相場展望5月14日号 米国株: 決算発表シーズン後の次のテーマは、「インフレ加速」か? 日本株: イラン情勢の長期化⇒原油価格高騰は日本・世界経済を直撃 株価はそれを織り込んでいない

2026年5月14日 17:01

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/11、NYダウ+95ドル高、49,704ドル
 2)5/12、NYダウ+56ドル高、49,760ドル
 3)5/13、NYダウ▲67ドル安、49,693ドル

【前回は】相場展望5月11日号 米国株: トランプ共和党の負増加、イラン停戦交渉・海峡封鎖は長期化 日本株: 5/7は+3,320円と大幅高、海外短期筋の利益確定売りに注意

●2.米国株: 決算発表後の次のテーマは、「インフレ加速」か?

 1)決算発表後の次のテーマは、「インフレ加速」か?
  ・インフレ加速の要因・・イラン情勢の不透明感が増す
    原油高    
    消費者物価指数の加速
  ・インフレ加速の懸念高まる
                 前年同月比
    4月米国・消費者物価指数  +3.8%高 ・・ 3/11は+2.4%高だった。
    4月米国・卸売物価指数   +6.0%高
  ・米国連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑圧のため年内に利上げに動くとの可能性が増す。
    ・米国上院がFRB議長にウォーシュ氏を承認した。
     トランプ氏が利下げを期待して提案した人物であるだけに、金利の判断に注目が集まる。

 2)5/12、米国株はディフェンシブ株買い&ハイテク株下落が目立つ
  ・主要株価指数     5/12     5/13
    NYダウ      +0.11%高  ▲0.14%安
    ナスダック総合  ▲0.71%安  +1.20%高
    S&P500      ▲0.16    +1.04
    半導体株(SOX)  ▲3.01    +2.57
    NYSE FANG+   ▲0.70    +1.38
  ・5/12、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下落率▲3.01%下落が目立つ。なお、翌5/13でSOXは持ち直したが、前日の下落を埋めきれず。

 3)決算発表シーズン終了後の株価動向に注目
  (1)米国株は決算発表で企業業績が約3割増益との好調を受け、上昇した。

  (2)しかし、イラン情勢で原油価格が急伸し、物価を直撃している。米国のガソリン価格は平均で4.5ドルを超えた。

  (3)イラン情勢の長期化は必至とみる。トランプ政権にイラン戦闘終結の決め手がない、ことが明確になった。イランは、トランプ政権との戦闘終結に向け、リーダーシップを握った。トランプ氏はこの現実を認めず、優位の演出にこだわるだろう。つまり、中間選挙をトランプ共和党が優勢に導くために始めたイラン攻撃であったと認識しているだけに、長期化は避けられないとみる。

  (4)好調な決算発表シーズンが間もなく終了するが、次のテーマは「インフレ懸念」の高まりと、終息方法になると思われる。
   ・現状の米国株式市場は
     ・好調な決算発表シーズン
     ・人工知能(AI)・半導体関連株の牽引力
     ・根拠のない金利引き下げ期待で成り立っているとみる。
   ・そして、株式市場が極小化している問題点は
     ・イラン情勢の長期化
     ・インフレの加速
     ・金利上昇
     である。

  (5)決算発表シーズンが間もなく終わると、次の現実問題に直面することになる
   ・米国株式は高値水準にあることを、認識したい。

●3.米国民の77%が、トランプ氏の政策で生活費が上がった、CNN世論調査(CNN)

 1)経済運営に対する支持率は30%と、トランプ氏在任中で過去最低となった。
 2)不満の矛先は、共和党に向かわさせている。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/11、上海総合+45高、4,225
 2)5/12、上海総合▲10安、4,214
 3)5/13、上海総合+28高、4,242

●2.中国4月、国内の新車販売台数▲21.6%減、ガソリン車の販売が大幅落ち込み(TBS)

 1)4月の中国国内の新車販売台数は162.5万台と、前年同月比▲21.6%減となった。
 2)ガソリン車が前年同月比▲32.2%減と落ち込んだことが背景にある。
 3)一方、輸出は90.1万台と前年同月比+74.4%増え、自動車産業を下支えした。

●3.エヌビディアのCEO、トランプ氏の訪中国に同行せず=関係筋(ロイター)

 1)関係筋によると、ファンCEOは、トランプ大統領に同行する米国企業大手首脳の代表団に招待されなかった。ホワイトハウスが今回の訪中国で、農業や民間航空機の受注などに重点を置いていることが背景にあるという。

●4.中国の1~3月婚姻届け▲6.2%減、2017年の半分で少子化が深刻(ロイター)

 1)中国民政省が5/9発表した1~3月期の婚姻届件数は、前年同期比▲6.2%減の169.7万件と、2017年の水準の約半分にとどまった。
 2)今回の結果は、少子化問題が一段と深刻化していることを示した形だ。
 3)中国の人口は2025年に4年連続で減少し、出生率は過去最低に落ち込んだ。人口学者からは、一段の減少を警告する声が上がっている。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/11、日経平均▲295円安、62,417円
 2)5/12、日経平均+324円高、62,742円
 3)5/13、日経平均+529円高、63,272円

●2.日本株: イラン情勢の長期化⇒原油価格高騰の長期化は日本・世界経済を直撃する

 1)日経平均寄与上位
  (1)5/11、日経平均▲295円安、寄与上位5銘柄▲650円安、占有率220.33%
     寄与上位      寄与額     下落率
     ソフトバンクG   ▲312円安    ▲6.33%安
     アドバンテスト   ▲267      ▲3.70
     東京エレクトロン  ▲37      ▲0.71
     任天堂       ▲22      ▲8.44
     リクルート     ▲12      ▲1.56
      合計       ▲650

   ・ソフトバンクGとアドバンテストの2銘柄だけで日経平均を▲579円押し下げた。

  (2)5/12、日経平均+324円高、寄与上位5銘柄+471円高、占有率145.37%
     寄与上位      寄与額     上昇率
     ソフトバンクG   +196円高    +4.25%高
     フジクラ     +159      +11.59
     イビデン      +60      +5.72
     ファナック     +31      +2.46
     三菱商事      +25      +4.72
      合計       +471

   ・ソフトバンクGとフジクラの2銘柄で、日経平均を+355円押し上げた。
   ・5/12・13と、2銘柄だけで日経平均の上昇・下落が説明できる異常な状況となっている。
   ・相場の牽引役は、海外短期筋である。海外短期筋は株価先物に買いを入れ、少数銘柄の現物株を買うという手法だ。

 2)イラン情勢の長期化⇒原油価格高騰の長期化は日本・世界経済を直撃する
  (1)日経平均は、NYダウに比べて買われ過ぎの状態が続いている。日本・米国株式市場は、それを織り込んでいない。悪影響を無視しているかのようだ。

  (2)単に原油価格が上昇しているだけではない。原油そのものが届かず、在庫を放出して、なんとかやり繰りしている状況にある。値上げと、包装資材の変更に現れ始めた。国民の生活に悪影響が及び始めている。

  (3)米国の中間選挙前にイラン情勢の戦闘停止・ホルムズ海峡開放されても、正常に原油・液化天然ガスが輸送されるのは数カ月以上かかる。機雷除去、ペルシャ湾に停泊する船舶の移動、船舶の配船正常化だけで結構月日がかかる。まして、イランから攻撃された石油施設の復旧には数年を要するといわれる。つまり、原油価格の高止まりは長期化するのだ。

  (4)今の株式市場は、目先の株高に煽られて、現実をみていない。株式相場はやがて、現実をみることになる。

●3.ソフトバンクG、今年3月期最終利益+5兆22億円、日本企業で初の+5兆円超(TBS)

●4.3月家計調査、消費は実質で前年同月比▲2.9%減、4ヵ月連続マイナス(FNN)

 1)物価高が続くなか、消費の落ち込みが続いている。
  ・食品が▲2.9%となったほか、生鮮魚介が▲7.7%減と落ち込んだ。

●5.ローム、2026年3月期最終赤字▲1,584億円、▲1,936億円の減損損失計上(読売新聞)

●6.帝人、2026年3月期過去最大の▲880億円の赤字、繊維・薬の減損で(朝日新聞)

●7.イビデン、2027年3月通期の営業利益予想は+900億円(前期比+45.1%増)見込む(トレーダーズウェブ)

●8.海運大手3社の純利益

 1)       2027年3月期予想    2026年3月期
  日本郵船   1,950億円(▲7.9%減) 2,117億円(▲55.7%減)
  商船三井   1,700億円(▲20.3%減) 2,132億円(▲49.9%減)
  川崎汽船    950億円(▲28.6%減) 1,329億円(▲56.5%減)

 2)2027年3月期は、中東情勢悪化で物流が滞っていることに加えて、燃料費も高騰しており、全社が減益を予想した。ホルムズ海峡の事実上の封鎖が7月以降も長引けばさらなる業績悪化もあり得る。

●9.SUBARU、2026年3月期営業利益予想+1,300⇒+400億円に下方修正(読売新聞)

 1)世界販売の約7割を占める米国市場での電気自動車(EV)需要の低迷や、EV関連の開発資産で減損損失を計上したことが響いた。中東情勢の緊迫化によって販売台数が減少したことも打撃となった。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4911 資生堂      業績回復期待
 ・7564 ワークマン    業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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