東芝、ロボットやIoTの個体認証を実現 チップ指紋技術を開発

2018年6月16日 06:58

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チップ指紋でのロボット認証デモ(写真:東芝の発表資料より)

チップ指紋でのロボット認証デモ(写真:東芝の発表資料より)[写真拡大]

 東芝は14日、半導体チップのばらつきをチップ指紋として使う物理困難関数(Physically Unclonable Function:PUF)について、FPGA(Field Programmable Gate Array)に簡単に実装できる技術を開発したと発表した。ロボットやIoT機器間の相互認証が低コストで実現可能となる。

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 人の特定には、DNA認証、指紋認証、静脈認証、虹彩認証、声紋認証、顔認証など様々な技術が開発・実用化されている。それぞれ生体固有の要素に着目する。では、我々の身の周りに増えてきたロボットやIoT機器を認証することは可能なのであろうか。

 半導体チップには、製造ばらつきという厄介な問題がある。このばらつきを少なくする技術開発が注目される中で、逆にこのばらつきをチップ指紋とするという。

 ロボットやIoT機器の普及は、サイバー攻撃のリスクがより一層高まる。今までの情報セキュリティ対策に加えて、デバイス認証技術が加われば、より安全なセキュリティが実現できる。

●ばらつきのチップ指紋の特長

 電子回路を構成する個々のデバイスのばらつきを、チップ固有の指紋として利用。PFUは暗号による認証を実現するセキュリティ技術だが、回路の対称性や常時電流を流すといった回路制約、消費電力などの課題があった。

 今回の発表は、発振回路の初期出力波形をIDとして採用。回路制約や消費電力の課題を解決するだけでなく、容易にFPGAへの実装を可能にした。

●チップ認証(東芝、ばらつきのチップ指紋)のテクノロジー

 IoT機器個体認証やデバイスの複製・偽造防止への有効な方策だ。本来小さく抑えたいチップのばらつきをチップ指紋とした発想の転換であろう。

 発振回路は、デジタル回路に必須な回路だ。その発振回路の初期出力波形のばらつきをチップ指紋としてFPGAへ搭載した。

 写真は、自走ロボット3機での相互認証を実証したものだ。PUFを実装したFPGAを搭載された親機と真と偽の2つの子機を用意。子機は、親機からの信号発信命令により、それぞれIDを発信する。事前にIDが親機に登録されていれば認証され、親機のLEDが光る。実証実験では真と偽の子機を見極めた。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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