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相場展望1月27日号 米金融政策転換で、過剰マネー相場から縮小へ 市場リスクと向き合う段階に
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)1/24、NYダウ+99ドル高、34,364ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の正常化への警戒感や、ウクライナ情勢の緊迫の中、決算発表で警戒感のあるハイテク主導の売りが先行し、下げ幅が▲1,110ドル近辺まで達した。
・その後、最近の急落で目先の売り出尽くしたと買いが入り、急速に下げ渋り、引け間際には上昇し終値は+99ドル高に転じた。
・FRBは1/25~26開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、インフレ加速を抑えるための3月の利上げ示唆が濃厚となり、声明や議長会見に警戒感が高まっている。
【前回は】相場展望1月24日号 米国株、取引終了前に急落続く不思議を探る 米金融引き締めサプライズ材料はまだ有り
2)1/25、NYダウ▲66ドル安、34,297ドル(日経新聞より抜粋)
・FOMCの結果発表を1/26に控え、FRBによる金融引き締めの積極化を警戒した売りが優勢となったが、押し目買いが入って一時的に上昇に転じたが、続かなかった。
・FOMCでは3月の利上げ開始が強く示唆される見通しだ。市場ではその後の継続的な利上げや、年央に保有資産の圧縮開始を予想する声が増え、株式市場に流入する資金が先細りするとの警戒感が株安につながった。
・ウクライナ情勢の緊迫化も重荷になった。
・金利が上昇すると売られやすいハイテク株の下げが目立ち、アップルなどが下落。
・NYダウの値幅が1,045ドルと1,000ドルを超える不安定な値動きだった。
・VIX恐怖指数は節目20を超えた31.1で終え、投資家の先安懸念が続いている。
3)1/26、NYダウ▲129ドル安、34,168ドル(日経新聞より抜粋)
・好決算を発表したソフトウェアのマイクロソフトが大幅高となり、NYダウは午前に+500ドル強上げる場面があったが、午後はFOMCの結果が発表され、パウエルFRB議長の会見が始まると長期金利が上昇し、NYダウは急速に下落に転じた。
・FOMC声明では、「2%を優に超える物価と、力強い労働市場を踏まえ、政策金利の誘導目標の引上げが適切になると予想する」とし、次回3月の会合での利上げ開始を、示唆した。併せて、「FRBのバランスシートの規模縮小に関する方針」を公表し、利上げ開始後に資産圧縮を実施する方針を示した。
・14時半、パウエル議長の記者会見が始まると、売りが優勢となり、NYダウは下落に転じた。議長は、インフレ加速に加え、労働市場の強さを強調し、金融引き締めに前向きな姿勢をみせた。長期金利が一時1.85%(前日終値1.77%)に上昇し、高PER(株価収益率)銘柄の重荷になった。
・個別株では、航空機のボーイングが▲5%安、通信のベライゾンなどディフェンシブ株も安く、反面、アルファベットやエヌビディアが高かった。
●2.米国株は、金融政策転換で、過剰マネー相場から縮小へと市場リスク増大
1)経済指標が下回る。
・1月PMI総合・製造業・サービス業が下回る。
2)ロシアのウクライナ侵攻が逼迫し、株式市場の重荷になった。
3)米株式相場のリスク回避の姿勢強まる。
・米金融政策の積極的な正常化の警戒 ⇒ 米景気を冷やす懸念が浮上。
4)市場心理の不安定化が、NYダウの乱高下を招く。
・1/24 NYダウ一時▲1,100ドル安(終値は+99ドル高)
1/26 NYダウ一時+500ドル高(終値は▲129ドル安)
・一握りの銘柄に資金集中
流動性の高い、好業績の大型株に資金が集中
例:GAFAM
流動性の低い小型株は高業績でも売られる
高株価のハイテク銘柄は売られる
5)過剰マネー相場と金融政策縮小意識の攻防戦を経て、過剰マネー縮小へ傾き始める。
6)FOMC結果を受け、金融政策転換による市場リスクと向き合う展開へ。
●3.米1月製造業PMIは55、予想56.7・12月57.7を下回る(フィスコ)
1)1月サービス業PMIは50.9、12月57.7を下回る。
●4.米11月20都市住宅価格指数は前年比+18.29%、予想+18.2%・10月+18.41%(フィスコ)
●5.ゴールドマンS:「成長ショック」リスクは増大し、いずれ『株』を打撃(ブルームバーグより抜粋)
1)FOMCが今週の会合後に、3月の利上げを示唆すると見込まれるが、インフレ抑制に向け急激な金融政策引き締めは、いずれ経済活動に波及し、株式にも打撃をもたらす結果になりかねないと警鐘を鳴らした。
2)1/24の劇的な展開となった欧米市場を踏まえ『金利ショックが、成長ショックを引き起こすリスクがある』とリポートで指摘。『そのリスクは高まっている。インフレ圧力は1980年代以降、はるかに強いためだ』と記した。
3)他の参考記事
(1)ブラックロック・インベストメント・インスティチュート:
・「金融改革でインフレと成長の両方を安定させることはできない。どちらかを選ぶ必要がある」と指摘。
・「中央銀行は、最終的には物価上昇と共生していく」と論じた。
(2)HSBC:
・「上半期が進むにつれて、成長モメンタムが大幅に減速し、リスク資産にとって危険なことが次第に明確になるだろう」とコメントした。
●6.バイデン氏のFRB人事案に、議会上院の共和党トップが批判(ロイター)
1)米国を公平に代表する人選か疑問があると批判した。
・人選が1人を除いて、12地区連銀の内、リッチモンド連銀のみから選出している。
・経歴が学者ばかりで、多様性が著しく欠けている。
2)上院の与野党勢力が50:50と拮抗しており、指名手続きが難航する可能性を示唆。
●7.国際通貨基金(IMF)2022年の世界経済成長率予測を下方修正(フィスコ)
2021年10月時点⇒2022年1月時点
世界経済 4.9% 4.4%
米国 5.2 4.0 2兆ドル投資案見通し立たず、金融引き締め
中国 5.6 4.8 コロナ対応の厳しい行動統制、不動産不況
日本 3.2 3.3
ドイツ 4.6 3.8
ユーロ圏全体 4.3 3.9
ブラジル 1.5 0.3
アジア新興国 6.3 5.9
ロシア 2.9 2.8
英国 5.0 4.7
中南米 3.0 2.4 インフレ、金融引き締め、米国成長率引下げ
●8.シンガポール金融当局、輸入物価の上昇懸念のため、緊急に金融引き締めを決定(NHK)
1)2021年10月に続く追加金融引き締めとなる。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)1/24、上海総合+1高、3,524(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなった。
・中国人民銀行の緩和的スタンスが改めて材料視された。銀行貸出指標の最優遇貸出金利の引下げに続き、人民銀は1/21に貸出金利を引下げた。
・新型コロナ感染再拡大の警戒感が依然としてくすぶる中、株価の上値は重い。
・業種別では、ITハイテクと不動産の上げが目立ち、反面、銀行が冴えなかった。
2)1/25、上海総合▲91安、3,433(亜州リサーチ)
・米国の金融引き締めに対する警戒感が、投資家心理の重石となった。
・中国と欧州を結ぶ「一帯一路」ではウクライナを重要拠点として位置付けられる。ウクライナ情勢緊迫化で、国際長距離貨物列車「中欧班列」への影響が懸念された。
・北京冬季五輪の開催まで2週間を切る中、「ゼロコロナ」を掲げる中国では、移動制限が強化されている。
・業種別では、景気動向に敏感な石炭・石油・非鉄・セメントが売られ、反面、
春節関連の需要増期待で空運が上昇。
3)1/26、上海総合+22高、3,455(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済対策の期待感が強まる流れとなった。中国財政部の会見で、2022年も引き続き減税拡大と手数料削減を進めるとした。
・中国人民銀行による連日の資金供給も改めて材料視された。
・上海総合は前日の急落で5カ月ぶりの安値に落ち込み、値ごろ感に着目された。
・このところの安値について複数の政府系メディアは、「調整は買いの好機」と、平静を保つように呼び掛けているが、経済成長の鈍化が警戒され、上値は限定的。
・国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済の見通しを1/25に発表した。中国の2022年国内総生産(GDP)成長率は5.6%⇒4.8%に下方修正した。
・業種別では、風力など再生可能エネルギー発電設備関連は追い風が吹き、金融もしっかり。反面、医薬品は冴えず、空運も売られた。
●2.中国当局、シャドーバンキングの解体を表明、金融セクターのリスク回避(ロイターより抜粋)
1)中国銀行保険監督管理委員会は1/25、金融セクターでリスクの高い「シャドーバンキング(影の銀行)」を解体し、違法な金融活動を取り締まると発表した。声明で、「金融セクターにおける無秩序な資本の拡大を防ぐことが必要」として指摘。また、資産運用に関する新たな規則を実施するとした。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)1/24、日経平均+66円高、27,588円(日経新聞より抜粋)
・昨年来安値(27,013円)に近づく場面で、主力銘柄に値ごろ感から買いが入り、相場を押し上げた。
・米株先物が高く推移したことが、日本株に買い安心感につながった。
・海運・銀行と値嵩の半導体関連が上昇したが、ソフトバンクGなどが下落した。
2)1/25、日経平均▲457円安、27,131円(日経新聞より抜粋)
・米金融政策の早期正常化への警戒や、ウクライナ情報の緊迫化で、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まり大幅反落して、2021年8/20以来約5カ月ぶりの安値。
・米FOMCや決算発表を前に積極的な買いを入れるムードなく、幅広く売りが優勢。一時、心理的節目の27,000円を割って、26,890円まで下落する場面があった。
・日本国内の主要企業の決算発表を控え、市場では企業業績を懸念する声もある。業績の上振れ期待感は乏しく、個別株への押し目買いも限定的だった。
・楽天・川崎汽・商船三井・サイバーが下落、KDDI・日清製粉・キャノンが上昇。
3)1/26、日経平均▲120円安、27,011円(日経新聞より抜粋)
・2021年8/20に付けた直近安値を下回り、2020年12/28の26,854円以来、およそ1年1カ月ぶりの水準に下落した。
・FRBがFOMCの結果を日本時間1/27に発表する。米金融引き締めに積極的な姿勢が示されるとの警戒感が、日本株の売りを誘った。FOMCの結果発表を控え、様子見ムードが広がる中で、短期的な売買が主導した。
・ファナック・KDDI・東エレクが下落し、ソフトバンクG・スズキが上昇した。
●2.日本株は、反動高が期待される展開予想も、依然として売り圧力も強い
1)テクニカル指標のRSI(14日ベース)からの見方
・「売られ過ぎ」を示す20%台へ低下したことにより、反動高が意識される水準。
・FOMC後の米株反発に賭ける力が強まりそう。
2)ただ、売り圧力の存在を示す指標もあり、慎重な対応が望まれる。
3)外資系先物手口を見ると、Cスイスの買い残枚数が約25千枚と高水準を維持しているため、その動向にも眼が離せない状況になっていると認識。
●3.2021年のスーパー売上高は過去10年間で最高、百貨店はコロナ前に届かず(日経新聞)
1)スーパー : 売上13兆2,134億円、前年比+2.3%増、巣ごもり消費の恩恵
百貨店 : 売上 4兆4,182億円、前年+5.8%増、2019年比では▲21.5%減
●4.首都圏、新築マンション平均価格がバブル期を超え過去最高に(NHK)
●5.企業動向
1)ラック 野村総研と資本提携、第三者割当22億円(日経新聞)
2)東芝 大分の地震で半導体工場一部破損し操業停止(NHK)
3)ENEOS 需要減で和歌山製油所の機能停止(産経新聞)
4)パナソニック EV航続距離2割長くできる新電池を2023年生産(日経新聞)
1回の充電でガソリン車と遜色なくなる
5)日本重化学 水素吸蔵合金の量産成功(日刊産業新聞)
6)ソフトバンクG 傘下の半導体設計大手の英アームを買収予定の米エヌビディアに対する各国の独禁法承認が難航し、買収撤回の報道(時事通信)
ソフトバンクGは英アームの株式公開(IPO)の検討加速
●6.企業業績
1)三井海洋 2021年12月期純利益▲300億円赤字、前期▲130億円赤字(日経新聞)
2)ディスコ 10~12月期営業利益+233億円黒字と前年同期比+74.9%増
通期は833億円黒字、前期比+56.9%増で予想+830億円(Kabutan)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・9983 ファーストリテイリング 業績堅調。
・1332 日本水産 業績堅調。
・2607 不二製油 業績堅調。
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