相場展望10月27日号 米国株: エヌビディア株は野中の一本杉のように高騰、ITバブルと酷似 日本株: 日経平均の上げ下げ、寄与上位5銘柄で説明できる相場続く

2025年10月27日 13:32

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/23、NYダウ+144ドル高、46,734ドル
 2)10/24、NYダウ+472ドル高、47,207ドル

【前回は】相場展望10月23日号 米国株: 決算の良し悪しで反応、米国・中国対立と、相場は荒れ模様 日本株: 非世襲&両親はサラリーマン&女性首相の誕生に期待

●2.米国株:エヌビディア株は野中の一本杉のように高騰、ITバブルと酷似

 1)エヌビディア株は野中の一本杉のように高騰、ITバブルと酷似
  ・エヌビディア株価の推移
    2025年05月07日 安値 86.62ドル
    2025年10月06日 高値 195.62
    2025年10月24日 終値 186.26

  ・5/7比で10/6は225.8%高とわずか半年で暴騰。半導体関連株の上昇リーダーとしてエヌビディアが躍動。

  ・この様相は、1999年~2000年に米国で起こったインターネット関連企業が実態を伴わない異常な株価高値になった時期に似ている。米国連邦準備制度理事会(FRB)の低金利政策が株価高騰を後押しした。この時期に、株式を公開したベンチャー企業創業者は莫大な富を手に入れた。そして、2001年には完全にバブルが弾けた。FRBの利上げなどもあり、株価は急速に崩壊した。

  ・現在、FRBの利下げ政策観測で米国株は上昇している。米国消費者物価指数(CPI)は9月に+3.0%と予想+3.1%を下回ったことを好感し、米国主要株価指数は史上最高値を更新している。ただ、CPIが予想を下回ったといえども、+3.0%と高く、FRBが目標とする+2.0%と比べると高い水準にある。10月米国購買担当者景気指数(PMI)は製造業・サービス業ともに景気境目となる50を上回り、米国景気の強さを示している。また、FRBは量的金融緩和(QT)の引き締めも停止する方向にある。FRBはトランプ大統領に屈したようだ。

  ・トランプ関税の米国消費者への価格転嫁は約半分程度といわれている。輸出国や米国輸入業者が負担しているためだ。しかし、いずれ価格転嫁してくるため、CPIの上昇圧力が増す可能性が高い。

  ・FRBはいつまでも政策金利の低下を続けられなくなる。その時が、株価バブル崩壊の始まりとなりえることを、記憶していただきたい。

 2)10/24、予想を下回るCPIを好感、好決算追い風
  ・米国9月消費者物価指数は+3.0%と、予想+3.1%を下回った。
  ・加えて、7~9月期決算発表で好業績企業が好感され、株価上昇となっている。

●2.対中国への+100%追加関税は回避と、ベッセント米国財務長官10/26談(共同通信)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/23、上海総合+8高、3,922
 2)10/24、上海総合+24高、3,950

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/23、日経平均▲666円安、48,641円
 2)10/24、日経平均+658円高、49,299円

●2.日本株:日経平均の上げ下げは、寄与上位5銘柄で説明できる相場続く

 1)日経平均上位5銘柄の動向
  (1)10/23、日経平均▲666円安、下落寄与上位5銘柄の占有率は81.68%
   ・下落寄与上位5位銘柄   下落寄与度  株価下落幅
      ソフトバンクG    ▲223円安  ▲1,105円安
      アドバンテスト   ▲171    ▲635
      東京エレクトロン  ▲101    ▲1,000
      TDK        ▲35     ▲68
      リクルート     ▲14    ▲142
       合計       ▲544

   ・株価下落局面においても、少数銘柄が日経平均下落を主導した。

  (2)10/24、日経平均+658円高 上昇寄与上位5位で+564円と85.71%占有
   ・上昇寄与5位銘柄     上昇寄与額    上昇高
      ソフトバンクG     +260円    +1,285円高
      アドバンテスト    +166     +615
      TDK         +60      +119
      東京エレクトロン   +55     +540
      フジクラ       +23     +680
        合計       +564

   ・日経平均+658円と大幅高も、値下がり銘柄数の方が多く、少数銘柄に翻弄される相場の流れは相変わらず進行中。
     ・10/24、値上がり銘柄数  677銘柄
          値下がり銘柄数  880

     ・買いの手口が増えないなか、海外短期筋の先物買いで日経平均が上昇。空売りが引っ込んだなか、先物買いで日経平均はスルスルと大幅高。
       ・空売りは歴史的に低く、10/24の空売り比率は36.0。

     ・投資主体別にみると、買いは(1)海外投資家と(2)個人投資家(信用)、(3)事業会社の自社株買い。売りは一貫して(1)生保・損保、都銀・地銀と(2)年金基金。投資主体別では、買い・売りともに同じで、綱引きの力比べのような状況が続いている。ただ、資金力が豊富な海外勢が優勢となり株高が続く。

 3)3月期中間決算企業の決算発表に注目
  ・注目点
    ・物価高の影響 : 原材料高、人件費上昇
    ・トランプ関税の影響
    ・企業の稼ぐ力

  ・米国7~9月期の決算発表シーズン中は、株高が続く可能性がある。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6857 アドバンテスト     業績好調
 ・7011 三菱重工        防衛・原発・造船と国策銘柄
 ・8035 東京エレクトロン    業績堅調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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