差別化図った求人情報サイト運営:リブセンスの2期連続「修正」を俯瞰する

2023年12月5日 08:42

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 前期に続いて今期も、期中に期初計画を上方修正。好き嫌いで語る事象ではないが、私はこれまでそうした経緯に、「期初計画の想定に当たって、積算の根拠が希薄」と批判的な姿勢で接していた。但し計画の策定は「積算」を基準に、事業環境に応じ上限に近い「強気」/「中庸」/「低いゾーン」で決められることは承知している。

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 リブセンス(東証プライム)。「マッハバイト」「転職会議」「転職ドラフト」と成果報酬型の、求人情報サイトを運営している。前2022年12月期は「13.8%増収、営業利益2億8400万円、最終利益5億3700万円」。22年8月に上方修正している。

 そして今12月期は「26.1%増収、23.2%営業増益、15%最終減益」計画で立ち上がったが、11月9日に修正を発表。新たな通期予想を「19.8%の増収(57億円)、54.9%の営業増益(4億4000万円)、26.5%の最終増益(6億8000万円)」とした。開示済みの第3四半期の進捗率は、「75%、89%、69%」。

 リブセンスは新たな予想が増収率で減少した点を、「転職ドラフト」で一部の採用企業に採用方針の変更があった影響と説明。営業利益増を、「マッハバイトで顧客動向を踏まえて広告方針の調整効果」とした。

 同社は2020年・21年12月期に11億2900万円/11億1200万円の営業損失に落ち込んでいる。経済活動に急ブレーキがかかったことによる為であることは、改めるまでもない。が、経済活動の立ち直り・立ち上がりという環境に転じても記した「売り上げ減」という環境に晒される。容易ではないビジネスとも言える。

 がそれぞれの事業は、差別化戦略も採用したビジネス展開を見せている。

★マッハバイト: アルバイトの仲介では業界の後発。10代~20代の利用者が約65%占める。Webプロモーションでユーザーを増やした。加えて「採用礼金制度」を導入(最大1万円)。2021年には月間の訪問者が約300万人を突破。

★転職会議: 32万件以上の転職者向け求人が掲載されている。会員数は890万人以上に及ぶ。ポイントは、(企業の)口コミ情報。375万件以上に及ぶ。

★転職ドラフト: エンジニアを対象としたドラフトシステム。あらかじめ企業側から年収情報が示される点が、特徴。

 本稿作成中の時価は260円台半ば。年初来安値227円(3月14日)から高値361円までジグザクの推移で到達。調整場面。底が見えそうだが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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