EV時代の到来で原油の時代は終焉するのか?

2020年12月2日 18:04

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●EVシフトで原油終焉?

 シンクタンクのカーボン・トラッカーによる調査では、中国によるEV(電気自動車)へのシフトによって、2030年までに世界の原油需要の伸び率が70%減になるという。

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 数年前から、EV時代の到来が予測されており、石油需要のピークは2030年代に迎えると予測されていたが、中国のEVシフトがそのスピードを速めるのではというのが今回の予測だった。

 世界的に環境への配慮やCO2削減は大きなテーマとなっており、EVシフトへの流れは止まりそうにない。そうなった時に原油の時代は終焉するのだろうか?

●世界で続々?EVシフト

 欧州では、燃費規制としてCAFE規制があり、企業全体の平均で燃費を規制し、クリアできないと1台ごとに罰金が科せられる制度がある。

 ドイツやフランス、イギリスなどの欧州各国は、2025年~2040年の間にガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する方向となっており、ますますEVへの加速が高まっている。

 最近でも、米カリフォルニア州がガソリン車の新車販売禁止を決め、中国もEVなどの新エネルギー車(NEV)の比率を50%以上に高める方針を示している。

 ハイブリッド大国である日本も、菅首相が温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を掲げている。

●原油時代の終焉?

 米国の大統領選挙で勝利したバイデン氏の新政権では、燃費基準の強化とEV購入への税制優遇によって、EVシフトへの加速が期待されている。バイデン氏は、連邦公有地で新規の石油・ガス開発のフラッキングを禁止することを支持している。

 バイデン氏の政策は石油業界に優しかったトランプ氏とは対照的である。世界最大の産油国の米国が脱・石油に傾く可能性がある。世界的にこの流れは加速するだろう。

 イギリスの石油メジャーでさえも、化石燃料の需要が今後大幅に減少するというレポートを公表している。

 EVが加速しても電気の需要が増え、発電はいまだに化石燃料が主流であり、逆にCO2の排出量が増えるという指摘もある。

 EVの普及と再生可能エネルギーの普及がセットで進まなければ、まだまだ原油の需要はあるのかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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