相場展望3月18日号 3/18、パウエルFRB議長、FOMC後の発言に注目 バイデン政権の次の目玉政策は『インフラ投資』

2021年3月18日 08:45

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/15、NYダウ+174ドル高、32,953ドル
  ・追加経済対策の個人給付1,400ドルで消費が増える消費関連株を中心に買われた。
  ・この給付金の一部が米株式市場への資金流入期待とワクチン接種が5月まで全成人に行われることで、NYダウは4日連続で最高値を更新した。

【前回は】相場展望3月15日号 米景気回復でNYダウ高、金利上昇でナスダック安 物色の流れは、ハイテク株売り⇒景気敏感株買い

 2)3/16、NYダウ▲127ドル安、32,825ドル
  ・NYダウは3/5から3/15まで7連騰で+2,029ドル・+6.56%上昇した。短期的な高値警戒感から景気敏感株を中心に利益確定売りがでた。

 3)3/17、NYダウ+189ドル高、33,015ドル
  ・米10年国債金利の一段の上昇を受け、景気回復を反映として景気敏感株に買いが入りNYダウは上昇。
  ・FOMCの政策決定の結果を好感して、NYダウはさらに上昇。

●2.パウエル米FRB議長の、FOMC開催後の記者会見で特に『長期金利の上昇』発言に注目

 1)米公開市場委員会(FOMC)(開催3/17~18)後に
  (1)金融政策の決定事項の発表と、
  (2)FRB議長記者会見にマーケットの関心が向かうと思われる。

 2)特に、最近の長期金利の上昇について、パウエルFRB議長がどのような発言をするかに注目。前回のFOMC発言後、失望売りを招いただけに注視したい。パウエル議長は、弁護士出身だけに「言語明瞭」であり、市場に必要以上の動揺を与え、市場との対話が上手くないケースが目立つため。(参考:3/17の米10年国債利回りは1.646%と前日比+0.023%・+1.43%増の一段高)

●3.バイデン政権の次の目玉政策は『2兆ドル(約218兆円)のインフラ投資政策』

 1)インフラ投資内容
  (1)道路整備
  (2)水道整備
  (3)その他の公共・環境投資

 2)メリットとして、
  (1)景気の回復に弾み
  (2)雇用増で失業率改善
  (3)株式市場に好影響

 3)実施する際のリスクとして、
  (1)財源確保としての増税 
  (2)景気回復でインフレ上昇 
  (3)国債発行増で金利上昇
 が裏側にある。

 4)米国が抱える課題は「実質失業率が約10%」と高く、貧困層対策で「時給15ドル引き上げ」
  (1)表面上の失業率は6.2%だが、コロナ禍で就業を諦めた労働人口を加味した実質失業率は10%程度と高いまま。

  (2)労働者に支持基盤を置く民主党にとって、政策立案の根本に実質失業率の改善があると思われる。また民主党左派の強い要求でもある。

  (3)FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の判断ベースに「実質失業率」が大きなウェートを占めている。FRBは、直面の金利上昇は景気回復につきものとして、実質失業率改善を主眼にした金融政策を継続するスタンスと思われる。FRBは、実質失業率が改善できたと判断した時点で『金融緩和から正常化』に舵を切ると思われる。
   ・『テーパリング』(段階的量的緩和の縮小、金利上昇基調に転換)の決定により、
   ⇒ FRBは『超金融緩和策から段階的縮小政策への転換』
   ⇒ 株式市場は『金融相場 ⇒ 業績相場に転換』 
   ⇒ 移行に当たって株式相場は波乱幕開け
    となる流れを想定する。
    参考:2013年5月のバーナンキ・ショック(段階的縮小を示唆しただけで、日経平均▲22%暴落している)

  (4)イエレン財務長官もFRBと同じ立場の模様。

  (5)貧困層と失業率改善対策案としても「時給15ドルに引き上げ」をバイデン政権は議会提案するものと予想する。

 5)今後の注目点
  (1)FOMC後の、パウエルFRB議長の記者会見での発言内容。
  (2)長期金利上昇のピッチ。
  (3)パウエルFRB議長の『市場との対話を欠いた発言』。
  (4)時給15ドル実施による失業者増。
   (例:韓国・文政権の時給アップ政策が招いた雇用減)
  (5)増税の反動。

●4.バイデン大統領は、経済対策の財源として、1993年以来の本格増税を検討(ブルームバーグ)

 1)1.9兆ドル(約207兆円)の大型経済対策は国債発行を通じた政府借入によるが、新たなインフラ投資・気候変動対策・貧困層への支援等のための『2兆ドル』に対して、一部は『増税』で賄う方向性が鮮明となりつつある。

 2)増税検討案
  (1)法人税の現行21%⇒28%への引き上げ
  (2)遺産税の対象拡大
  (3)年間所得100万ドル以上の個人に対するキャピタルゲイン税引き上げ

●5.ナスダック100に弱気シグナル、急落もあり得る兆候とガンドラック氏(ブルームバーグより抜粋

 1)債券利回り上昇は、テクノロジー株などの割高な圧力になる。

 2)米10年債利回り0.5%の上昇で、ナスダック100指数は▲20%下落につながり、弱気相場入り、との調査もある。

 3)ヘッジファンド運用のダブルライン・キャピタル創業者ジェフリー・ガンドラック氏も、『次の急落が起り得る兆候だ』と指摘する。

 4)マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・シャウルCEOは、「テクノロジーセクターが遂に株式市場のリーダーとしての地位を放棄したことを示す証拠は増え続けている」と指摘した。

●6.米10年国債利回りがインフレで年内に3%に到達する可能性(ブルームバーグより抜粋

 ドイツ銀行アナリストの指摘
  1)インフレ率が米金融当局の目指す2%を超えて加速するに伴い、米国債売り増加。
   ・基本シナリオは米10年国債利回りが年内に2.25%に上昇する見通し。
   ・予想より速いペースで物価が上昇すれば3%に達することもあり得る。

  2)米経済の見通し改善で、米金融当局が12月までに資産購入のテーパリング(段階的縮小)を発表すれば、市場には一段の重石となりそうだ。

  3)ドイツ銀行は、米国の財政と金融政策がともに、インフレ率の上昇シフトを支えている、とリポートで指摘した。また、米国の財政と金融政策が物価を過度に押し上げるリスクもあり、極端なシナリオでは米国債利回りは6%を超える可能性がある、とした。

●7.米・3月全米住宅建設業者会(NAHB)住宅指数は82と、予想84を下回る (フィスコ)

●8.米・2月住宅着工件数は142.1万戸と、予想156万戸、1月158万戸下回る (フィスコ)

●9.米商務省発表の2月小売売上高、鉱工業生産が予想を下回り、ドル売りが優勢(フィスコ)

 1)2月小売売上高は前月比▲3.0%と、1月+5.3からマイナスに転じ、予想▲0.5%も下回る

 2)2月鉱工業生産も前月比▲2.2%となり、1月+0.9%と予想+0.3%から落ち込んだ。

 3)2月設備稼働率は73.8%と、1月75.6%、予想75.5からも低下した。

 4)2月輸入物価指数は前月比+1.3%と、予想+1.1%を上回った

●10.企業動向

 1)モデルナ  小児向けコロナワクチンの臨床試験(治験)を開始(日経新聞)
         ファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソンも小児向けはない。
 2)ウーバー  英国で運転手の最低賃金を保障(日経新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/15、上海総合指数▲33安、3,419
  ・金利上昇が警戒される流れとなり、ハイテク株が下げを牽引した。
  ・消費関連も冴えない。

 2)3/16、上海総合指数+26高、3,446
  ・前日に急落した反動で買いが先行する流れのなか、金融株が上げを主導した。

 3)3/17、上海総合指数▲1安、3,445
  ・様子見ムードが強まった。
  ・米中の外交トップが米アラスカ州で直接会談するのを、気掛かり材料として意識。

●2.中国・2月小売売上高は前年比+33.6%増と、市場予想+32.0%を上回る(フィスコ)

●3.中国・2月鉱工業生産は前年比+35.1%増と、市場予想+32.2%を上回った(フィスコ)

●4.中国国家統計局発表の1~2月粗鋼生産は1.75億トンと前年同期比+12.9%増(ロイター)

 1)建設業や製造業からの需要増加を見込み、製鉄所が生産を増やした。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/15、日経平均+49円高、29,766円
  ・米景気回復期待とコロナ接種進展で期待が高まり、景気敏感株に買いが入った。

 2)3/16、日経平均+154円高、29,921円
  ・首都圏の緊急事態の3/21解除の方向との報道による経済正常化期待も相場を支えた。

 3)3/17、日経平均▲6円安、29,914円
  ・米連邦市場公開委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合の結果発表を控え、様子見姿勢が強く、小動きだった。
  ・東証1部の売買高は12.5億株、売買代金は2.5兆円と閑散だった。

●2.日経平均は、米国株価次第のスタンスは変わらず

 1)米国株の動向次第で動いてきた外資系短期筋は、最近「売りスタンス」で先物の売り越し基調だった。

 2)これに対して、野村を始めとする国内勢の買い越しで、相場は小康を保ってきた。

 3)NYダウの上昇をみた外資系短期筋の「買い仕掛けへの転換の有無」に注目したい。

●3.日銀の政策点検は『長期金利の許容変動幅の運営』と『上場投信(ETF)買入の手法』が焦点

 日銀は3/18~19に開催する金融政策決定会合で示す政策点検は2点。(ロイター)
 1)金利変動幅:金利の許容変動幅を示した上で、緩和効果を損なわない範囲で金利の上下を容認する。
         現行「±0.1%」⇒『±0.2%』への変更の可能性。

 2)ETF買入:市場が落ち着いている時にはETF購入を控えるが、株価上下幅が高まる局面では購入額を大きく増やすという購入手法への変更の可能性などが主眼となりそうだ。                    

●4.企業業績

 1)HIS  11~1月期決算は純損失▲79億円、コロナで旅行需要激減(共同通信)
 2)しまむら  2月期年間決算は純利益+261億円と前期比2倍と好調。(WWD)
 3)ユーグレナ ミドリムシ由来のバイオジェット航空燃料が完成(日経新聞)
 4)帝国ホテル 東京を建て替えへ(読売新聞)

●5.企業動向

 1)日立製作所  米ワシントン交通局から地下鉄車両2,400億円受注(NHK)
 2)パナソニック  欧州の家庭向け乾電池事業から撤退(NHK)
          需要見込めるアジア・中南米では電池事業の投資を続け、欧州では電気自動車向け電池工場建設を検討する。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・9602 東宝      業績堅調。
 ・6981 村田製作所   業績好調。株価復活期待。
 ・9022 JR東海     乗客数回復期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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