コロナ関連の破たん1954件に 制限緩和期待などから株価は上昇 東京商工リサーチ

2021年9月11日 11:58

印刷

 東京商工リサーチは10日、コロナ禍の影響で経営破たんした国内事業者数が1週間で30件増え、累計で1,954件(負債1,000万円以上)に達したと発表。緊急事態宣言が19都道府県で30日まで延長されるなど、飲食業を中心に厳しい状況が続く。一方、感染者数の減少に加え、首相交代による経済活性化への期待から8日には日経平均が約5カ月ぶりに3万円台を記録するなど、株式市場は先行して回復しつつある。

【こちらも】8月の倒産件数は466件、過去50年間で最少 コロナ関連は高水準続く 東京商工リサーチ調査

 東京都は10日、都内で新たに確認された新型コロナウイルス感染者数が1,242人、死者が15人だったと発表した。19日連続で前の週の同じ曜日を下回り、10日までの1週間における1日当り新規感染者の平均は1,652人と、前週の2,890人や前々週の4,185人から大幅に減った。田村厚生労働大臣は10日、このまま順調に減少が続けば30日で緊急事態宣言を解除できるのではないかとの見通しを示した。一方、重症者数は多く、医療が逼迫している状況はまだ大きくは改善されていない。

 政府は9日、東京や大阪を含む19都道府県への緊急事態宣言を30日まで延長すると決定した。今回対象地域から外れたのは岡山県と宮城県で、いずれも、まん延防止等重点措置へ移行する。東京商工リサーチが居酒屋の2020年度における業績を分析したレポートによれば、減収企業が92%、赤字企業が69%だった。9日には政府が行動制限を段階的に緩和する方針を示したものの、変異ウイルスの拡大リスクを懸念する見方もあり、酒類提供をメインとする飲食店は厳しい状況が続く。

 トヨタは10日、9~10月の世界生産台数を約40万台減らすと発表した。8月中旬に続く減産の発表で、今回は2022年3月通期の生産台数も下方修正した。東南アジアなどの地域でコロナの感染拡大から生産拠点が稼働停止しているほか、半導体不足が原因。一方、利益予想は変更しなかった。

 8日には日経平均が約5カ月ぶりに3万円台で終え、10日には30,381円まで回復した。けん引したのはコロナの影響で業績が低迷する対面型サービスや、再生可能エネルギー関連の企業。前者は、コロナ対策について新政権が菅総理と比べ経済活動との両立を重視するとの期待が後押しした。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間11日午前10時時点で2億2,366万人超、死者数は461万人超。国別の最多は米国の4,075万人超、次いでインドが3,317万人、ブラジルが2,097万人。以下、イギリス720万人、ロシア700万人、フランス697万人、トルコ659万人と続く。

 直近4週間では、米国で429万人以上増えたのが目立つほか、インド、イギリス、イラン、ブラジル、フランス、マレーシア、トルコ、ロシア、日本で50万人以上増えた。日本は累計162万人を超えた。

 かかる状況下、東京商工リサーチは新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、10日時点で1,954件(負債1,000万円以上)に達したと発表。負債1,000万円未満の小規模倒産を含めると2,061件。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで2万1,089人に達した。

 コロナ禍による経営破たん件数は、引き続き、首都圏の飲食関連を中心に増えている。また、トヨタが減産を発表するなど、コロナの影響は飲食業など対面型サービスに限らない。一方、今後は行動制限が緩和されるとの期待も広がる。(記事:dailyst・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事