「時価総額拡大」など株主対応策強化を打ち出した、西華産業の中計は買いか!?

2023年12月1日 16:42

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 西華産業(東証プライム)のZoom形式のIR活動に参加した。櫻井昭彦社長の説明を聞き、質問をする機会を得た。

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 三菱系産業機械商社、三菱重工と親密で発電プラントの設備供給が主軸。参加したいと思ったのは、「11月10日の収益修正」「至26年度の中計」に興味を抱いたからだった。

 2022年3月期/23年3月期は明らかに、「伸長」トレンドの収益状況を示した。「18.6%増収、48.2%、17.5%最終減益、20円増配65円配」、「9.4%増収、21.2%営業増益、122.6%最終増益、25円増配90円配」。が今3月期は1.8%増収も、「20.2%営業減益、42.0%最終減益、10円減配80円配」で立ち上がった。

 だが第2四半期(前年同期比1.0%減収、42.7%営業増益、73.5%最終増益)開示と同時に、通期を「8.9%減収(850億円)、3.0%営業減益(45億円)、32.0%最終減益(34億円)、90円配」とした。

 櫻井社長は「原材料の高止まりや人件費の増加を踏まえ低損益を見込んだが、販売価格の改善進展や商談の活発化で想定以上の堅調で」と説明したが、「第2四半期の増勢からして通期の損益も、より改善されるのではないか」という問いは「事業環境は依然、慎重に見定めるべきと判断した」とサラリとかわされた。

 が私は櫻井氏の慎重さの裏には、「投資家・株主に万が一でも、マイナスサプライズを供してはならない」とする意図があると感じ取っていた。根拠は・・・

 至26年度の中計では「売上高1100億円(22年度933億円)、営業利益52億円(46億4000万円)」を掲げているが、収益目標以外にも以下の様なエビデントを目指すとしている。

★配当性向35%目途を「総還元性向45%を目指す」。そのために11月10日「100株株主にクオカード1000円分・・・」を発表した。新たな株主を呼び込み、既存の株主の安定化を図る施策だ。

★時価総額約2倍400億円の実現(取材日時点で326億円弱)。増資計画がない限り、株価上昇が実現を促す。間接的とはいえ櫻井氏は「株価動向」に言及したのだ。と同時に時価総額の拡大は、M&A戦略を後押しする。西華産業は超軽量太陽光パネルや、ガスタータートンコンバインドサイクル発電用設備なども手掛けている。グリーンイノベーション分野。櫻井氏は「100億円を投じて、取扱高を1800億円(965億円)に高める。M&A戦略も視野」とした。

 本稿作成時点の株価は2600円台前半(年初来高値ゾーン)、予想税引き後配当利回り3.63%。「低PBR(0.84倍)は意識している」(櫻井氏)。飛び乗りは避けるべきだが、押し目買い姿勢で待ってみるのも一法か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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