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7月の倒産件数は961件、9カ月ぶりに900件超え
東京商工リサーチが7月度の「全国企業倒産」を発表。人件費や物価高、新型コロナ時に実施された低金利融資の返済時期を迎えて、中小規模の企業を中心に再び倒産件数が増加していることが分かった。
【こちらも】2025年上半期の企業倒産は4990件、2014年以来の高い水準 東京商工リサーチ
■9カ月ぶりに倒産件数900件超え
8日、東京商工リサーチが7月の「全国企業倒産」を発表した。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は961件で前年同月比0.83%増となり、2024年10月(909件)以来、9カ月ぶりに900件台となった。
また7月の負債総額は同78.6%減の1,670億3,500万円となった。前年にあった大型倒産(MSJ資産管理、負債総額:6,413億円)の反動減により、大幅減となった。
主な大型倒産企業は、JSファンダリ(負債総額:161億7,900万円、以下同じ)、片岡製作所(116億7,300万円)、サクライ(73億900万円)、凪スクエア(56億8,600万円)、秀和システム(50億700万円)など。
人件費や材料費の高騰により、価格転嫁が難しい中小企業を中心に倒産件数が増加する兆しがあるという。
■10産業中4産業で前年同月上回る
産業別の倒産件数は、10産業中4産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の344件(前年同月比:10.96%増、以下同じ)。次いで建設業が182件(6.18%減)、小売業が112件(2.75%増)、製造業が106件(8.62%減)で、ここまでの4業種が倒産件数で100件超え。
以下は、卸売業が95件(6.86%減)、運輸業が40件(9.09%減)、不動産業が34件(17.24%増)、情報通信業が32件(13.51%減)、農・林・漁・鉱業が16件(45.45%増)、金融・保険業は0件(100%減)だった。
都道府県別で最も倒産件数が多かったのは東京都の143件。次いで大阪府(117件)、愛知県(63件)、福岡県(53件)、兵庫県(49件)、神奈川県と埼玉県(各47件)などが続く。
一方で倒産件数が少なかったのは、高知県(1件)、愛媛県(2件)、秋田県と山梨県と鳥取県と宮崎県(各3件)となっている。
■負債1,000万円未満の倒産件数が増加傾向
7月の負債1,000万円未満の企業倒産件数は、前年同月比12.3%減の57件となり、2カ月ぶりに前年同月を下回った。ただし2月(52件)以来の倒産件数50件超えであり、直近では4カ月連続で前月を上回っていることから、倒産件数の増加傾向が見られる。また1月から7月までの累計件数は307件で、前年同期比5.8%減となっている。
円安傾向に伴う物価高に加えて人件費の高騰により、価格転嫁が難しい小規模企業や零細企業は収益の低下が逃れられない状況。そこに新型コロナ時に実施された低金利融資等の返済時期を迎えたことで、今後も倒産件数が増える可能性が高いという。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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