相場展望9月26日 米国株は6/17の1番底に到達⇒新1番底をねらう展開へと進む 日本株は、底堅い展開が継続も、岸田政権の信頼性に相場が警告の可能性も

2022年9月26日 10:46

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/22、NYダウ▲107ドル安、30,076ドル(ロイターより抜粋
  ・前日の米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げを受け、ハイテクなどのグロースが売られ、米国株式市場の主要3指数が揃って3日続落した。
  ・FRBは9/20~21に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、FF金利の誘導目標を+0.75%引上げ、3.00~3.25%とした。年内に同規模の利上げを少なくとも1回実施する可能性を示唆した。パウエルFRB議長は、インフレ抑制に向け手を緩めることはないと明言した。
  ・SP500の主要11セクターのうち、9セクターが下落。一般消費財が▲2.2%、金融が▲1.7%下げた。
  ・米国債利回りが11年ぶりの高水準をつけたことを受け、アマゾンやエヌビディアなど大型ハイテク株やグロース株は▲1~▲5.3%安。情報技術セクターは年初来で▲28%安と、指数の▲21.2%安から下回っている。
  ・ボストン・パートナーズは「インフレが高止まりし、FRBが利上げ路線を堅持すれば、景気後退に陥り、業績予想が大幅に引下げられる」と指摘。「そうなればSP500が、6月中旬の安値である3,636を下回り、年初来安値を更新する」と述べた。
  ・航空大手は旅行者増を受けて株価は回復していたが、9/22はユナイテッド航空▲11%、アメリカン航空が▲3.9%下落。3日間の下げは、ユナイテッド航空▲11%、アメリカン航空が▲10.6%となった。

【前回は】相場展望9月22日 FOMCイベントで急落⇒その後、短期的反発を見込む 金利は上昇を続け、景気後退は必至⇒株は大幅下落を予想

 2)9/23、NY▲486ドル安、29,590ドル(ロイターより抜粋
  ・米連邦準備理事会(FRB)のタカ派的な金利政策が米経済を後退させるとの懸念の中、ポジション調整の売りが出て、米国株式市場は大幅安で取引を終えた。NYダウは1/4の過去最高値36,799から▲19.6%安と、▲20%を辛うじて回避した。高値からの▲20%安は弱気相場入りを意味する。SP500とナスダック総合は既に弱気相場入りをしている。
  ・週間では、ナスダックが▲5.03%安と2週間連続で▲5%超の下げを記録。SP500は▲4.77%安、NYダウは▲4%それぞれ下げた。
  ・トレードステーションは「インフレがコントロールされつつあるという楽観論があったが、FRBは事実上、そのような見方を黙らせた」と指摘。「FRBは雇用市場がまだ堅調なうちにインフレを止めようとしている」と述べた。
  ・米宅配大手フェデックスは9/22、需要の落込みで6~8月期の利益が悪化し、2023年に22~27億ドルのコスト削減を発表。このような企業からの厳しい見通しも重荷となった。フェデックス株価は▲3.4%安となり、2020年6月以来の安値をつけた。
  ・リフィニティブは、SP500の7~9月の利益成長率予想は+4.6%と先週+5%から低下。
  ・OANDAは「FRBがどこまでやるのか皆が再評価している。米経済のハードランディングがベースシナリオになりつつあり、米国株にとって最悪の環境だ」と述べた。
  ・SP主要11セクターは全て下落。エネルギーが▲6.8%下げた。景気後退での需要懸念やドル高を受け原油価格が値下がりし、石油・ガス関連銘柄が売られた。

●2.米国株:米国株は6/17の1番底近辺に到達⇒新1番底を狙う展開へ

 1)NYダウは1/4高値からの下落率が▲19.6%と、弱気相場入りとなる▲20%に9/23接近
  ・NYダウ推移  1/4    6/17   8/16   9/23
     NYダウ 36,799ドル 29,898  34,152  29,590(1/4から▲19.6%下落)
     下落幅     ▲6,901  +4,254  ▲4,562

 2)SP500は節目となる3,800は既に割込んで、9/23は3,693まで下落し、次は6月の弱気相場で記録した3,666が抵抗ラインとして注目される。

 3)恐怖指数(VIX)指数は29.92と、3カ月ぶりの高水準となった。

 4)米金利の上昇が止まらない
               8/16 ⇒  9/23
  ・米国10年物国債利回り 2.804%   3.710%
  ・米国02年物国債利回り 3.257    4.203

 5)FRBは、さらなる金融引締めを継続⇒景気後退は避けられず⇒株価にとっては厳しい試練

●3.欧州中央銀行(ECB)は預金金利が来年6月までに3%に上昇を市場は織込む(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/22、上海総合▲8安、3,108(亜州リサーチより抜粋
  ・人民元安の進行、資金の海外流出が警戒される流れとなった。
  ・米金融当局が積極利上げを継続すると警戒される中、9/22の上海為替市場で対ドルの人民元は一時、2年3カ月ぶりの元安水準に落込んだ。米ドル高の勢いが止まらず、元安がさらに進む恐れもある。
  ・国際機関や大手投資銀行が中国のGDP成長見通しを相次ぎ引下げたことも不安視。
  ・ただ、株式を大きく売り込む動きはみられない。このところの下落基調を受け、値ごろ感が着目されているほか、中国の経済活動正常化や景気テコ入れ策に対する期待感も支えとなっている。
  ・業種別では、不動産の下げが目立ち、消費関連も安い。エネルギーはしっかり。

 2)9/23、上海総合▲20安、3,088(亜州リサーチより抜粋
  ・人民元の進行が警戒される流れとなって、3日続落し約4カ月ぶりの安値水準に低迷。
  ・米金利高を背景に、今週の外国為替市場で対ドルの人民元は、連日で元安が進んだ。
  ・中国本土からの資金流出不安も高まった。
  ・中国景気の先行き不安も続いている。
  ・国際機関や投資銀行などは相次いで、中国の経済成長率の予想を下方修正した。
  ・ただ、中国の経済活動正常化や、景気テコ入れ策に対する期待感が根強い。また、このところの下落基調を受け、値ごろ感も着目された。
  ・業種別では、ハイテク関連の下げが目立ち、石炭・自動車も売られた。保険は高い。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/22、日経平均▲159円安、27,153円(日経新聞より抜粋
  ・9/21まで開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場の想定よりも強い金融引締めを長く続けるタカ派姿勢が示された。
  ・景気悪化懸念から米国株が大幅に下落し、日本株も売りが優勢となり一時▲360円安。
  ・タカ派的な米連邦準備理事会(FRB)のスタンスが嫌気され、海運・精密機器など景気敏感株の下げが目立った。
  ・日銀の金融政策決定会合を経て円安が進み、自動車など円安恩恵株が買われ、次第に下げ幅を縮小。
  ・相場が下げた場面では個人投資家などの押し目買いが入った。
  ・市場では「企業業績への円安の恩恵、水際対策の緩和と日本独自の好材料がある。軟調な米国株との連動性は断ち切れないとはいえ、日本株の底堅さに期待する声は多い」との声があった。
  ・川崎汽船・リクルート・太陽誘電・SBG・サイバーが安く、SUBARU・三菱重が上昇。

 2)9/23、祝日「秋分の日」で休場

●2.日本株:米国株の下落率に比べると、日本株は底堅さを継続、政権の動揺で10月相場に警戒

 1)NYダウと日経平均の比較
  ・NYダウは8/16高値34,152ドル⇒9/23安値29,590ドルと、下落幅▲4,562ドル、下落率▲13.7%。対して、日経平均は8/17高値29,222円⇒9/22安値27,153円と、下落幅▲2,069円、 下落率▲7.1%。

 2)日経平均が底堅い要因
  ・その要因は、
   (1)円安の恩恵を受ける輸出関連株が、日経平均構成銘柄でウェートが大きい。
   (2)日銀による超金融緩和策が継続している。(米国は金融引締め策に転換)
   (3)9月中間決算銘柄が多いため、配当権利・配当再投資・自社株買いなどによる買い需要がある。(米国は12月決算銘柄が多数を占める)

 3)9月の日本株相場を支える要因が消える10月相場に警戒、特に政治が安定せず
  (1) 岸田政権支持率低下は、政治の動揺を嫌う株式相場にはマイナス要因。
   ・政権誕生から1年経過したが、当初に掲げた政策の実現可能性は消滅状態。
   ・バイデン大統領とホワイトハウスでの会談・共同会見が1度も実現できず。岸田首相・林外務大臣の親中国寄り政権を、米国は信頼していない可能性。
   ・世論調査を意識した、内容の薄い政治的パフォーマンスだけが目立つ。
    旧統一教会問題への煮え切らない姿勢
    国民の支持を得られない国葬
    強いリーダーシップの無さ

  (2) 外国人投資家が一番嫌うのは「政治の不安定」であり、「売り要因」となる。

●3.10/11から入国者数の上限を撤廃、ビザなし渡航も解禁(ブルームバーグ)

●4.企業動向

 1)トヨタ   ロシアの工場を閉鎖へ、再開見込めず生産活動終了(NHK)

■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)

 ・2685 アダストリア   業績好調。
 ・4911 資生堂      黒字転換。
 ・6289 技研製      業績堅調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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