Blue Origin、新エンジン「Northstar」で製造コスト75%減を目指す―New Glenn再飛行は2027年1月へ

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Blue Originは2026年11月5日、大型ロケットNew Glenn向けの新型ブースターエンジン「Northstar」と第3段「GS3」を発表した。Northstarでは積層造形を活用した製造コスト削減を目指し、GS3では静止軌道や月方面への輸送能力を拡張する。
一方、ロイターが11月5日に報じたところによると、New Glennの再飛行目標は2026年内から2027年1月へ変更された。同社は5月の燃焼試験中の爆発で損傷した発射台の復旧を進めている。
■Northstarは質量30%減、部品数50%減
Northstarは、液体酸素と液化天然ガスを推進剤に使う新型エンジンだ。Blue Originの発表によると、推力は71万5000重量ポンド、約3181キロニュートンで、BE-4の64万重量ポンドを上回る。
同社は自社の大型積層造形設備を活用し、エンジン質量の65%超を積層造形で製造する。積層造形は材料を層ごとに積み重ねる製造方法で、複雑な内部流路の形成や、複数部品の一体化に適している。
Blue Originによると、NorthstarはBE-4に比べて質量を30%、部品数を50%削減した。組み立ては1日未満で可能とし、計画承認から開発試験への移行には11カ月を要したという。
Ars Technicaによると、リンプCEOは11月5日のUP.Summitで、Northstarの製造コストをBE-4の約25%に抑えられるとの見通しを示した。これは75%の削減に相当する同社の目標だ。New Glennの第1段では将来的にBE-4を置き換える計画で、ULAのVulcan向けにはBE-4の製造を続ける。
Northstarは、BE-4と同様に酸素リッチ二段燃焼サイクルと単軸ターボポンプ構成を採用する。酸素を多く含む混合比で予備燃焼させたガスでターボポンプを駆動し、そのガスを主燃焼室へ送って残りの燃料と燃焼させる方式だ。推進剤を有効に使う基本構成を引き継ぎながら、部品の一体化と軽量化を進める。
積層造形を設計の中心に据える動きは、他社にもある。Rocket LabはRutherfordの主要構成部品を3Dプリントで製造している。NASAの紹介によると、Relativity SpaceのTerran 1も質量の85%が3Dプリント製だった。
航空機エンジンにも同様の例がある。GE Aerospaceによると、LEAPエンジンの燃料ノズル先端部は、従来約20個だった部品を積層造形で一体化し、重量を約25%減らした。Northstarも、部品をまとめることで製造や組み立ての工程を減らす設計に位置付けられる。
■第3段GS3で静止軌道と月方面への輸送能力を拡張
GS3は「Glenn Stage 3」の略で、液体水素と液体酸素を使う第3段だ。Blue Moon月着陸船向けに開発されたBE-7を1基搭載する。Blue Originは、GS3の運用条件で真空中比推力が460秒を超えるとしている。
比推力は、消費する推進剤に対してどれだけ推力を生み出せるかを示す指標だ。比較対象となる水素・酸素エンジンのRL10系列は、L3Harrisが2024年に公表した仕様書で、型式により449.7〜465.5秒となっている。GS3は、高い比推力を生かして軌道投入や月方面への加速を担う設計だ。
GS3は段間部に収まり、衛星などを覆うペイロードフェアリングの全容積を顧客の搭載物に使える。Blue Originによると、2段式New Glennと同じフェアリングと固定式ペイロードアダプターを利用する。
同社が2026年11月に公表した搭載能力は、第1段に7基、第2段に2基のエンジンを持つ「7×2」にGS3を加えた構成で、静止軌道へ最大8トン、月遷移軌道への投入で最大10トンだ。「9×4」にGS3を加えた構成では、それぞれ最大14トン、最大20トンとしている。
高度約3万5786キロメートルの静止軌道は、通信衛星などに使われる。GS3はこうした軌道への直接投入に加え、複数の搭載物の展開、長時間の慣性飛行、複数回の精密な燃焼を想定する。Blue Originは、名称非公表の政府顧客と月周辺への輸送契約を結んでおり、GS3の初飛行を2028年に目指す。
■軽量化を支える複合材液体水素タンク
GS3の主要な開発要素の一つが、複合材製の液体水素タンクだ。NASAの複合材極低温タンク技術実証計画「CCTD」では、大型タンクの液体水素による圧力・温度サイクル試験が実施された。NASAは、この技術によってアルミニウム・リチウム合金製タンクに比べて30〜40%の軽量化が期待できるとしている。
液体水素を扱うタンクは、約マイナス253℃の極低温に対応する必要がある。JAXA宇宙科学研究所の解説によると、複合材では冷却によって樹脂が割れやすくなり、亀裂から推進剤が漏れることが課題となる。軽量化とともに、低温での密封性を確保する設計が重要になる。
過去にはLockheed Martinの実験機X-33で、複合材液体水素タンクが1999年11月の地上試験後に破損した。NASAの調査では、内側の複合材の微小亀裂からハニカム構造の内部に水素が侵入し、排液後の温度上昇などによって内部圧力が高まり、外側の層が剥離したとされた。X-33は飛行に至らなかった。
Blue Originによると、テキサス州のLaunch Site Oneで実施したGS3用複合材液体水素タンクの初回充填試験では、最大予想作動圧力の100%で2.5時間、150%で10分間の加圧に成功した。100%での保持時間は、同社が想定する各GS3ミッションで必要な時間を上回る。同社は、このタンクを宇宙空間で飛行する初の複合材液体水素タンクにする計画だ。
BE-7でも長時間運転の試験が進む。リンプ氏は2026年6月17日の投稿で、開発用エンジンによる2500秒、41分40秒の連続燃焼試験を終えたと発表した。同氏はターボポンプ給液式の液体ロケットエンジンとして最長の燃焼試験と位置付け、比較対象として1988年のスペースシャトル主エンジンRS-25による2017秒の試験を挙げた。
■New Glennは発射台を復旧、再飛行目標は2027年1月
New Glennの再飛行時期については、リンプCEOが11月4日に従業員へ2027年1月を目標とすると伝えた。ロイターによると、同氏は社内メモで夏の悪天候が復旧作業を遅らせたと説明した。機体アクセス塔の修復・再組み立てや、発射用ブリッジの復旧は進んだという。
10月7日には、創業者のジェフ・ベゾス氏がFox Newsのインタビューで12月の再飛行を目標に挙げていた。The Next Webが伝えたBloombergの報道によると、リンプ氏は今回のメモで、日程調整後もこれまでの成果や今後の作業の重要性は変わらず、New Glennの再飛行が最優先事項だと説明した。
5月28日の事故は、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の第36発射施設で、機体を統合した状態での燃焼試験中に発生した。ロケットが失われ、発射設備も大きく損傷した。Blue Originは8月5日、異常の発生箇所をBE-4の1基の主酸素弁と特定し、弁の改修を進めていると公表した。
同社によると、事故では避雷塔や機体を運搬・起立させる装置などが失われた一方、推進剤貯蔵設備や機体組立施設などは残った。復旧後は第1段と第2段を水平に結合して発射台へ運び、クレーンで起立させる水平・垂直併用方式を採用する。搭載物は機体を起立させた後に取り付ける。
事故に先立つ5月22日、米連邦航空局(FAA)は、4月19日のNG-3で発生した上段の不具合に関する調査を終えていた。FAAによると、極低温流体の漏れで油圧配管が凍結し、第2段燃焼中の推力異常につながった。調査はBlue Originが主導し、FAAが監督・承認したもので、次回打ち上げには9項目の是正措置の実施確認と、その他の許認可要件の充足が必要となる。
New Glennは、Amazonの低軌道衛星通信網「Amazon Leo(アマゾンレオ、旧Project Kuiper)」や、Blue Moon月着陸船の輸送を担う。Blue OriginとNASAは7月24日、ミシシッピ州のステニス宇宙センターにあるB-2試験台で、New Glennの第2段燃焼試験を行う取り決めを発表した。発射場と別の場所で上段を試験する体制も整えつつある。
■製造効率と運用頻度の向上を目指す
Ars Technicaによると、リンプ氏はUP.Summitで、長期的に年間1000回を超えるNew Glennの打ち上げを目指す構想も示した。Northstarの部品削減や組み立て時間の短縮は、そのために必要となる生産能力の拡大を支える取り組みだ。
製造コストを左右するのは、部品数だけでなく、生産量、工程の品質保証、材料調達、試験などを含む製造体制全体である。Northstarでは低コストで継続的に製造する体制づくり、GS3ではエンジンと軽量タンクを組み合わせた上段の開発が進む。New Glennの再飛行準備と並行して、製造と輸送能力の両面を拡張する計画となる。
元記事: Blue Origin’s 3D-Printed Northstar Engine Targets 75% Cost Cut as New Glenn Return Slips to January
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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