相場展望6月3日 中国経済成長率4~6月+8.1%⇒10~12月+5.3%に鈍化(ブルームバーグ)、但しOECDは+8.5%を予想

2021年6月3日 08:45

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/31、NYダウ、「メモリアルデー」で祝日のため休場

【前回は】相場展望5月31日 ワクチン接種期待で大幅上昇も、世界はテーパリングへ 『不況の株高 ⇒ 好景気の株安』に注意

 2)6/01、NYダウ+45ドル高、34,575ドル(日経新聞)
  ・ワクチン接種の普及が進み、旅行・レジャーを中心に経済活動の再開を後押しするとの見方が強まった。
  ・5月米製造業景況指数は61.2と、好不況の境目50を大幅に上回り、景気敏感株を中心に買い優勢だった。
  ・夏場のガソリン需要増の見方から米原油先物市場が一時2年7カ月ぶりの高値を付けシェブロンなど石油株も買われた。

 3)6/02、NYダウ+25ドル高、34,606ドル(日経新聞)
  ・ワクチン接種が拡大し、夏にかけて経済活動の正常化が進むと見られ、消費関連や石油株など景気敏感株が買われた。
  ・ただ、5月に付けた過去最高値に接近し、高値警戒感からの売りも出て、上値は限られた。
  ・市場は堅調な雇用者数の増加を予想している。6/4の5月雇用統計の発表内容次第では量的緩和の縮小につながるとの見方が意識され、積極的な取引を見送る向きもあった。

●2.5月雇用統計の6/4発表に注目

 1)市場予想より高い雇用者数の増加が示されると、テーパリング(金融緩和の段階的縮小)が意識され、市場に影響をもたらす可能性があるため注目したい。

 2)テーパリングとしては、
  (1)現行の国債など資産購入月額1,200億ドルの縮小
  (2)FRBが保有するバランスシートの圧縮
  (3)金利引き上げ
  と、一気にではなく、段階的に行われると予想する。

 3)いずれにしても、金融市場に潤沢な資金供給が行われ、株式相場を押し上げてきただけに、余剰マネーの減少動向に注視したい。

 4)金利上昇を促す場合は、金融市場への影響が大きいため、警戒したい。

 5)雇用統計が予想内に収まれば、買い安心感が出て米国株は上昇する可能性がある。

●3.OECD(経済協力開発機構)は5/31、世界経済見通しを発表(ロイターより抜粋

 1)ワクチン接種の普及による経済の再稼働や、米国での大量の資金投入で、見通しは改善。
     2021年 3月比修正幅 修正後の成長率
  米国       +0.4%増    6.9%
  中国       +0.7      8.5
  ユーロ圏     +0.4      4.3
  日本       ▲0.1      2.6
  世界経済     +0.4      5.8
 
 2)ワクチン接種により先進国経済は徐々に再開可能となっているが、多くの新興国経済は接種の遅れや新たなコロナ感染により停滞している。

 3)金融市場には、市場金利やボラティリティ上昇のリスクがあるとの見方を示した。

●4.米ISM製造業景気指数は61.2と、予想60.9・前月60.7から上昇(ロイター)

 1)一方、雇用は50.9と、前月55.1から低下し、昨年11月以来の水準に留まり、対照的。

 2)製造業は、米経済の約12%を占める。

●5.4月建設支出は、前月比+0.2%と、伸びは拡大予想に反して3月の+1.0%から鈍化(フィスコ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/31、上海総合指数+14高、3,615
  ・先週に続き人民元の先高感が好感され、新型コロナ感染拡大への警戒感はあるものの下値は堅く、中盤からプラスに転じた。中国でのコロナワクチン接種率は2,021年末までに約80%に達する可能性があるという。
  ・業種別では、ハイテク関連の上げが目立ち、医薬品株も高い。反面、金融株は冴えなかった。

 2)6/01、上海総合指数+9高、3,624
  ・中国の人口政策の変更(1夫婦「2人」⇒「3人」に増)が、材料視された。
  ・景気動向に敏感な資源・素材セクターに買いが入った。反面、金融株は冴えなかった。

 3)6/02、上海総合指数▲27安、3,597
  ・人民元高を好感して株価上昇して高水準にあっただけに、元高が一服したことがマイナス材料視された。「元高を追い風に海外マネーの流入が加速する」との期待感がやや後退した。
  ・業種別では、医薬品株の下げが目立ち、反面、自動車株はしっかり。

●2.中国経済成長率、4~6月+8.1%⇒10~12月+5.3%に鈍化予想、PMI頭打ち(ブルームバーグより抜粋

 1)中国・5月製造業PMIは51で、予想51.1・4月51.1と前月並み、回復の勢い頭打ち

 2)国家統計局5/31発表の製造業購買担当者指数(PMI)は投入価格の急上昇が比較的小規模のメーカーの重石となっており、景気回復が頭打ちの可能性を示唆。

 3)建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは5月55.2と、予想55.1・前月54.9から上昇した。

 4)今回の製造業PMIは、生産が安定化してきた状況を示唆している。なお、小規模企業指数は48.8と、4月50.8から50割れに低下し、小規模企業が厳しくなっている。さらに、製造業の投入価格指数は5月72.8と、商品高に伴う『インフレ圧力の高まり』を、示唆している。

 5)最近の商品価格の高騰は、金属鉱石や石炭など原材料を調達する企業を中心に利益の重石となる一方、米国の経済活動再開や景気持ち直しにもかかわらず、5月の新規輸出受注指数は48.3と前月の50.4から低下した。

 6)中国経済の回復の勢いはピークを既に過ぎ、輸出の勢いも減速を見込む。政府による不動産引き締め策と原料高も成長に抑制要因になると予測する。経済成長率は、4~6月期の+8.1%⇒10~12月には+5.3%に鈍化すると予想。

●3.中国、産児制限緩和へ、夫婦1組につき子供3人まで(新華社)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/31、日経平均▲289円安、28,860円(日経新聞)
  ・先週末の+600円上昇の反動もあり、下げ幅が一時350円を超えた。
  ・今週は6/4の5月雇用統計など重要指数発表が相次ぎ、指標の内容や市場の反応を見極めたいとして、目先の利益を確定する売りが出た。
  ・ただ、ワクチン接種が進みつつあり、経済活動の正常化を期待した買いも入った。

 2)6/01、日経平均▲45円安、28,814円(日経新聞)
  ・朝方は買い先行したが、29,000円の壁の重さが意識され、利益確定売りや持ち高調整を目的とした売りが優勢となった。
  ・短期筋の先物売り主導で、現物株も下落し一時▲200円超となった。
  ・今夜発表の米経済指標(ISM製造業景況指数など)を確認したいと、売買を手掛けにくい状況もあった。

 3)6/02、日経平均+131円高、28,946円
  ・朝方は一時▲250円近くまで下落したが、ワクチン接種進展を期待した買いが優勢となった。
  ・景気敏感株や原油価格上昇を受けて資源株にも買いが入った。

●2.日本株式の上昇には、『米国株の上昇』が必要

 1)日本株式市場の取扱いが約3分の2を占める外資系短期勢の動向が重要な要因となっている。日本株は米国株との相関性が高い。そのため、外資系短期筋が日本株を買い増すための条件として、米国株の上昇が必要である。

 2)その米国市場は、6/4の米雇用統計の発表を凝視し見守っている。雇用情勢の改善が市場予想を上回ると、テーパリング問題が浮上する。余剰マネーの動向と、金利上昇への波及があるため、日本株にとっても注目したい。

●3.台湾TSMCは、つくばに研究拠点を設け、「3次元実装」の最先端半導体を開発(産経新聞より抜粋

 1)総事業費は370億円、うち日本政府は約半分の190億円を補助する方針。
 2)日本の材料・製造装置メーカー20社超が参画し、半導体の製造技術の研究開発を共同で行う。

●4.日経平均PER(株価収益率)から見た日経平均株価は本当に割安か?(ロイターより抜粋

 1)日経平均採用企業全体の純利益は、2021年3月期で23.3兆円だった。そのうち、ソフトバンクG(SBG)の純利益は4.9兆円と、全体の21%を占める。

 2)日経新聞が算出する予想PERは13.9倍(5/31時点)。前提として、SBGの純利益を4.5兆円として試算している。

 3)アナリスト12人によるSBGの今年度純利益予想は1.08兆円。これを前提とした予想PERは15.8倍になる。

 4)日経平均の過去データを見ると、予想PERは15倍を中心に14~16倍で推移している。ということは、日経新聞ベースの13.9倍は下限付近で「割安感」近辺といえる。アナリスト予想では、上限に近いレンジに位置した「割高感」近辺ということになる。

 5)今後の注目点
  (1)SBGの純利益の動向
  (2)ワクチン接種進展による経済回復に伴う、SBG以外の企業収益の改善動向
  (3)金融緩和の段階的縮小の行方と株価動向

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7203 トヨタ   コロナ禍でも高収益力を発揮。
 ・6902 デンソー  電気自動車、燃料電池車の部品でも強み発揮。
 ・3902 メディカル・データ・ビジョン  医療・医薬品データのネットワーク。業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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