相場展望4月8日号 4月は上昇する『特異月』だが、今年は『潮目に変化』?

2021年4月8日 07:55

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/5、NYダウ+373ドル高、33,527ドル
  ・NYダウとSP500は、史上最高値更新。
  ・雇用者数が市場予想を超えて大幅増となり、消費関連など景気敏感株が買われた。
  ・米長期金利は小幅低下となったことを好感し、ハイテク株も買われた。
 2)4/6、NYダウ▲96ドル安、33,430ドル
  ・前日に過去最高値を更新したため、急騰した銘柄にいったん利益確定売りが出た。
  ・米政権による支援策で上昇した半導体株も安かった。

【前回は】相場展望4月5日 日銀の購入変更で売られた値嵩株の戻り高は本物か 日経平均、外資系は売り基調のなか、国内勢で上昇

 3)4/7、NYダウ+16ドル高、33,446ドル(日経新聞から抜粋
  ・米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、米経済の正常化が進み、金融緩和が続くとの見方が広がった。
  ・新型コロナワクチンの接種普及を受けた米経済再開への期待が高まった。
  ・このところ上昇が目立っていた銘柄への利益確定売りで下げる場面もあった。

●2.米国株の市場最高値更新を予想

 1)高値更新の理由
  (1)米政権による、昨年12月以降「8年で7兆ドル(約770兆円)」のマネーばら撒き
  (2)ワクチン接種加速によるコロナ禍の解消の動き
  (3)FRBによる金融緩和政策の継続
  (4)経済指標の改善

 2)金融相場と業績相場がかみ合って、最高値更新が続く可能性が高い。

●3.米3月ISM非製造業景況指数は63.7と、予想59、2月55.3を上回った(フィスコ)

●4.米3月サービス業PMIは60.4と、予想60.2を上回った(フィスコ)

●5.イエレン米財務長官、世界的「法人税の最低税率競争」を止める呼びかけ(ブルームバーグ)

 1)法人税率引き下げで、各国が企業を引き付けようと競う、世界的な「法人税引き下げ競争」を止めるよう訴えた。

 2)1.9兆ドル経済対策は、「低金利が続くので、インフレ圧力を引きおこさない」と述べた。「米国は依然として900万人の雇用を失っているが、経済対策が成功すれば、来年には完全雇用に戻れると期待している」と語った。

 3)世界主要国で、「法人税率の最低ラインを取り決める」ように働きかけると述べた(NHK)

●6.マンチン米民主党上院議員は法人税率25%に修正しなければ不支持と表明(ブルームバーグより抜粋

 1)バイデン政権は財源確保のため法人税率を現行21%⇒28%に引き上げる提案をしている。

 2)バイデン政権の2.25兆ドル(約248兆円)のインフラ投資計画に対して、共和党が反対のため、マルチン氏を含む全ての民主党議員の賛成を得る必要がある。

●7.米投資会社アルケゴス破綻関連

 1)クレディ・スイスは、アルケゴス関連銘柄の処分を開始。(ブルームバーグ)損失額は5,200億円程度に達する可能性があると、関係者の話。

 2)米投資運用会社グッゲンハイムのマイナード会長は、
  ・「似たような破綻をきたす別の会社が現れるのは時間の問題にすぎない」との認識を示した。
   ・アルケゴスで生じたような多額の損失が「ネズミ算的に増え続ける」と分析した。
   ・特別目的会社(SPAC)も予想通りの業績が達成できない場合、規制監督当局の調査対象分野になり得ると指摘した。(ブルームバーグより抜粋

●8.空売り投資家ブロック氏は、特別買収目的会社(SPAC)を激しく批判(ブルームバーグより抜粋

 1)「怪しげなものが非常に多く存在しており、市場はいまや詐欺の時代だ」と発言、一部の個人投資家が「略奪行為の餌食になる」との見通しを示した。

 2)ブロック氏は、SPACを対象に「空売り」投資を増やしていると述べた。年初来、XLフリートが▲70%、マルチプランが▲25%値下がりしている。

●9.国際通貨基金(IMF)は2021年世界成長率を+6.0%に、前回から+0.5%上方修正(朝日新聞)

 1)上方修正の主因は、米国は財政支出の拡大で、+5.1% ⇒ +6.1%成長に変更したこと。

●10.米2月貿易収支は▲711億ドルの過去最大赤字、予想▲705・1月▲678億ドル(フィスコ)

 1)2月は大寒波の影響で、輸出が大幅減少したことが響いた。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/5、祝日「清明節」で休場

 2)4/6、上海総合指数▲1安、3,482
  ・中国発の新規材料が乏しい中、米中対立の懸念も引き続きくすぶる状況で、買いが手控えられた。
  ・業種別では、セラミック・造船株はしっかり、下げが目立ったものはホテル観光・醸造・医療器械など。

 3)4/7、上海総合指数▲3安、3,479
  ・中国人民銀行(中央銀行)による金融引き締め懸念がくすぶる流れだった。金融セクターが下げを主導した。
  ・もっとも、大きく売り込む動きは見られない

●2.中国・3月財新総合PMIは53.1と、2月実績51.7を上回った(フィスコ)

●3.IMFは、中国の2021年成長率を8.1⇒8.4%に上方修正した(亜州リサーチ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/5、日経平均+235円高、30,089円
  ・米インフラ投資と米雇用者数が大幅に伸びたのを受け、投資家心理が強気になり、先物が牽引し、一時+300円超と幅広く買われた。
  ・中国株式市場が休場だったこともあり、出来高が少なく、膠着感の強い展開となり、上げ幅を縮小した。

 2)4/6、日経平均▲392円安、29,696円
  ・NYダウの高値更新を受けて、株高で始まったが、3営業日で+900円超上昇していたこともあり、NYダウ先物が下落に転じたのをきっかけに、高値警戒感から利益確定売りが優勢となった。
  ・円高・ドル安が進行したのも重荷となった。

 3)4/7、日経平均+34円高、29,730円
  ・企業業績の改善予想から買いが優勢だったが、新型コロナ感染収束が見通せず、買い控えの動きがあった。

●2.日経平均は、例年4月『上昇する特異月』なのに、今年は『潮目の変化』が感じられる

 1)過去20年で、4月で上昇したのは19回。海外年金等の資金流入による外資系の買いで、日経平均は上昇するという特異月である。また、米国・欧州・中国の景気が良ければ、海外マネーの買いで景気敏感な日本株は上昇してきた。

 2)米国・中国・台湾の「半導体生産拡大」に関連する日本企業は円安効果もあり大幅増益が見込まれるが、一部の企業に限られる。

 3)3月末までは国内勢による年度末の買い需要があり、外資系の先物売りを吸収してきた。4月に入っても外資系の売り越し基調に変化がないことから、潮目の変化が感じられる。

 4)ただし、4/7外資系は+7,630枚と大幅買越したが、ソシエテで+6,088枚と偏りがあり、外資系の多くが買越しに転換と判断するには時期尚早。また、4/7はソシエテの一手買いに対して、野村が▲5,025枚と売り向かったイメージ。

 5)日経平均は米国株次第となるが、先物市場での外資系短期筋の買い意欲が全体的に弱く、3月決算発表が行われる4月下旬以降に買いが盛り上がり株価上昇期待したいところ。

 6)注意したいのは、
  ・2021年3月までに「景気回復が期待できる」との思惑から、すでに株価が大幅に反発している点である。特に、コロナ禍で痛めつけられた業種に、すでに株価上昇が目立っている。また、業績が悪いのに株価が上昇している銘柄も目に付く。
  ・2022年3月期の業績見通しで、企業経営者が慎重なスタンスで発表しがちである。
  ・株価はすでに、業績回復を先回りして上昇しているだけに、『決算発表に失望』となるケースの可能性がある。その場合、『4月株価上昇』期待外れで、株式相場が軟調に推移することがあり得る。

 7)半導体関連株などビジネスモデルがしっかりして、好業績が期待できる銘柄に投資した方が良いと思われる。

●3.消費支出2月は、前年同月比▲6.6%下回り、3カ月連続で減少(NHK)

 1)2度目の緊急時相宣言で、旅行や外食の消費が落ち込んだことが要因。

●4.厚労省「毎月勤労統計調査」によると、2月給与総額は11カ月連続でマイナス(NHK)

●5.企業動向

 1)武田     新型コロナ治療薬が治験目標に達せず(日経新聞)
 2)日立     米グローバルロジック社を約1兆円で買収(財経新聞)
 3)ニコン    米衛星部品会社を買収、3D加工技術を活用(共同通信)
         インターネット接続に使われる中小衛星は市場拡大が見込まれる
 4)JR東日本   鉄道収入はコロナ前と比べ▲49%減、2021年度は黒字道筋(共同通信)
 5)ヤマト   2020年度の宅配便最多の21億個。コロナ巣ごもり需要(時事通信)
 6)東芝    英投資ファンドのCVCキャピタルが2兆円超で4/6買収提案(時事通信)
        「株式非公開」し、企業統治体制を見直し、経営判断のスピードを高める
         東芝は4/7、買収提案の条件見極めを慎重に検討へ(NHK)
         CVCの買取り提示価格は1株当たり5,000円(NHK)
         東芝・車谷社長は、CVC日本法人代表会長から現職へ(ウィキペディア)
 7)高島屋   前期最終利益▲340億円の赤字。従来予想から+25億円改善(日経新聞)
 8)日本郵船  2021年3月期経常利益2,000億円と前期比4.5倍(日経新聞) 

●6.企業業績

 1)商船三井   2021年3月期経常利益が前期比+2.2倍の1,200億円に(日経新聞)
 2)ビックカメラ 2021年8月期決算の営業利益+150⇒+177億円と上方修正(フィスコ)
 3)神戸製鋼   2021年3月期最終損益+70億円の黒字、復配を発表 (日経新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6323 ローツェ    半導体検査装置。業績好調続く。
 ・6289 技研製     杭圧入機。世界販売拡大で業績好調。
 ・4109 ステラケミファ 電子部品用フッ素高純度薬品。好業績。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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