2022年賃上げ、労使とも2%見通し ベア、経営側の4割超が「実施しない予定」

2022年2月9日 09:01

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記事提供元:エコノミックニュース

労務行政研究所が「賃上げ等に関するアンケート」。2022年の賃上げ見通し、労働側6428円、2.05%、経営側6423円、2.04%で両者は近接

労務行政研究所が「賃上げ等に関するアンケート」。2022年の賃上げ見通し、労働側6428円、2.05%、経営側6423円、2.04%で両者は近接[写真拡大]

 岸田政権は「新しい資本主義」を掲げ「分配と成長の好循環」を実現するとしている。即ち再分配重視の経済政策を行うということであるが、日本は20年以上もの間、十分な賃金上昇が見られず、ここ10年では円安による輸入物価インフレ等もあり消費低迷の状況が続いている。コロナ禍の経済制限が徐々に解除され世界的な資源需要の急増で輸入品を中心に企業物価が高騰し、すでにこの物価上昇は消費者物価の上昇にまで波及している。コロナ禍の消費低迷の中、実質賃金の低下によるさらなる消費低迷を抑制する上でも22年の賃上げは是非とも実現したいところだ。

 2月2日に民間機関の労務行政研究所が実施した「賃上げ等に関するアンケート」(調査期間:2021年12月~本年1月、回答者:労働側209人、経営側94人、専門家103人の合計406人)の結果レポートが公表された。これによれば22年の賃上げ見通しは労使ともに2%程度でほぼ一致している。全回答者の平均では「6277円、2.00%」(定期昇給分を含む)となっており、労使別に見た平均値は、労働側が「6428円、2.05%」、経営側は「6423円、2.04%」で両者に大きな開きはない。2.00%という水準はコロナ禍の20年における主要企業賃上げ率と同水準で、ここ10年の中でも決して高いレベルであるとは言えない。

 自社における定期昇給・ベースアップの実施予定について聞いた結果では、定期昇給については、労働側の「実施すべき」が89.0%、経営側の「実施する予定」は87.2%となっている。一方、ベースアップについては、労働側の「実施すべき」が70.8%と大勢を占めているのに対して、経営側では「実施する予定」は17.0%にとどまり、「実施しない予定」が43.6%で最も多く、「検討中」が36.2%とやはり4割近くを占めており、労使の意識に大きな差が見られる。

 経営側での21年のベースアップ実績をみると、22年「実施予定」と回答した17.0%のうち21年に「実施した」は11.7%、「実施しなかった」は5.3%となっている。22年「実施しない予定」と回答した43.8%のうち21年に「実施した」は3.2%、「実施しなかった」は38.3%となっている。「検討中」と回答した36.2%のうち21年に「実施した」が11.7%、「実施しなかった」24.5%となっており、これらの数字を考慮するとベースアップ実施企業は2割台、6割以上はベースアップなしとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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