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豊田自動織機、非上場化の狙いは?
●トヨタ自動織機がTOBで非上場化?
4月26日、ロイター通信などが、豊田自動織機が非上場化を検討していると報じ、28日の株価はストップ高となった。
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トヨタ創業家からの提案があったとみられ、トヨタ自動車やグループ企業がSPC(特別目的会社)を立ち上げ、TOB(株式公開買い付け)を実施する案が浮上している。
トヨタの源流企業である豊田自動織機を守りたいという買収防衛策に止まらず、どういう狙いがあるか?
●トヨタの源流であり、株主でもある豊田自動織機とは?
1890年にトヨタの創業者・豊田佐吉氏が、豊田式人力織機を発明し、1926年に愛知県刈谷町(現刈谷市)に自動織機の製造と販売を目的とした豊田自動織機製作所を創業。産業の機械化という理想を掲げていた。
その後、息子の豊田喜一郎氏の代に自動車製造に挑み、1935年に試作車「A1型」が完成。1937年には自動車部門が分離し、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)となった。
両社はデンソーや愛知製鋼などと同様にトヨタグループ一員であり、トヨタが豊田自動織機の株を約24%保有し、豊田自動織機はトヨタ株を約9%保有している(2024年9月時点)。
豊田自動織機は織機、紡機などの開発・製造・販売だけでなく、フォークリフトや高所作業車などの産業車両、車両用コンプレッサー、エンジン、電池などの開発・製造・販売も行っている。
●トヨタの思惑
豊田自動織機の買収には、5兆円以上が必要とも見込まれている。トヨタ側も報道を否定しているが、決して容易いことではない。
非上場化を目指す背景には、同社の株主でアクティビストの米ダルトン・インベストメントの存在がある。
昨年、フランスの投資ファンドロンシャンを通じて、資本コストや株価を意識した経営の実現と、取締役の過半数を社外取締役にすることなどの提案を行っている。
報道ベースではあるが、豊田自動織機としては電動化対応への投資、フォークリフトや物流事業でのM&A資金が必要で、そのためには上場コストが増えており、足かせになっているという。
長期的な視野を持って様々な課題に取り組みたいところだが、アクティビストの存在が妨げになっているという判断かもしれない。
当然、源流である豊田自動織機を守りたいという思いもあるかもしれないが、今後他のグループ会社にも非上場化の流れが加速する可能性もあり、注目される。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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