相場展望12月31日号 年末のお化粧買いは成功、新年は『つまずき』に注意

2020年12月31日 08:11

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)12/28、NYダウ+204ドル高、30,403ドル
  ・追加経済対策法案の成立を好感してNYダウは一時+310ドル高となった。

【前回は】相場展望12月28日号 「閑散に売り無し」が続く、「掉尾の一振り」に期待

 2)12/29、NYダウ▲68ドル安、30,335ドル
  ・新型コロナのワクチン普及への期待があるが、感染拡大が依然として歯止めがかからず、高値警戒感から利益確定売りが強まった。(NHK)
  ・NYダウは一時▲130ドル近くまで下げたが、年末のお化粧買いがあり、下げ渋る。

 3)12/30、NYダウ+73ドル高、30,409ドル
  ・ワクチンの接種普及が来年の景気回復期待が支えになるとして、反発した。(日経新聞)

●2.巨大IT企業の株価は12/28、軒並み上昇(ブルームバーグ)

 1)アップルは終値ベースで最高値更新
  ・今年+85%余り値上がりし、上昇率は2年連続で+80%超す勢い。

 2)フェイスブック、アマゾン、アルファベットなども上昇。

●3.トランプ大統領は12/27、コロナ追加経済対策法案に署名し同法は成立した(毎日新聞より抜粋

 1)これにより、2021会計年度の連邦政府の歳出法案も成立し、政府機関の一部閉鎖は回避された。

 2)追加経済対策の総額は9,000億ドル(約93兆円)規模
  内容:(1)国民1人当たり最大600ドル(約6.2万円)の現金給付。
     (2)失業手当を週300ドルの加算措置。
     (3)新型コロナで苦しむ中小企業支援として3,250億ドル。

●4.欧州連合(EU)

 1)EUはファイザー製のコロナワクチン2億回分の納入完了は来年9月まで。(ロイター)
  ・EUは人口4.5億人で、米ファイザー、英アストラゼネカ、米J&J、米モデルナ、仏サノフィ、独キュアバックと合計20億回分の事前購入契約を結んでいる。

  ・ワクチンの配布の殆どが2021年末までに完了する見込みとEU報道官は述べた。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/28、上海総合指数+1高、3,397
  ・12/27発表の工業利益の伸びが拡大し、中国景気改善が株式市場を支えている。
  ・だが、中国当局によるネット業界への規制強化姿勢が投資家心理を重くし、一進一退の展開となった。(日経新聞)

 2)12/29、上海総合指数▲18安、3,379
  ・年末が近づき、利益確定売りが優勢となり、高値圏の電気自動車(EV)関連を中心に下げた。(日経新聞)

 3)12/30、上海総合指数+35高、3,414
  ・中国景気の回復期待が景気敏感株を物色する動きが広がった。
  ・これまで売られていたハイテク株が上昇した。(日経新聞)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)12/28、日経平均+197円高、26,854円
  ・トランプ大統領が米追加経済対策法案に署名したとの報で、期待感から先物が上昇し、日経平均も上げ幅を広げた。(日経新聞)
  ・日経平均は値嵩株の東京エレク、ファーストリテイ、中外製薬、TDKなどの寄与が大きく+197円高となった。
  ・ただ、東証1部を見ると値上がり銘柄数は724に対して、値下がり1,377と歪な日経平均の上昇展開ではある。

 2)12/29、日経平均+714円高、27,568円
  ・日経平均27,000円を突破、海外勢は年末のお化粧買いだけでなく、来年の株高を見込んだ「全集中」買いで「掉尾の一振り」。(日経新聞)

 3)12/30、日経平均▲123円安、27,444円
  ・この2日間で+900円超のスピード上昇と、30年ぶり高値達成もあり、売りが出やすかった。
  ・ただ、押し目買いの強さも見られた。

●2.今週の株価高騰の要因

 1)超閑散相場は、格言「閑散相場に売りなし」の通り、わずかな買いで株価が上昇しやすい地合いが先週から醸成されていた。

 2)節税のための含み損株式の売却と、抱き合わせの含み益株式の売りも先週で終わり、売り手が消えた時期が今週だった。

 3)更に、クリスマス休暇のため普段は売主体となる外国人投資家の多くが株式市場から離れていた。

 4)米株式市場が、(1)米追加経済対策法案の成立と、(2)年末のお化粧買いで、続伸した。それを受けて日本株式市場でも(1)年末特有のお化粧買いに絡めて、(2)短期筋の先物買いが入った。

 5)思惑以上の株価大幅上昇となったため、裁定取引による現物買いが加わったことが追い風となった。

 6)システム買いも加わって、上がるから買うという状況になった。

 7)外資系の売り方不在のなか、売り方の買い戻しが入って、更なる急騰につながった。

●3.今後の懸念材料

 1)12/29の急騰にもかかわらず、外資系は閑散のなか日中市場で▲4,633枚もの売り越しに転換した点に注目。

 2)日経平均の上昇に対して、この1年間一貫して売りスタンスの野村が、12/29に突然、大量の+3,535枚を買い戻した。その野村の買い戻しが、+714円急騰の大きな要因の1つとして働いた。これはクライマックスの前兆かも?

 3)欧米で新型コロナ感染拡大が弱まる気配がなく、景気回復を冷やすとの懸念がある。

 4)米NYダウの株価収益率(PER)が30倍近くになっており、過去推移から見ると高水準で伸び切った感がある。

●4.新年の留意点・・・『つまずき』に注意

 1)景気回復の期待感から株高先行となって、企業業績と大きく乖離しているだけに、『つまずき』に注意したい。

●5.企業動向

 1)ニトリ  島忠へのTOB成立し、完全子会社化へ(NHK)
       ・株式公開買付け(TBO)で、株式の77%余りの応募があり、TOB成立。
       ・残る株式についても買い取り完全子会社とする方針。

 2)日本板硝子 新型コロナの影響で、世界で2,000人の早期退職募集(時事通信)

●6.企業業績

 1)ニトリ  2021年2月期業績予想据え置きと石綿問題で株価下落。(日経新聞)

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・6754 アンリツ      5G関連に期待。
 ・4661 オリエンタルランド レジャー回復に期待。
 ・2427 アウトソーシング  製造業回復に期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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