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相場展望2月3日号 米国株は好決算で反発も、次はインフレ懸念が強まり金融引き締めが再浮上
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)1/31、NYダウ+406ドル高、35,131ドル(日経新聞より抜粋)
・今年に入り下落が目立っていたハイテク株を中心に買いが入り、相場全体を押し上げた。
・年金基金の買いを指摘する声があった。
・決算発表を終えたハイテク企業を中心に、自社株買いの再開との見方があった。
・これまで売り持ち高に傾けていたヘッジファンドが、買い戻しに迫られ上昇した。
・ボーイングが+5%高、ネットフリックス・テスラは+11%上昇・エヌビディアなど半導体株も買われた。 化学のダウ・クレジットカードのビザは安い。
【前回は】相場展望1月31日号 米国、長短金利幅縮小し平坦化が示唆する金利高 景気後退の『スタグフレーション』?
2)2/01、NYダウ+273ドル高、35,405ドル(日経新聞より抜粋)
・先週来、上昇が急ピッチだったハイテク株に対し、相対的に上昇が鈍かった景気敏感株が買われた。航空機のボーイング・建機のキャタピラー・シェブロンが上昇。
・NYダウは1/28以降、3営業日連続で取引終了にかけて上げ幅を広げたが、今年に入ってからの株安を受けた年金基金の資金配分見直しに伴う買い観測が出ている。
・投資家心理を測る指標の米株VIX指数は1割低い21.9で終えた。1/24には40近くまで上昇した後は、じりじり低下しており、投資家の先安懸念は薄れつつあるようだ。
3)2/02、NYダウ+224ドル高、35,629ドル(日経新聞より抜粋)
・好決算を発表した検索のアルファベットが+8%高と大幅高となり、ハイテク株に買いが波及し、マイクロソフトが+2%高、アップルも高い。
・業績が景気動向の影響を受けにくいディフェンス株の上昇も目立ち、医療保険のユナイテッドヘルスや日用品のP&Gなどが上げた。反面、米雇用統計の悪化を嫌気して、景気敏感株は売り優勢だった。
・1月ADP雇用統計で非農業部門の雇用者数が▲30.1万人減と、市場予想の+20万人増に反して減った。
・新型コロナ「オミクロン型」の感染拡大が影響したとみられ、米景気への楽観論が弱まった。
・業績見通しが低調だった決済のペイパルは▲25%下落した。
●2.米国株:好決算イベントで相場は急反発⇒金融引き締めイベントが再浮上の可能性
1)決算算発表シーズン終了すれば、次は3月半ばのFOMCに向け金融引き締めイベントへ
・ただ、米FRBからの市場に対する資金供給は3月FOMCまで実施されるため、3月上旬までは過剰マネー相場は膨らみ続けることから、株式市場にとっては追い風が弱まるものの依然として吹き続ける環境下にある。
・しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めに前向きで「タカ派」に傾くなか、株式市場から資金流出を警戒した売りが出る懸念との攻防戦に移る可能性がある。
・その時の株式相場のテーマは、2022年末までの
(1)金利引上げ
・引上げ回数(3回までは織り込んだと思われるが、4~6回となればリスク)
・金利引上げ幅(0.25%が通説だが、0.5%ならサプライズで株式相場に影響)
(2)FRB保有資産の縮小
・開始時期(年央から早まるとサプライズ)
・縮小内容(償還ペースか、定額縮小)
・縮小ペース(速まるとサプライズ)
2)米インフレ懸念の高まりのなか、金利上昇と景気後退の深まりに警戒したい
・米労働省は2/4に、1月雇用統計を発表するが、予想を下回る可能佳がある。オミクロン株の感染拡大で、労働が困難になったり、営業短縮されたり、雇用の減少につながる可能性ある。失業保険申請件数は再び増加傾向にあり、雇用回復の勢いが鈍化している。
・しかし、オミクロン株の感染拡大がピークをつけた兆候がある。そうなれば、懸念は限定的となろう。
・FRBは金融緩和の正常化に向けてのスタンスを、大きく緩める可能性は低い。理由は、物価上昇に歯止めが掛かっていないため、インフレ抑制の命題を抱えていることにある。
3)ロシアのウクライナ侵攻が、原油・天然ガス高騰を引き起こし、さらにインフレ加速へ
・ウクライナ侵攻切迫で、原油価格が上昇し100ドル説が急浮上している。そうなれば、エネルギー価格はさらに騰勢を強め、物価上昇を加速させる。
4)米FRBは、「雇用重視」⇒『インフレ抑制を命題として、金融引き締め』を続行
・バイデン大統領は支持率低下の挽回のため、「インフレ抑制」の命題を、パウエルFRB議長再任理由に課した。FRB副議長指名のFRB理事も、「超ハト派」にもかかわらず「タカ派に転向」した。FRBはインフレ抑制を大統領から圧力を掛けられており、迎合せざるを得ない状況。その面からも、金融政策正常化による引き締め策の後戻りはできない。
・したがって、FRBは、従来の「雇用重視」政策から、『インフレ抑制』策に転換。
5)株式相場は、
・金利上昇
・過剰マネーの縮小
・インフレ上昇
・景気後退
からの波を受ける備えをし始める可能性が高いと思われる。NYダウは、チャート面で今回の株価戻り相場で『三尊』を形成が濃厚であり、警戒したい。
●3.米1月ADP雇用統計▲30.1万人減、予想+18.4・12月+80.7万人を予想外の減少に落ち込む(フィスコ)
●4.SF連銀デイリー総裁発言、「米FRBの利上げは年末までに1.25%」(ロイターより抜粋)
1)最終的な金利は2.5%としても、かなりの緩和が金融システムに残る、と指摘。異例の緩和措置の一部が解除されるだけだ、とした。
2)FRBは、3月にゼロ金利を解除し、インフレ抑制向け、景気を支えながら年末までに1.25%まで、余裕をもって引上げることができるとの、答えを示した。
●5.米フィラデルフィア連銀フィリー総裁発言(フィスコ)
1)発言内容
(1)2022年の利上げは、0.25%を4回実施するのが望ましいが、データ次第との見解。
(2)3月に0.25%の利上げは支持するが、0.50%の利上げは確信していない。
●6.ゴールドマンのコスティン氏、「米株は一段安リスク」を認識(ブルームバーグ)
1)モルガンスタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、「SP500の適正は4,000前後」。
●7.OPECプラスは、3月も従来通りの増産ペースを維持(共同通信)
1)主要産油国で構成する「OPECプラス」は、2/2の閣僚級会合で現行の原油増産ペースを3月も維持することを決めた。
2)毎月、日量40万バレルずつ協調減産幅を縮小する従来方針を踏襲する。
●8.米スターバックス、10~12月期純利益+8.15億ドル(約935億円)と前年同期比+31%増
1)素材価格の高騰や人件費の増が重荷になり、営業利益率は前期16.8%⇒16.0%に低下。
2)労働組合結成が広がっており、賃上げ要求が高まる可能性がある。(日経新聞)
●9.米グーグル、10~12月期純利益+2兆4,000億円、前年比+36%増で最高益(共同通信)
●10.英中央銀行はインフレ対策で2連続利上げへ、欧州中央銀行は金融緩和継続(ブルームバーグ)
1)英イングランド銀行は0.5%の政策金利引上げを実施すれば、3月に保有資産の縮小を開始する道が開かれ、10年以上にわたり拡大が続いてきたバランスシートの転換点となる。
2)しかし、欧州中央銀行(ECB)は金融緩和を続ける。
3)ブラジルやチェコの中央銀行は、利上げが見込まれている。オーストラリアは、債券購入を終了すると発表する見通し。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)1/31~2/04、春節による休日のため休場
●2.中国、新エネルギー車の購入補助金を再び削減(36Kr Japan)
1)2022年の新購入補助金を、2021年から▲30%削減。
2)2022年は購入補助金政策実施の最後の年になる。
●3.米キャタピラー、中国向け2022年建機販売は▲10~▲50%減見込む(ブルームバーグ)
1)中国の建設市場の減速で、10トン以上の掘削機の販売が縮小すると考えている。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)1/31、日経平均+284円高、27,001円(日経新聞より抜粋)
・前週末の米市場でハイテクの株高が支えとなり買い優勢で、業績期待の高い半導体関連や海運の上昇が目立ち、一時+400円超となる場面があった。
・三井商船の3月業績予想と配当予想の上方修正の発表が、投資家心理を上向けた。
・1月の大幅下落で値ごろ感を指摘する声もあった。
・ただ、米金融政策を巡って米国株が不安定な動きを続けるなかで、相場の先行きを慎重にみる市場関係者は多い。
・海運株への買いが一巡すると、景気敏感株に売りが出た。
・東エレク・ソフトバンクG・アドテストが上昇、一方、ファストリ・オムロン・ファナック・東京海上が下落した。
2)2/01、日経平均+76円高、27,078円(日経新聞)
・前日の米株式相場はハイテク株への見直し買いで上昇したのを背景に、運用リスクを取る姿勢が先行し、上げ幅は一時+400円を超えた。東エレク・アドテストなど半導体関連を中心に買われ、相場を支えた。
・月初で、機関投資家の買いが入ったことも支援材料になった。
・しかし、買い一巡した後は、短期筋を中心とした売りが上値を抑えた。
・1/17安値から+1,000円超戻したことで、戻り待ちの売りも出た。
・市場では、インフレ対策の金融政策の警戒が続き、ウクライナ問題など不安材料があり、積極的に上値を追おう雰囲気に乏しかった。
・TDK・村田製・海運・JR東日本が高く、東レ・日本精工・ガイシが売られた。
3)2/02、日経平均+445円高、27,533円(日経新聞より抜粋)
・前日の米株式相場の上昇を受け、東京市場でも好決算発表を手掛かりにした買いや、売り戻しの買いもあって上昇幅を広げ、買い安心感が広がった。
・市場予想を上回る好決算を発表した銘柄への買いが目立った
・VIV恐怖指数は、1/27に30を上回ったが2/2には22を下回り、相場の急変動への警戒が和らぎ、投資家に買い安心感が広がった面もある。
・サイバー+7%高・東エレク・信越化・キーエンス・野村・塩野義の上げが目立った。一方、村田製・三菱電・コニカミノルタが下落した。
●2.日本株は、戻り基調が一服する水準に入った可能性
1)日経平均は、1月の月間▲1,790円下落(12/30終値~1/31)▲6.2%安
12/30終値28,791円⇒1/31終値27,001円 下落額▲1,790円
・9/14高値30,670円から1/27最安値26,170円まで▲4,500円・▲14.67%下落。その後、1/28以降から反発、1/31まで+831円高で9/14比▲11.96%まで挽回した。下落幅に対して戻りは18.47%の状態である。
2)日経平均の戻り高は、一服する節目が接近の可能性
・なお、2/2終値27,533円比では戻り+1,363円高となり、9/14高値比▲10.23%。戻り率は30.29%となり、戻りもそろそろ一服する可能性が出てきた。
●3.10~12月実質GDP成長率は年率+5.6%(時事通信)
1)新型コロナ感染拡大が落ち着いたため、個人消費の回復が寄与する見込み。
2)だが、1~3月期はオミクロン株のまん延から、再び下振れるとの見方が強まる。
●4.住宅ローン固定金利、2/1から引上げ、6年ぶり高水準(朝日新聞)
●5.企業動向
1)セブン&I 傘下のそごう西武の売却検討へ(共同通信)
2)マルハニチロ 缶詰・ソーセージなど56品目値上げ、3/1から(朝日新聞)
3)大塚商会 2022年12月期純利益+366億円、前期比▲8%減(四季報)
4)パナソニック テスラ向け大容量新型電池を和歌山の工場で量産へ(NHK)
5)ソニー 米ゲーム開発会社バンジーを36億ドル(4,100億円)で買収(ブルームバーグ)
●6.企業業績
1)コマツ 4~12月期営業利益+2,287億円、前年同期比は約2倍(ロイター)
通期営業利益+2,820億円と据え置き、市場予想は+2,943億円
2)JR東日本 4~12月期最終損益▲837億円赤字、コロナ感染拡大響く(NHK)
3)村田製 3月通期営業利益+4,100億円、前期比+31%増に上方修正(ロイター)
4)ANA 4~12月期純利益▲1,028億円(前年同期▲3,095億円)(共同通信)
5)パナソニック 4~12月期純利益+1,956億円、前年同期比+50.3%増(時事通信)
6)三菱UFJFG 4~12月期純利益+1兆703億円(ロイター)
7)デンソー 2022年3月期営業利益+4,400億円⇒4,000億円(前期比2.8倍)に下方修正(ロイター)
8)三越伊勢丹 3月通期最終利益+30⇒+70億円に上方修正、固定資産売却益(モーニングスター)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・8267 イオン 業績堅調
・2801 キッコーマン 業績堅調
・4443 Sansan 業績好調
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