相場展望7月29日 米株式市場は楽観論の「適温相場」 日本株に外資系の買い弱し、デルタ型変異株リスク

2021年7月29日 09:11

印刷

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)7/26、NYダウ+82ドル高、35,144ドル(日経新聞)
  ・朝方は、中国当局によるネット企業などへの規制強化を懸念し売り先行した。
  ・その後、今週は主力ハイテク株など決算発表がピークを迎えるため、「GAFAM」など好決算を期待した買いが次第に優勢になった。
  ・経済正常化の恩恵を受ける景気敏感株や消費関連株の買いも目立った。
  ・NYダウ、ナスダック総合、SP500とも主要3株式指数が過去最高を更新した。

【前回は】相場展望7月26日 米国株は好決算発表で株価上昇も、懸念も膨らむ 日本株も週明けは大幅な戻り高を予想

 2)7/27、NYダウ▲85ドル安、35,058ドル(日経新聞)
  ・連日の過去最高値更新で、目先の利益確定売りが優勢となった。
  ・中国政府がインターネット企業への規制強化する中、香港株と上海株が大幅安になったのも投資家心理の重荷になった。
  ・市場では、「中国でビジネス展開をする米国企業にも規制がかかる可能性があり、政治リスクが意識され始めた」という指摘もあった。
  ・高値圏にあるハイテクなどが決算発表で、材料出尽くしで売られる銘柄があった。

 3)7/28、NYダウ▲127ドル安、34,930ドル(日経新聞)
  ・新型コロナのインド型(デルタ型)も感染拡大による世界経済の先行き懸念から売りが優勢となった。米国ではフロリダやテキサスなど経済規模の大きい州で、新規感染者数の増加が鮮明となっている。経済活動の正常化が遅れるとの見方が強まった。
  ・米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決めた。パウエルFRB議長は記者会見で、テーパリング(量的緩和の縮小)の開始に向けて「今後複数の会合で経済情勢の進捗を確認する」と表明した。
  ・株式市場の反応は、おおむね想定内の範囲だったため、限られた。
  ・アップルが決算発表で7~9月期は前期比で減速するとの見通しを示し下落した。

●2.米国株は、FOMC声明とパウエルFRB議長の記者会見を受け、反応は限定された

 1)NYダウは楽観論で「適温相場」の中にいる。
  (1)7/27~28で▲209ドル安は、5日連騰で+1,182ドル上昇の「調整」の範囲。
  (2)FOMC声明とパウエルFRB議長の記者会見は、想定内の内容だったため、株式市場への影響は限定的だった。NYダウ7/28は発表前▲88ドル下落⇒発表後▲127ドル安と、落ち着いた受け止め。

 2)債券市場は、景気後退を読み始めたか? 注目したい。
  (1)ドイツ10年国債利回りは低下し、7/26でマイナス0.44%

●3.米連邦公開市場委員会(FOMC)声明(フィスコ)

 1)FOMC声明の骨子
  (1)FRBは経済を支援するために全手段を使用することを公約する。
  (2)今後の会合で、目標に向けた進展をさらに見直していく。
  (3)インフレは上昇、大半は一過性要因が影響。
  (4)経済はテーパリングの条件達成に向けて一段と前進。
  (5)国内・国外の常設レポファシリティを創設。
  (6)経済の見通しリスクは引き続きコロナウイルス。
  (7)パンデミックによる障害が大きかったセクターは完全には回復していない。
  (8)経済、雇用活動は引き続き強まった。
  (9)FOMCは、政策金利据え置きを決定。
   ・政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.00~0.25%に据え置きすることを発表した。
  (10)FRB、利上げには程遠い。

 2)パウエルFRB議長の記者会見での発言
  (1)慎重姿勢維持。
   ・ジャクソンホール(8/26~28開催)で、何を言うか予言しない。
  (2)FRBは債券購入の修正案を精査する。
   ・米国債とMBS(住宅ローン担保証券)は同じペースでの縮小になると考える。MBSの購入ペース鈍化に関しては、協議を続ける。
  (3)もし、物価が持続的に目標を上回った場合、手段を用いる。
   ・物価上昇率は数ヵ月高水準だが、その後落ち着く。
   ・現在のインフレを巡っては、パニック無し。
   ・インフレリスクは見られず、警戒態勢は維持する。
   ・中期のインフレ率は、目標2%に低下することに自信がある。

 3)FOMC声明を受けた市場の反応
  (1)政策金利の据え置きは、予想通りだった。
  (2)ドル・円は、110.05円⇒110.25円と若干のドル高・円安。
  (3)米10年債利回りは1.24%⇒一時1.27%に上昇。
  (4)米株価は、予想通りの内容で限定的な受け止めだった。

●4.米10年債の実質利回りは過去最低を更新し、米経済成長巡り懸念強まる(ブルームバーグより抜粋

 1)インフレ率を差し引いた10年債利回りはマイナス1.127%と、7/26に記録した。

 2)米国は、(1)成長減速の局面に入っている (2)同時にインフレ圧力は積み上がっている。

●5.米6月新築住宅販売件数67.6万戸と、予想79.6・5月76.9万戸を下回る(フィスコ)

 1)住宅販売戸数は前月比で▲6.6%減。(ロイター)
  深刻な住宅在庫不足によって住宅価格が急上昇する中、住宅市場が勢いを失ってきたことを示唆した。        

●6.米7月ダラス連銀製造業活動報告は27.3と、予想32.1・6月31.1を下回る(フィスコ)

●7.世界株式時価総額では米国の1強、米国シェア44%と17年ぶりの高水準(日経新聞より抜粋

 1)米国の株式時価総額は初めて50兆ドル(約5,500兆円)を超えた。世界に占めるシェアは44%と、2004年以来の高水準となった。

 2)長期金利の安定を背景に、米国ではIT(情報技術)株の上昇が目立つ。一方で中国株は当局の規制リスクで調整し、米国との差がついている。

●8.企業業績

 1)クアルコム  4~6月期+65%の増収、5G関連の半導体が牽引 (日経新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)7/26、上海総合▲82安、3,467(亜州リサーチ)
  ・中国当局が、ネット大手や教育産業の締付け、不動産抑制策の強化など、相次ぐ規制の動きで、投資家心理の悪化が進行し、売り材料となった。
  ・金融・不動産株が下げを主導し、医薬品株も急落した。反面、半導体株が高かった。

 2)7/27、上海総合▲86安、3,381(亜州リサーチ)
  ・中国当局による規制強化への警戒感が一段と強まる流れとなり、上海総合は今年3月以来の安値水準に落ち込んだ。
  ・中国当局は、(1)プラットフォーム企業 (2)不動産 (3)教育産業などの各分野に対し引き締めを厳格化している。また、「デルタ型」感染例が中国各地でも広がっているのも不安材料。
  ・業種別では、不動産、金融の下げが目立つ。反面、ハイテクの一角はしっかり。ハイテク関連は、政府が成長産業と位置付け、「政策リスクが少なく、買い安心感がある」としている。

 3)7/28、上海総合▲19安、3,361
  ・各分野に対する中国当局の引き締めや、中国経済の成長鈍化を警戒し、4日続落した。
  ・国際通貨基金(IMF)は7/27、世界経済見通しを更新し、中国の2021年成長率予測を前回発表時から引き下げた。
  ・業種別では、景気動向に敏感な素材株が安い。ハイテク株も急落した。

●2.中国、学習塾事業を非営利化し、外国からの投資や株式公開も禁止(ブルームバーグより抜粋

 1)中国国務院は7/24に、1,000億ドル(約11兆円)規模の教育関連テクノロジー業界に対する包括的規制を発表した。「資本に乗っ取られていた」と政府が主張する教育セクターの改革に乗り出す。

 2)学校の教育課程に関する学習支援サービスを手掛ける企業に、非営利団体への転換を求める。

 3)海外からの投資受け入れも禁止される。加えて、増資や株式公開を禁止する。

 4)学校のキャリキュラムを営利目的で教えることを禁止。週末や休暇中の学校の科目に関連した指導もできなくなる。学習の低年齢化に拍車をかけていた6歳未満の子供向けオンライン、学術的授業の提供も禁じられる。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)7/26、日経平均+285円高、27,833円
  ・米株式の最高値更新を受け、東京市場でも幅広い銘柄が買われた。
  ・好業績の期待を背景に、鉄鋼・不動産・海運の上昇が目立った。
  ・一時+500円近く上げ、28,000円を上回る場面があったが、買い一巡後に主力銘柄に、利益確定売りや持ち高調整売りが出た。
  ・新型コロナ感染者数増加、東京五輪中の経済活動抑制、中国ネット大手や教育産業への締付けもあり、日本株では積極的な上値を追う雰囲気は乏しかった。

 2)7/27、日経平均+136円高、27,970円
  ・前日の米国株式主要3指数が最高値となった流れを受け、日経平均の上げ幅は一時+200円を超えた。
  ・調整を続けていた非鉄金属や鉄鋼など景気敏感株が買われた。
  ・米アップルなどの大手IT企業の決算発表とFOMCを控え、積極的な売買が手控えられた。

 3)7/28、日経平均▲388円安、27,581円
  ・前日の中国や米国株式相場が下落したな流れ受け、新型コロナ感染拡大への警戒感も強まり、値嵩さのグロース(成長)株に売りが目立ち、相場を下押しした。
  ・下げ幅は一時▲500円を超える局面があった。
  ・中国との関わりが強い銘柄が売られた。

●2.日本株の外人投資家買い意欲は弱い

 1)外人投資家の先物買越しは、僅かな買い枚数のため、日経平均戻り高に強さ無し
  ・7/26は僅か+504枚の買い越しで、+600円高期待も終値は+285円で終わった。
  ・先物買残高は7/21の125,367枚⇒7/28の130,131枚と僅か+4,764枚増だった。

●3.6月ショッピングセンター売上高は前年比▲9.1%減(ロイター) 

 1)緊急事態宣言などによる休業が続いたことで、前年を下回る結果となった。

●4.厚労省はワクチン接種で、アストラゼネカ製ワクチンを中年層への使用を検討(日経新聞)

 1)東京都内の重症者は40~50代が5割、高齢者は接種で悪化抑制効果が出る。
 2)中年層のワクチン接種の迅速化や、若い世代の人流対策などが重要になる。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6778 アルチザネットワークス 5G関連。好業績。
 ・4612 日本ペイント      業績堅調。
 ・4716 日本オラクル      業績堅調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

記事の先頭に戻る

関連キーワード

関連記事