8月の倒産件数は466件、過去50年間で最少 コロナ関連は高水準続く 東京商工リサーチ調査

2021年9月9日 07:57

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 東京商工リサーチが8月の倒産状況を発表し、倒産件数が8月としては過去50年で最も低かった一方、新型コロナウイルス関連の倒産件数は高い水準が続いていることが分かった。

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■8月の倒産件数が過去50年間で最少

 8日、東京商工リサーチが8月の倒産状況を発表した。2021年8月度における全国企業倒産(負債額1,000万円以上)件数は466件で、前年同月比30.1%減だった。3カ月連続で前年同月比マイナスとなっただけでなく、8月の倒産件数としては1990年の514件を下回って過去50年間で最も少ない件数だった。

 負債総額は909億7,300万円で前年同月比25.62%増。主な大型倒産はペリコプター賃貸・販売のユーロテックジャパン(負債総額72億円、以下同じ)、病院経営の友愛会(52億円)、太陽光発電事業のホームランソーラーパーク(35億8,000万円)、自動車部品製造のジャス(34億1,800万円)、中古車販売・整備のFATE(29億円)など。10億円以上の大型倒産が前年の13件から25件と大きく増えたことで前年同月より負債額は増加。ただし負債1億円未満の倒産件数は338件(全体の72.5%)で、零細・小規模企業の倒産割合が大半を占める傾向は続いている。

■サービス業他など8産業で減少

 産業別の倒産件数で最も多いのはサービス業他の174件(前年同月比:16.74%減、以下同じ)。以下、建設業77件(29.35%減)、小売業63件(32.25%減)、卸売業56件(46.15%減)などとなっており、10産業のうち8産業で前年同月から減少。増加したのは農・林・漁・鉱業が6件(前年の2倍)、金融・保険業が3件(前年はゼロ件)の2産業。

 地区別では9地区中8地区で前年同月から減少。前年同月より増加したのは四国地区の16件で、前年の5件から3.2倍。他の地区は北海道が6件(前年同月比:45.4%減、以下同じ)、東北が27件(12.9%減)、関東が176件(28.1%減)、中部が50件(45.0%減)、近畿が121件(36.9%減)、中国が21件(27.5%減)、九州が39件(17.0%減)となっている。

■コロナ関連の経営破綻は高水準が続く

 一方、8月の新型コロナウイルス関連の経営破綻件数は124件。2021年最多だった6月の155件から、7月の140件と8月の124件と2カ月連続で減少したものの、2月に122件となって以降7カ月連続で100件超えの高い水準が続いている。1月から9月直近までの累計は1,934件(この他に負債1,000万円未満が107件)で、昨年の843件の約2.3倍。

 業種別で最も多いのは飲食業の349件。緊急事態宣言が続くことで飲食業の経営破綻が「さらに増加する可能性が強まっている」という。以下、建設業187件、ホテル・旅館93件、食品卸売92件、アパレル小売74件、アパレル卸売65件、食品製造59件、不動産業38件、食品小売38件と続いている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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