相場展望5月13日 ハイテク主導の米国株式市場の終焉の始まりか? 日経平均の急落でも、動かない日銀ETF買い今日は?

2021年5月13日 08:46

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/10、NYダウ▲34ドル安、34,742(日経新聞)
  ・経済正常化の進展と、金融緩和の長期化を期待した買いが景気敏感株に入り、NYダウは一時+300ドル超上げて、初の35,000ドルを超えた。
  ・石油株の上昇も相場を押し上げた。
  ・長期金利上昇でナスダック総合の急落が止まらず、相場終了間際にNYダウは下げに転じた。
  ・NYダウ▲34ドル安・▲0.10%安、ナスダック▲350安・2.55%安、SP500▲44安・▲1.04%。

【前回は】相場展望5月10日 米投資ファンドの中間決算を巡る「売り」に注目 日本企業の決算発表後の下落リスクにも注意

 2)5/11、NYダウ▲473ドル安、34,269ドル(時事通信)
  ・高値警戒感から利益確定売りが広がり、一時▲600ドル超と大幅続落した。
  ・4月の米消費者物価指数(CPI)の発表を5/12に控え、長期金利の指標である10年物国債利回りが1.62%台に上昇し、インフレ懸念が再燃している。
  ・一目均衡表の雲入りで一段安の恐れも出てきた。

 3)5/12、NYダウ▲681ドル安、33,587ドル(日経新聞)
  ・長期金利の指標である10年物国債利回りが、4/5以来となる1.7%に乗せる上昇。
  ・4月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を大きく上回る伸びとなり、インフレ加速を警戒して、米株式の売りが広がった。
  ・長期金利が上昇すると、割高感が意識されやすいハイテクなど高PER(株価収益率)株が下げ、消費関連や景気敏感株にも売りが広がった。

●2.ハイテク主導の米株式相場は終焉の始まりか?

 1)インフレ懸念強まり、長期金利上昇
  (1)消費者物価指数(CPI)上昇:3月+2.6%⇒4月+4.2%と予想以上に高まった。
  (2)長期金利の再上昇     :5/6は1.566%⇒5/12に1.693%と急騰。
  (3)国際商品市況の高騰    :CRB指数 5/3は200.85⇒5/12に207.96に上昇。

 2)米連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和維持の政策変更を迫られる可能性が出てきた。

 3)米株式市場に波及し大幅下落
  (1)恐怖指数(VIX)の急騰  :5/6の18.39⇒5/12に27.59、高値不安心理を表す水準20を超えた。
  (2)5/10から下落は始まっていた:        5/7    5/12  下落率
                    NYダウ  34,777ドル 33,587 ▲3.42%
                    ナスダック 13,752   13,031 ▲5.24
                    SP500    4,23     4,063 ▲3.99

●3.米・4月消費者物価指数は前年比+4.2%と、予想+3.6%・3月+2.6%を上回った(フィスコ)

 1)4月CPIが予想を上回り、(1)NYダウ先物は▲200ドル近く下落 (2)ドル買い、となる。
 2)インフレ警戒で注目点
  (1)クラリダFRB副議長発言(DZHフィナンシャル)
   ⇒ CPI上昇に伴う『長期的なインフレに警戒』し、金融緩和縮小を検討
    ・米連邦準備制度理事会(FRB)要人の多くが演説を行ったが、要旨は「インフレは一時的」という指摘が多い。
    ・しかしながら、クラリダFRB副議長は本日のCPIの結果に驚き、『長期的なインフレ期待が高まるのであれば、非常に真剣に受け止めなければならない』と、これまでよりもインフレに対して警戒をする発言が出たことは、要注意となりそうだ。

  (2)米10年債入札
   ⇒ 米10年債利回りは、1.69%台に上昇し、再び1.7%も視野に入ってきた。

●4.米食品医薬品局(FDA)5/10、ファイザー製ワクチンを12歳以上に対象拡大(時事通信)

 1)これまで16歳以上とされていたが、これにより通常の学校生活再開に向けて前進する。
 2)生後6カ月以上の接種は、年内に申請へ(FNN)

●5.ハイテク強気派が米ナスダック市場から退出、空売り増加で下落に備えか(ブルームバーグ)

 1)上場投資信託(ETF)の空売り残高が急増していた。ETFへの資金フローは4月マイナスで、今年に入って▲5億ドル近く流出している。

●6.米ARKKのETF、5/10のハイテク売りで構成銘柄の91%が下落(ブルームバーグ)

 1)ハイテク銘柄に集中投資するARKKは5/10に▲5.2%安と、下落率はナスダック100指数の2倍に達した。
 2)2月高値からは▲30%余り値下がりし、5/10の下落は2/5以来の大幅な下げを記録した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/10、上海総合指数+9高、3,427(亜州リサーチ)
  ・経済活動の再開を背景に、金属や原油、穀物など商品市況高が目立っており、非鉄や鉄鋼など景気敏感株の買いが先行した。

 2)5/11、上海総合指数+13、3,441(亜州リサーチ)
  ・過度のインフレ懸念が後退する流れとなった。4月中国物価統計の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+0.9%上昇し、市場予想+1.0%は下回った。3月+0.4%からは上回った。
  ・商品相場が下落に転じたことも、インフレ高進の不安を和らげた。
 
 3)5/12、上海総合指数+20高、3,462
  ・中国本土でのインフレ懸念がひとまず後退し、4月自動車販売のプラス成長継続を好感し、自動車セクターが買われた。

●2.中国の人口14億1,178万人と微増で、少子高齢化が懸念(日テレより抜粋

 1)人口の年平均伸び率が過去最低の+0.53%と、少子高齢化が鮮明となった。
 2)65歳以上の高齢者は、この10年で6割増え、高齢化比率が13.5%と急速に進んでいる。
 3)中国の人口は、増加傾向続く(新華社)
 4)中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は今年4月下旬、複数の専門家の見方として、今後1~2年で総人口が減少する可能性があることを伝えている。(毎日新聞)

●3.中国、4月新車販売台数は225万台と前年同月比+8.6%増で、13カ月連続のプラス(NHK)

●4.中国、豪州産LNG(液化天然ガス)を、輸入会社2社に新規購入禁止命令(ブルームバーグ)

●5.米テスラ、米中関係の緊張で上海工場の拡張計画を凍結=関係筋(ロイター)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/10、日経平均+160円高、29,518円
  ・米国株は米雇用統計が市場予想を大きく下回ったため、金融緩和が長期化するとの見方が広がったのを引き継ぎ、日経平均は3日続伸となった。一時+320円超となったが、主要企業の決算発表を控えて様子見ムードに押され、上げ幅を縮小した。
  ・経済正常化期待で鉄鋼など景気敏感株が買われた。
 
 2)5/11、日経平均▲909安、28,608円
  ・米長期金利上昇を背景にハイテク株が売られた米国株安の流れを受け、東京市場でもグロース株を中心に売りが強まった。(ロイター)
  ・NY市場に続いて、香港・台湾・韓国などアジア主要市場でも株価下落(NHK)
  ・米消費者物価指数(CPI)の発表を5/11に控え、米金利動向への警戒感も根強い、との見方もあった。(ロイター)
  ・75日移動平均線(29,275円)を下回り、下値不安感が膨らむ。(ロイター)3/5安値28,308円の攻防に注目。

 3)5/12、日経平均▲461円安、28,147円(日経新聞)
  ・朝方は自律反発狙いの買いが先行し一時+200円超上昇したが続かなかった。
  ・買い手不在の東京株式市場、日銀買い望めず、一段安を警戒。
  ・米長期金利の先高観を意識、台湾株の下落も相まってハイテク株売りが続いた。
  ・一時▲700円超下げる場面もあったが、28,000円を下回ると押し目買いが入った。

●2.日銀のETF買いに、注目の今日5/13の動向

 1)5/11、TOPIXの前場引け値は前日比▲1.98%と、ETF購入条件▲1.00%を超える下落であったのも拘らず、日銀はETF購入を実施しなかった。

 2)5/6の日経平均+518円もの大幅な上昇は、外資系短期筋の買い仕掛け(4/30までの売りの買い戻し含む)で、外資系はポジションを5/6~10で買い増して、日経平均を+706円上昇させた。

 3)しかし、内外短期筋は、日銀の株式市場への姿勢転換を確かめるために、極端な売り攻勢を仕掛けてきたのが5/11の『空売り比率47.3の異常さ』に現れていると深読みしたくなる。5/12の空売り比率は48.2。

 4)クレディ・スイス(Cスイス)の先物動向
             5/06      5/11
  日経平均の変動    +518円高   ▲909円安
  Cスイスの先物枚数  +4,595枚買い ▲7,204枚売り

 5)外資系の動向
  先物買残は、+17万枚前後の買残で、相場の流れが上下に付くかと睨んでいた。5/10から売り込んだが、5/12現在で+162,984枚数もあり、さらに売り込むか注目。Cスイスは、5/6に売りスタンスだったが5/6に突如として+4,595枚もの買い転換し、日経平均を買い上げた。ところが、5/11には真逆に▲7,204枚も売り転換し、ポジション残高も▲4,881枚数と日経平均の下落待ちスタンスに戻ってしまった。

 6)投機筋は、日銀の『従来の買い支え姿勢から、放置に近い模様眺めに転換をした』と、読み取ったと思われる。今後の外資系投機筋のスタンスは、『今までの買い仕掛け』から『売り仕掛け』に軸足を転換させてくる可能性がある。

 7)決算発表をきっかけに売りを出す流れが続いている。パナソニック、ENEOSなど。

 8)米国株に連動する日本株だが、米国株下落には『大きく反応』し、上昇には『小さい反応』が続く展開が継続している。日本株の買いエネルギーが弱くなっている。

●3.改めて米長期金利の動向を意識(モーニングスター)

 1)金利水準によっては、米ハイテク株に影響を与え、日本株にも反映される。

 2)注目材料は、5/12の4月消費者物価の公表と、10年物国債入札があり、注視。

●4.海外投資家4月第4週は、現物先物合計で▲1,754億円の売り越し(ロイター)

 1)2週連続の売り越し

●5.日本政府は、中外製薬とコロナ治療薬の供給で合意(テレ朝)

 1)米バイオ医薬品企業「リジェネロン」が開発して、トランプ前大統領も在職中に投与したコロナ治療薬。

 2)中外製薬は日本国内での開発・販売権を取得し、年内に承認を申請する方針。

●6.武田薬品は、モデルナ・ワクチンを5,000万回分追加供給で日本政府と協議しており、既契約含めると1億回分となる(時事通信)

 1)武田はノババックスのワクチンについても、日本国内で年2億5,000回分製造し、うち日本政府向けは1億5,000万回分になるとの認識も示した。

●7.国の借金は21/3月末、コロナ対策等で101兆円増加し、1,216兆円(時事通信)

●8.企業動向

 1)三菱重工    水素やアンモニア発電設備の開発など、脱酸素の事業を強化(NHK)
 2)ヤマハ発動機  コロナ感染拡大するインドの2工場は5月末まで生産停(NHK)
 3)全日空     コロナ禍で業績悪化のため、初の年間ボーナスをゼロへ(時事通信)
          5月国内線運航率5割下回る(Aviation Wire)
 4)パナソニック  テレビの国内生産から撤退し、海外での自社生産と委託へ(NHK)
 5)KNT      傘下に近畿日本ツーリストを持つKNTは、親会社・近鉄と主要都市銀行から400億円程度の資本支援で調整。債務超過解消のため(NHK)
 6)タカラバイオ  新型コロナ・インド変異株対応PCR検査試薬を5月末出荷(時事通信)
 7)武田薬品    モデルナ製ワクチンの日本国内臨床で「100%に抗体上昇」(読売新聞)
 8)塩野義製薬   コロナワクチン臨床試験を始め、治療薬も開発中(読売新聞)
           ワクチンは厚労省から承認得られると、年内1,000万人分以上供給可能
 9)川崎重工    全自動のPCR検査機1基で13本の腕が1日2,500件処理(テレ朝)現在の検査数は8~10万件だが、大幅拡大できる。

●9.企業業績

 1)パナソニック  21/3月期純利益+1,650億円と前年比▲26.9%減(NHK)
          22/3月期純利益+2,100億円と前年比+27%増
 2)松屋フーズ   21/3月期純損失▲23億円赤字(前年は+26億円の黒字)(共同通信)
 3)神戸製鋼    21/3月期純利益+232億円黒字(NHK)
           22/3月期純利益+250億円黒字見通し
 4)日産自     22/3月期純損益▲600億円赤字、半導体不足と原材価格上昇(ロイター)
           アナリスト予想は+1,346億円の黒字となっている
 5)シャープ    21/3月期純利益+532億円と前期比3.88倍
           22/3月期純利益+760億円と前年比+42.7%増
 6)三菱自     21/3月期純損失▲3,123億円の赤字(NHK)
           22/3月期純利益+100億円、半導体不足がリスク
 7)トヨタ     21/3月期純利益+2兆2,452億円と前年比+10.3%増   (共同通信)
          22/3月期純利益+2兆3,000億円と前年比+2.4%増を見込んだ

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・9201 JAL    ワクチン接種進展に期待
 ・9020 JR東日本  同上
 ・9022 JR東海   同上

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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