19年の景況感は大きく悪化、20年は改善見通し 日本公庫調査

2019年12月11日 18:48

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 日本政策金融公庫の調査によると、2019年の業況判断動向指数は18年から大きく悪化したものの、2020年には改善するとみている企業が多いことが分かった。

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■19年は大きく悪化、20年は改善見通し

 11日、日本政策金融公庫が「2020年の中小企業の景況見通し」を発表した。

 景況感を表す業況判断DI(動向指数、「改善」から「悪化」と応えた企業の割合を引いた数値)について、2019年は-18.1(改善:15.9、悪化:34.0)で、18年の11.0(改善:28.3、悪化:17.3)と比較して29.1ポイント悪化した。19年当初の見通しでは、改善が21.1、悪化が15.7だったため、改善がやや減っただけでなく、悪化が倍以上となっている。

 また、20年の見通しは改善が19.1、悪化が23.2の-4.1で、19年と比較して15.0ポイント改善する見通し。

■電機・電子関連と食生活関連が大きく改善の見通し

 19年実績を需要分野別でみると、プラスだったのは建設関連(8.9)のみ。乗用車関連(-42.6)、衣生活関連(-38.3)、設備投資関連(-34.3)、電機:電子関連(-28.3)などのマイナスが大きく、食生活関連(-7.3)も小幅ながらマイナス。

 20年見通しでは、建設関連(-13.8)が悪化する一方、衣生活関連(-32.3)、乗用車関連(-16.4)、設備投資関連(-7.1)でマイナス幅が減少。電機・電子関連(21.7)、食生活関連(25.0)でプラスに転じる見通し。

■改善も悪化も原因は「国内需要の動向」

 「改善」の原因について尋ねたところ、最も多かったのは「国内需要の動向」で75.9%。ついで「製・商品の販売価格の動向」(26.5%)、「主要原材料等の仕入価格の動向」(18.1%)、「東京五輪にかかる需要動向」(15.7%)、「消費税率の引き上げ」(12.0%)、「海外経済の動向」(9.6%)などとなっている。

 「悪化」でも最も多かった原因は「国内需要の動向」で78.7%。ついで、「海外経済の動向」(50.0%)、「主要原材料等の仕入価格の動向」(19.7%)、「自然災害・天候不順」(18.5%)、「製・商品の販売価格の動向」(14.0%)、「採用・雇用環境」(12.9%)、「消費税率の引き上げ」(10.7%)、「原油・エネルギー価格の動向」(6.7%)などとなっている。

■2020年に期待する要素と不安要素

 2020年に期待する要素を尋ねたところ、最も多かったのは「海外景気の回復による外需の増加」で22.8%。ついで「東京五輪に伴う需要の発生」(17.2%)、「株高や所得の増加による消費マインドの改善」(13.6%)、「政府・地方公共団体等による各種政策・予算の執行」(12.6%)、「円安に伴う取引先の生産・調達の国内回帰」(11.4%)、「原油価格の下落によるコスト低下」(7.0%)などとなっている。

 反対に不安要素を尋ねたところ、最も多かったのは「国内の消費低迷、販売不振」で73.6%。ついで「人材の不足、育成難」(59.7%)、「原材料価格、燃料コストの高騰」(38.8%)、「海外経済の減速による輸出減少」(28.4%)、「取引先の経営不安、経営破たん」(15.1%)、「金融動向」(11.6%)、「製品、サービス価格の低下」(9.8%)などとなっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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