相場展望11月19日号 ジョージア州上院議席がバイデン政権の政策を決める 勝てば左派色で株価マイナス、負ければ株価プラス

2020年11月19日 08:30

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■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)11/16、NYダウ+470ドル高、29,950ドル
  ・ワクチンの普及で経済正常化の期待が強まり、景気敏感株を中心に買いが優勢となる。
  ・NYダウ終値で史上最高値を更新。

【前回は】相場展望11月16日号 株式市場は来年1月大統領就任式までは高い? 今の市場は『金融バブル』で過大評価、お忘れなく

 2)11/17、NYダウ▲167ドル安、29,783ドル
  ・10月小売売上高が予想を下回ったことで、新型コロナ感染再拡大による個人消費の減速懸念が高まり、消費関連のビザ、アメックスなどが売られた。

 3)11/18、NYダウ▲344ドル安、29,438ドル
  ・ファイザーのワクチンが95%有効との報道を受け、その実用化期待でNYダウ上昇。
  ・その後、追加経済支援の失効による景気後退の懸念がでて、NYダウ下落。

●2.10月米小売売上高は前月比+0.3%増と、市場予想+0.5%を下回る

 1)前月9月の伸び率+1.6%増から大幅に下がった。

●3.米ジョージア州の上院議員選決選投票の結果次第でバイデン政権は「レームダック」(FNNプライムオンラインより抜粋

 1)上院議員の議席総数は100で、現時点では共和党50:民主党48。残る2議席は来年1/5のジョージア州の決選投票で決まる。

 2)もし、ジョージア州で民主党が2勝すると、50議席:50議席となる。この場合、ハリス副大統領(民主党)が上院議長を兼ねて1票を投じるので、民主党が
上院でも主導権を握ることが出来る。

 3)民主党が1勝だけでは、共和党が過半数となり上院を制することが出来る。そうなると、民主党大統領が誕生しても、「ねじれ議会」が起きてバイデン民主党政権にとって大きな障害になる。

 4)上院は強い権限が付与されている
  (1)政権幹部、大使の任命承認権
  (2)法案や外国との条約締結に上院の可決が必要
  (3)疑惑捜査に強い権限
  そのため、上院を共和党に握られると、バイデン大統領は共和党と妥協せざるを得ず「レームダック化」すると言われている。

 5)ジョージア州の現状
  ・土地柄が保守色強く、15年間は2議席とも共和党議員が占めてきた。
  ・11/3の投票を見る限り、2議席とも共和党になる可能性がある。しかし、今回のジョージアの大統領選投票では民主党のバイデン氏が、トランプ氏を上回っているので予断を許さない状況になっている。

 6)以上のように、ジョージア州の上院議員2議席を民主党が取れないと、共和52:民主48となりバイデン政権の運営は最初から共和党上院に阻まれることになる。(AERA)

 7)ジョージア州上院2議席の行方が、バイデン政権の性格を決めることになる。
  (1)民主党が2議席に勝てば左派色が濃くなり、金融規制と巨大ハイテク企業分割など『規制強化』で、株式市場はマイナスに反応する恐れがある。
  (2)負ければ、政権運営で『共和党と融和』し、株式市場はプラスの反応が予想される。

 8)バイデン政権の人事を巡り、左派は企業寄りだと批判し、「革新派は民主党の半分を構成している」と主張し、人事の偏りに不満を表明した。(時事)民主党内の穏健派と急進左派の路線対立は、早くも顕在化しつつある。

●4.米国経済は、(1)コロナ感染拡大(2)追加経済対策欠如で、目先の景気警戒感が広がる(フィスコ)

●5.米国経済の7割を占める消費が停滞した場合、経済成長が一段と滞る

 1)商務省発表の10月小売売上高は前月比+0.3%と、9月の+1.6%から鈍化し4月来で最小となった。
  ・11月ミシガン大学消費者信頼感指数も予想外に低下した。
  ・パウエルFRB議長も、回復に短期的に著しい下方リスクがあると警告。

 2)ワクチン開発進展は、2021年の強い回復見通しを後押しすると多くのエコノミスト指摘。

●6.米NY連銀総裁、「財政支援失効で今後数ヵ月経済は鈍化する」と悲観的見解(フィスコ)

 1)ドル円は、103.65円まで円高となってから、103.70~103.80円の円高圏でもみ合い。
 2)米10年国債利回りは、0.85%から0.87%に上昇した。

●7.米FRB(連邦準備制度理事会)議長11/17、短期的には感染者増で「著しいリスク」の兆しがあるとして、年末に期限切れとなる緊急融資策の終了は時期尚早と述べた(ブルームバーグ)

●8.サウジ政府系ファンド、米国株投資30億ドル縮小(ブルームバーグより抜粋

 1)今年3月、株価急落時にフェイスブック、ウォルト・ディズニー等を数十億ドルで購入。

 2)7~9月、株価回復に伴い上記株式を売却し、株価低迷している公益、素材セクターを購入。

 3)2021、2022年は国外投資から転換してサウジ国内に400億ドル投資。

●9.米連邦航空局(FAA)は11/18、ボーイング737MAXの運行再開を承認(ブルームバーグ)

 1)墜落事故後、1年8カ月にわたり運航停止されていた。

 2)FAAの認可で、世界の航空会社は737MAXの運航を再開できる。

 3)米司法省による刑事捜査は続いており、制裁金などを課される可能性など問題は残る。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/16、上海総合指数+36高、3,346
  ・前日の大幅安の反動と、経済指標の上振れを好感し、5日ぶりに反発。(亜州リサーチ)

 2)11/17、上海総合指数▲7安、3,339
  ・中国発の新規材料が乏しいなか、買いが手控えられた。(亜州リサーチ)

 3)11/18、上海総合指数+7高、3,347
  ・人民元が上昇し、通貨高を背景に資金流入が加速すると期待された。
  ・金融株が相場を牽引した。
  ・トランプ政権は新政権移行を前に、一段と対中圧力を強めている。(亜州リサーチ)

●2.中国企業の米国市場上場廃止の可能性がでてきた(亜州リサーチ)

 1)米メディアが11/17報道で、「米証券取引委員会は米上場の中国企業に対する新規規制案を検討している」と報じた。その内容は、米国監査法人が中国企業を監査し、米国基準に準拠しない場合は上場廃止の可能性があるという。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/16、日経平均+521円高、25,906円
  ・米株式相場の流れを受け高く始まり、7~9月期実質国内総生産(GDP)が前期比年率で+21.4%増となり、回復基調にあるとして投資家の買いが入った。

 2)11/17、日経平均+107円高、26,014円
  ・ワクチン開発で米株高となり、経済回復期待で空運など景気敏感株に買いが入った。
  ・日経平均26,000円超えは、1991年5月14日以来の約29年半ぶりとなる。

 3)11/18、日経平均▲286円安、25,728円
  ・米国株安の流れと、26,000円突破による高値警戒感が強まり売り優勢で反落した。
  ・東京都の新型コロナ感染者数が過去最多と伝わり、経済活動抑制との見方から一段安となった。

●2.日経平均500指数は、日経平均過去最高38,915円(1989年12月29日)時に2,406だったが2020年11月17日に2,570と、+6.8%上回り、史上最高値を更新した

●3.日本株はスピード上昇だっただけに、騰勢一服と予想

 1)一服となる背景と理由
  ・真空地帯を上抜けて29年ぶり高値26,000円台に突入したイメージ
  ・出来高は11/10の20.65億株(4.07兆円)をピークに、11/18は11.87億株(2.32兆円)と買いのエネルギーが減少傾向。
  ・外資系の買い越しボリュームは低下傾向、マクロ系ヘッジファンドの買い越しは継続。
   買い越し枚数の推移:11/10 +10,762枚 ⇒ 11/16 +2,497枚と買い減速に向かう。そして、11/17は▲1,268枚売り越しに転換
  ・10~12月期のGDPは、コロナ第3波の影響でマイナスに戻る可能性が高い。
  ・株価は常識的に上昇一服を予想。11/17、日経平均は+107円高となったが、値上がり銘柄数753銘柄に対し、値下がり銘柄数の方が1,347銘柄と多くなり、相場の流れに変化が見られた。さらに、外資系の先物手口は久しぶりに11/17売り越しに転換した。
  ・NT倍率は11/17に15.0倍と、日本株上昇がNYダウを伸び率で上回る状況にあるが、この異常値は(1)日本株下落(2)NYダウ上昇を示唆か?
  ・日経平均は11/2以降+3,037円と超大幅高しただけに、11/18は一服。
  ・ドル円は103.79円と前日比+0.39円の円高傾向続き、日本の輸出企業にマイナス影響。

●4.個人投資家はワクチン・バブルに沸かず

 ・11月第1週から外人買い継続に対し、日本の年金・個人は売り継続で冷静に行動。
  11月第1週:海外投資家+1兆990億円買いに、個人▲4,311億円売り向かった。
  11月第2週:海外投資家の買いvs個人・年金等は売り越し継続の模様。

●5.企業業績

 1)市光工  7~9月期営業利益が黒字化、通期予想は従来+10から+15億円。(フィスコ)

●6.企業動向

 1)米投資ファンドKKRと楽天が、西友へ出資。(読売新聞)
  ・ネットスーパーやキャッシュレス決済を強化。
  ・出資比率はKKR65%、楽天20%、ウォルマート15%。
 2)エアアジアJ  破産手続き開始。ANA系列の格安航空。(日経新聞)
 3)川崎重工    手術支援ロボット分野に進出。(NHK)
 4)パナソニック  欧州で電池事業拡大のためノルウェー企業2社と提携(ブルームバーグ)
 5)アイリス    高性能医療用マスクを国内工場で生産。(NHK)

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・6754 アンリツ   5Gで受注が増える可能性。
 ・7518 ネットワン  DXに期待。
 ・7203 トヨタ    環境規制にハイブリッド車が強み。
 ・1801 大成建    補正予算に期待。
 ・1812 鹿島     補正予算に期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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