ENECHANGE、厳しい環境の中、前期比+24%と着実な売上成長 2023年は「満充電で再スタート」

2023年2月11日 09:58

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記事提供元:ログミーファイナンス

ENECHANGE、厳しい環境の中、前期比+24%と着実な売上成長 2023年は「満充電で再スタート」

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2022年12月期決算説明

城口洋平氏:みなさま、動画をご視聴いただきましてありがとうございます。ENECHANGE株式会社代表取締役CEOの城口洋平です。2022年度通期決算説明会を開催します。

同時に、2023年度の見通しもご報告させていただければと思います。スライド冒頭のページにあるとおり、2023年度は「満充電で再スタート」の1年だと感じています。今日はワクワクするような内容を株主のみなさまに届けられればと思っていますので、お付き合いいただければ幸いです。

株価

まず、株価からご説明します。昨年を振り返ると、夏あたりに盛り上がりましたが、結果的に1,000円前後で揺れた1年でした。

アメリカの利上げによるグロース市場全体への逆風に加え、ロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー危機が、エネルギー業界のグロース企業であるENECHANGEにはダブルパンチとして影響し、大変厳しい1年になったと考えています。

しかし、FRBの金利については今年にかけてインフレの収束が見えてきている話もありますし、ロシア・ウクライナ戦争による世界のエネルギー問題も沈静化が見えてきています。現時点においては厳しい見通しだけではなく、前を向いてもう一度大きな目標に向かって走り出せる状況になってきたと思っています。

1,000円前後で株価が揺れているのは、個人的にも不甲斐なく悔しい思いをかみしめ続けた1年でしたが、今年はみなさまにリターンを出せるようにしたいと考えていますので、どうかお付き合いください。

キーメッセージ

あらためて、「2023年は『満充電で再スタート』の1年に」をテーマとして掲げています。先ほどお伝えしたように、2022年はダブルパンチによる試練の1年でした。

何度もお伝えしていますが、昨年は「業績悪化」というトンネルに突入した大変厳しい状況でした。しかしその中で、EV充電事業の準備をはじめ、事業構造の転換に1年間取り組んできました。2023年は、あらためてEV充電事業を軸とした再成長を目指す、「満充電で再スタート」の1年にしたいと思います。

昨年1年間は、投資をしても売上が上がらず車庫の中にいたEV充電事業ですが、今年は車庫から出て、投資だけではなく売上・利益にも貢献することを数字で示す1年だと思っています。

また、プラットフォーム・データ事業も厳しい電力危機の中にありましたが、今年は市場の回復が段階的に見込まれています。プラットフォーム・データ事業の回復も段階的に織り込みながら、全社を挙げて、ENECHANGEをもう一度上を向けるような会社にしていきたいと思っています。

2022年12月期 エグゼクティブ・サマリー

エグゼクティブ・サマリーは、スライドに記載のとおりです。こちらについては、後ほど詳細をご説明します。

売上高予想に対する達成率

通期業績です。2022年12月期の売上高は37億3,400万円で着地しました。開示していた予想値の34億円に対し、達成率は110パーセント、前年同期比で24パーセントの成長と、厳しい市場環境の中でも着実に底力を発揮できた1年だったと思います。EV充電事業の売上がようやく乗ってきたことを、グッドニュースとして投資家のみなさまにお届けできればと思っています。

売上高

売上高は前四半期比で見ても大幅に伸びています。前回もお伝えしましたが、こちらは電力危機の影響が第3四半期をボトムとして回復傾向にあるためです。絶好調の時期の水準に戻るには何四半期もかかるかもしれませんが、すでに底打ちであることをお伝えできればと思います。

売上総利益・売上総利益率

売上総利益はまだ回復途上にあります。売上総利益率の高いプラットフォーム事業の一時報酬の部分はARPUが回復途上です。したがって、こちらはしっかりと伸びてくると思います。

一方で、EV充電事業の売上もますます伸びていきます。EV充電は、充電器というハードの販売があります。ハードの販売の粗利率は非開示としていますが、物販のため、売上総利益率は80パーセントよりも低い数字になります。したがって、当面はEV充電事業の売上が増えれば増えるほど、売上総利益率は下がっていきますが、販売額はきちんと上がってくると思っています。

売上総利益率はしばらく高い数字が続いていました。今後、EV充電事業の売上に合わせて下がっていきますが、過度に心配せず見守っていてください。

営業損益

営業損益も第4四半期は6億円弱の赤字となっています。スライド右側に広告宣伝費を除く利益を出していますが、こちらもEV充電事業の人件費の影響等々で赤字になっています。

昨年までは調整後営業損益というかたちで、広告宣伝費やEV充電事業の人件費等を除いた数字を出していましたが、今年から広告宣伝費等を除くかたちになっています。

これらを除いたのであれば黒字にならなければなりませんが、今後はEV充電事業の売上・利益がしっかりと入ってきます。こちらをあえて開示に入れたのは、黒字に戻していけると考えているためです。

販売費及び一般管理費

販管費は主に人件費と広告費が増えています。人件費はこの後のスライドでご説明しますが、テレビCMやタクシー広告など、EV充電事業の広告宣伝を開始しています。第4四半期で3億円弱の水準ですが、EV充電事業は今が勝負ですので、しっかりと広告費をかけていこうと思っています。

従業員数

スライドに記載のとおり、EV充電事業の従業員数が大幅に増えています。たった1年間で3事業部の中で最大の事業部になっていることから、この1年間、私たちがこの事業にどれだけ本気で投資してきたかがわかると思います。

今後、EV充電事業の人員をどれだけ増やさなければならないかというご質問があると思いますが、ある程度チームは完成しています。もう少し増えると思いますが、100人弱のチームで十分計画が回ると思います。

したがって、EV充電事業に必要な投資が増えるフェーズは昨年1年間で終わったと考えています。今後もこの水準を維持し、EV充電事業の売上・利益がプラスになる影響を踏まえ、赤字幅は縮小していく傾向にあると考えています。

売上高の見通し

2023年度通期の見通しについてご説明します。売上高は52億5,000万円を見込んでいます。中途半端な数字ですが、前年同期比40パーセントの成長にこだわりました。

私たちは、上場時点で「年間30パーセントを絶対に伸ばしていきます」とみなさまに約束しました。昨年1年間はそれを下回るかたちで足踏みしましたが、今年は40パーセント成長していくことで、上場以降の年平均成長率は45パーセントとなります。今年は30パーセントを上回る成長を実現できる自信があったため、今回の開示で発表しました。

2023年12月期 通期業績予想

数字の内訳は開示していませんが、方向性を矢印で表現しています。大きなウエイトを占めるのは、プラットフォーム事業の電気の切り替えだと思っています。電気代が高くなっているため、「電気を変えたい」というニーズも非常に高まっています。

今までは「電気を変えたい」というニーズはあるものの、電力会社が「新規獲得は止めてるので」と言ってユーザー獲得がしにくい状況でした。しかし、値上げの発表もあり、電力会社の獲得意欲が再開している状況です。私たちは「電気を変えたい人」と「新しいお客さまを獲得したい電力会社」をマッチングしていくことで、ユーザー数を増加させることができると思っています。

ただし、電力会社の利益水準の回復にはまだ時間がかかりますので、ARPUの回復は途上だと思っています。矢印は絶好調で真上に上がるというよりは斜め上くらいだと思いますが、しっかりと成長を実現できる状況だと考え、プラットフォーム事業を1番目の事業に置いています。

また、2番目のEV充電事業は売上の柱になると考えています。昨年の数字が低いため、その比率で見れば矢印は垂直に上がります。まさにEV充電の本格的な設置、利用開始が始まります。工事や補助金申請の都合等々で、売上計上としては下半期に寄ってくることが見込まれるため、下半期偏重になるとご理解ください。

下半期にEV充電事業の本格的な売上増加やセグメントの損益改善は十分できると考え、昨年1月からEV充電事業に投資していくとお伝えしていました。約1年半の投資期間を経て、今年の下半期からは回収フェーズに入っていくとご期待ください。

一方で、データ事業は3番目にしています。こちらは調子が悪いわけではありませんが、昨年度の電力事業者のIT予算削減による事業環境悪化を受け、多くの電力会社が翌年度のシステム予算を絞ることを意思決定しています。IT予算は期中で変えないため、新規の取り組みを行うのは難しいと想定されますので、保守的に考え、データ事業の矢印は横ばいに設定しています。

損益を見ると、EV充電事業が下半期に偏重するため、赤字幅は昨年の11億5,600万円から9億円に削減されていますが、それ以上に重要なのは、下半期で黒字化を目指していくことです。

いつまでも赤字のままというわけにはいきません。現在、市場環境は非常に厳しくなっています。株主さまからは「ちゃんとENECHANGEは儲かるの?」「利益はいつになったら出せるの? どれだけ出せるの?」と問われているフェーズだと考えています。私たちは早期に黒字化への道筋を示していくため、下半期に黒字化しようと考えています。

通期で9億円の赤字だとお伝えしましたが、9億円強の赤字は上半期にすべて出し切ります。上半期の数字が悪くても心配しないでください。その分、下半期に売上・利益をしっかりと乗せることで、投資家のみなさまが「下半期に黒字になるということは、2024年からは利益を出していける会社になるんだよね」というイメージを持ち、信頼できるようなトップライン、ボトムラインの数字を作っていきたいと考えています。

また、開示の数字を経常損益にしています。なぜ営業損益ではなく経常損益にしているのかというと、EV充電事業は、国から一部補助金をいただくことになっているためです。新しい取り組みですので、補助金の取り扱いを会計的にどうするか、監査法人等々と議論しているところです。これが営業外収益になるのか、営業内収益になるのかは、現在検討しているスキームなどにより処理が変わってくる可能性があります。現状では不透明要素があるかたちで営業外収益に入る可能性を考慮し、経常損益の開示としています。

プラットフォーム 売上高・営業損益

私たちの3つの事業についてそれぞれ簡単にご説明します。まずはプラットフォーム事業です。売上高は前年同期比で21パーセントの減ですが、ストック型収益は50パーセントの成長となっています。第3四半期に対してしっかりと伸び始めていますので、底を打って回復基調にあるということで、今は自信を持ち直しているところです。

営業損益に関しては、第4四半期が多少赤字になっていますが、これは通期で黒字を維持する範囲で最後の年末に広告費などを踏みにいった意図があります。ですので、四半期ごとの数字を心配いただく必要はありません。通期で黒字をしっかりと維持する範囲で多少コントロールしたとご理解いただければと思います。

プラットフォーム KPI

KPIで見てもユーザー数はしっかり伸びています。ARPUももちろん前年同期比では減っていますが、第3四半期比では多少回復水準になっています。昨年の絶好調の水準にはまだ戻りませんが、多少回復の兆しが出てきています。

プラットフォーム 事業環境の見通し

以上を踏まえて、最新の事業環境の見通しです。JEPX価格という電気の卸売市場の価格を2022年と比較すると、依然として高い水準ではありますが、昨年の高くスパイクしていた状況と比べると、ある程度安定して推移しています。

さまざまな要因があり一概には言えませんが、世界的な資源価格が落ち着いてきたことが挙げられます。不況になるとエネルギーのニーズも減ります。また、日本の原発の再稼働が進んできていることなどで電気の需給が安定してきており、スパイクが減ってきています。これは電力事業にとっては大変良いことです。

そして、みなさまも毎日のように報道で見ていると思いますが、大手電力各社がこの春に値上げを始めます。それに追随するかたちで新電力も同じく値上げを行っていきます。

JEPX価格高騰の影響について、スライド右側の図をご覧ください。昨年は6段階と発表しましたが、今回は簡略化して5段階に修正しています。現在は、4段階目「電気料金の値上げ」にいると私たちは考えています。

電力料金の値上げがこの春に一通り一巡し、それが定着してくると、今度は電力会社の事業環境や利益水準が回復してきて、ユーザー獲得活動が徐々に再開してくることも見込まれています。

そのような意味では、まったく出口の見えないトンネルの中にいるわけではなく、5段階目にもう少しで差し掛かるところまで来ています。

実際にさまざまな電力事業者からは「5段階目に向けて各社が準備を始めている」と聞こえてきています。ロシア・ウクライナ戦争以前とはやや違ったかたちにはなりますが、今年のどこかで5段階目に到達し、もう一度電力業界が活性化する状態に戻ってくるのではないかと見込んでいます。

プラットフォーム 競争優位性

本決算の場ですので、ENECHANGEの事業が何のためにあり、どのような強みがあるのかを、投資家のみなさまに年に一度しっかりと振り返っていただき、ご理解いただきたいと思い、こちらのスライドを追加しました。

プラットフォーム事業については、お客さまの目線で見る時には3つの段階があります。どのような電力会社・ガス会社があるのかを「探す」ところ、探した中で自分に合ったいいところを見つけ、それに「切り替える」ところ、その後、電気・ガスを「使う」ところです。

当社は、1点目の「探す」というフェーズにおいて、電気・ガスの比較・切り替えで、オンラインでの集客やオフラインでのパートナーさまなどとの集客において、日本でナンバーワンの集客力を維持したプラットフォームだと思っています。

電気料金の高騰の局面でテレビ局からさまざまな取材をいただき、私たちは毎週のようにテレビに出ています。それも、まさに「電気・ガスのことならENECHANGEだ」という地位が、一歩一歩確立されてきていることの証左なのではないかと思っています。

2点目の「切り替える」については、当社のウェブサイトに来ていただいたところで、自分が選びたい電力会社がなければ切り替えられません。複雑な電気料金を簡単に比較し、切り替えまで簡単にできることが大変重要になっています。そのためには、さまざまなニーズに合う電力会社が全国のさまざまな地域にしっかりそろっていることが必要です。

決して、1社、2社、3社の限られた電力会社をユーザーに押し売りしていくだけではいけません。さまざまな選択肢を提供し、お客さまに良いところと悪いところをしっかりとご説明した上で、納得して選んでいただきます。

納得して電力会社を選んでいるため、長期間使い続け、低い解約率につながります。そのようにストック型収益がしっかりと入ってくることが、私たちにとって大変重要だと思っています。

ですので、中立的なプラットフォームとして電力会社との日本最大の提携数を誇っていることが、私たちの強みだと考えています。

3点目は、今まであまり焦点が当たっていませんでしたが、「使う」に通じるところとして、私たちは今年からスマートメーターのデータ活用等々に注力していきたいと思っています。

まさに、使うところに対してデータを分析し、さらに省エネになるようなアドバイス・コンサルティングを行っていき、サービスを提供していきます。これがケンブリッジ大学で私たちが取り組んでいた研究テーマですので、このようなところまでしっかりとサービス提供に力を入れていきたいと思っています。

これをエンドツーエンドで行うことで、ENECHANGEのプラットフォーム事業は日本で圧倒的に強い電力・ガス切り替えプラットフォームになるのではないかと考えています。

プラットフォーム 事業方針

競争優位性における現状の事業方針に関して2点ご説明します。まず、新電力は大変厳しい状況にあり、国における新電力のシェアは、足踏みもしくは一部低下傾向にあります。

だからこそ、新電力を使っている方は「エネチェンジ」を使って比較し、より納得して、プロと一緒に電力会社・ガス会社を選んでいくことが大変重要になってきています。ですので、新電力を利用している方における当社のシェアを高めていくチャンスだと思っています。

スライド左側のグラフをご覧のとおり、特に法人向けはうなぎのぼりで調子が良く、家庭向けもしっかり伸び、2パーセントという水準まできました。早期に10パーセントまで伸ばしていけると思っていますので、このチャンスの中で私たちの競争優位性をしっかり活かし、シェアを拡大していきたいと思っています。

一方で、広告宣伝費をたくさん使い、テレビCMを流して大赤字になってでもシェアを拡大していくのかといいますと、今のマーケット環境全体では厳しい状況です。また、EV充電に大幅に投資している局面だからこそ、プラットフォーム事業でしっかりと稼いでいきたいと考えています。二正面戦争で両方の事業に全力投資すると、私たちの会社の規模では耐えられないため、プラットフォーム事業はしっかりと稼ぎながら成長することを方針として定めています。

そのような意味で、LTV/CACは3倍を上回る水準を担保できる限りにおいて投資していくことを、今回あらためてお伝えしたいと思っています。特に2021年の年末くらいは、プラットフォーム事業を赤字にしてでも、LTV/CACで2倍を切るような水準まで踏み込んででもシェアを拡大していきたいと、当時の株主さまにお話ししていました。

しかし、お伝えしたとおり、株式市場の環境が変わったことと、ロシア・ウクライナ戦争でエネルギーの局面が変わったというダブルパンチを受けています。昨年に速やかに転換した方針を今年も原則として引き継ぎ、あくまでも収益性のある成長を実現していきます。その中で、シェアの最大化を目指していくことを今年の事業方針としていきたいと考えています。

EV充電 売上高・営業損益

EV充電事業です。お伝えしたとおり、今年は2番目の事業に昇格しています。第4四半期で売上高はついに1億8,600万円となりました。赤字幅は3億7,700万円ですが、これはチームの体制が整ってきたことが原因となっています。

売上高のストック型、フロー型の詳細は、競合上の理由により開示しません。今、EV充電は市場が立ち上がっていく時期であり、これから私たちが非常に伸びていく時期です。「ENECHANGEのEV充電事業はどれだけのものなのか」「どれだけ大きな事業になりうるのか」と、応援してくださる株主のみなさまだけではなく、私たちを虎視眈々と狙っている競合企業さまもIRをしっかりと熟読されているとさまざまな方面から聞いています。

やはり競合企業さまは未上場の会社も多いため、正直にすべてを開示していくと、そのような会社に対して不要な情報を提供してしまうことにもなりかねません。

ですので、応援していただいている株主のみなさまには大変心苦しいですし、できるだけ私たちも正直にお伝えして日々のエキサイティングな状況をできるだけリアルタイムに、アップデートを包み隠すことなく共有したい気持ちはありますが、EV充電事業に関しては、非開示の情報を多く持たせていただければと思っています。

結果的には私たちが圧倒的にこの市場を勝ち切るかたちで、売上・利益の数字をもって株主のみなさまに還元していこうと思っています。株主のみなさまからも、さまざまなかたちでお問い合わせをいただきますが、EV充電に関してはかなりの情報を今後非開示にしていくことをご了承いただければと思います。

EV充電 KPI

そのような中でも、KPIである受注台数は今年も開示していく予定です。第4四半期についに1,000台を超える受注を実現し、合計2,500台まで迫ってきました。6月末までに3,000台という目標を優に達成できると考えています。ここから毎四半期1,000台は見込めると思っており、ここからどれだけ伸ばせるかという状況まで立ち上がってきていますので、ご安心いただければと思います。

EV充電 事業環境の見通し

事業環境の見通しに関しても、EV・PHVの普及はしっかりと進んでいます。昨年は半導体不足の話もあり、自動車メーカーが新規の販売を停止するなど、第4四半期にやや足踏みがありましたが、それでもYonYでは非常に伸びています。

さらに、今年も岸田政権の下、政府がGXを推進していく方針の中で、EV充電のインフラに対しても補助金をさらに増額していくことが発表されています。まさに、マクロ環境が絶好調ということがEV充電事業の状況ではないでしょうか。

EV充電 競争優位性

こちらも、あらためて競争優位性について整理しています。EVドライバーであるユーザーの視点で見ると、充電器を「探す」「充電する」「支払う」の3つのプロセスがあります。

1点目の「探す」に関しては、私たちはEVドライバーの9割が利用するアプリ「EVsmart」の買収を昨年に完了しています。

まさに、「EVsmart」が日本中のEV充電の情報を管理しています。その情報は「EVsmart」のアプリだけではなく、「NAVITIME」「Google マップ」「Appleマップ」、さまざまな車のカーナビとも連携しています。その中で、ENECHANGEのEV充電の情報は常にリアルタイムにアップデートされ、満空室情報まで連携されます。そのような意味では、ENECHANGEのEV充電器は使いやすく、見つけやすいという状態です。

2点目の「充電する」については、私たちは日本で唯一6キロワット充電を大型に展開している会社です。以前もお伝えしたとおり、3キロワット充電と6キロワット充電では、充電速度が倍違います。3Gと5Gのようなものだと思ってください。値段が同じだったら、3G回線と5G回線のどちらを使いますか? 当然、5G回線ですよね。

まさにそれと同じで、競合が設置している3キロワット充電と当社が設置している6キロワット充電では、どちらを使いますか? 私もEVドライバーですが、EVのユーザー視点で見ると、当然6キロワットのほうが便利ですよね。そこで、私たちは6キロワット充電の日本ナンバーワンの会社になっています。

3点目の「支払う」については、今回大きな発表がありますので、後ほどご紹介します。e-Mobility Powerさまとの連携の上、ENECHANGEは「支払う」もナンバーワンになるかたちで、競争優位性のある圧倒的な勝ちパターンを作れたのではないかと大変誇りに思っています。

EV充電 事業方針

事業方針についてです。EV充電事業はまだまだ伸びます。今、EVの新車販売比率は昨年の1年間で2.7パーセントです。2025年に8パーセント、2030年には24.5パーセント、2035年には50パーセントが見込まれています。

「自動車産業は100年に一度の転換期」ということで、ニュースでも言われていますが、ルノーグループさまと日産自動車さまの提携の見直しなども含めて、今、自動車業界は大きく変革してきています。今後はEVが伸びるため、大きく変革しているのです。

2030年、2040年の目標は、グローバルコンセンサスです。50パーセントでも少ないくらいで、アメリカやヨーロッパでは60パーセント、70パーセント、80パーセントという数字です。保守的に見て50パーセントですので、圧倒的に伸びると考えています。これだけ確約されたトレンドの中で、ここに投資するしかないと思っていますので、引き続き積極的な投資を実行していきます。

ENECHANGEのテレビCMをご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、充電器のゼロ円での設置に取り組んでいます。ただし、誰にでもばらまいているわけではありません。あくまでも利用が見込まれる優良な立地に対して、それを押さえるためにゼロ円で設置しています。

さらに、補助金を活用することで、できるだけ投資バランスがよく、財務比率や収益性が合うように設置していくかたちで、大胆かつ緻密に計画された投資を行っています。それが当社の戦略であり、だからこそ今は赤字を出しています。

この上半期も赤字を出しますが、下半期からは黒字にできるとお伝えしているのは、まさにそのような投資の回収目途が十分に立つ緻密な計画のもとにできているからです。なぜできるのかは企業秘密ですので詳細は開示しませんが、みなさまには四半期ごとの数字で結果をお見せできればと思っています。

EV充電 e-Mobility Power社との提携

先ほど割愛したe-Mobility Powerさまとの提携に関してお話しします。e-Mobility Powerさまは、日本のトヨタ自動車さま、日産自動車さま、本田技研工業さま、三菱自動車工業さま等が出資して作られました。

彼らの車を買うと、充電カードというものがおすすめされます。こちらは日本のほとんどのEVドライバーが持っており、海外メーカーもほとんど入っています。さまざまなカードが販売されているのですが、そのシステムを提供しており、日本で一番の急速充電ネットワークを持っているe-Mobility Powerさまと提携させていただきました。

e-Mobility Powerさま、もしくは自動車会社のカードを持っているお客さまは、その充電カードのプランの中でENECHANGEの充電器をご利用いただけます。どういうことかといいますと、多くの方は月額3,000円から5,000円を充電カードに払っており、定額で普通充電を利用できるという契約になっています。

今までは、充電カードを持っている方がENECHANGEの充電器を使用した場合は、ENECHANGEのアプリをインストールしてクレジットカードを登録し、その都度追加でENECHANGEにお金を払わなければいけませんでした。

しかし、e-Mobility Powerさまのカードを持っている大半の日本のEVドライバーはENECHANGEのアプリのインストールやクレジットカードの登録をせず、すでに持っているカードをピッとタッチするだけで支払いまでできてしまいます。

しかも定額料金で契約している方であれば、追加料金が発生せず、無料で使えるような感覚です。ですので、EVドライバー待望の「ENECHANGEの充電器がe-Mobility Powerの自動車充電カードに対応した」という状況になっています。

これにより、日本のかなり多くのEVドライバーがENECHANGEの充電器をより使っていただける状況になるのではないかと思っています。充電器の稼働率向上にもつながると思っていますし、当然私たちしか対応していませんので、競合企業に対してより優位性が強くなり、私たちのEV充電器がさらに売れることにつながると確信しています。e-Mobility PowerさまとENECHANGEが提携できたことは非常に大きな一歩であり、心から光栄に思っています。

データ 売上高・営業損益

データ事業についてご説明します。売上高、ストック型収益に関しては着実に伸びていますし、利益も着実に確保できています。

データ KPI

KPIの1つのドライバーとして、「EVSmart」が自動車会社や地図提供会社等にSaaS的に充電情報を提供するという事業を継承したことにより、今までは電力会社が中心の顧客数でしたが、自動車会社や地図会社にも拡大して顧客数が増加しています。ARPUも現状維持できており、事業の多角化も進んでいることから、より骨太になってきていることがわかると思います。

データ 競争優位性

データ事業の競争優位性は3つあります。私たちは電力エネルギーに特化したクラウド型のSaaS事業を、さまざまな電力会社や自動車会社に中立的なプラットフォーマーとして提供しています。クラウドでさまざまな会社に提供し、すべてのデータをENECHANGEに一元的に集めるからこそデータベースが溜まります。

また、ソフトウェア資産はあくまでENECHANGEに帰属するため、知財やノウハウが溜まり、エンジニアの熟練度や習熟度がどんどん上がってきます。そのようなかたちで「データベース」「ソフトウェア」「エンジニア」の3つにおいて、ENECHANGE独自のユニークなノウハウを蓄積していることが強みだと思っています。

データ 事業方針

事業方針としては、私たちは創業から「自由化」「デジタル化」「分散化」「脱炭素化」の4Dについてお話ししています。もともと電力自由化関連のソフトウェアを中心に事業を伸ばしてきており、今はエネルギー危機による予算削減の中で、足踏みしている状況ではあります。

しかし、昨年から調子が良くなりはじめたスマートメーターのデータを活用したデマンドレスポンス、省エネ、「EVSmart」の買収により、日産自動車さまをはじめとするさまざまな自動車会社や地図会社等々へのチャネルが開けたEV、東京電力さまと取り組んでいる再生可能エネルギーなども引き続き盛り上がってきています。

この電力自由化から4Dに対して、さまざまなエネルギー事業者のニーズに応えたバーティカルSaaSに取り組んでいくことで、すでに顧客数は60社以上となり、エネルギー業界に特化したBtoBとしてはそれなりの水準になってきています。今後はARPUを上げる取り組みもしっかりと行っていきたいと考えています。

ENECHANGE = GX(グリーン・トランスフォメーション)企業

中長期の戦略に関して簡単にご説明します。ENECHANGEはグリーン・トランスフォーメーションを推進する企業です。今年から政府がGX戦略を掲げていますので、私たちもそれに則ってGXという言葉をしっかり使っていきたいと思っています。6個のカーボンゼロ実現への道筋がある中で、プラットフォーム事業とデータ事業はまさに「電力網を脱炭素化する」事業です。また、EV充電事業はまさに「交通を電化する」事業です。GXの1番目と2番目の重要な項目を担う事業そのものがENECHANGEであると考えています。

恵まれた市場環境

GXという政府の掛け声に私たちは大変励まされていますし、国連が定めるSDGsの中においても脱炭素化は重要です。さらに、ロシア・ウクライナ戦争を受け、「海外にエネルギー依存していると危ない」と、エネルギーセキュリティの重要性が高まっています。よって、再生可能エネルギーやEVなど、できるだけ国内で自給できるエネルギーで経済を回していくことの重要性が大変高まっています。

また、先ほどのルノーグループさまと日産自動車さまの話や、トヨタ自動車さまの新しい展開にもあったとおり、まさに自動車産業の100年に一度の大きな転換点にも立っています。

特に新しい世代は「グリーンに投資したい」「グリーンな会社で働きたい」などの意欲も強まっています。鉄板のマクロトレンドで10年間20年間を確約され、絶対伸びると信じられるトレンドにいる数少ない業界だと思っていますので、私たちは恵まれた市場環境でビュンビュン追い風を受けていると考えています。

GX市場の広大な市場機会

そのような中で、GX市場の広大な市場機会については、日本国内において1.2兆円のTAMがあると試算しています。プラットフォーム事業やデータ事業でも十分大きな市場規模があるのですが、EV充電事業の目的地充電だけで見ても9,000億円の市場があります。

ガソリン市場が切り替わり、非常に大きな市場が出てくる中において、まずは国内に集中しても十分大きな会社が作れると思っています。この市場で売上100億円から300億円という単位に行くまでは、徹底的に日本市場に集中してナンバーワンの地位を取りに行くことを目指していきたいと思っています。

2023年度取締役会体制

2023年度の取締役会体制に関してご説明します。あくまでも3月末の株主総会をもって決定する事項ですので、現時点では推薦予定となりますが、今回は元経済産業省事務次官の安達健祐さまにご就任いただけるという内諾をいただいています。

安達元事務次官は、政府の中枢で電力自由化を牽引してこられた方であり、まさにエネルギー業界の大御所中の大御所です。まだまだグロース市場で大赤字を出しているENECHANGEの社外取締役を引き受けていただけることは、身に余る光栄だと思っています。

しかしながら、安達さまのお力添えが必要なぐらい、電力業界・エネルギー業界は政府、政治と連携して取り組んでいかなければいけない、国の根幹に関わることです。EV充電事業は今後もGX戦略のコアにありますので、国とともに戦略を作っていかなければいけませんし、国からの補助金も含めて、一定程度は国の支援をいただかない限り、まだまだ事業として独り立ちできない状況です。そのような意味で、国と連携を強化していくことも大事です。

加えて、電気の切り替え、データ事業においても、2016年に電力自由化が行われて7年経ちますが、今は大手電力のカルテルの問題、談合の問題、そして情報漏洩の問題などでモラルやコンプライアンスが問われ、電力自由化自体がないがしろにされている危機的な状況にあります。

これをしっかりと是正して、きちんと健全な競争環境を実現していかない限りは電力自由化の未来はありませんし、GXの未来もありません。そのため、私たちは決して自社の利益のためだけではなく、日本のGXと電力産業自体を本当に強くしていくために、政府ともしっかりと連携しながら発信していかなければいけないと考えています。

そうした中で、今回は安達元事務次官にENECHANGEと政府の橋渡し役として、社外取締役ご就任の内定をいただいていることは、本当に身に余る光栄であり、身が引き締まる思いです。しっかりこの機会を活かして、私たちの声や思い、志を国に伝え、国とともに新しい日本のエネルギー、GXを作っていかなければいけないと強く決意しています。

さらに、取締役会をスリム化するという意味で、これまで共同代表というかたちで代表取締役の2名体制をとっていましたが、今回から1名体制にします。

2023年度執行役員体制

一方で、代表取締役COOの有田氏、および昨年に取締役だった曽我野氏に関しては、引き続き上級執行役員というかたちで、私とともに3人でマネジメント執行体制を担っていくことを想定しています。

また、EV充電事業は、大変強力なメンバーが昨年ジョインし、充実した執行役員体制が整っていると思っています。ただし、日本人と外国人という意味でのダイバーシティは確保されていると思っていますが、男性ばかりで女性がいないことが課題点だと認識しています。

社員全体で見るとどんどん女性社員は増えていますので、今後は女性社員も積極的に執行役員レイヤーに登用していくことで、ダイバーシティが確保された経営体制を作っていきたいと思っています。現時点では一見そうは見えませんが、課題としては十分認識していることをご理解いただければ幸いです。

2023年は「満充電で再スタート」の1年に

最後になりますが、「2023年は『満充電で再スタート』の1年に」と掲げています。高い売上目標と、下半期に黒字化していくという高い利益目標を掲げているつもりではありますが、十分達成できるという確信があるからこそ、この段階で開示に踏み切っています。

実際に期中にはそれを超えるような数字を出して、投資家のみなさまを良い意味で驚かせていきたいと思っています。昨年1年間の苦しかった時代を経て、ENECHANGEは「ついにEV充電事業が車庫から『満充電で再スタート』する」ということを、メッセージとしてしっかりと覚えていただけたらと思っています。

長時間、私たちのプレゼンテーションに付き合っていただき、ありがとうございました。2023年もどうぞENECHANGEを見守っていただければ幸いです。

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