国立環境研究所ら、地球温暖化問題の全体像を俯瞰 影響の連鎖を可視化

2019年3月2日 19:17

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食料分野に関わる気候変動影響連鎖(写真:国立環境研究所の発表資料より)

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 国立環境研究所らは2月28日、気候変動の影響に関する文献の網羅的な調査から、気候変動が及ぼす影響の連鎖を可視化することに成功。論文として発表した。

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 昨年12月に開催されたCOP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)。それは、パリ協定で採択された目標達成のための実施指針を具現化したものだ。目標は世界の平均気温の温度上昇を産業革命前と比べて2℃より十分に低く抑える。あるいは1.5℃未満に抑える野心的なものだ。

 気候変動枠組条約は1992年にリオ・デ・ジャネイロで採択。155カ国が署名した。地球温暖化に対する認識は深まりつつあるものの、具体策では先進国と途上国の意見が対立。2015年、COP21(パリ協定)にて野心的な目標を採択。気候変動による悪影響が人類にとって深刻とならずに済む水準を根拠とする。現在、197カ国・機関が参加、国際協調が問われる。

 地球温暖化は人間社会や自然環境に様々な問題を引き起こす。今回の発表は、気候変動によって生じる様々な影響のつながりを理解し、地球温暖化問題の全体像を理解することに役立つ。

 研究に参加したのは、国立環境研究所、東京大学、東京工業大学、農業・食品産業技術総合研究機構、筑波大学、海洋研究開発機構、弘前大学であり、2012年から7年間に亘り、気候変動の影響に関する文献を網羅的に調査した結果だ。

 研究詳細は、米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の発行する学術誌 Earth’s Future 2月12日付けに掲載。

●気候変動による影響の連鎖の可視化の特長

 調査対象の論文を、気候変動の影響が21世紀中に起こり得ること評価したものに限り、水資源・食料・エネルギー・産業とインフラ・自然生態系・災害と安全保障・ 健康の7つの分野研究に絞り、気候変動によって影響が生じる分野を全てカバー。

 気候変動による影響を87項目に、これらの影響を引き起こす気候変動要因を17項目にまとめた。

 気候変動影響の間の因果関係を詳しく追跡。この因果関係が気候変動の連鎖の全体的な構造である。気候変動によって生じる影響の連鎖を理解可能な形で示すことで、効果的な対策や新たな影響連鎖の研究が進むことは、今後のCOPにとっても有益な情報を示すであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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