相場展望11月29日 南アで新型コロナ変異種発生、リスク回避の売り 流動性の高い東京市場に世界から換金売りが集中

2021年11月29日 08:36

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/25、祝日「感謝祭」で休場

【前回は】相場展望11月25日 米国市場は『金利上昇・資産縮小』を視野に、バイデン大統領は『中間選挙でインフレ継続』? 日経平均は本日、反発を予想

 2)11/26、NYダウ▲905ドル安、34,899ドル(日経新聞より抜粋
  ・下げ幅、下落率ともに今年最大となった。
  ・南アフリカで新型コロナの新たな変異種が見つかり、世界経済の回復が遅れるとの見方が広がった。消費や航空関連株が下げを主導した。
  ・各国政府は変異コロナへの警戒感を強めており、英国やドイツが相次いで南アフリカなどからの渡航制限を表明した。
  ・投資家はリスク資産の圧縮を急いだ。NYダウの下げ幅は一時▲1,054ドルに達した。
  ・新たな変異株に感染拡大で行動制限が強まり、消費を冷やしかねないとの警戒感から、クレジットカードのアメックスが▲9%安、旅客数が減れば航空機の受注に響くとの見方がからボーイングも▲5%安と売られた。景気敏感株では建機のキャタピラー、金融のJPモルガンの下げも大きかった。旅行・レジャー・ホテル・空運株が売られた。
  ・米長期金利が一時1.47%と前日比▲0.16%低下。NY原油先物が▲13%安となり、シェールオイル企業など石油株も売られた。反面、「巣ごもり消費」の一角は買い優勢だった。ズーム、製薬のファイザー・モデルナは急伸した。ハイテク株の高いナスダックも反落し、テスラ・エヌビディアの下げも目立った。

●2.米国株は決算発表の好材料シーズンが終わり、弱含みの中『新型オミクロン株』が直撃

 1)新型コロナ『オミクロン株』で11/26、米国株含め世界株式を同時直撃し急落
  ・独DAX▲4.15%、仏CAC▲4.75%、伊FTSE▲4.60%、スペインIBEX▲4.96%、ロシア▲4.58%
  ・米:NYダウ▲2.53%、ナスダック▲2.23%、SP500▲2.27%、ラッセル▲3.67%、フィラデルフィア半導体株▲2.92% 特に、小型株指数のラッセル2000指数の下落幅が大きいのが、気掛かり。
  ・日本:日経平均▲2.53%、TOPIX▲2.01%、マザーズ▲0.85%、東証2部▲0.96%
 
 2)米国金利も急落:感染再拡大からの景気後退を読み始めたもよう。
   ・米国金利      11/24 ⇒ 11/26  (11/25は祝日のため休場)
     短期金利2年   0.640%  0.508% 
     長期金利10年   1.634%  1.482%

 3)VIX(恐怖)指数:11/26に高値警戒ラインとされる20を超えて、28.62に急伸
  ・11/24:18.58⇒11/26:28.62
  ・11/29以降の下落の可能性を警戒したい。

 4)2020年2~3月の新型コロナ「パンデミック」時の暴落状況
  ・NYダウ 2/12 29,551ドル⇒3/28 18,591ドル、下落幅▲10,960、下落率▲37.1%
  ・日経平均 2/12 23,861円 ⇒3/19 16,552円、 下落幅▲ 7,309、下落率▲30.6%

 5)米国株相場の先行き懸念材料に反応する『個人動向』に警戒
  ・米国市場の出来高の50%を占める個人の動向に注意を払う必要がある。最近、個人の株式指数と個別株のオプションの売買が活況になっている。その規模が現物株換算で300兆円と、現物株売買高の1.5倍に達しているようだ。
  ・個人は相場の変化に一方向に動く傾向が大きいため、株式市況の急落時に与える影響が大きいと思われる。
  ・今回の『新型オミクロン株』による株価下落に対する、個人の反応に警戒心を持って臨みたい。

 6)2021年には米国株式市場に約104兆円もの資金が流入しており、この資金の動向にも注目したい。

●3.米アトランタ連銀総裁、「債券購入停止は来年1~3月期後半~4~6月期前半の可能性」も(ブルームバーグ)

●4.米FRB、FOMCの11/2~3議事要旨(ロイターより抜粋

 1)早期利上げ準備も
  ・複数の発言:高インフレが続いた場合、政策金利を「早く引上げる準備をするべき」事実上のゼロ金利政策の解除を前倒しする可能性に言及した。早期利上げの言及で、約4年10カ月ぶりに1ドル=115.52円を付けた。

 2)債券買い入れの縮小ペースを加速
  ・政策当局者に、速めることを支持する意見が多かった。

 3)次回12/14~15FOMCで、テーパリングのペース加速を確実に俎上に載せることを示唆。

 4)投資家は現在、FRBの貸出金利が2022年5月に上昇する確率を53%と見ており、11/23の45%から上昇した。

●5.米11月消費者物価(CPI)は前月比+0.2%上昇も、家賃上昇が全体を押し上げ(ロイター)

 1)家賃の値上がりを背景に物価上昇基調は続いており、2022年の連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げを後押しする可能性がある。

 2)ムーディーズのライアン・スウイート氏は、「一段のインフレ上昇に向けたすべての条件は整いつつある。次の利上げは3月に実施する、と予想する」と語った。

●6.記録破りの1年、株式ファンドへの資金流入が約104兆円と、過去19年間の総額上回る(ブルームバーグより抜粋

 1)2021年、株式ファンドに流れ込んだ資金は9,000億ドル(約104兆円)になるとバンク・オブ・アメリカの調査でリポートされた。

 2)低金利のチープマネーに加え、景気が新型コロナ禍から大きく回復しつつあるのが重なり、止めようのない株価上昇の環境が整った。他に良い投資の選択肢がないところに、株価上昇を後押した格好になった。

 3)米国株はこうした株価上昇でバリュエーションが記録的な水準になり、ウォール街では強気のアナリストまでもが「2022年について弱気に転じる動き」が見られる。

 4)投資家としては、根強いインフレに対応する中央銀行の利上げがどの程度速いレベルになるのか、それによって経済成長がどの程度抑制されるのかという点が、引き続き検討課題になりそうだ。

●7.WHO(世界保健機関)南アの変異株『懸念すべき』に、名称は『オミクロン株』(毎日新聞より抜粋

 1)懸念すべき変異種の指定は今回で5件目、再感染拡大の可能性を指摘。これまでに、英国の「アルファ株」、南アフリカの「ベータ株」、ブラジルの「ガンマ株」、「C.1.2株」があった。

 2)南アフリカで新たな変異種を確認、既存ワクチンが効きにくい恐れ。香港の感染者は南アから、イスラエルの感染者はアフリカ南東部のマラウイからの渡航者で、いずれもワクチン接種済だった。特に、WHO報告から4日間で、欧州は急拡大。発見国は、英国・オランダ・ドイツ・ベルギー・チェコ・イタリア・イスラエル・イスラエル・香港・オーストラリア。

 3)英国などは、南アフリカなど6カ国からの航空機の乗入れを11/26から一時入国禁止。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/25、上海総合▲8安、3,584(亜州リサーチより抜粋
  ・米中対立に警戒感がくすぶる流れとなり、5日ぶりに反落した。
  ・米商務省は11/24、複数の中国企業を「輸出を規制する外国企業リスト」に追加した。また、上海総合指数は前日までの上昇で約1ヶ月ぶりの高水準を回復していただけに、売り圧力も意識された。もっとも、大きく売り込む動きは見られない。
  ・景気回復の腰折れを回避するため、中国当局による景気テコ入れスタンスの強化が投資家心理を支えた。
  ・業種別では、石炭・石油が安く、消費セクターも冴えず、金融・素材が売られた。反面、医薬品は高く、公益・軍事関連が買われた。

 2)11/26、上海総合▲20安、3,564(亜州リサーチより抜粋
  ・中国国内の新規材料が乏しい中、外部環境の不透明感が売り材料視される。
  ・中国当局の監督規制強化や、米中対立の悪化も引き続き懸念された。配車サービスの滴滴出行に対し、中国当局が米国での上場を廃止するように求めているとの観測も浮上。テクノロジー企業に対する締め付け懸念が再燃した。
  ・欧州では新型コロナ感染再拡大に歯止めが掛からず、複数の国が行動規制を強化している。また、南アフリカ当局は11/25、新たなコロナ変異種を確認したと発表した。感染力が高いと見られ、専門家からは世界に広がる可能性も指摘されている。香港などでも確認されており、世界経済回復の足かせになると不安視された。
  ・業種別では、石炭が安く、ホテル・観光セクターも冴えず、紡織機・船舶製造・交通運輸なども売られた。反面、環境保護・鉄鋼は高く、エレクトロニクス・セラミック関連も買われた。

●2.中国、滴滴出行に米国上場廃止の要請、締め付け懸念再燃の恐れ(時事通信より抜粋

 1)米ブルームバーグ通信は11/26、中国規制当局が配車サービス大手の滴滴出行に対し、米株式市場での上場廃止を要請した、と伝えた。重要データの流出リスクが理由という。中国政府によるIT大手への締め付け懸念が再び高まる可能性がある。

 2)滴滴出行は6月、ニューヨーク証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施した。ただ、中国当局はデータ保護対策が不十分だとして、延期を求めていたとされる。滴滴出行は上場後の7月、中国当局の立ち入り調査を受けており、厳しい処分が予想される。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/25、日経平均+196円高、29,499円(日経新聞より抜粋
  ・前日に▲471円下落したため、下げが目立った成長株などの主力銘柄に自律反発ねらいの買いが入った。好材料が出た銘柄も物色された。
  ・もっとも、買い一巡後は、米国市場が11/25に休場のため、様子見の雰囲気も漂い膠着感が強まったが、11/24の下落分を埋める買い材料も乏しかった。
  ・旭化成と塩野義も上昇が目立ち、ファナック、信越化、ファストリも高かった。一方、ANAが大幅安、リクルート、スズキ、Z、IHIが下落した。

 2)11/26、日経平均▲747円安、28,751円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は今年4番目の大幅な下げ幅となり、心理的節目の29,000円を下回り、約1カ月ぶりの安値で終えた。
  ・東証株価指数(TOPIX)の全33業種が下落した。
  ・南アフリカで新型コロナの変異種が検出されたと伝わり、経済の正常化が遅れるとの懸念から、投資家がリスク回避に動いた。
  ・11/25の米株式市場が祝日「感謝祭」の休場で、11/26も時短取引となることから比較的流動性の高い東京市場にリスク回避の売りが集まったとの見方も聞かれた。
  ・市場では「南ア発の変異ウイルスはこれまでに比べて異質で感染力が強い」とも伝わる。もし、現状のワクチンや治療薬が効かないとの続報が出た場合は、週明け以降の相場がもう一段下げる可能性があり、持ち高調整の売りの他、損失覚悟で売りを出している投資家もいるようだ、との指摘もあった。
  ・ANAが大幅安、三越伊勢丹も売られ、ソフトバンクGの下げも目立った。一方、シチズンが高く、神戸物産が買われた。

●2.日本株は『オミクロン株』に身構える必要がある

 1)日経VI(恐怖指数)11/26、22.33と、警戒ラインの20を超えたため、警戒したい。

 2)東京市場は、世界市場の中でも換金性が高く、資金移動の規制も緩いため、高リスク時には、売って資金化しやすいという特性がある。その特性から、下落時には日経平均は大きく影響を受けやすい。

 3)その日経平均の最近の状況は弱含みで推移しているため、地合いが悪く警戒が必要。
  ・TOPIXは、25日移動平均線割れで11/26に引けており、下押しリスクへの注意が必要となっている。
  ・国内大手の買いで、日経平均は反発をしてきたが、上値は重い展開となっている。
  ・東証1部では100銘柄以上が年初来安値を更新中という多さに、留意したい。

●3.国立感染症研究所は11/27までに、コロナ新変種株の国内監視を2番目の警戒度に強化

 1)南アフリカで確認された変異株「オミクロン株」を、国内では2番目に警戒度の高い「注目すべき変異株」に指定した。(共同通信)

 2)日本国内での確認事例はまだないという。

●4.企業動向

 1)東芝   大株主のシンガポールの資産運用会社は「3分割を支持せず」(時事通信)
        長年の課題を解決できなかった東芝が『小さな東芝を3つ生み出す』と。
 2)ENEOS  英資源開発事業を売却、株式譲渡実行日は来年3月予定  (時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1942 関電工    業績堅調。
 ・4612 日本ペイント 業績堅調。
 ・5802 住友電工   業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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