恒星の死の瞬間を克明に捉える ESAの観測

2020年7月1日 07:38

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 6月29日にフランスAstronomy and Astrophysics誌で恒星の死の瞬間を克明に観測した研究論文が公表された。この論文は欧州宇宙機関(ESA)の研究者らによるもので、NASAの衛星フェルミによって発見され、2010年3月に起きたV407 Cygと呼ばれる連星系での新星爆発を研究対象としたものである。

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 フェルミはNASAによって打ち上げられたガンマ線観測衛星で、2008年8月から運用が開始されているが、V407 Cygはガンマ線観測で発見された最初の新星である。ところで超新星爆発という言葉は良く聞くが、新星爆発は少し耳慣れず、これらの厳密な違いについて分かりやすく解説した資料はなかなか見当たらない。理化学研究所が出している資料によれば、超新星爆発は恒星全体が吹き飛んでしまう現象で、新星爆発は恒星の表面だけが爆発を起こす現象を指すのだという。

 これらの違いは恒星の質量によって決まり、より質量の大きな恒星が超新星爆発を起こす。新星爆発の場合、その残骸は球形でガス状の惑星状星雲になるが、超新星爆発の残骸は、有名なおうし座のかに星雲のように球形ではなく不規則な形をしたガス状の星雲になる。ちなみに鉄よりも重い元素は超新星爆発で作られるため、私たちの地球は確実に超新星爆発の残骸からできているということになる。

 さて、本題に戻ろう。今回の研究では米国と欧州の電波望遠鏡によって捉えられた克明な画像と、フェルミによるガンマ線観測データを組み合わせて観測対象を詳細に分析している。複数の電波望遠鏡で捉えた観測データを組み合わせて、1台の巨大電波望遠鏡の観測データとして合成出力できるVLBIという技術が用いられているのだが、驚くべきことに直径数千kmの電波望遠鏡に匹敵するデータが得られるとされている。

 連星系での新星爆発の瞬間を直接観測できた事例は非常に珍しい。V407 Cygは赤色巨星である主星と白色矮星の伴星で構成されているが、VLBI技術のおかげで、それらで起こった新星爆発の瞬間から203日目までの映像を克明に捉えることに成功し、その動画がESAによって一般に公開されている。

 この新星爆発において最初は非常に暗い状態が続き、新星爆発から40~90日後に明るさが大幅に増大したことが判明している。また新星爆発直後の膨張速度は秒速3,500km、20~91日目が秒速2,100kmに達していたことも確かめられた。

 今回の観測結果は、ガンマ線観測により人類史上初めて捉えられた新星爆発で、そのプロセスが克明に記録された最初の事例である。新星爆発の実況中継を目の当たりにできる我々は、すごい時代に生きているということをしみじみ実感させられたニュースであった。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード理化学研究所(理研)NASA電波望遠鏡超新星欧州宇宙機関

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