相場展望8月2日 米国景気4~6月期がピーク ⇒ 米株価に変化? 日本株、決算発表シーズンの株高は、期待外れ

2021年8月2日 08:43

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)7/29、NYダウ+153ドル高、35,084ドル(日経新聞より抜粋
  ・米連邦準備制度理事会(FRB)が早期にテーパリング(量的緩和の縮小)に動くとの観測が後退し、株式市場に資金流入が続くと見た買いが入った。
  ・前日まで売られていた景気敏感株が買い直された。
  ・4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前期比+6.5%増と、市場予想(8.4%増)を下回ったのも、金融緩和が続くとの見方につながった。

【前回は】相場展望7月29日 米株式市場は楽観論の「適温相場」 日本株に外資系の買い弱し、デルタ型変異株リスク

 2)7/30、NYダウ▲149ドル安、34,935ドル(日経新聞より抜粋
  ・ネット通販のアマゾンが7/29に決算発表で株価が急落し、投資家心理が悪化。
  ・主力ハイテク株に波及したほか、月末とあって持ち高調整売りが景気敏感株の一角に目立った。
  ・アマゾンは、ワクチン普及が進んだ結果、ネット通販の増収率が鈍化し、11四半期ぶりに市場予想を下回った。株価は▲8%下落した。
  ・マイクロソフトやセールスフォース、アルファベット、フェイスブックが下落。

●2.米国株式で気になること: 「米景気は4~6月期がピーク」でそれ以降は低下

 1)好決算発表でも、材料出尽くしとして売られる銘柄が目に付く。
   ⇒ 好決算見込みで事前に株価上昇も織り込み済みのため、決算発表で材料出尽くしと見られて下落。

 2)4~6月期の増収率・増益率が最高値で、7~9月期以降は低減を予想。
   ⇒ アマゾンの決算で増収率の鈍化が嫌気され、売られた。

 3)米国内総生産(GDP)成長率は、低下傾向が鮮明化。
   ⇒ 4~6月期のGDP予想値は+8.5%だったが、+6.5%と期待外れの数値となった。
     1~3月期は+6.4%のため、4~6月期は微増。
   ⇒ 今後、GDP成長率低下に伴い、企業業績も連動すると思われる。
   ⇒ 企業の1株当たり利益(EPS)も連動して鈍化する可能性がある。

 4)米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和姿勢は継続だが、資金供給の増額なし。
   ⇒ 米株価を支える要因は、(1)企業業績向上 (2)資金の市場への追加供給 である。
   ⇒ この2つの要因に期待が持てないと思われる。

 5)となれば、株価上昇が期待できる「市場の予想を上回る好決算」銘柄に、資金が集中する流れとなりやすい。

●3.米4~6月期GDPは前期比年率+6.5%と、予想+8.5%を大きく下回った(フィスコ)

 1)1~3月期は+6.4%だった。
 2)米国経済は、コロナ前の水準を回復した。

●4.米6月中古住宅販売成約指数は前月比▲1.9%と、予想+0.0%を下回った(フィスコ)

 1)5月は+8.3%だった。
 2)高い住宅価格と少ない在庫で、購買意欲が減退。(ブルームバーグ)

●5.米先週分の新規失業保険申請件数40万件と、予想(38.5万件)ほど改善せず(フィスコ)

 1)前回は41.9万件。

●6.米ウォール街でインフレを巡って、インフレ連動債(TIPS)で攻防(ブルームバーグ)

 1)インフレ続伸と見てTIPSを買い: 米資産運用会社バンガード
  インフレ抑制と見てTIPSを売り: 米資産運用会社ブラックロック

●7.ロビンフッド株、上場初日で急落、一時は公開価格比▲12%安(ブルームバーグ)

 1)株式取引アプリを運営する米ロビンフッドは、公開価格38ドルを初値で付けた後、一時33.35ドルまで売られた。

 2)公開価格の38ドルは、仮条件の下限で決定され、21億ドル(約2,300億円)規模の新規株式公開(IPO)となっていた。

 3)7/29初日終値は▲8%安の34.85ドルと、期待した個人買いが入らず不発。(日経新聞)

●8.米証券取引委員会は、投資家保護で中国企業に情報開示を求める方針(NHK)

 1)中国政府は海外上場企業に対し監督を強めており、中国当局から上場許可を得ているかなどの情報をあらかじめ開示させることで、投資家保護につなげる考え。

●9.企業動向

 1)アップル   自社株買や配当支払いで、65億ドル起債(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)7/29、上海総合+50高、3,411(亜州リサーチ)
  ・市場安定化の期待が高まる流れとなり、5日ぶりに反発した。
  ・このところ市場では、中国の規制強化を嫌気した海外投資家が売っているとの見方が広がっていた。
  ・中国証券監督管理委員会は7/28夜、大手投資銀行と緊急電話会議をしたことから資金流出の警戒感もひとまず薄らいだ。
  ・業種別では、ハイテク関連の上昇が目立ち、自動車も急伸。反面、銀行・保険は安い。
 
 2)7/30、上海総合▲14安、3,397ドル
  ・7月製造業PMIが7/31発表前のため買い手控えされ下げた。予想では、6月実績からはやや低下する見込み。    
  ・中国経済回復のペースが鈍化する懸念のなか、「中国当局は景気対策を強める」と期待された。また、ゴールドマン・サックスが「中国の規制は一部の企業に対するもので、過度に悲観することはない」と最新リポートで指摘したことも、安心材料となった。
  ・業種別では、金融株が下げを主導し、旅行関連株も安い。反面、石炭や非鉄など資源・素材株は物色された。

●2.中国株は「投資不可能」なのか? 顧客らが不安を漏らす(ブルームバーグより抜粋

 1)中国政府は、民間ビジネスを(1)格差拡大と(2)金融リスクの元凶と位置付け、数カ月にわたって締め付け強化をしてきた。

 2)そのため、今週は中国市場で動揺が渦巻いた。売り浴びせで、主要株価指数は弱気相場入り寸前まで追い込まれた。7/29は、当局や国営メディアの介入で持ち直した。

 3)米ゴールドマン・サックスは、過剰に悲観しないように提言した。2021年下期に財政政策が緩和されることが、追い風になると見ている。

●3.反外国制裁法を香港・マカオでも施行へ、外資系企業は板挟みの恐れ(毎日新聞より抜粋

 1)全国人民代表会議(全人代)の常務委員会(8/17開催)で、外国による制裁への対抗措置を定めた「反外国制裁法」を香港・マカオにも施行するための議案を審議することを決めた。

 2)違反した個人・団体は、中国国内の財産凍結や入国禁止などの処分を受ける。

 3)香港には外資系企業が多く、同法施行で、母国の指示と中国政府の命令の間で板挟みとなる恐れがある。

 4)中国政府は7/23、香港での人権問題を理由に米国のロス前商務長官らに対して、初めて同法を適用し、制裁を課した。

●4.中国配車サービス大手の滴滴出行が株式非公開化検討と報道、同社は否定(ブルームバーグ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)7/29、日経平均+200円高、27,782円(日経新聞)
  ・決算発表が本格化し、好決算や上方修正を発表した銘柄に買いが入った。
  ・前日の米ハイテク株の上昇や、中国株の上昇が投資家心理を上向かせた。
  ・半導体関連株や自動車株を始め輸出関連銘柄への買いも、指数を押し上げた。
  ・新型コロナ新規感染者の急増や、政治リスクを踏まえると、好決算を素直に評価する動きに陰りが出る可能性もあり得る。

 2)7/30、日経平均▲498円安、27,283円(日経新聞)
  ・日経平均は大幅反落し、1/6以来の安値となった。
  ・国内の新規感染者数は7/29に初めて1日当たり1万人を超え、増加に歯止めがかからず、経済活動の正常化に対する警戒感が強まった。
  ・香港ハンセン指数が大幅安となったのも、投資家はリスク回避姿勢を強めた。

●2.日本株は、決算発表シーズンの株高は期待外れ

 1)7/30は7月5番目の金曜日。
  経験則では、過去、下落の確率が高いという歴史がある。

 2)決算発表を受けたNYダウと日経平均比較・・・日経平均の弱さ露呈
            7/19     7/30
      NYダウ  33,962ドル  34,935  +973高(+2.86%上昇)
      日経平均  27,652円   27,283  ▲369安(▲0.13%下落)

 3)決算発表以降の外人投資家先物買い枚数残高の推移・・・外国人売りが止まらず
    7/21    125,367枚
    7/29    131,117枚
    7/30    123,832枚  7/21比▲1,535枚売り、▲0.012%低下

 4)個人投資家の買いが、売りに転換するリスク
  ⇒ 決算シーズン入りによる株高の思惑で個人投資家が、外国人投資家の売りを吸収してきた。
  ⇒ 決算の株高が不発となれば、個人投資家の買いが売りに回るリスクの可能性。

 5)米株式市場は、FRBの慎重姿勢と経済指標の低下傾向もあり、8月半ばまでは横這いで推移する可能性がある。
  ⇒ 日本株も米株式相場に連動するため、小康状態が続くと思われる。
  ⇒ しかし、上記の通り需給状況が思わしくないと思われるため、材料の出る個別銘柄対応となりそう。

●3.企業動向

 1)トヨタ自動車  今年上半期の販売台数546万台余と、過去最高(NHK)
           独フォルクスワーゲン497万台を上回り、上半期は世界トップ
 2)ソフトバンクG 米ウーバー株の一部を2,300億円相当で売却(ブルームバーグ)
           保有株1億8,400万株(3月末時点)のうち4,500万株を売却。

●4.企業業績

 1)パナソニック  4~6月期純利益+765億円と黒字転換(前年同期▲98億円赤字)
           電気自動車用電池、家電、カーナビ販売が好調だった(NHK)
 2)ANA    4~6月期営業利益▲646億円赤字、前年同期▲1,590億円から改善
         社員出向や減便などコスト削減や好調な航空貨物が寄与(東京商工)
         年間では営業利益+280億円を見込むが、コロナ終息次第
 3)オリエンタルランド 4~6月期最終利益▲60億円赤字(NHK)
             営業時間短縮や入場者制限で

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1332 日本水産  冷食・EPAに注目。業績堅調。
 ・6503 三菱電機  業績好調。
 ・6955 FDK    電池に注目。業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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