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相場展望10月6日号 米国株: 「貯蓄の取り崩し」で消費支出増・小売売上高増に懸念 日本株: 非世襲議員・女性の自民党総裁・首相の誕生は画期的 驚きで日経平均は円安もあり、大幅急伸
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/2、NYダウ+78ドル高、46,519ドル
2)10/3、NYダウ+238ドル高、46,758ドル
【前回は】相場展望10月2日号 米国株: 政府機関の一部閉鎖と、株式市場・金相場との関係 日本株: 信用取引残高が減少⇒買い方が売り転換、買いエネルギー減
●2.米国株:「貯蓄の取り崩し」で消費支出増・小売売上高増に懸念
1)「貯蓄の取り崩し」で消費支出増・小売売上高増に懸念
・米国8月の実質個人消費支出は前月比+0.4%増、8月の米国小売売上高も前月比+0.7%増とプラスを維持している。これは、株高による資産効果もあるが、過去の貯蓄を取り崩して消費に回しているためである。このため、個人消費支出や小売売上高が堅調を示しているが、その持続性については懸念がある。
●3.米国新規失業保険申請件数、8月製造業受注の発表延期、政府機関閉鎖で(ザイFX)
●4.バークシャー、オクシデンタルの石油化学部門を97億ドルで買収(ブルームバーグ)
●5.米国9月ISM製造業景況指数、7ヵ月連続の活動縮小を示す、受注が減少(ブルームバーグ)
1)9月は49.1と、予想49.0・前月48.7から拡大した。ただ、景気境目の50を7ヵ月連続で下回り、製造業が勢いを欠いていることを示す材料が増えた。
2)新規受注指数は前月から▲2.5低下し48.9。雇用指数はマイナス圏内で上向いたものの、依然として低迷している。9月に活動が縮小したのは木材製品・衣料品・プラスチック・ゴム製品・紙製品など11業種に上り、拡大したのは5業種にとどまった。
●6.EU、鉄鋼関税を米国並み50%に引上げ提案へ、割当枠の超過分が対象(ブルームバーグ)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/2~8、祝日「国慶節・中秋節」のため休場
■II.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/2、日経平均+385円高、44,936円
2)10/3、日経平均+832円高、45,769円
●2.日本株:非世襲議員・女性の自民党総裁・首相の誕生は画期的
驚きで日経平均は円安もあり、大幅急伸か
1)10/2日経平均は+385円高も、他の主要株価指数はすべてマイナス
・10/2株価指数の動向
日経平均 +385円高・+0.87%
TOPIX ▲ 7安 ・▲0.24%下落
JPX日経400 ▲ 25安 ・▲0.09
グロース250 ▲ 4安 ・▲0.69
・日経平均が上昇したのは、わずか2銘柄の寄与で説明できる脆弱な上昇だった
ソフトバンクG +213円高
東京エレクトロン +206
アドバンテスト +100
ディスコ +36
・日経平均上昇構造の歪さを証明 ⇒ 日経平均の高値圏形成に不透明。
2)10/3日経平均+832円高も、上位寄与5銘柄で+459円押し上げ、55%を占めた
・日経平均上昇の寄与上位5銘柄
アドバンテスト +174円高
ソフトバンクG +138
東京エレクトロン +65
ファーストリテイ +52
リクルート +30
合計 +459
・10/3も、海外短期投機筋の「先物買い」の強引ともいえる買い優勢で日経平均は急伸した。売り方の損失覚悟の「買い戻し」がさらに株価上昇をもたらしたと思われる。
3)自民党総裁選で、小泉・農相は信用失墜し、高市陣営に屈する
(1)小泉氏の信用失墜の要因
・Xで、やらせコメント「#高市やばい」。
・神奈川県自民党で本人の意思なく離党扱いした高市派826人の党員問題。
・小泉陣営から発出されたステマ問題「やらせ賛同、競争者への嫌がらせ」をニコニコ動画に投稿するように要請していた。そして、その要請に対して、実際にコメントが多数寄せられた。正体を隠した世論誘導で、選挙の公正を損なう極めて悪質な行為にほかならない。「偽情報の流布」は実行されたが、これは深刻な問題である。
・牧島かれん・衆議院議員の政治的信念で実行したもので、牧島事務所の秘書による誤った活動ではない。
・牧島かれん議員は、2021年から1年間はデジタル大臣、現在は自民党ネットメディア局長であり、その道のプロであるため確信犯である。
・国政選挙などで自民党は同様の違法行為まがいのネット戦略をやっていた可能性がでてきた。
・高校生の問いかけに、的外れな回答・正面から受け止めない回答をした。
・手許資料を見ないと話せない。
・司会者からの質問に対し、想定問答にない質問には回答できない。
・自民党への不信を高め、自民党の体質として疑惑を深めている。
(2)小泉陣営の人脈
・菅、岸田・石破人脈で構成し、リベラルの岸田・石破路線を踏襲。
(3)小泉陣営の政治的思考
・リベラル(保守派とは対立)。
・自民党は、リベラル派が主導する政党となり、保守党といえなくなる。自民党支持者のなかから、選挙時に自民党離れが進む。
・親中国。
・親財務省人脈が主力となり、増税路線の継承・減税反対を鮮明化。
・財政健全と叫ぶが、増税で歳出は拡大、補助金のバラマキ継続・拡大。
・消費税減税、年収の壁の引上げ、ガソリン暫定税率の廃止など減税政策については、否定的。
・国民の重税の軽減は、連立する野党の力量次第。
(4)野党との連立
・維新の会は「大阪副首都構想」の協力打診で、連立に一本釣りされる可能性。
・維新とは小泉・吉村氏の関係が良好であり、トップ同士での合意は簡単。
・維新の会は、第2自民党化のため、改革政党の看板は取り下げるべき。
・自民党と公明党は、衆議院選で大阪選挙区で全敗のため、本部の決定をすんなりと受け入れるとは思えない。
・ただ、公明党は自民党の創価学会攻撃をかわすため連立した経緯がある。また、国交大臣ポストを長期に保持し、うま味を享受してきており、簡単には既得権を放棄できない事情がある。
・国民民主党との連立が、無難な選択となろう。
・ただ、石破政権は国民民主党との合意を裏切ってきたため、しこりが残る。
(5)小泉陣営は、期待感があるうちに「早期衆院選挙」実施を予想
・石破氏による早期解散で少数与党に転落して失敗、参院選挙でも過半数を割り込んだ反省から、選挙は後回し作戦がある。
・これは、小泉政権の人気上昇が前提の戦術であった。ところが、リベラル・増税路線の岸田継続政権であったと国民に伝わると、急速に小泉人気が低下するとだろう。そのため、衆院選挙の結構早期の解散を指向することになるだろう。
(6)小泉氏は「実力不足」で、自民党総裁選で高市氏に敗北
・ステマ、党員離党問題、逃げの回答で大失態、刷新感を失った小泉進次郎。人気があり、持ち味の発信力を発揮できず
・勝って兜の緒を緩めた。
・麻生氏を怒らせる発言「重鎮は消えてもらう」的発言を、総裁選終盤に発言したことが伝わり、麻生氏から一層の怒りを買う。
・高市陣営からの切り崩しを許すなど、防御の腋が甘かった。対抗して高市陣営への切り崩しは弱かった。
・総裁選の決定投票前の5分演説で優劣が明白となった。
・高市氏は、日本の進むべき目標など積極的な内容だった。しかし、小泉氏は支持者への御礼レベルに終始した。
・いずれにしても、小泉氏は若さと「実力不足」を露呈した。
5)自民党総裁選で番狂わせで、高市氏が勝利
(1)高市氏が勝利した要因
・党員・党友支持が約4割と、圧勝。
・麻生氏が高市支持を鮮明化し、他候補者陣営も取り込む。
・麻生・茂木・小林氏が決選投票で陣営を挙げて支持。
・小泉陣営の切り崩しに成功し、小泉支持から離反させた。
(2)議員の投票数
議員1回目投票 議員決選投票 増減 決戦党員票 決選投票合計
高市 64 149 +85 36 185
小泉 80 145 +65 11 156
・小泉氏は決選投票で、(1)議員(2)党員の双方で負け、完敗だった。
(3)高市氏の懸念点
・高市氏は、裏金議員問題は決着済みとしており、問題を含んでいる。
・問題議員を要職につけた場合、自民党の反高市議員や国民からの反発が予想される。
(4)キングメーカーの変更
・岸田・菅 ⇒ 麻生
(5)考え方の変化
・リベラル ⇒ 保守
・財政緊縮 ⇒ 景気回復のため財政出動
・物価対策として、給付 ⇒ 減税、年収の壁の引上げ
・親・財務省寄り ⇒ 財務省と対立もあり
・中国・韓国と親和 ⇒ 日本の主張強める
6)非世襲議員・女性の自民党総裁・首相の誕生は画期的
・永らく自民党総裁と首相は、世襲議員のオンパレードであった。
・安倍、岸田、石破と世襲議員が、永らく日本の指揮を執っていた。この間、世襲でないのは、菅氏の1年間だけであった。
7)高市トレードで日経平均は大幅上昇も、持続性には慎重に
(1)自民党総裁選で、高市氏が選出されるとほとんどが予想していなかった。小泉氏の絶対的優位が雰囲気を支配していた。
(2)本日の東京株式市場で日経平均は、「サプライズの自民党総裁選」に反応して海外短期筋の強烈な買い進みが予想できる。
(3)海外短期筋が中心の先物主導の株価上昇は、逃げ足が速いため注意したい。
・最近の日経平均の株高は、海外短期筋の「一人舞台」であった。
(4)海外勢が高市氏主導の構造改革を期待して「現物」買いなら、持続的な株価上昇が見込める。
・それだけに、「高市トレードが、現物株買いに点火するか?」注目したい。
・高市氏の選出で、
・円安の進行(150円台もあり得る)
・高市氏の考えで、日銀は利上げに慎重となりやすい。日本・米国との金利差が広がると、円安・ドル高相場になる。
・株高
となる可能性が高い。
(5)個別銘柄で見ると、9/26近辺で高値を形成し、その後、下落途上の銘柄が多数ある。
・先物買いと相まって、少数の値がさ株の買いで日経平均が上昇している構造だけに注意深さも必要。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・5713 住友金属鉱山 業績絶好調
・7203 トヨタ 円安進行
・7701 島津製作所 やや減益
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