日本株上昇を牽引してきた海外投資家は夏休み入りする。
  ・この「閑散相場」を狙った短期仕掛けの海外投資家の動向によっては、閑散高があり得る。その場合は、売り手不在の中、するすると上昇する局面がある。
  ・衆議院の解散ムードが高まれば、相場に「活」が入るが、9月以降と思われる。

●3.夏休みシーズン直撃、ガソリン価格176.7円、11週連続値上がりで15年ぶり高値(FNN)

●4.ダイキン、茨城県でエアコン新工場、200億円投資で国内生産強化へ(朝日新聞)

●5.7月の国内自動車販売+8.5%増の37万9,053台、半導体不足が緩和(レスポンス)

●6.住宅ローンの固定金利、5行が引上げ(時事通信)

●7.第一三共、コロナワクチンを承認へ(毎日新聞)

●8.8月食品値上げ、牛乳パックなど1,102品目、7カ月ぶりに減少(帝国データバンク)

 1)10月の食品値上げは4,262品目を予定

●9.6月国内宿泊者数、前年同期比+36.5%増、コロナ禍前の同月比+1.7%増(NHK)

 1)外国人の宿泊者は延べ943万人と、去年同月比+15倍以上増加し、コロナ感染前の2019年の同月の98%まで回復。

●10.企業業績

 1)日立製   4~6月期営業利益+1305億円、前年同期比+7.4%増(ロイター)
 2)ファナック 4~6月期営業利益+326億円、前年同期比▲34.5%減(フィスコ)
         4~6月の受注が前年同期比▲24%減の1,773億円。中国の低迷。
 3)ソシオネクスト 4~6月期営業利益+101億円、前年同期比+80.7%増(フィスコ)
 4)ALSOK   4~6月期営業利益+87億円、前年同期比+21.1%増(フィスコ)
         自社株買い650万株、50億円を上限で実施
 5)コマツ   4~6月期営業利益+1,470億円、前年同期比+57.1%増(フィスコ)
 6)豊田通商  4~6月期純利益+927億円、前年同期比+23.9%増(フィスコ)
 7)キーエンス 4~6月期営業利益+1,113億円、前年同期比▲14.3%減(フィスコ)
 8)日本航空  4~6月期最終利益+230億円、前年同期比+40%増(NHK)
         利用者は前年同期比、国内線1.4倍、国際線2.1倍増
 9)三菱UFJ  4~6月期純利益+5584億円、通期進捗率+43%(ブルームバーグ)
   三井住友FG 4~6月期純利益+2480億円、通期進捗率+40%
   みずほFG  4~6月期純利益+2452億円、通期進捗率+30%
 10)JR西日本  4~6月期営業利益+522億円、前年同期比+2.7倍増(日経新聞)
 11)野村HD  4~6月期純利益+233億円、予想+343億円を下回った(ブルームワーク)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・5726 大阪チタニウム 業績期待。
 ・6988 日東電工    業績期待。
 ・9204 スカイマーク  業績期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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