進む「働き方改革」、残業削減やインセンティブなどで生産性向上促進

2017年3月7日 12:29

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記事提供元:エコノミックニュース

エン・ジャパンが去年12月~今年1月にかけて実施した調査ではダブルワーク経験者が59%と2008年以来過去最高となった

エン・ジャパンが去年12月~今年1月にかけて実施した調査ではダブルワーク経験者が59%と2008年以来過去最高となった[写真拡大]

 厚生労働省の「働き方改革」ではこれまでの働き方を見直すべく、焦点となっている長時間労働の是正および非正規雇用の処遇改善に加え、業務効率化や生産性向上の推進を打ち出している。テレワークによってこれを実現しようとする企業も出てきているほか、パラレルキャリアが奨励されるなどの動きもあり、エン・ジャパンが去年12月~今年1月にかけて実施した調査ではダブルワーク経験者が59%と2008年以来過去最高となった。こうしたなか、次世代のHRに関するシンクタンク「あしたのチーム総研」が、独自の取り組みによって生産性の向上を達成した企業の事例を自社サイトにて紹介している。

 SCSKでは、残業削減にインセンティブをつけ、部門単位の達成状況に応じた賞与加算を適用。アイディアコンテスト・取り組み事例の表彰や課単位での取組施策の社内ポータルへの掲載し、全社的な業務プロセスの見直しも行った。反対に残業時間の長い部署に手順遵守を徹底させ、長時間労働や休日出勤に対する賦課金制度を導入することで、残業時間の大幅な削減(12年度:平均26時間10分、15年度:平均18時間)に成功。6期連続の増収増益を実現した。

 アステラス製薬では、年齢、勤続年数などによって給与を決定する職能給を廃止し、従事する職務の難易度と価値で給与を決定する職務給に一本化。評価は時間ではなく役割と成果で測るよう厳格化し、社員の意識を変革している。

 サイボウズでは、人生のイベントに合わせて働き方を変更できる「選択型人事制度」を導入し、「時間に関係なく働く」「少し残業して働く」「定時・短時間で働く」の3つのコースから、働き方を自ら意思で選択させた。また、勤務場所についても社員の自由度を高めることで働き方の多様性を受け入れやすいシステムを構築した。人事評価では「考える・知る・伝える・続ける・する・公明正大」といった基準からなる「信頼度」という尺度を活用している。また、信頼度を高めるべく部長・本部長クラスから社員への直接面談を実施し、そこでの明確なフィードバックにより社員やチームのモチベーション向上に成功している。

 紹介されている事例では、どの企業も人事制度の変革によって社員に効率的な働き方に対する意識を浸透させている。実質的な生産性の向上を達成するには、目標値を掲げるだけでなく自ら動いてもらう仕組みづくりが重要だ。(編集担当:久保田雄城)

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