相場展望10月19日号 米国株: 米国が抱える3重苦⇒株価には逆風 中国株: 景気回復に力強さ欠く 日本株: 市場エネルギーは高くなく、売りに押されやすい

2023年10月19日 11:55

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/16、NYダウ+314ドル高、33,984ドル(日経新聞より抜粋
  ・米主要企業の決算発表が本格化する中、内容が市場の想定より上振れすることを見込んだ買いが入った。米連邦準備理事会(FRB)が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの観測も株式相場の支えになった。
  ・主力企業の2023年7~9月期決算発表が前週から金融を中心に本格的に始まった。市場予想を上回る内容が相次いでおり、発表を控える銘柄にも先回りした買いが入りやすかった。10/17に発表する金融のゴールドマンサックスが+2%弱上昇した。NYダウの構成銘柄ではないが、10/18に発表を予定する電気自動車のテスラと動画配信のネットフリックスも高かった。
  ・FRBによる追加利上げ観測が後退していることも、株買いを後押しした。シカゴ連銀のグールズビー総裁が米国のインフレが鎮静化する方向にあるのは「否定できない」と語ったと、英フィナンシャルタイムズ電子版が10/16に報じた。政策判断に踏み込んだ発言はなかったが、このところFRB高官による政策金利の据え置きに前向きと受け止められる発言が目立っている。
  ・市場では「高水準の政策金利を長く維持するとの見方は変わっていないが、利上げ停止を見込んだ買いが入りやすい」との声が聞かれた。NYダウの上げ幅は+400ドルを超える場面があった。
  ・もっとも、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が続いており、地政学リスクが高まっている。米債券市場では長期金利が4.7%台前半と前週末終値4.61%から大幅に上昇する場面があり、投資家心理の重荷となった。
  ・個別株では、スポーツ用品のナイキやホームセンターのホームデポなど消費関連株の一角への買いが目立った。顧客情報管理(CRM)のセールスフォースやソフトウェアのマイクロソフトも高い。通信のベライゾンや保険のトラベラーズなどディフェンシブ株も買いが優勢だった。ネット通販のアマゾンや交流サイトのメタ、ネット検索のアルファベットなど主力株が買われた。

【前回は】相場展望10月16日号 米国株: 反発相場が終わり、下落に転じるリスクに注意 中国株: 「失った30年の日本」を超えそうな中国 日本株: 「売り方の買い戻し」相場はここまでか、注意

 2)10/17、NYダウ+13ドル高、33,997ドル(日経新聞より抜粋
  ・10/17発表の9月の米小売売上高が市場予想を上回る伸びとなった。米経済が想定以上に強いとの見方から、消費関連株や景気敏感株を中心に買いが入った。半面、米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、NYダウは下げて推移する場面が目立った。対中輸出規制の強化による半導体関連株への売りも重荷となった。
  ・9月の小売売上高が前月比+0.7%増と、市場予想の+0.3%増以上となった。米経済の大半を占める個人消費が「堅調さを保っている」との見方が広がった。想定以上の小売売上高を受けて、クレジットカードのアメリカンエキスプレスやスポーツ用品のナイキなど消費関連株が買われた。化学のダウや建機のキャタピラーも高かった。
  ・中東情勢を巡っては、バイデン大統領が10/18にイスラエルを訪問することが決まった。短期的に事態が急激に悪化しないとの見方が浮上し、投資家のリスク回避姿勢が後退した面があった。
  ・一方、米長期金利は4.8%台と前日終値4.70%を上回っている。米連邦準備理事会(FRB)が高い政策金利を長期にわたって維持するとの見方が強まった。金利の上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に売りが出やすかった。
  ・10/17には米政府が半導体の対中輸出規制を強化する方針を示した。人工知能(AI)向けの先端半導体が規制の対象になる見込み。業績への悪影響が懸念され、インテルに売りが出た。エヌビディアも▲5%弱下げ、投資家心理を冷やした。
  ・そのほか、10/17に四半期決算を発表した金融のゴールドマンサックスと医薬品・医療機器のJ&Jが下落。バイオ製薬のアムジェンやスマートフォンのアップルにも売りが出た。AMDなど半導体株のほか、動画配信のネットフリックスが下げた。

 3)10/18、NYダウ▲332ドル安、33,665ドル(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利が上昇(長期債券価格が下落)し、株式の相対的な割高感を意識した売りが出た。高金利が米国の景気を冷やすとの見方も相場の重荷になった。
  ・10/18発表の9月の住宅着工件数は前月比で+7.0%増と、ダウジョーンズ通信がまとめた市場予想+6.8%を上回った。金利水準が切り上がる中でも、住宅市場が底堅いことを示した。市場では、米連邦準備理事会(FRB)が高い政策金利をより長く維持するとの見方が一段と強まった。同日の米債券市場では長期金利が4.9%台に上昇し、2007年7月以来の高水準を付けた。
  ・金利の上昇で相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが出た。高金利が米景気の下押しにつながるとの見方から、景気敏感株にも売りが出た。
  ・中東情勢を巡る緊張が高まっていることも、投資家心理を冷やした。10/17にはパレスナ自治区ガザの病院の爆発で多数の死傷者が出た。バイデン米大統領は10/18にイスラエルでネタニヤフ首相と会談したが、アラブ首脳らとの会談を延期した。対立が周辺国に広がれば、中東からの原油供給に影響が出るとの見方から、10/18の米原油先物相場は上昇した。インフレ再燃への警戒も株売りにつながった面もある。
  ・米連邦議会下院は10/18、解任された共和党のマッカーシー氏の後任となる下院議長を選出する2回目の投票を実施。共和党の候補である保守強硬派のジム・ジョーダン司法委員長は再び過半数の票を得られなかった。市場では「財政運営に対する懸念が高まり、株式相場の重荷となった」との見方があった。
  ・個別銘柄では、顧客情報管理のセールスフォースやソフトウェアのマイクロソフトが下落した。建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム、金融のゴールドマンサックスも売られた。一方、10/18朝に7~9月期決算を発表したP&Gと外食のマクドナルドが上昇。

●2.米国株:米国が抱える3重苦 ⇒ 株価には逆風

 1)最近の米株式相場を左右する材料
  ・好材料  : 米利上げ停止観測
        : 米企業決算(7~9月期)は好決算
   懸念材料 : 中東情勢を巡る地政学リスク
        : 米金利の上昇継続
  ・好材料と懸念材料の綱引きし、交互に強まる状況になっている。

 2)好材料と懸念材料が織りなす波及効果
  ・好材料  : リスク回避が後退⇒やがて金利高
                   金価格の低下
   懸念材料 : リスク回避で安全資産である金と米国債購入⇒金利安

 3)NYダウは、反発から「下落基調」に戻る
  ・08/01  35,630ドル
   10/03       33,002  8/1比▲2,628ドル下落
   10/16     33,984    10/3比+982ドル上昇、+37.36%戻り
   10/17     33,997    10/16比+13ドル高、累計戻り率+37.86%
   10/18      33,665    累計戻り率+25.23%へと悪化
  ・NYダウは、チャートからみると、反発上昇しても34,400ドル止まりの可能性。

 4)米国が抱える3重苦⇒株価には逆風
  ・長期金利上昇  : インフレ退治は継続中
             金利上昇はいずれ米経済悪化
  ・政治の混迷   : 米議会下院議長選出の見通し難(2回目投票も決まらず)
             予算案の成立見通しが不透明
             決められない米政治的課題
  ・3正面での戦い : ウクライナ戦争
             中東地区での戦闘拡大リスクの増大
             中国との闘い(経済封鎖、台湾防衛)
   ⇒ 3重苦の株価への織り込みはこれから。

●3.米インフレ率、依然として高水準=ミネアポリス連銀総裁(ロイター)

●4.米FRB、追加利上げ検討すべきでない=フィラデルフィア連銀総裁(ロイター)

 1)借入コストを引上げることによって、経済に新たな圧力をかけるべきでないとの見方を示した。

●5.チャールズシュワブの第3四半期実質利益は予想を超え、資産運用事業が好調(ロイター)

●6.BofA、7~9月期利益が予想を上回る、投資銀行部門など好調(ロイター)

 1)1株利益が0.9ドルと、予想0.82ドルを上回った。

●7.米J&Jが通期利益見通しを上方修正、医薬品部門の販売好調(ロイター)

 1)1株利益見通しを10.00~10.10ドル⇒10.07~10.13ドルに上方修正。

●8.米9月小売売上高は前月比+0.7%増と、予想+0.3%増を上回る(ブルームバーグ)

 1)エネルギーを主因としたインフレ加速をよそに、個人消費がなお力強さを維持していることを示している。賃金の伸びは弱まり始めているものの、労働市場はなお総じて強く、消費者は支出を継続する余裕が生まれている。

●9.米9月鉱工業生産は+0.4%増と、市場予想+0.1%を上回った(ロイター)

 1)全米自動車労組(UAW)のストライキにより自動車生産台数が抑制されたものの市場予想+0.1%増を上回った。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/16、上海総合▲14安、3,073(亜州リサーチより抜粋
  ・経済成長の鈍化を警戒した売りが継続する流れとなった。
  ・先週公表された中国指標では、9月の物価統計と金融統計が下振れし、貿易統計で輸出入の縮小傾向が続いている。
  ・中東情勢の緊迫化も不安視。中国が掲げる広域経済圏「一帯一路」戦略では、中東地区も重要なハブとなっているだけに、経済に対する悪影響が危惧されている。
  ・ただ、下値は限定的。「中国当局が本土株相場の下支えに動く」との期待感が根強い中、指数は朝方、小高くスタートした。外電は10/13、消息筋情報として伝えたところによれば、株式相場を下支えするため、中国政府は総額数千億人民元に上る株価安定化ファンドの創設を検討しているもようだ。
  ・業種別では、ハイテク関連の下げが目立ち、酒造・食品も安く、不動産も冴えない。医薬・素材・メディア・娯楽・金融の一角なども売られた。半面、エネルギー関連は高く、公益・自動車が買われた。

 2)10/17、上海総合+9高、3,083(亜州リサーチより抜粋
  ・自律反発狙いの買いが先行する流れとなった。
  ・上海総合指数は前日、8/25以来、約7週ぶりの安値水準に落ち込んでいた。本土株市場の持ち直し期待も根強い。現地メディアが報じたところによれば、政府系投資会社による4大国有銀行A株の買い増しに続き、中央企業(中央政府直属の国有企業)やその傘下企業も株主の買い支えに動いている。ただ、上値は重い。
  ・指標発表が気掛かり材料として意識された。中国では明日10/18、9月の小売売上高や鉱工業生産、第3四半期のGDP成長率などが公表される。
  ・指数は安く推移する場面もみられた。
  ・業種別では、証券・保険が高く、通信・ネットワーク関連も上げが目立ち、エネルギー・公益・ハイテク・海運・銀行・半導体なども買われた。

 3)10/18、上海総合▲24安、3,058(亜州リサーチより抜粋
  ・中国景気の先行き不透明感が意識される流れとなった。
  ・取引時間中に公表された中国指標は、強弱感の分かれる内容だった。今年7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.9%にとどまり、4~6月期の実績6.3%を下回ったものの、市場予想4.5%は上回った。9月の小売売上高や鉱工業生産も上振れた。半面、都市部の1~9月固定資産投資は予想を下回り、不動産開発投資は減少率が拡大している。個人消費は持ち直しているものの、不動産投資の回復遅れが経済成長の足かせになると分析された。
  ・また、米当局による先端半導体の対中輸出規制強化、中東地域の地政学リスクも不安視されている。
  ・業種別では、不動産が安く、ハイテクの下げも目立ち、医薬も冴えない。インフラ関連・素材・公益・運輸・メディア・娯楽なども売られた。半面、自動車はしっかり、銀行も買われた。

●2.中国株:景気回復に力強さを欠く

 1)中国国内総生産7~9月期は前年比+4.9%増も、伸び率は4~6月期の+6.3%より縮小。

 2)不動産市場は前年比▲9.1%減と低迷続く。在庫の増加が継続。

 3)輸出減少が続く。

●3.中国、不動産販売・投資ともに減少続き、景気回復を圧迫(ロイター)

 1)不動産販売(床面積ベース)は前年比▲19.77%減、8月は▲23.95%減だった。

 2)不動産投資は前年比▲18.7%減、8月は▲19.1%減だった。

●4.中国GDP、7~9月期は前年比+4.9%増、予想予想+4.4%を上回る(ロイター)

 1)国内消費の伸びは加速、長引く不動産危機など持続的回復にリスクとなっている。

●5.中国9月鉱工業生産は前年比+4.5%増で、市場予想+4.4%を上回った(フィスコ)

●6.米リスク助言会社、相次いで香港を離れる(Quickより抜粋

 1)10年前に設立された米英資本のリスク助言会社3社は香港を脱出。

 2)外国企業と企業機密収集に対する香港当局の締め付けが厳しくなったため、香港拠点を見直し、従業員を香港の外に移動させた。米ウォルストリートジャーナル紙は10/16に報じた。

●7.中国当局が国有銀行に支援指示、地方政府の債務借り換え=関係筋(ロイターより抜粋

 1)中国人民銀行(中央銀行)は先週、主要な国有金融機関に対し、地方政府のインフラ投資会社である融資平台への融資期間の延長、返済計画の修正、金利の引下げを命じた。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/16、日経平均▲656円安、31,659円(日経新聞より抜粋
  ・中東情勢の緊迫や前週末の米ハイテク株安を受けた売りが終日優勢で、主力株はほぼ全面安となり、下げ幅は一時▲700円を超え、10/4の▲711円安以来の大きさで節目の32,000円を下回った。
  ・前週末10/13の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合指数が下落。中東緊迫を受けた原油先物価格の上昇で、インフレが再燃するとの懸念が売りにつながった。東京市場でも主力の半導体関連などに売りが波及した。イスラエルのパレスナ自治区ガザ地区における地上戦の準備が伝わる中、情勢を見定めたいとして株式の持ち高を減らす動きが広がった。
  ・午後に日経平均は下げ幅を拡大した。中東緊迫を背景とした株安がアジア市場にも広がり、日経平均先物にも断続的な売りが出た。リスク回避姿勢の広がりを映し、市場では「国内の機関投資家による下値での買い注文は、通常の下げ局面より少ない」との声があった。午前に円安・ドル高を背景に輸出関連などが下げ幅を縮小する場面もあったが、買いは続かなかった。
  ・個別銘柄では、日経平均の寄与度が高い東エレク・アドテスト・ファストリが売られた。トヨタ・三菱UFJも安い。一方、原油高で資源関連のINPEXや三井物産が買われ、キャノン・良品計画も上げた。

 2)10/17、日経平均+381円高、32,040円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株式相場の上昇を受け、日本市場でも半導体などハイテク株を中心に買いが優勢だった。前日までの2営業日で▲800円強下げており、売り方の買い戻しも入った。ただ、買い一巡後は中東情勢の不透明感を警戒する売りが出て、伸び悩む場面もあった。日本の長期金利上昇も株価の重荷との見方があった。
  ・日経平均は売り方の買い戻しが先行し、上げ幅は朝方に+600円を超える場面があった。10/16の米ハイテク株高を背景に、日本市場では前日に大きく売られていた東エレク・レーザーテク・スクリンなど半導体関連株に買いが波及した。
  ・バイデン米大統領が10/18にイスラエルを訪れると米政府が発表し、中東情勢の一段の深刻化がひとまず避けられるとの期待が浮上、朝方の相場上昇に弾みを付けたとの見方もあった。ただ、市場では「これで事態の緊迫化に歯止めがかかるとは思えない」と懸念は強い。買い一巡後は個人投資家とみられる戻り待ちの売りが出て伸び悩んだ。
  ・個別株では、日経平均の寄与度が大きいソフトバンクG・ファストリが上昇。半面、任天堂・クボタ・東ソーが下落した。

 3)10/18、日経平均+1円高、32,042円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米ハイテク株安を受けた売りが先行したが、売り一巡後は押し目買いが優勢となった。半導体関連の上昇が相場を押し上げた。米長期金利の上昇や中東の地政学リスクへの警戒感が根強く、上値は限られた。
  ・東エレク・レーザーテクなど半導体関連が買われた。日経平均の構成銘柄ではないが半導体設計のソシオネクスは10/18、2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体開発で英アームと台湾積体電路製造(TSMC)と協業すると発表し、午後から急騰。ソシオネクスの大幅高を受け、他の半導体関連銘柄にも買いが広がった。
  ・前日の米ハイテク株安の流れで日経平均は朝方には▲170円強下落し、心理的節目の32,000円を下回る場面もあった。10/17発表の9月の米小売売上高が市場予想を上回り、米経済の底堅さが意識された。インフレ抑制を目指す米連邦準備理事会(FRB)が追加の利上げに動くとの見方から、米長期金利は再び、4.8%台まで上昇した。国内債券市場でも長期金利が上昇し、第一三共などPER(株価収益率)が相対的に高い医薬品株の一角が売られた。中東情勢の緊迫化を背景にした原油高でインフレが再燃することを懸念する見方も根強い。
  ・市場では「節目の32,000円を割ると押し目買いが入りやすいものの、米長期金利が再び4.8%台まで上昇している中で、買い上げるのは難しくなっている」との声があった。
  ・個別株では、京成・バンナム・三井物産・TDKが上昇した。一方、ソフトバンクG・中外薬・ダイキン・エムスリーが下落した。

●2.日本株:市場のエネルギーは高くなく、売りに押されやすい状況

 1)10/17の日経平均+381円高の内容
  ・10/17:売り方の買い戻しで一時+600円超の上昇
    ⇒買い一巡後は、利益確定の売りに押される。
  ・上値で個人投資家の戻り待ちの売り。
  ・外国人投資家の先物売り。
    ⇒終値は+381円高で落着。
    ⇒上値を追うエネルギーは乏しいと判断する。

 2)日経平均は、底堅い⇒軟調へ転換
  ・         10/10   10/13  10/16  10/17  10/18
   新高値銘柄数    50     42    7    31   36
   新安値銘柄数    14     78   159    31   58
   日経平均の値幅  +751円高 ▲178 ▲656   +381  +1
  ・新高値銘柄数が減少傾向にあり、「買いが広がっていない」ことを示す。とりわけ、10/17は日経平均が+381円高にもかかわらず、新安値と同数の31にとどまっている点に注目したい。半面、新安値銘柄数は日経平均の下落に反応して増加している。加えて、10/18は日経平均が+1円高にも関らず、新安値数が58と新高値数36を上回った。以上から、日経平均は「軟調基調」にあると判断できる。

 3)売買エネルギーは低下傾向
  ・東証プライム売買代金  10/16    10/17    10/18
             3兆3,487億円 3兆1,248億円 3兆3,556億円
    7/28 の5兆7,000億円、7/31の5兆1,035億円、9/15の5兆6,708億円と比べて売買代金は減少し、買いエネルギーの低下を示している。
  ・短期筋の海外投資家の先物買い動向は、10/17以降「弱い買い」にとどまる。
                 10/16   10/17   10/18
    海外投資家の先物枚数 ▲3,818枚売 +280枚買 +683枚買
    日経平均の値幅     ▲656円安 +381円高  +1円高

 4)それでも米長期金利は上昇する
  ・中東情勢の緊迫化が、安全資産買いで米国債購入が買われ、長期金利低下した。
  ・中東の地政学リスクの高まりが後退し、長期金利の再上昇につながると予想。
  ・FRBは政策金利を停止する可能性あるが、インフレ退治宣言はできない状況。ここにきてFRB高官の「政策金利停止」の掛け声が大きいが、根拠不明である。政策金利上昇と関係なく、金融市場は引締り、金利上昇は続くとみる。

 5)直近の上昇は、大幅下落に対する一時的な「自律的反発」に過ぎない
  ・直近の上昇は、「売り方の買い戻し」による株高に過ぎない。それは、超短期的な値幅取りを狙った動きであり、追随の買いは危険であろう。
  ・チャートをみると、上昇基調から外れ、「下落基調」に転換したことを忘れないようにしたい。

●3.高島屋、2024年2月期予想営業利益375⇒440億円黒字、上方修正(フィスコ)

●4.良品計画、2024年8月期予想営業利益480億円黒字、前年比+44.9%史上最高(ロイター)

●5.ベルトラ、営業収益は+2.2倍、営業損失▲2億円赤字に縮小(フィスコ)

●6.いちご、第2四半期純利益85億円黒字、前年同期比+148%増(フィスコ)

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著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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