「悪い円安」、食品製造などで7割超 消費者物価に波及か 東京商工リサーチ

2022年4月26日 07:42

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記事提供元:エコノミックニュース

東京商工リサーチが「円安に関するアンケート」調査。企業の39.6%、「円安が自社の経営に悪影響」。急激な円安進行に伴い4カ月で10ポイント以上悪化

東京商工リサーチが「円安に関するアンケート」調査。企業の39.6%、「円安が自社の経営に悪影響」。急激な円安進行に伴い4カ月で10ポイント以上悪化[写真拡大]

 急速な円安が進んでいる。米国での利上げ期待や日銀の指値オペが背景にあると言われているが、急激な円安は企業経営や消費者物価に与える影響も大きい。円安には「良い円安」と「悪い円安」があるなどとも言われているが、良い悪いは消費者や企業、業種などその立場・環境によって違ってくるだろう。しかし、パンデミックやウクライナ侵攻の中で原材料価格の高騰が生じている中での急速な円安は多くの企業にとって「悪い円安」であるようだ。

 4月19日、東京商工リサーチが4月1日~11日に実施した「円安に関するアンケート調査」(有効回答5398社)の結果レポートを公表している。円安が経営に及ぼす影響について聞いた結果では、「マイナス」と回答した企業の割合は39.6%で約4割が「悪い円安」と捉えているようだ。「影響はない」は29.5%で、「プラス」と回答した企業は3.9%と、「良い円安」と捉えている企業は僅かだ。規模別に「マイナス」と答えた企業の割合を見ると、大企業(資本金1億円以上)で34.9%、中小企業(同1億円未満)では40.4%と中小企業の方が「悪い円安」と捉えている企業が多いようだ。

 業種別で見ると、「繊維・衣服等卸売業」では77.6%と約8割が「マイナス」と答えており、次いで「食料品製造業」が71.0%、「家具・整備品製造業」70.8%と7割を超え高くなっている他、「飲食料品卸売業」が63.6%、「その他小売業」62.%、「飲食料品小売業」58.8%、「飲食店」58.0%などでも約6割となっており、消費者に近い業種でのマイナスの影響が目立つ。「プラス」と回答した業種では、「宿泊業」の16.6%が最も高くなっており、円の価値が相対的に下がり割安感をもたらす円安が海外からのインバウンド客引き込みに有利に働く宿泊関連では「プラス」に作用すると捉えられている。その他、輸出関連の製造業などで「プラス」と回答する企業が多くなっている。

 望ましい円相場を聞いた結果では、最多レンジは「110円以上115円未満」の42.5%、最頻値は1ドル=110円となっているが、現況はその水準を大幅に超えた円安となっている。既にパンデミックやウクライナ侵攻、これに対する制裁でサプライチェーンが混乱し、エネルギー・原材料価格の急騰が起こっている。これに、急激な円安進行が重なり二重にも三重にも物価高騰が進み家計を圧迫しそうだ。この円安は明らかに「悪い円安」で「良い円安」とはとうてい呼べそうにない。(編集担当:久保田雄城)

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