太陽光関連業者の倒産件数、2020年度は79件 高止まり続く 帝国データバンク調査

2021年4月15日 07:24

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 帝国データバンクが2020年度の太陽光関連業者の倒産動向を発表し、2016年度以降、倒産件数の高止まりが続いていることが分かった。

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■倒産件数は高止まり続く

 14日、帝国データバンクが「太陽光関連業者の倒産動向調査(2020年度)」を発表した。2020年度(20年4月~21年3月)における太陽光関連業者の倒産件数は79件で、前年度の81件から2.5%減少した。

 2006年度以降の推移を振り返ると、06年度の3件からほぼ右肩上がりの状況で09年度には10件と2桁件数になった。翌10年度には9件と1桁に減ったものの11年度以降(14件)は再び2桁の倒産件数が続いている。

 最も倒産件数が多かったのは18年度の96件。そこから19年度(81件)、20年度(79件)と2年連続で倒産件数は減少しているものの、16年度(78件)から5年連続で70件を超えていることから、倒産件数が高止まりしていると見ることもできる。また20年度の負債総額は486億5,000万円で、19年度の237億1,900万円から倍増した。こちらは06年度以降で最も多い負債総額になっている。

■負債額100億円超の大型倒産が2件

 倒産の形態で最も多いのは「破産」で79件中71件。構成比は89.9%と約9割を占め、ついで「民事再生法」が5件(構成比:6.3%)、特別清算が3件(同3.8%)となっている。

 負債総額別で見ると、1,000万円以上5,000万円未満が31件で最も多い。5,000万円以上1億円未満が10件、1億円以上5億円未満が25件、5億円以上10億円未満が6件、10億円以上50億円未満が5件、100億円以上が2件となっている。100億円以上の大型倒産2件はJCサービス(負債総額153億4,200万円、会社更生法)とF-Power(同464億8,500万円、民事再生法)で、どちらも21年3月に発生している。

■倒産は中小規模業者が多数を占める

 業歴別で最も倒産が多かった層は5年以上10年未満の20件。以下は10年以上15年未満が14件、15年以上20年未満が10件などとなっている。

 資本金別では100万円以上1,000万円未満が最も多く37件。以下は1,000万円以上5,000万円未満が31件、5,000万円以上1億円未満が4件など。また従業員数別では10人未満が63件、10人以上50人未満が14件、50人以上100人未満が2件で、100人以上の従業員が所属する太陽光関連企業の倒産は08年度の1件のみで、それ以降は発生していない。

 業界では、固定価格買取制度の全量買取制度が余剰電力買取制度へ移行したことで、小規模メガソーラーのビジネスモデルが成立しにくくなっている。買取価格の低下により、市場の縮小傾向が続いていることと合わせて、2022年から開始予定のFIP(発電事業者が自ら電力市場で電気を売り、市場価格にある程度連動した補助金を受け取る制度)により、太陽光関連業者の淘汰が一段と加速する可能性もある。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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