相場展望10月21日 米国株式にとって、長期金利上昇は要注意 外国人投資家に振り回される、日本株

2021年10月21日 09:44

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/18、NYダウ▲36ドル安、35,258ドル(日経新聞より抜粋
  ・中国の7~9月期実質国内総生産(GDP)が前年同月比+4.9%と、4~6月期+7.9%から減速したのを受け、中国景気の影響を受けやすい銘柄の売りが先行した。
  ・ただ、今週から本格化する米主要企業の決算発表を期待した先回りの買いが入り、売り一巡後は下げ幅を縮小した。
  ・米長期金利が1.62%から1.5%台後半に低下し、ハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄の買いを誘った。

【前回は】相場展望10月18日 米国決算発表で今後、下方修正に注目 日本株反発の先に注視

 2)10/19、NYダウ+198ドル高、35,457ドル(日経新聞より抜粋
  ・7~9月期の決算発表が本格化する中、好業績銘柄を中心に買いが集まった。ヘルスケア株にも買いが広がった。
  ・NYダウは、8/16の過去最高値35,625ドル以来の水準に浮上した。
  ・上昇が目立ったのは日用品・医薬品のジョンソン&ジョンソン。米主要企業の好決算が相次ぎ、投資家心理の改善につながった。
  ・ナスダック指数も5日続伸した。

 3)10/20、NYダウ+152ドル高、35,609ドル(日経新聞より抜粋
  ・市場予想を上回る米主要企業の決算発表が続いていることに加え、暗号資産(仮想通貨)のビットコインの最高値更新を受けて、一時過去最高値を上回るなど投資家心理が強気に傾いた。
  ・好調な7~9月期決算を受けて、米景気への楽観が広がり、通信のベライゾン、保険のユナイテッドヘルス、建機のキャタピラーなど景気敏感株が買われた。
  ・ただ、米長期金利の上昇により、ハイテク株が売られ、相場はやや伸び悩んだ。

●2.米国株式にとり、米長期金利上昇は「調整」の1要因となるので要注意

 1)米10年国債利回りは10/20、1.66%と、今年3/31高値(終値)1.74%に接近した。米10年国債金利が2%台に乗せる勢いになると、株式相場は変調するとの見方があり、今後の金利動向を注視したい。特に、2.5%に上昇すると明らかに株式市場にとって逆風が大きいとみられている。
  米10年国債利回りの推移 2020年3/9 0.314% ⇒ 2021年10/20 1.66%

 2)長期金利上昇の要因。
  (1)9月米連邦公開市場委員会(FOMC)において、2022年利上げを示唆した影響
  (2)米物価指数に大きな影響を与える住宅価格の高騰
  (3)原油・天然ガス(LNG)等のエネルギー価格の高騰
  (4)銅・アルミニウムなど鉱物資源の急騰
  (5)ばつ・洪水・余剰資金流入による農産物価格の高騰
  (6)サプライチェーンの混乱による卸売価格の上昇
   ⇒ インフレ懸念の高まりを映して、長期金利は上昇。

 3)長期金利が、株式運用利回りを上回ると、資金が株式市場⇒債券市場に逆流する 可能性が出てくる。そのため、米長期金利の上昇に注目したい。

●3.パウエルFRB議長、株価下落前に投信5億7千万円売却、厳しい批判必至(読売新聞より抜粋

 1)パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、2020年10月に保有する株式投資信託を最大500万ドル(約5億7千万円)を売却していたと、米政治専門メディア「アメリカン・プロスペクト」が10/18に報じた。株価下落前のタイミングだったという。

 2)報道によると、パウエル氏が投資信託を売却したのは2020年10月1日。
 (注)NYダウの推移 10/12高値28,837ドル ⇒10/30安値26,501ドル
  新型コロナ禍の追加経済対策を巡る調整が難航していた時期で、同日に当時のムニューシン財務長官と4回会談していた。

 3)FRBは金融市場に与える影響が大きく、地区連銀総裁2人が株式など取引したことが発覚し、今年9月に相次いで辞任を表明した。パウエル氏は厳しい非難を浴びるのは必至とみられる。FRB議長任期を来年2月に控え、再任の人事にも影響を与える可能性がある。

●4.債券投資家は、インフレとテーパリングの2重苦、利益捻出は困難(ブルームバーグ)

 1)世界の債券投資家にとって伝統的な敵であるインフレに直面している。加えて、主要な中央銀行は債券購入の削減(テーパリング)や政策金利の引き上げに向かっている。

 2)悪条件が重なり、投資家には避難場所がない。

●5.米9月住宅着工件数155.5万戸と、予想161.5万戸と予想を下回った(フィスコ)

 1)建設材料や人手不足が依然として足枷となっている。

●6.FRB関連(フィスコ)

 1)アトランタ連銀は、米7~9月GDP成長見通しを+0.53%に引下げ
  ・本年初め+6.0%⇒前回予想+1.17%⇒今回+0.53%と、年初予想からは大幅引下げ。

 2)リッチモンド連銀のバーキン総裁の講演
  ・雇用不足がパンデミックよりも長引く可能性を指摘。

 3)FRBのボウマン理事の発言
  ・米国の労働市場がパンデミック前の水準回復は苦闘する可能性があると警告。

 4)FRBのウォラー理事の発言(ロイター)
  ・高インフレが年末まで続けば、インフレ抑制に向け「積極的な対応」が必要。        

 5)FRBのクォールズ理事発言(ロイター)
  ・テーパリングの条件を満たす、インフレ高止まりは和らぐので利上げは「時期尚早」    

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/18、上海総合▲4安、3,568(亜州リサーチ)
  ・中国経済の鈍化が懸念される流れとなった。
  ・中国7~9月の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比+4.9%にとどまり、市場予想+5.0%と4~6月期+7.9%も下回った。
  ・金利高も警戒。中国10年債利回りは急上昇し、一時3.02%に達し、経済の下押し圧力になると不安視された。
  ・地方政府の不動産売却が細る中、財政悪化も危惧された。
  ・経済指標の下振れを受け、中国経済対策の期待感が強まり、下げ幅が縮小した。
  ・業種別では、ハイテク関連の下げが目立ち、保険・不動産・銀行・消費が売られた反面、石炭は急伸、発電・石油・海運・素材・インフラ関連が買われた。

 2)10/19、上海総合+25高、3,593(亜州リサーチ)
  ・人民元高が好感される流れとなった。
  ・中国人民銀行(中央銀行)は10/19、人民元レートの対米ドル基準値を3日連続で元高方向に設定した。上海外国為替市場では、人民元が急上昇し、約4ヶ月ぶりの水準で推移している。
  ・中国経済成長鈍化の懸念がくすぶる中、中国経済対策の期待感も高まった。
  ・業種別では、金融が相場を牽引し、ITハイテクもしっかり、医薬品も買われた。反面、不動産株は安く、自動車・メディア・空運も売られた。

 3)10/20、上海総合▲6安、3,587(亜州リサーチ)
  ・当局による資源価格統制の動きが懸念される流れとなった。国家発展改革委員会は10/19、石炭の急速な値上がりを受け、価格介入の実施を検討する方針を表明した。鄭州商品取引所の発電用石炭(一般炭)先物相場は、急落したが下値を叩くような売りはみられない。
  ・当局の経済対策への期待感は根強い。中国人民銀行(中央銀行)の資金供給増も好材料となった。
  ・業種別では、石炭株が急落、非鉄・鉄鋼・不動産株も安い。反面、発電株は急騰、半導体・消費関連株も買われた。

●2.中国の新築住宅価格が下落、2015年4月以来で、不動産低迷が鮮明に(ブルームバーグより抜粋

 1)9月新築住宅価格が先月比▲0.08%低下と、住宅市場の不振がより顕著となった。例年なら、9月は住宅市場の繁忙期に当たる。

 2)住宅価格の下落は一段の需要鈍化を招き、建設業者の資金繰りが悪化しており、より大幅な値下げを余儀なくされる悪循環に拍車がかかる恐れがある。

●3.中国の7~9月期GDP成長率+4.9%増、2四半期連続で減速(読売新聞より抜粋

 1)中国国家統計局は10/18、2021年7~9月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比+4.9%増だった。

 2)伸び率は4~6月期+7.9%より▲3.0%下回り、2四半期連続で減速した。

 3)減速した要因は、コロナ感染拡大、停電、半導体不足で生産支障(共同通信)

●4.バンクオブアメリカ、中国の経済成長予測を下方修正、電力不足で (ロイターより抜粋

 1)バンク・オブ・アメリカ(BofA)は1019、中国の経済成長予測を下方修正した。下方修正は2ヶ月で2度目。

 2)2021、2022年の実質国内総生産(GDP)成長率の予測を下方修正。
  ・2021年 8.0% ⇒ 7.7%
  ・2022年 5.8  ⇒ 5.3

 3)同社はリポートで、
  ・「中国当局は9月下旬に遅れを取り戻すモードに入ったとみられるが、当社の見解  では新たな措置が開始されるまでに、かなり時間がかかる可能性がある」と指摘。
  ・中国人民銀行(中央銀行)が年内に最優遇貸出金利を引下げると予想したが、信用の伸びの鈍化が続く中、「効果的な政策緩和の遅れ」でマクロ経済が不安定になるリスクがあるとの見方を示した。

●5.香港金融当局は10/15発表、中国恒大集団の事業継続性で財務調査に着手(時事通信)

 1)2022年に返済期限の借入金1,670億元に対し、現金等が1,590億元しかない。流動負債は1兆5,070億元。

 2)恒大は香港の保有ビル売却が頓挫し、資金繰り懸念が一段と強まるとみられる。

●6.中国恒大は、不動産管理子会社の株式売却が頓挫、条件で合意至らず(ロイター)

●7.中国の不動産開発会社・新力腔股はドル建て債の償還できず(ブルームバーグ)

 1)新力は、11/18に2.5億ドル(約285億円)の利払いと償還を怠った。

 2)米格付け会社SPは、「選択的デフォルト」に格付けを引下げた。

●8.中国・習主席「寝そべり主義」を問題視(日テレより抜粋

 1)中国の若者の間で競争社会に背を向け、頑張らない生き方を目指す「寝そべり主義」が広がっていることについて、習近平国家主席が会議で取り上げ、問題視したことが明らかになった。

●9.米ゴールドマンは、中国証券合弁会社・高盛高華証券を完全子会社化 (ロイター)

●10.ソニーに対し、中国当局は罰金100万元(約17.7百万円)     (共同通信)

 1)ソニーの新製品発表日が、盧溝橋事件に当たり「中国の尊厳を損なう」とした。

●11.中国のアルミニウム加工大手で世界2位の「中国忠旺」の2子会社が経営難(日テレ)

●12.中国の石炭先物が連日最高値更新、2,000元(約35,600円)を窺う(ブルームバーグ)

 1)寒波到来で、エネルギー危機に拍車を掛けている。

●13.中国共産党・政府は、教育への介入を強め「しつけ」を法制化へ(産経新聞)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/18、日経平均▲43円安、29,025円(日経新聞)
  ・2営業日で+900円超上昇したため、利益確定売りや戻り待ちの売りが優勢となる
  ・今月下旬から本格化する7~9月期決算発表を見極めたいとの見方が多く、目先の節目29,000円の達成感が意識されやすかった。
  ・中国の7~9月期国内総生産(GDP)は4~6月期に比べ減速し、市場予想をも下回った。上海や香港の株式市場が下落したのも、投資家心理の重荷になった。
  ・円安や資源高の基調が続き、採算改善が期待される自動車株や資源株に買いが入り相場全体を下支えした。

 2)10/19、日経平均+190円高、29,215円(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利の上昇が一服したことを手掛かりに、半導体関連や成長(グロース)株を中心に買いが入り、一時+200円を超える場面があった。
  ・一方、円安が一服し、自動車など輸出関連株に売りが出たことが重荷になった。
  ・新型コロナ感染が減少しており。経済活動の再開への期待から、小売りの一角に物色の矛先が向かった。
  ・衆議院選が公示され、過去の経験をもとに株高になるとの期待も支えになった。

 3)10/20、日経平均+40円高、29,255円(日経新聞)
  ・前日の米株式相場の上昇を受け、買いが先行し、上げ幅は一時+200円を超えた。
  ・経済活動の正常化が一段と進むとの見方から、経済再開の恩恵を受けやすい空運や鉄道株に買いが入った。
  ・円安の進行で、輸出採算改善期待から自動車など輸出関連株が買われた。
  ・心理的な節目29,500円に近づき、また上値抵抗と意識される25日移動平均線を上回ったことで、短期的な達成感から売られた。

●2.日本株は外国人投資家に振り回されている

 1)外国人投資家の動向と、日経平均の推移
               外国人投資家       日経平均
  ・8月4週~9月3週  +2兆2,893円買い越し   8/21~9/14 +3,657円高
  ・9月4~5週     ▲2兆0,377億円売り越し  9/15~10/6 ▲3,142円安
  ・その後、外国人投資家は「買い越しに転換」、日経平均は+1,727円高(10/20)
  
 2)日経平均は25日移動平均線(29,177円)を意識した攻防となっている。25日MAを超えてくる可能性を示唆している。

 3)衆議院選挙イベントで外資系短期筋の買い仕掛けが始まった可能性がある。日本株は米国株次第という見方もあるが、外国人投資家の新規買いに注目したい。

●3.LNG(液化天然ガス)価格が一時2020年の10倍に急騰、世界的に逼迫 (FNN)

●4.企業動向

 1)三菱商事   脱炭素で再生可能エネルギー等に2兆円を2030年迄に投資(共同通信)
 2)ホンダ    小型ロケット開発に着手、市場規模300兆円「宇宙へ挑戦」(時事通信)
 3)東芝     3,000億円の社債発行枠を登録、社債償還や設備などに充当(ロイター)
 4)トヨタ    米国に車載用電池3,800億円投資、脱炭素化へ電動化加速(共同通信)
 5)ソニー    米スマホゲーム事業を米スコープリー社に1,140億円で売却(読売新聞)
 6)シャープ   米国でテレビ事業に2022年春、6年ぶりに再参入 (時事通信)
 7)キッコーマン 11年ぶり新工場、2024年4月生産予定 (時事通信)
 8)日本ペイント 英国孫会社で欧州塗料メーカーを1,509億円で来春買収(ロイター)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4502 武田薬品  業績堅調。
 ・7012 川崎重工  黒字転換。
 ・3116 トヨタ紡績 業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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