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相場展望7月3日号 米国株: (1) 明るい情報にフォーカス、(2) 懸念材料は無視の、強気相場 日本株: 日経平均40,000円台乗せは「2日天下」?
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/30、NYダウ+275ドル高、44,094ドル
2)7/01、NYダウ+400ドル高、44,494ドル
3)7/02、NYダウ▲10ドル安、44,484ドル
【前回は】相場展望6月30日号 米国株: インフレ鈍化・利下げ観測で株高も、むしろ暗雲が深まる 日本株: 過熱感を示唆、車関税25%交渉、参院選挙と難局を迎える
●2.米国株 : 株式市場は、(1)明るい情報にフォーカス、(2)懸念材料は無視の強気相場
1)米国株式市場は、(1)明るい情報にフォーカス、(2)懸念材料は無視の強気相場
(1)明るい情報
・FRBの金利引下げ観測
・関税交渉の進展期待
・中東情勢の停戦
・物価上昇は落ち着き、トランプ関税の影響はみられない
・労働市場の雇用関係は堅調
(2)懸念材料
・FRBのパウエル議長は、関税によるインフレへの影響は今後出てくるとの見方を示す。
・トランプ大統領による再三の金利引下げ要求に対し、「職務に100%注ぎ、データ重視で判断、トランプ関税が無ければ金利は引下げていた」と反論し、立場を鮮明にした。なお、トランプ氏の要求の根源は、低金利時代に発行した米国債が償還を迎え、高金利の国債発行に迫られていることに端を発している。この金利負担の急増から、米国の財政赤字が膨張する方向にある。トランプ大統領の頭のなかは、「膨張する米国財政赤字」が大きく占め、国民の家計を守るという「インフレ抑制」という考えは無いようである。
・トランプ関税の交渉妥結のほとんどが膠着状態にある。せいぜい、英国と決着のみ、ベトナムとは決着の方向にあるに過ぎない。トランプ氏は、交渉進展の遅さに苛立ち、発言が「おどし」圧力を増している。
・中東情勢はイスラエルとイランの互いの都合で一時停止に過ぎない。米国のイラン核施設への攻撃も、トランプ氏発言の通りの効果を発揮できなかった可能性が濃くなってきた。根本は、「宗教戦争」であり、簡単に停戦とはならない。米国は当初、中立の立場を表明していたが、急な方針転換でイラン核施設をB2爆撃機で破壊しようとした。つまり、米国は「イスラエル寄りの当事者」になってしまった。イランは今後、原子力の平和利用という立場から、核保有に方針転換する。つまり、イランの「北朝鮮化」が進むことになろう。トランプ氏によるイランへの直接攻撃で、イランを追い込んだ。トランプ大統領は、「中東情勢」を格上げし、世界問題にしてしまった。株式市場は、イスラエル・イラン問題がより深刻化したことを軽視している。
・米国株式市場は、トランプ関税のインフレ加速についても軽視している。相互関税の基礎部分10%の関税率は発動されている。今、交渉しているのは主に「上乗せ関税」についてである。駆け込み輸入した在庫が切れ始めて入り、関税による価格転嫁された商品が夏場から本格的に市場に出てくる。トヨタも値上げを表明した。
・労働市場は堅調に見えるが、中味は悪化へと変化している。求人件数は増加を示しているが、採用件数は減少している。企業など事業主は採用に対して、慎重になっていることが鮮明化した。
●3.米国、ベトナムと貿易協定で合意、多くの輸入品に20%関税=トランプ氏(ロイター)
1)第3国からの積み替え品には40%関税が課せられる。
2)トランプ氏が当初に発表した46%を下回る水準。
3)米国はベトナムにゼロ関税で輸出できる。
●4.パウエルFRB議長、この夏にかけて関税は目に見えて物価に影響へ(ブルームバーグ)
1)トランプ関税の影響は現時点では、物価や労働市場などの経済データに鮮明に反映されていない。これを根拠にトランプ大統領と政府高官らは、利下げ要求を強めている。
2)FRB議長、利下げ前に一段のデータを「待つ」姿勢を再表明(ロイター)
●5.米国求人件数776.9万件と37.4万件増、予想外に増加、昨年11月以来の高水準(ブルームバーグ)
1)関税の先行き不透明感から採用は減少(ロイター)
●6.米国ISM製造業総合景況指数、6月は49.0に上昇、予想48.8(ブルームバーグ)
1)4カ月連続で50割れ、受注や雇用が悪化
●7.カナダ、デジタルサービス税を撤回、米国との貿易交渉の再開で合意(ブルームバーグ)
●8.イスラエル、ガザ北部に避難命令、トランプ氏は戦争終結呼びかけ(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/30、上海総合+20高、3,444
2)7/01、上海総合+13高、3,457
3)7/02、上海総合▲2安、3,454
●2.中国、デフレ圧力解消へ規制強化方針、習氏が共産党経済政策会議を主宰 (ロイター)
1)会議で「無秩序な低価格競争を仕掛ける企業は法規に則って規制されなければならない」と指摘。「企業は製品の品質を向上させ、時代遅れの生産能力を段階的に廃止するように指導されるべきだ」とも強調した。
●3.中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、6月は49.7と3カ月連続で50割れ (ロイター)
1)米国関税の圧力や内需低迷に直面するなか、経済下支えに一段の刺激策が必要だとの見方が強まった。
●4.中国産レアアース磁石の流通再開も、供給不足のリスクは解消されず(ロイター)
1)中国政府は今年4月、米国の関税への報復措置として7種類のレアアースと磁石の輸出を規制した。
2)輸出規制が課されて以降、中国からのレアアース磁石は約▲75%減少。アジア・欧州・米国では一部の自動車メーカーが生産停止を余儀なくされた。
●5.アフリカに賭ける中国自動車メーカー、欧米規制で新市場開拓(ロイター)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/30、日経平均+336円高、40,487円
2)7/01、日経平均▲501円安、39,986円
3)7/02、日経平均▲223円安、39,762円
●2.日本株:日経平均40,000円台乗せは「2日天下」?
1)日本株は連騰
・連騰の要因
・外部要因
・米国関税後退が追い風。
・中東情勢の緊迫化もやや収まる。
・米国半導体株指数(SOX)含むハイテク株高。
・米国連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測の広がり。
・米国ミシガン大学の消費者態度指数が上昇し、米国経済の堅調さが示された。
・内部要因
・海外短期筋の株価指数先物を中心に、米国株高を背景に買い進んだ。
2)日経平均40,000円台乗せは「2日天下」?
・日経平均の推移
6/27 40,150円
6/30 40,487
7/01 39,986
7/02 39762
・日経平均は米国株の上昇が波及し、半導体関連株が牽引し40,000円台を回復した。
・日経平均の40,000円回復したが、「更なる上昇の通過点」となるか「目標達成」なのか分岐点に差し掛かっている。
3)トランプ関税への警戒高まる
・トランプ氏「日本との合意は困難、対日本関税は米国が決める、30~35%か」。
・日本・米国金利差が縮小⇒円高進行で、輸出関連株が売られる。
・米国ハイテク株安が波及し、半導体関連が売られる。
4)6月上げ相場の牽引役、防衛・半導体・ゲームが、7月入りして売られて反落
・防衛関連株は高値挑戦したが、チャート面では頭が重くなってきた感がある。
・半導体関連株は、米国半導体株指数(SOX)の上昇効果が波及した。ただ、SOX指数の動きが鈍くなってきており、当面は様子見の可能性がある。
・ゲーム株関連は、任天堂の急伸に連れ高となったが、一服の模様。
・7月相場を構築するには新たな材料が欲しいところだ。
●3.日産、1~6月期の国内新車販売▲10%減で、5位に転落(読売新聞)
●4.日本電信電話、正式社名を「NTT」に40年ぶりに7/1に変更(NHK)
●5.日産、サプライヤーに支払い延期要請、英国や欧州で=関係者(ロイター)
●6.高島屋は今期営業利益減益予想に修正、Jフロントもインバウンド売上減少(ロイター)
●7.ホンダ、FCモジュール新工場の計画を延期、生産能力も2万基以下に修正(日刊自動車新聞)
●8.オリンパス、米国FDAの輸入警告に「基準満たすよう全力」とコメント(ロイター)
1)FDAは、同社の製造施設で医療機器の適正製造基準や報告義務の違反を確認したとしていた。
●9.7月の食品値上げ2,105品目に、前年同月の約5倍(NHK)
1)食品メーカーが今年11月までに値上げすると公表した食品は、累計で18,000品目を超え、2024年1年間の実績を5割近く上回っている。
●10.6月卵の平均卸売価格は東京地区で340円、5カ月連続300円超(NHK)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・3865 北越 業績順調
・4568 第一三共 業績堅調
・4911 資生堂 黒字転換
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