相場展望4月12日 衆院総選挙で株価反応するセクターを選択、日本株軟調 バイデン政権2.25兆ドル投資法案成立は長期化と縮小

2021年4月12日 14:09

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/8、NYダウ+57ドル高、33,503ドル
  ・パウエルFRB議長がIMF討論会で、「景気回復は不完全」と述べた。(日経新聞)
   米経済の正常化が進む中で、金融緩和が続くとの見方が強まり、NYダウは上昇した。
  ・長期金利は一時1.62%まで低下し、割高感が和らぎハイテク株が買われ、ナスダック指数が上昇した。

【前回は】相場展望4月8日号 4月は上昇する『特異月』だが、今年は『潮目に変化』?

 2)4/9、NYダウ+297ドル高、33,800ドル
  ・NYダウは3日連続で最高値更新。
  ・ワクチン接種普及加速による景気回復が早まるとの期待で買われた。

●2.バイデン米政権は4/7公表した「インフラ投資財源に法人税増税」の課題と法案成立の長期化

 1)インフラ投資2.25兆ドル(約248兆円)の財源として、法人税増税2.5兆円(約275兆円)で充当する。(共同通信)

 2)税収の増加は、15年間で2.5兆ドル(約275兆円)

 3)バイデン政権は選挙公約実行に邁進しており、総投資額は『7兆ドル』
  昨年12月成立: 9,000億ドル
  3月法案成立: 1兆9,000億ドル
  インフラ投資公表: 2兆2,500億ドル
  4月家庭支援策予定: 2兆ドル
  合 計      7兆 500億ドル

 4)負債の増加額は+4.5兆ドル増加となる(財政支出7兆ドル-増税2.5兆ドル)

 5)支出期間は8年だが、税収増は15年間
  大統領が替われば、税収増計画は変更される可能性があり、担保されるものではない。

 6)連邦債務は4.5兆ドル(約500兆円)もの国債の増発となり、債務はGDP比で130%超となり、世界でワースト10位内に入る可能性がある。金利を含めると、さらに債務が大きくなる。

 7)インフラ投資法案成立は長期化と縮小が予想される
  (1)議会議席数で、法案成立の難航を予想。 
   ・上院は民主党:共和党50対50で同数。下院では、民主党は共和党とは僅差の6議席。
   ・しかも、民主党上院議員からも反対意見が出ている。

  (2)バイデン大統領は、(1)増税提案をすでに公約時と比べ縮小し、(2)早くも妥協を表明 しており、2.25兆ドルの実行に黄色信号が灯っている。したがって、法案成立の長期化と縮小は避けられないと考える。

 8)インフラ投資発表で、米株式市場は上昇した部分が剥落する懸念材料に注意したい。

●3.米国市場の今後に注意

 1)物価指標上振れがインフレ期待を高めており、今後の市場の流れが、長期金利上昇⇒債券価格反落⇒金価格下落につながる可能性が出てきたとの見方ができる

●4.ダラス連銀総裁、「FRB支援策を縮小、後手に回るより早期着手を支持」(ロイターより抜粋

 1)カプラン総裁は4/9、金融市場における過度なリスクテイクと、潜在的な物価上昇に言及し、米連邦準備制度理事会(FRB)による景気支援策の縮小について、後手に回るより早期に着手することを支持すると述べた。

 2)カプラン総裁は、これまでに「来年利上げに着手すべき」と主張しているFRB当局者4人のうちの1人である。

●5.先週分新規失業保険申請件数74.4万件と、予想68.0万件、前回72.8万件を上回る(フィスコ)

●6.米・3月生産者物価指数は前月比+1.0%と、予想+0.5%・2月+0.5%を上回る(フィスコ)

●7.GMとフォードは、半導体不足で米国内外の工場で減産へ(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/8、上海総合指数+2高、3,482(亜州リサーチ)
  ・経済指標の改善が買い材料となったが、金融引き締めの動きを警戒された。
  ・景気動向に敏感な素材関連株の上げが目立ち、消費関連株もしっかり。半面、不動産株は冴えない。
 
 2)4/9、上海総合指数▲31安、3,450(日経新聞)
  ・3月卸売物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)がともに市場予想を上回ったことが、政府が金融政策を引き締め方向に舵を切るとの懸念が強まり下落した。
  ・不動産市場での投機行為への取り締まり強化されていることも不安材料となった。

●2.中国・新車販売台数が前年同月比+74.9%大幅増も、半導体不足で生産に影響(NHK)

●3.中国宅配業、3月も急成長続く(新華社)

●4.米国は安保上の脅威として、中国のスパコン関連7社等に輸出禁止対象、中国反発(共同通信)

 1)バイデン政権が中国軍の近代化に断固阻止の姿勢

●5.中国当局はアリババに独禁法違反として罰金3,000億円、過去最大額(読売新聞)

 1)発表によると、2015年以降、市場での支配的地位を乱用し、競合他社のサイトに出店しないように「2者択一」を要求したという。
 2)罰金額は約182億元(約3,000億円)はアリババの2019年国内売上高の4%にあたる。

●6.シャオミが電気自動車(EV)事業参入(新華社)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/8、日経平均▲21円安、29,708円
  ・米ナスダックが小反落したのを受け、半導体関連株が売り優勢となった。
  ・3月決算発表を前にして、利益確定売りが目立った。

 2)4/9、日経平均+59円高、29,768円
  ・米株高を背景に、一時+300円超高したが、週末とあって売り優勢となり上げ幅縮小。

●2.衆議院解散選挙に、株式市場が反応するセクターと銘柄を選択

 1)選挙時には株価上昇するという経験則がある。

 2)ねらい目は、政策目標に合致したセクターの中での銘柄選び。
  今回テーマは、
   (1)国土強靭化 :建設セクター(令和7年度までの5ヵ年15兆円投資)
   (2)デジタル改革:ITセクター
   (3)脱炭素   :太陽光・風力発電セクター、水素
   (4)子供    :幼児教育

●3.日経平均4月は、1~3月で強すぎた反動に注意

 1)4月は海外年金資金等で値上がりする特異月であることを見越して、3月は海外短期筋などの買いで上昇していた。

 2)日本では新型コロナ感染再拡大第4波が懸念されており、景気回復への期待が急速に縮小する恐れがある。

 3)長期金利が上昇していたが、1.75%から1.66%に低下し米株式最高値更新が続いている。年初から日本株が米国株をアウトパフォームしていたが、最近では逆転した。米国株の魅力が、日本株を上回る流れになっている、

 4)海外短期筋含海外勢の現物株の買いが膨らんでいただけに、売り圧力となる可能性があり『今年の4月は期待外れ』の可能性があることに注意したい。

●4.財務省4/8発表、2月貿易経常収支+2兆9,169億円の黒字も、前年比▲4.7%減(NHK)

●5.ルネサスの那珂工場火災4/19一部生産再開も、最大240万台の自動車生産に支障(朝日新聞)

●6.企業動向

 1)メニコン    米ジョンソン&ジョンソンと業務提携(日経新聞)
 2)日立      日立金属を投資ファンドのベインに売却の方向(NHK)
 3)ANA、JAL   需要回復を見込み、大型連休後の国内線運航率を引上げ(NHK)
 4)ぴあ      全国の77店舗を6月末で終了、インターネット販売に集中(NHK)
 5)ソフトバンクG 傘下アームと中国合弁トップの対立激化で売却難題(ブルームバーグ)
          ソフトバンクGがエヌビディアに4.2兆円での売却が複雑になった。
 6)野村證券    米上院銀行住宅都市委員会の委員長(民主党)は4/8、米投資会社アルケゴス取引で、野村米子会社、クレディ・スイス、ゴールドマン、モルガン・スタンレーに説明を求めた。(共同通信)
 7)日本電産    東欧セルビアに電気自動車向けモーターの新生産工場建設(時事通信)

●7.企業業績

 1)ファーストリテイ 21/3月期営業利益2,450億円⇒2,550億円に上方修正(フィスコ)
 2)イオン      21/3月期純損失▲710億円赤字、コロナ減損で過去最大(共同通信)
 3)安川電機     20/12~21/2月期純利益+48億円、市場予想+67億円(ブルームバーグ)
            22/3月期の計画純利益+317億円(前期比+68%増)、売上+10%増

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7747 朝日インテック  米国・中国の感染終息傾向で売上増期待。
 ・6579 ログリー     デジタル広告の拡大期待。
 ・2685 アダストリア   営業利益急拡大。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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