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相場展望9月4日号 米国株: トランプ事案が最高裁へ、不透明感強まり米国株安へ 日本株: 海外短期筋が、朝方だが売り始めたため、慎重に
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)9/1、祝日「レーバーデー」で休場
2)9/2、NYダウ▲249ドル安、45,295ドル
3)9/3、NYダウ▲24ドル安、45,271ドル
【前回は】相場展望9月1日号 米国株: トランプ「米国の王様」の最終目的は「ノーベル平和賞」授章 日本株: 個別銘柄のチャートで、多くの銘柄に「売り」サインが目立つ
●2.米国株:トランプ決断を巡る不透明感が強まり、米国株安へ
1)トランプ決断を巡る不透明感が強まり、米国株安へ(8/28⇒9/3、▲0.8%安)
(1)不透明感の内容:トランプ政策が行詰まりを見せる
・トランプ関税:「相互関税」は連邦議会の権限を侵すという高裁判決。「フェンタニル関税」も無効になる可能性がある。
・クックFRB理事:「解任」はFRBの独立性を侵すリスク。
・LAへの州兵派遣:「デモ鎮圧の州兵派遣」は連邦法に違反と連邦地裁。イリノイ州シカゴにも州兵派遣を表明。
・ハーバード大学:「研究費凍結」に連邦地裁が違法の判断。
(2)長期金利が上昇
・米国財政赤字懸念が広がり金利上昇し、株式の相対的な割高感を強めるとの見方が出てきた。
NYダウは9/2朝方、一時▲529ドル安、終値は▲249ドルと下げ渋り。
ドイツDAX指数は9/2、▲550安・▲2.29%下落。
・金利の推移
2年国債 10年国債 30年国債
8/28 3.629% 4.203 4.876
9/02 3.639 4.261 4.975
差異 +0.010%高 +0.058%高 +0.099%高
・30年長期国債の利回りが5%目前
財政赤字への懸念や、国債発行の増加への影響で、長期国債が売られる展開となり金利が上昇した。
(3)エヌビディア株価が軟調、9/2に50日移動平均の171ドルを下回る
・エヌビディア株価の推移
8/12 183.16ドル
9/03 170.62
・エヌビディア株価は、8/13~9/3で▲6.8%下落し、時価総額▲3,400億ドル(約▲50.46兆円)を失う。
・株価下落の要因
長期金利上昇。
エヌビディア成長への懸念浮上(トランプ氏の中国向け輸出規制)。
(4)市場心理の悪化を示す「金価格は上昇」、最高値を更新中
・金価格の推移
8/19 3,358ドル
9/03 3,635
(5)トランプ政策に対して、米国裁判所の違憲判決が出るなどリスクが表面化
・トランプ政権は、米国地裁・高裁の違憲判決に対して上訴するだろう。最高裁に持ち込まれるが、常識的には同様に「違憲」判決が出される可能性が高い。
・問題は、最高裁メンバーはトランプ氏に選任された保守系判事が多数を占めていることである。
・それだけに、最高裁の判決が次の焦点となる。
・合成麻薬「フェンタニル」の米国への不法流入を阻止するために、トランプ政権は中国・メキシコ・カナダに「高関税」で対処してきた。もし、最高裁判決で「違憲」判決が出れば、世界各国に課した「相互関税」に加えて「フェンニタル関税」を根本から揺るがすことになる。
・もっとも、「違憲」の内容は「議会の権限」をトランプ政権が侵したということである。したがって、トランプ政権は「議会の承認」を得れば、トランプ関税を実行できる。なお、米国議会では、共和党が民主党を議員数で若干の多数となっている。このため、共和党から少数の議員が反対投票すれば、議会承認は得られない。
●3.米国7月JOLTS求人件数は718.1万件と、6月から予想以上に減少、昨年9月来で最小
1)求人件数が10カ月ぶりの低水準に落ち込む一方、解雇件数は増加し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)以降で初めて失業者数が求人数を上回った。(ロイター)
2)米国の労働市場の減速が改めて裏付けられ、米国連邦準備理事会(FRB)が今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを行うとの見方を強めた。
●4.450人超のエコノミスト、クックFRB理事とFRBの独立性を支持(ブルームバーグ)
●5.米国ISM製造業指数8月、6カ月連続で活動縮小、関税で生産落ち込む(ブルームバーグ)
1)製造業が低迷から抜け出せていないことが示された。8月は48.7と、予想49.0を下回る。境目の50をも下回り続けている。
●6.トランプ大統領のFRB介入、世界経済にリスク=ECB総裁が警告(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)9/1、上海総合+17高、3,875
2)9/2、上海総合▲17安、3,858
3)9/3、上海総合▲44安、3,813
●1.中国EV王者BYD失速、4~6月期純利益は前同期比▲29.9%減、価格競争で3年半ぶりの減益(Kangnamtimes)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)9/1、日経平均▲529円安、42,188円
2)9/2、日経平均+121円高、42,310円
3)9/3、日経平均▲371円安、41,938円
●2.日本株:海外短期筋が、朝方だが売り始めたため、慎重に
1)9/1、大幅続落もアドバンテストとソフトバンクGの2銘柄が牽引
・下落寄与度の高い2銘柄
株価下落幅 終値 マイナス寄与
アドバンテスト ▲925円安 10,750円 ▲249円
ソフトバンクG ▲780円安 15,450円 ▲158円
・日経平均9/1の下落幅▲529円安に対して、▲407円安と76.9%を占めた。2銘柄を除くと日経平均は▲122円安・▲0.29 %下落と小幅安だった。
2)海外短期筋が、朝方だが売り始めた
・海外短期筋は、株価指数先物を朝方に売りを出すようになった。9/1もそうだった。しかし、先物売りが目立つのは「朝方」に限られている。「後場」も売りが出るようになったら、要注意。
・なお、後場は「売り控え」をしており、場合によっては買い上がる可能性がある。米国株の動向と、海外短期筋の動きに注意したい。
3)今まで相場を主導してきた「半導体関連」が9/1に売りリード⇒反転へ
・もし、売り転換だとしたら、大きなサインを発した可能性が濃くなる。
・9/3の米国市場ではハイテク株が買われた。米国地方裁判所で、グーグル(アルファベット)とアップルがそれぞれ判決を受けたが、収益性が維持できたことを好感され、株価は上昇した。その波及効果もあり、ハイテク株全般に買いが優勢となった。
・東京市場でも9/3、買い優勢が波及すると見込まれる。ただ、流れからすると「下落に対する反動高」の範疇である可能性がある。
・米国ではトランプ判決などで、不透明感を増している。その結果、米国債の金利上昇による米国株の相対的な割高感が意識されやすいため、慎重さが求められる。
●3.住友商事主導の企業連合、航空機リース大手エアリースを74億ドルで買収へ(ブルームバーグ)
1)買収に伴い、「住商エアリース」に社名を変更。
●4.日本特殊陶業、デンソーから自動車用プラグ事業を1,806億円で買収(フィスコ)
1)日特殊陶の自動車プラグの世界シェアは6割になるもよう。
●5.セブン&アイ、祖業のヨーカ堂売却、業績低迷で米国投資ファンドに(共同通信)
1)売却したのはスーパー事業を束ねた「ヨーク」で、東北を地盤とするスーパーのヨークベニマルや、ベビー用品の赤ちゃん本舗、雑貨店のロフト、ファミリ―レストランのデニーズ運営会社も含まれる。
2)ヨークの株式の60%をベインが取得。売却額は今年3月に約8,000億円と公表していた。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・8306 三菱UFJ 業績好調
・8308 りそな 業績好調
・8766 東京海上 業績好調
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