関連記事
日中関係悪化で暴落したサンリオ株は、どこで下げ止まるのか

(c) 123rf[写真拡大]
●サンリオ株が高値から4割下落の異常事態に
キャラクタービジネス大手サンリオ(8136 東証プライム)の株価が、短期間で4割下落する異常事態となり話題になっている。
【こちらも】フィックスターズがDOE導入を発表 株主のメリットとは?
サンリオ株は好調な業績を背景に8月18日に8,685円の上場来高値を付けた。しかし、12月11日には4,831円の年初来安値まで売られている。約4カ月で44.38%の急落だ。
投機筋が扱うような銘柄ではないサンリオ株が、なぜここまで急落したのだろうか。
●サンリオ株が大きく上げた背景
2025年にサンリオ株が大きく上昇した背景には、大阪万博でのコラボ事業の成功や、中国事業の成長、サンリオピューロランドを核とするテーマパーク事業の好調などいくつもの要因があった。
その結果2026年3月期の中間決算も好調で、通期業績予想を上方修正するするとの見方から、先行して株価が上昇し8月に8,000円台まで買われる大相場を演じたのだった。
●サンリオ株が急落した理由
ではなぜ、業績好調のサンリオが4割以上も株価が急落したのだろうか。
市場筋は2026年3月期の9月中間決算が出た段階で材料出尽くしとなり、利益確定の売りが優勢になったためと分析している。高値8,000円台が期待先行で買われ過ぎだったのかもしれない。
加えて日中関係の悪化で中国政府が自国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、中国人観光客が大幅に減るという悪材料が重なった。
中国人観光客が減ればテーマパークの入場者数だけでなく、キャラクター商品の売上にも大きな影響を及ぼす。
それだけでなく、本土における中国事業への影響も懸念される。中国事業が売上全体の2割弱を占める収益構造のサンリオにとって、日中関係の悪化は不買運動など大きな業績悪化要因になるだけに急落も当然といえるよう。
●サンリオ株はどこで下げ止まるのか
サンリオ株の上昇と下落の背景について見たが、では現在の株価は買い時といえるのだろうか。
まずサンリオ株を株価指標で見てみよう。
サンリオのPER(株価収益率)は24.85倍で、東証プライム上場企業の平均PER18.3倍(2025年11月、金融業を除く)より高い水準にある。
また株価5,139円(2025年12月15日終値換算)で計算した配当利回り(会社予想)は1.21%と低く、実績PBR(株価純資産倍率)も8.76倍と割高な水準といえる。
次に実際の業績見通しを見ると、2026年3月期の会社業績予想では売上高1,843億円(前期比+27.2%)、営業利益702億円(同+35.5%)、経常利益713億円(同+33.4%)、当期純利益494億円(同+18.4%)を見込んでいる。
1株純利益は204.26円の予測で、仮にPERをサンリオの最近12年平均PERの25.4倍とした場合の予測株価は5,188円になる。現在の株価5,139円は妥当な水準といえるかもしれない。
しかし、日中関係の一段の悪化で最終利益が下方修正されることになれば、再び年初来安値まで売られる可能性も否定できない。
現状では下げ止まりの感はあるが、当面は日中関係の行方を注視しながらの相場展開になりそうだ。(記事:丸山優太郎・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
