相場展望10月4日 衆議院選挙は株高イベント、『株高確率は9割』 米懸念材料の米債務上限問題は、そのうち解決へ

2021年10月4日 09:41

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)09/30、NYダウ▲546ドル安、33,843ドル(日経新聞より抜粋
  ・米連邦債務の上限問題や、サプライチェーン(供給網)の混乱、インフレ加速など悪材料がくすぶり、市場心理の重荷となった。
  ・四半期末とあって、手仕舞い売りも出やすかった。
  ・NYダウは9月の月間では▲4.3%安で終えた。月間で下げるのは6月以来で、下落率は昨年10月以来の大きさとなった。
  ・デルタ型変異株の感染拡大を背景に、10月中旬から決算発表が本格化する米主要企業の7~9月期決算の下振れが警戒されている。
  ・連邦政府の債務上限問題を巡る与野党交渉の難航も、相場の重荷になった。米上下両院は9/30、12月初旬までのつなぎ予算を可決した。つなぎ予算が成立しても、債務上限問題で合意しなければ米国債が初の債務不履行に陥りかねない。与野党の対立が続く中、インフラ投資法案の成立も難しくなるとの思惑も売りを誘った。

【前回は】相場展望9月30日 中国景気鈍化の中、電力危機は不動産業苦境に続き経済的打撃 日本株、下落は買い時(戻りねらい)

 3)10/01、NYダウ+482ドル高、34,326ドル(日経新聞より抜粋
  ・米供給管理協会(ISM)10/1発表の製造業景況感指数が市場予想に反して前月比で上昇し、景気敏感株を中心に買いを誘った。デルタ変異株拡大したが、懸念したほど米景気が減速していないとの見方が広がる。
  ・製薬のメルクが10/1、開発中の新型コロナ飲み薬の有効性を確認し、緊急使用許可を申請すると発表した。治療薬が普及すれば、経済活動が正常化に向かうとの見方から、経済再開の恩恵を受ける銘柄に買いが集まった。
  ・メルクは+8%高、旅行・レジャー、消費関連、映画・娯楽、航空機が買われた。

●2.米国株は▲5%の調整を経て、株高の可能性がある、『米債務上限問題はそのうち解決へ』

 1)9月主要株指数の騰落(直近高値に対する9/30安値比)
  ・NYダウ  8/16高値 35,625ドル ⇒ 9/30安値 33,843ドル ▲5.0%安
  ・SP500   9/02高値  4,536    ⇒ 9/30安値  4,307   ▲5.0%安
  ・ナスダック 9/07高値 15,374   ⇒ 9/30安値 14,448   ▲6.0%

 2)10/01の動き(9/30比)
  ・NYダウ   +482ドル高  +1.4%増
  ・SP500    + 49高    +1.1%増
  ・ナスダック  +118高    +0.8%増

 3)この1年間の株価調整は▲5%以上はなく、上昇に転じているケースが多い。

 4)コメント:「債務上限問題は解決へ」
  ・債務上限問題が与野党で解決したら、当面の懸念が払しょくされるので、株高期待が高まりそう。野党・共和党は、民主党の超大型財政政策と増税に反対して、取引材料に債務上限問題を材料に交渉しているだけと見ている。民主党の穏健派からも反対意見が出ている。民主党も米国債の「デフォルト(債務不履行)」は望んでいないだろう。よって、民主党の歩み寄りでこの問題は解決する。ただ、債務上限問題で議会がここまで対立したのは珍しい事実ではある。
  ・デルタ型変異株の拡大に一服感が出始め、景気後退懸念が薄らぎ始めた模様。

 5)懸念材料
  ・金利上昇。
  ・インフレ率の上昇。
  ・企業業績の下方修正の増加。

●3.格付け会社フィッチは、米債務上限問題の解決が遅れれば米格付け引き下げも(ロイターより抜粋

 1)格付け会社フィッチは10/1、米議会が連邦債務上限問題を適時に解決できなければ、債務不履行(デフォルト)に陥るリスクが高まり、米国の「AAA」格付けの引き下げの恐れがあるとの認識を示した。

 2)イエレン米財務長官は、債務上限が引き上げられなければ10/18頃に政府資金が枯渇し財務省は全ての支払いができなくなる状況に陥る、と警鐘を鳴らした。

●4.米イエレン財務長官、「債務上限を引き上げないなら、壊滅的に」と警告(フィスコ)

●5.米民主党、党内でも対立が鮮明化し、バイデン政策目標に頓挫リスク (ロイター)

 1)ゴールドマン・サックスは9/29、過去10年の債務上限を巡る議会の膠着の中でも、今回は最も大きなリスクをはらんでいる、と指摘した。

●6.米8月物価上昇率は4.3%、30年ぶりの大きさ(共同通信より抜粋

 1)米商務省10/1発表、8月個人消費支出物価指数は前年同月比+4.3%上がり、上昇率は1991年1月以来、30年7カ月ぶりの大きさとなった。

 2)新型コロナ禍からの経済活動再開で需要が急増し、供給面が制約したのが物価の押し上げ要因となった。

 3)米連邦準備制度理事会(FRB)が目指している2%超を引き続き大きく上回った。大きな伸びが続けば、大規模な金融緩和策の縮小ペースが速まる可能性がある。

 4)変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコア物価指数は+3.6%上昇した。

●7.クリーブランド連銀総裁「11月のテーパリング開始の支持を再度表明」 (フィスコ)

●8.米9月ISM製造業景況指数61.1、予想59.5・8月59.9と予想以上に上昇(フィスコ)

 1)米供給管理協会(ISM)発表の9月指数は、5月来で最高となった。

●9.米9月ミシガン大学消費者信頼感指数(確定)は72.8、速報71.0から上方修正(フィスコ)

●10.先週新規失業保険申請件数36.2万件、予想33.0・前回35.1より悪化(フィスコより抜粋

 1)政府のコロナ救済策の一環として実施されてきた失業者支援特別策が9月に失効後、失業保険優遇措置受給者数は前週の1,200万人から500万人へ大幅に減少した。

 2)一方、政府は連邦や地方政府職員に対しワクチン接種を義務化。民間企業にも義務化を促し、ワクチン接種を拒む公務員や民間企業の従業員が解雇されている。このため、今後数週間は、失業保険申請件数が増える可能性がある。

 3)労働市場の最大雇用には程遠く、利上げの条件到達にはかなりの時間を要するとの見方がある。

●11.米9月製造業PMI改定60.7、予想60.5・速報60.5を上回った     (フィスコ)

●12.米9月シカゴPMI購買部協会景気指数64.7、予想65.0・8月66.8と下回る(フィスコ)

●13.米大統領が、つなぎ予算案に署名(共同通信)

 1)バイデン大統領は9/30、2022年会計年度(2021年10月~2022年9月)の12/3までの支出を賄うためのつなぎ予算案に署名し、成立した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)09/30、上海総合+31高、3,568(亜州リサーチ)
  ・自律反発狙いの買いが先行する流れとなった。前日は素材株などが急落し、上海総合指数は約1カ月ぶりの安値水準に落ち込んでいた。製造業の先行き不安が漂う中、当局の産業支援に対する期待が高まった。
  ・9月中国製造PMIは49.6に低下し、景気判断の節目となる50を19カ月ぶりに割り込んだ。
  ・国慶節の大型連休(10/1~7が休場)を前に上値の重い場面が見られたものの、指数は引けにかけて上げ幅を広げた。
  ・業種別では、ITハイテク関連の上げが目立ち、医薬品株・資源素材も買われた。反面、銀行・保険は安い。

 2)10/01、祝日「国慶節(建国記念日10/1)」のため10/1~7日は休場。

●2.救済受けた中国華融は、流動性管理強化で1兆円超える起債を予定(ブルームバーグより抜粋

 1)華融は9/30、香港取引所への届け出で、最大700億元(約1兆2,100億円)の社債発行を検討していることを、明らかにした。

 2)この社債発行は10/21の株主総会で採決され、その後、監督当局の承認が必要になる。

 3)不良債権管理で中国最大手の華融は、決算発表が間に合わず、同社株は4月から売買停止が続いているが、政府が主導する救済策が8月に明らかになって以降、発行済みの人民元建てとドル建て社債は値上がりしている。

●3.中国の「一帯一路」に失速リスク、参加国が反発 = 米研究所報告(ロイターより抜粋

 1)米ウィリアム・メアリー大学のエイドデータ研究所は9/29、報告書をまとめた。

 2)中国の広域経済圏構想「一帯一路」について、失速するリスクがあるとの報告書をまとめた。

 3)「失速する」理由
  (1)参加国の間で反発が起きていること。
   ・高額予算、汚職、債務の持続可能性に対する懸念を理由に、大規模な一帯一路プロジェクトを棚上げする低中所得国が増えている。対中感情が大きく変化したため、参加国が中国と密接な関係を維持することが
難しくなっている。
    例:マレーシアは2013~2021年に総額115.8億ドルの案件の中止を決定。
      カザフスタンでは15億ドルの案件が中止。
      ボリビアでは10億ドルの案件が中止。
      コスタリカ、カメルーンなども相次ぐ。
   ・一帯一路プロジェクトの35%で、汚職、労働法違反、環境汚染、抗議活動といった問題が発生。

  (2)債務が拡大していること。
   ・中国の過去18年間に165カ国で支援した総額8,430億ドルを検証した。
   ・中国が1年間に約束した国際開発金融は、現在、米国の2倍に達している。
   ・信用リスクも高まっており、多くの低中所得国では、中国からの債務比率が国内総生産(GDP)の10%を超えている。

  (3)主要7カ国(G7)が、一帯一路に対抗して打ち出した「途上国向けのインフラ支援構想」の登場で、低中所得国の選択肢が増え、一帯一路の大規模プロジェクトが頓挫する可能性があるとの見方を示した。

●4.「中国熱」冷めた中東欧諸国が、台湾に接近(産経新聞)

●5.米・EUの貿易技術評議会(TTC)は、中国対抗で貿易技術協力へ(ブルームバーグより抜粋

 1)内容
  (1)対米、対EUの外国投資に絡むリスク審査
  (2)重要技術に関連した輸出規制
  (3)半導体サプライチェーンの安全確保
  (4)人工知能(AI)開発・導入での協力

●6.中国恒大集団は、期限9/29のドル建て利払いはせず(ロイター)

●7.中国の地方政府の隠れ債務918兆円で、GDPの約52%に膨らむ  (ブルームバーグ)

 1)地方政府の債務:2013年末 16兆元 ⇒ 2020年末 53兆元  3.3倍
               (約277兆円)    (約918兆円)
 (注)米ゴールドマン・サックスが分析

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)09/30、日経平均▲91円安、29,452円(日経新聞より抜粋
  ・中国の経済指標の悪化を材料に売りが出た。中国国家統計局と中国物流購入連合会(CFLP)発表の、9月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が節目の50を下回ると、日本株に売りが広がった。日経平均は一時▲200円超安い、29,300円台前半まで下げた。
  ・日経平均の銘柄入れ替えに伴う資産配分調整による需給悪化も相場を押し下げた。
  ・ただ、10/1からの緊急事態宣言の解除に向け、経済正常化への期待が根強く、上げに転じる場面があった。
  ・ただ、陸運・飲食関連株が上昇するなど、経済正常化を見据えた物色が活発で、相場全体の支えとなった。
  ・自民党総裁の選出で目立った動きはないが、保育・デジタル関連に買いが入った。

 2)10/01、日経平均▲681円安、28,771円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米国株式の下落を受けて、東京市場でも幅広い銘柄に売りが出て、9/2以来1カ月ぶりの安値となった。
  ・中国や米国の景気減速への警戒が改めて意識される中で、短期筋による先物への売りが膨らみ下押しした。
  ・米国では12月までのつなぎ予算案が9/30に議会上下院で可決したものの、連邦政府の債務上限問題は解決していない。
  ・量的金融緩和の縮小(テーパリング)の開始が迫り、持続的なインフレ圧力が景気減速のリスクにつながるとの見方が強まる中で、運用リスクを回避したい投資家は日本株にも売りを出した。
  ・市場では、「10/4に予定される次期政権の閣僚や今後の政策を見極めたいとのムードもあり、買いを入れにくい」という見方もあった。

●2.日本株は、衆議院選挙という株高イベントを意識か、過去の『株高確率は約9割』

 1)日経平均の動き:日経平均は8/20以来の上げ幅+3,657円に対し、▲51.9%下押し。下押し圧力も薄まる可能性。
  ・日経平均  8/20   9/14
        27,013円⇒30,670円 +3,657円高・+13.5%増   
  ・日経平均  9/14   10/01
        30,670円⇒28,771円 ▲1,899円安・▲6.2%減

 2)衆議院選挙の株高となった過去の確率は約9割。
  ・衆議院選挙日の1カ月前から株価上昇の過去実績がある。

 3)外国人の株先物買残は、10/1で約10.2万枚と、2017年以来の最低ラインに並んだ。
  ・2018年2/9の10.4万枚、同年12/13の10.2万枚。
  ・その後は、外人は先物買枚数を増加させている。株価押し上げ要因の1つとなっている。

 4)10~11月は、外国人投資家の投資行動は「買い」が目立っている。

 5)過去10~12月初旬までは、『株高』の経験則がある。

 6)好材料
  (1)コロナワクチン接種率の進展による経済正常化期待の高まり。
  (2)岸田新政権の誕生による景気刺激策「数十兆円」への期待。

 7)注意材料
  (1)米金利上昇と、割高感のある米ハイテク株の調整の余波。
  (2)企業業績(1株当たり利益は、低下傾向)の動向。
  (3)先物相場での、バークレイズの動向。
   ・バークレイズは8/21以降の上げ主役を演じたが、10/1の先物残高は7.9万枚。株先合計の77.2%も占めて異常であり、売り圧力になり得る。

●3.通商産業省9/30発表、8月鉱工業生産指数95.0と▲3.2%低下し下方修正(時事通信より抜粋

 1)半導体不足や東南アジアでの新型コロナ感染拡大に伴う部品調達で自動車の生産が落ち込んだことが響いた。

 2)経産省は基調判断を「生産が足踏みしている」に下方修正した。

 3)8月業種別では、自動車▲15.2%減、電気・情報通信機械▲10.6%減と、15業種のうち12業種で低下した。

●4.企業動向

 1)ホンダ  垂直離着陸機で「空の移動革命」に参入、2030年以降に実用化(時事通信)
 2)東京三菱 植物由来のコロナワクチンを国内で治験し、来春に申請目指す(朝日新聞)
 3)ANA  10月分国内線予約は、緊急事態前言解除前の10倍に(Aviation Wire)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1570 日経平均レバレッジ上場投信
 ・4502 武田薬品   業績堅調。
 ・7518 ネットワン  デジタル・インフラ投資期待。業績堅調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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