春闘満額回答で日本経済回復と日経平均さらなる上昇に期待か!?

2024年3月16日 10:57

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●集中回答日は満額回答が相次ぐ

 2024年の春季労使交渉(春闘)は13日、大手企業の多くが労働組合の賃上げ要求に回答する集中回答日を迎え、満額回答が相次いだ。

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 大企業では2023年を超える過去最高水準の回答が相次いでおり、トヨタ自動車は月額2万8440円の賃上げ要求に満額回答。日産やホンダなどの自動車産業だけでなく、日立製作所や三菱電機など電機でも満額回答だった。

 日本製鉄は組合の要求額を上回る賃上げ率14%で月額3万5000円の賃上げを行うなど、異例の春闘となった。

 連合が15日にまとめた第1回の集計では、賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高水準となっている。

 高水準の賃上げにより、長年課題だった実質賃金が回復し、日本の景気回復とさらなる日経平均の上昇となるのだろうか?

●春闘とは?

 労働組合が新年度(4月)に向けて企業の経営側と賃上げ交渉し、2月から3月の春にかけて本格的に交渉が行われていることから春闘と呼ばれている。

 全社員の給与水準の上昇を目的としており、基本給であるベア(ベースアップ)を引き上げることを要求している。

 戦後の1955年ごろに、炭鉱などの産業別組合が賃上げを要求したことが始まりと言われている。

 安倍政権時の2013年から、政府が労使会議を開催し経済界に賃上げを要請。官製春闘とも揶揄される政府介入の春闘も、近年では増えている。今年も岸田首相が出席し、労使会議を開いている。

●株価には意外にマイナスも?まだ足りないとの声も

 春闘の結果を受けて、3月の18、19日の日銀政策決定会合ではマイナス金利の解除に踏み切るという憶測が先行し、円高・株安が警戒されている。

 2年連続の大幅な賃上げとなったが、物価上昇分を引いた実質賃金は今年1月までマイナスだったことを考えれば、賃上げのペースは遅すぎるくらいかもしれない。

 従業員300人未満の企業ではコスト転嫁が十分にできておらず、賃上げが追い付いていない。

 日本の7割が中小企業と言われている中で、中小企業も同じくらいの賃上げがなければ、まだまだ景気回復は道半ばと言わざるを得ない。岸田首相も「大事なのは中小企業の賃上げだ」と述べている。

 マイナス金利の解除についても正常化に一歩踏み出したという段階で、米国などではすでに利下げの議論が出てきていることに比べると、周回遅れの感がある。

 正常化を目指しつつ、株価にも悪影響を与えないように難しい舵取りが迫られる。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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