韓国「半導体特別法」が施行、8月上旬の半導体輸出は過去最高 2兆ウォン特別会計は2027年から

2026年8月13日 00:27

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韓国の「半導体特別法」が8月11日に施行され、同日発表された8月上旬の半導体輸出額は同期間として過去最高を記録した。同法によるインフラ支援や許認可迅速化の枠組みは始動したが、専用の特別会計が稼働するのは2027年となる見通しだ。政府は別途、規制緩和を目的とした「メガ特区法」の2026年内の制定も目指している。

■8月上旬の輸出データが示すもの

韓国の「半導体特別法」が火曜日(8月11日)に施行された。同日朝、韓国関税庁は、8月1日から10日までの半導体輸出額が99億5000万ドル(約1兆5820億円、1ドル=159円換算)に達し、同期間として過去最高を記録したと発表した。しかし、同法の財政的な柱となる2兆ウォン(約2240億円、1ウォン=約0.112円換算)の特別会計は2027年まで稼働しない。制度的な枠組みは整ったものの、その財源は別途の法改正を待つ状態にある。

この二つの出来事は、象徴的なタイミングで重なった。与野党が労働規制の免除や地域の優先順位を巡って対立し、18カ月に及んだ政治的な膠着の末、同法は火曜日の韓国標準時午前0時に正式に施行された。その数時間後、韓国関税庁は8月1日から10日までの半導体輸出額が、比較可能な期間として過去最高に達したと確認した。同期間の総輸出額は212億9000万ドルで、2022年に記録された従来の8月1日から10日までの最高額156億ドルを約57億ドル上回った。

正式名称を「半導体産業の競争力強化および支援に関する特別法」とする半導体特別法は、メモリやロジック半導体の設計から製造、パッケージング、材料・製造装置のエコシステムに至るまで、半導体サプライチェーン全体を支援する包括的な制度の枠組みを設ける。その中核となるのが、産業通商資源部による半導体クラスターの指定制度である。Korea Heraldが確認した規則によると、指定後は中央政府と地方自治体が、区域内での大規模な半導体生産に必要となる電力、水、廃水処理施設、道路の建設費用の50%から100%を負担できる。首都圏以外のプロジェクトは優先的に検討される。

火曜日に発表された韓国関税庁のデータによると、8月1日から10日までの総輸出額は前年同期比45.3%増の212億9000万ドル(約3兆3851億円)に達した。営業日数で調整した1日平均輸出額も45.3%増の30億4000万ドル(約4833億円)となった。一方、ソウル経済新聞(Seoul Economic Daily)は、この1日平均輸出額が4月以来の低水準だったと指摘している。これは減速の兆候というよりも、直近数カ月の水準が極めて高かったことを示す数字といえる。

半導体は同期間の総輸出額の46.8%を占め、構成比は前年同期から20.1ポイント上昇した。AIデータセンター向けのエンタープライズSSDに牽引され、コンピューターおよび周辺機器の輸出は139.5%増の5億8700万ドル(約933億円)に急増した。石油製品の輸出も65.3%増の20億ドル(約3180億円)となった。

地域別の内訳にも特徴が表れた。中国向け輸出は前年同期比134.8%増の67億5000万ドル(約1兆732億円)に急増した。アナリストは、貿易が混乱する可能性を見越した在庫補充が増加の一因だと分析している。香港向けは259.4%増、欧州連合(EU)向けは57.2%増、ベトナム向けは45.4%増となった。上位3カ国である中国、ベトナム、米国向けで総輸出額の52.5%を占めた。

広範な増加傾向の中で、米国向けは目立った例外となった。米国向け輸出は0.2%減の20億5000万ドル(約3259億円)とわずかに減少したが、その主因は自動車部門にある。乗用車の輸出が80.9%減の1億8000万ドル(約286億円)に急減したためだ。ソウル経済新聞によると、韓国の自動車メーカーは2026年、夏季休暇に伴う生産停止を8月上旬に集中させた。2025年は7月下旬から8月上旬に分散していたため、今回はカレンダー上の影響が大きく表れたという。米国向け韓国製品の基調的な需要が悪化したのではなく、日程上の要因によるものだ。船舶も同様の季節要因により58.2%減少した。

同期間の輸入額は23.1%増の195億ドル(約3兆1005億円)となり、貿易収支は約18億ドル(約2862億円)の黒字だった。

■施行初日の効果:クラスター指定とインフラ全面支援

半導体特別法の実質的な仕組みは、成立までの数カ月間における政治報道では見えにくくなっていた。同法は、半導体メーカーに直接資金を給付することを主眼としていない。メーカーが工場を建設できるよう、必要なインフラの整備費用を政府が負担する仕組みを定めている。

8月4日に閣議決定され、火曜日の法律施行と同時に発効した施行規則に基づき、政府は首都圏外を優先しながら全国に半導体クラスターを指定し、そのインフラ費用を負担できる。指定されたクラスターは、電力、水、道路、人材育成、行政手続きの迅速化などの優遇支援を受けられる。特に重要なのは、クラスター開発計画が承認されると、関連法に基づいて必要となる許認可が一括して付与されたものとみなされる点だ。これにより、韓国の大規模産業プロジェクトを過去に何年も遅らせてきた行政上の待ち時間を短縮できる。

すでに開発が進む龍仁(ヨンイン)の大規模半導体拠点と、光州(クァンジュ)および全羅南道(チョルラナムド)を中心とする新たな湖南(ホナム)クラスターも、この枠組みの対象として明記されている。

大統領直属の「半導体産業競争力強化特別委員会」が、同法に基づく主要な産業政策を統括する。これにより、韓国の半導体産業に対し、これまでで最も高いレベルの政府内調整体制が設けられることになる。同委員会の設置は、8月4日の施行令に盛り込まれた。

■資金ギャップがもたらす影響

火曜日に施行された法律と、それによって設けられた仕組みはすでに有効である。クラスターのインフラ費用に対する政府の負担、通常の許認可手続きの迅速化、大統領レベルでの政策調整は始動している。しかし、専用財源はまだ稼働していない。

法律に財政的な裏付けを与えるために設計された2兆ウォンの「半導体特別会計」を設置するには、国家財政法を別途改正する必要がある。この改正案は2026年度予算の審議と同時には可決されなかった。KoreaTechDeskの分析によると、特別会計が稼働するのは2027年となる。それまでの半導体支援は、複数の省庁に分散した一般会計から拠出される。

専用の特別会計と、複数省庁に分散した一般会計の違いは、単なる行政上の問題ではない。特別会計の資金は指定された目的に限定して使用され、毎年度の予算配分において他の政策分野と直接競合せずに済む。このため、建設に着手するかどうかを判断する企業にとって、複数年にわたる計画の予見可能性が高まる。一方、一般会計による支援は、予算編成のたびに政府の他の優先事項と競合する。

また、半導体の研究開発担当者を韓国の週52時間労働制の対象外とする案も、最終的な法律には盛り込まれなかった。世界の競合企業がより緩やかな労働時間規制の下で事業を展開しているとして、業界が繰り返し求めてきた条項だった。この条項が除外されたことは、法律の成立後も国内政策上の対立が解消されていないことを示している。

■韓国政府の次なる一手「メガ特区法」

半導体特別法だけでは不十分だという韓国政府の認識は、施行前日の動きにも表れていた。月曜日、大統領府のカン・フンシク(Kang Hoon-sik)秘書室長は青瓦台での記者会見で、政府が6月下旬に発表した三つの国家的メガプロジェクトを迅速に進めるため、「メガ特区法」を2026年末までに制定する方針を明らかにした。対象となるのは、湖南半導体クラスター、フィジカルAIインフラ、AIデータセンターである。

計画されているメガ特区法は、指定区域に投資する企業に約300項目の「メニュー方式」の規制特例を用意するほか、特別補助金、環境影響評価の期間短縮、電力・水・交通・従業員向け住宅の一体的な整備を可能にするものだ。同日に官民合同の点検会議を主宰したイ・ジェミョン(Lee Jae-myung)大統領は、当局者に対し、実施のペースは単なる「迅速」を超え、「稲妻のような速さ」にする必要があると述べた。

韓国半導体産業協会は火曜日朝に発表した声明で、半導体特別法の施行を歓迎し、企業投資とエコシステムの革新を支える制度的基盤になると評価した。ソウル経済新聞によると、同協会は同じ声明で、電力や水などのインフラを整備するための積極的な追加政策も求めた。これは、専用の特別会計がない段階で同法の目標を実現するには、補完的な措置が必要であることを示唆している。

■法律が支援する巨大投資計画

半導体特別法の枠組みは、韓国史上最大級の公的支援を伴う産業投資となる二つのクラスタープロジェクトを対象としている。サムスン電子とSKハイニックスは6月、政府が進めるメガプロジェクト構想の一環として、湖南地域の光州と全羅南道に第2の半導体クラスターを建設する約800兆ウォン(約89兆8000億円)規模の投資計画を発表した。

月曜日の会見でカン・フンシク氏が示した数字によると、忠清(チュンチョン)地域では2026年中に6社が、合計246兆ウォン(約27兆6000億円)規模のプロジェクトで建設または施設拡張に着手する予定だ。嶺南(ヨンナム)地域では8社が、合計107兆ウォン(約12兆円)規模のプロジェクトを開始する。

京郷新聞(Kyunghyang Shinmun)による月曜日の会見報道では、湖南クラスターへの電力供給は2028年後半に始まる計画だ。このスケジュールに照らすと、半導体特別法による法制度と専用財源との間の空白が、今後の事業に強く影響する可能性がある。現在から2028年後半までは、特別会計による安定した財源の裏付けがないまま、許認可、用地取得、初期建設を進めなければならない時期に当たる。

SKハイニックスの取締役会は別途、8月8日に54兆3000億ウォン(約6兆1000億円)の新規半導体工場投資を承認した。これは6月に発表された1100兆ウォン(約123兆5000億円)規模の拡張計画の最初の実行分である。M17工場の最初のクリーンルームは2028年12月、Y2は2029年6月の完成を目標としている。このスケジュールでは、韓国の新たなHBM供給能力の大部分が2029年から2031年にかけて稼働することになる。今週の速報データは現在の市場が歴史的な高水準にあることを示しているが、その時期の世界需要を現時点で予測することはできない。

■韓国の速報データが世界のAIサプライチェーンに意味するもの

韓国の月初の関税統計が世界的に注目される理由は明確だ。同国は他の主要輸出国より早く暫定的な貿易統計を発表しており、韓国関税庁による10日間の速報値は、世界の半導体需要の勢いを把握できる最初期の定量的指標の一つとなっている。8月上旬の半導体輸出額99億5000万ドル、総輸出額に占める比率46.8%という数字は、韓国の6月の半導体輸出額が448億2000万ドル(約7兆1263億円)に達してから2カ月足らずで発表された。また、SKハイニックスの取締役会が、2033年までの世界的なAIインフラ需要に対応するため、さらに380億ドル(約6兆420億円)の投資を決めてから1週間後の発表でもある。

AIインフラの調達企業にとって、8月上旬のデータは供給を巡る構図が変わっていないことを裏付けるものだ。AI向けメモリの需要は依然として旺盛で、世界のHBMの大部分を生産する韓国の2社はフル稼働している。韓国政府が18カ月をかけて調整した法的な枠組みも、クラスター拡張を支援するために始動した。ただし、その拡張を支える専用の財政制度が稼働するのは2027年となる。

■資金エンジンなしで法律は機能するか

世界的な半導体投資は、今後12カ月の状況ではなく、複数年にわたる予見可能性に基づいて判断される。火曜日に施行された半導体特別法は、政府によるインフラ費用の負担、許認可の迅速化、クラスター指定の優先といった法的な権利をもたらす。しかし、使途を限定した特別会計による財政面の確実性を提供できるのは2027年以降となる。

設備投資計画が数百兆ウォン規模に上り、少なくとも2033年までのスケジュールをすでに設定しているサムスン電子とSKハイニックスにとって、一般会計による資金支援と専用特別会計との差は、短期的には対処可能だとみられる。両社は既存の計画に基づき、すでに用地整備や調達を始めている。法律は政府が何を行うかを法的に明確にし、財源の仕組みは政府がそれをどの程度確実かつ予測可能に実行できるかを左右する。

一方、半導体特別法が支援対象としている材料企業、製造装置メーカー、ファブレス半導体企業など、より広範なエコシステムにとって、2027年まで専用の財源が存在しないことの影響は大きい。これらの企業は国内向けに販売しているため、別制度である韓国版IRA型の生産税額控除の対象から明示的に除外されていたサプライチェーンの一角でもある。

年内の制定が計画されている「メガ特区法」に関する大統領府の発表は、韓国政府が同じ空白を認識していることを示唆する。半導体特別法が法的な構造を定め、メガ特区法が規制上の迅速化措置を提供し、2兆ウォンの特別会計が財政的な基盤となる。政府はこの三つを並行して整備しているが、火曜日に施行されたのは半導体特別法だけである。

■注目ポイントQ&A

●半導体特別法の施行で、実際に何が変わるのですか?

同法により、韓国政府は首都圏外を優先しながら、全国に半導体生産クラスターを正式に指定できるようになります。指定されたクラスターでは、電力、水、廃水処理施設、道路などのインフラ費用の50%から100%を政府と地方自治体が負担できます。また、国家レベルの政策を調整する大統領直属の「半導体産業競争力強化特別委員会」が設けられます。クラスター開発計画の承認後は、必要な許認可が一括して付与されたものとみなされるため、大規模産業プロジェクトを遅らせてきた行政手続きの待ち時間を短縮できます。ただし、専用の特別会計を通じた資金供給はまだ始まっておらず、別途の法改正が必要です。

●法律が施行されたのに、なぜ半導体特別会計は2027年まで稼働しないのですか?

法律に財政的な裏付けを与える2兆ウォンの「半導体特別会計」を設置するには、韓国の国家財政法を別途改正する必要があるためです。この改正案は2026年度予算の審議と同時には可決されませんでした。改正法が成立するまで、同法に基づく財政支援は、使途を限定した特別会計ではなく、複数の省庁に分散した一般会計から拠出されます。そのため、必要な資金は毎年度の予算編成で政府の他の政策と競合することになります。改正案は2026年から2027年にかけての予算審議で扱われ、特別会計は2027年に稼働する見通しです。

●特別法が施行された直後に、なぜ韓国は別の法律を計画しているのですか?

半導体特別法と計画中の「メガ特区法」は、同じ課題の異なる側面に対応するものです。半導体特別法は、クラスター指定、インフラ費用の負担、大統領直属委員会などの法的枠組みを設けます。一方、その地理的な適用範囲と規制特例の範囲は、韓国政府が進める三つのメガプロジェクトが必要とする水準より限定的です。メガ特区法は、湖南半導体クラスター、フィジカルAI施設、AIデータセンターを対象に約300項目の追加の規制特例を用意し、電力、水、従業員向け住宅などの整備を短期間で進められるようにする構想です。二つの法律を組み合わせることで、半導体特別法だけでは対応できない制度上の課題を補う狙いがあります。

●8月上旬の半導体輸出は、2026年のこれまでの実績と比べてどうですか?

8月1日から10日までに記録された99億5000万ドルの半導体輸出は、このペースが月末まで続けば、月間400億ドルを再び超える水準となります。韓国の半導体輸出額は、7月が410億ドル、6月が448億2000万ドル、5月が372億ドルでした。AIメモリのスーパーサイクルが定着した2025年半ば以降、輸出は基調として増加してきました。8月上旬の速報値は、その傾向がまだ反転していないことを示しています。一方、産業の次の成長段階を支える法制度は整ったものの、専用の財政制度は2027年まで全面的には稼働しません。

元記事: Korea Semiconductor Act Debuts With $9.95B Chip Record; Dedicated Fund Delayed

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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