相場展望4月22日 初夏、米国発のテーパリングと金融市場の混乱に警戒

2021年4月22日 08:28

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/19、NYダウ▲123ドル安、34,077ドル
  ・連日、過去最高値を更新していただけに、上昇が目立った景気敏感株を中心に利益確定売りが出た。
  ・暗号資産(仮想通貨)のビットコインが先週末に急落し、投資家心理を冷やした。
  ・自動車事故で死亡者を出したテスラが下落した。
  ・長期金利が1.6%台に上昇したことで、ハイテク株も売りに押された。

【前回は】相場展望4月19日 夏以降の米金融政策転換で『パウエル・ショック』起こるか? ⇒ 株式市場には逆風

 2)4/20、NYダウ▲256ドル安、33,821ドル(日経新聞)
  ・世界のコロナ感染拡大で、景気敏感株で海外事業比率が高い銘柄に売りが広がった。
  ・長期金利低下で、利ザヤが縮小する金融株も売られた。
  ・空運やクルーズ船株にも売りが波及し、旅行・レジャー関連株は総崩れだった。

 3)4/21、NYダウ+316ドル高、34,137ドル(日経新聞)
  ・新型コロナのワクチン接種普及への期待で、IBMなど好決算を発表した銘柄への買いが強まり、NYダウは取引終了にかけて上げ幅を広げた。

●2.米国発のテーパリング(段階的金融緩和策の縮小)と金融市場の癇癪(かんしゃく)に警戒

 1)4/19~20の株式市場は、米景気回復と企業業績の期待で株価が上昇し高水準にあったため利益確定売りが出やすかった。

 2)米疾病対策センター(CDC)によると、4/20夜時点で米国のワクチン接種回数が2億回を超え、バイデン大統領が目標とする大統領就任100日後の4月末までの接種回数を前倒しして達成した。(日経新聞)

 3)夏に向けて、さらにワクチン接種が進展し、新型コロナ感染が沈静化に向かう見込み。

 4)バイデン政権の超大型経済対策実施により、
  (1)景気回復にアクセルが強く踏まれる。
  (2)税収を上回るインフラ投資等のための、国債の増発が長期金利を上昇させる。

 5)長期金利に影響を与える要因は、下記の3要素である。
  (1)期待インフレ率
  (2)財政環境
  (3)連邦準備制度理事会(FRB)による資産買入政策

  (1)は、景気回復が進展すると、期待インフレ率の上昇は抑え込められない。
  (2)は、超大型財政政策の実施で、国債の大増発は避けられない。
  (3)は、月1,200億ドルの資産購入による資金供給を実施済みである。

 6)景気回復が顕著に見込めることから、(1)の期待インフレ率が急上昇する可能性が高まる。インフレ抑制のためにFRBができる対策は、(3)の資産購入を止めて、テーパリング(段階的金融緩和の縮小)しか手段はなくなると思われる。FRBにとって、優先事項はインフレ抑制であり、長期金利上昇には別途対策を練ると思われる。

 7)初夏にも、テーパータントラム(量的金融緩和の縮小に対する、金融市場の混乱)が起る可能性もあり、警戒したほうが良さそうだ。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/19、上海総合指数+50高、3,477(亜州リサーチ)
  ・中国経済の回復への期待感が広がり、来月のメーデー連休(5/1~5)を控えた消費増の思惑も重なり続伸した。
  ・業種別では、消費関連の銘柄の上げが目立った。

 2)4/20、上海総合指数▲4安、3,472(亜州リサーチ)
  ・中国景気の先行き楽観で買われる場面がみられたが、米中対立の警戒感が漂い、投資家の慎重スタンスが強まり、指数はマイナスに転じた。

 3)4/21、上海総合指数±0安、3,472(亜州リサーチ)
  ・気候変動サミットで米中首脳が出席すると発表され、環境分野での協調が図れると歓迎された。
  ・原油や金属の市況安を嫌気し、エネルギー株、非鉄株が売られた。

■II.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/19、日経平均+2円高、29,865円
  ・新型コロナ変異種の感染再拡大による第4波に対して、緊急事態宣言を大阪府は政府に申請、東京都も検討と、経済活動が一段と抑制されるとの見方が相場を重くした。
  ・日米首脳会談で、45億ドルを共同投資するとされた半導体関連株が買われた。

 2)4/20、日経平均▲584円安、29,100円
  ・緊急事態宣言が再び発令で景気下押し懸念が高まるとして、日経平均は一時▲660円超下落した。
  ・東証1部の値下がり銘柄数は1,899と全体の87%を占めた。

 3)4/21、日経平均▲591円安、28,508円(ロイター)
  ・米国株安や新型コロナ感染再拡大への警戒から地合いが悪化し、節目の29,000円を割り込んだ。
  ・東証33業種では、空運以外の32業種が値下がりし、景気敏感株を中心に全面安。
  ・これまで下値支持線として機能していた75日移動平均線(29,118円)を下回り、上昇トレンドの終焉として意識される流れとなった。   

●2.日経平均は2日間で▲1,177円下落の要因、今日4/22は反発を予想

 1)下落要因
  (1) テーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)懸念に巻き込まれた
  (2)米国株安
  (3)新規コロナ感染「第4波」深刻化懸念で、経済回復が一段と後退する可能性
  (4)日米首脳会談の共同声明で「台湾」「人権」が記載されたこと等で、中国による対日報復で日本経済への影響懸念
  (5)円高
   ・輸出企業の収益悪化
  (6)日本株の勢いが軟調
   ・出来高減少で閑散、買いエネルギーは見受けられない
   ・安川電機株価の反応(好業績も、予想を下回るとして下落)が市場状況を表す

 2)本日4/22は、NYダウの上昇に連動と、大幅下げの反発を予想

●3.5G・6G開発に日米で45億ドル(約4,900億円)投資、半導体供給網も強化(時事通信)

 1)日米首脳会談で4/16、経済安全保障を巡る中国脅威に対抗するため、共同文書を記した。高速大容量規格「5G」と次世代規格「6G」の最先端通信技術開発で、米国が25億ドル・日本が20億ドル(約2,180億円)を投資することで合意した。

●4.政府、ワクチン2500万人分追加し、1億2,200万人分の確保に目途(共同通信)

 1)米ファイザー 7,200万人+追加合意2,500万人、米モデルナ 2,500万人。
 2)日本人口は、日本人口1億2,320万人(2020年11月国勢調査)(総務省統計局)

●5.政府、3度目の緊急事態宣言発令方針へ、東京・大阪・兵庫・京都の4都府県に(産経新聞)

 1)期間は4/26~5/9までの2週間を軸に調整中。
 2)愛媛県は蔓延防止等重点措置の適用を要請した。

●6.日銀のETF購入見送りは異例

 1)日銀は4/20、前引けにTOPIXが▲1.25%安にもかかわらず、ETF購入見送りは異例。
 2)4/21は、日銀のスタンス変更に対する市場の探る売りが入り下落する。
 3)日銀は4/21にETF購入701億円実施し、市場不安が薄らぎ、4/22は反発を予想。

●7.新型コロナ対応の融資は金融機関の信用コストになる恐れ、と日銀が指摘(朝日新聞)

●8.日本の貿易収支2020年は+1.3兆円の黒字3年ぶり(NHK)

●9.日本政府は、安全保障の観点から楽天を調査へ(NHK)

 1)中国テンセント子会社は先月、楽天に株式の3.65%に当たる650億円余りを出資した。
 2)外国為替法では、外国人投資家が国の安全保障にとって重要な企業の株式を1%以上取得する場合、政府に届けるよう義務付けている。

●10.企業動向

 1)ルネサス     半導体工場火災復旧し、4月50%、5月に100%稼働へ(共同通信)
 2)トヨタ      新EV発表(乗りものニュース)
 3)三井住友FG、電通 広告新会社設立へ(読売新聞)
 4)日本郵政     豪物流事業の一部を7億円で売却、特損▲674億円計上(NHK)
 5)東芝       英CVCは誤算続きで急転直下の買収撤回(時事通信)

●11.企業業績

 1)ソフトバンクG  21年3月期最終利益+4兆円後半、国内企業で過去最高(読売新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6506 安川電機    FA関連。業績好調で反発期待。
 ・6289 技研製     杭圧入機で世界に拡大。
 ・7747 朝日インテック 循環器治療ガイドワイヤ。米国の販売増期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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