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米GM、2026年第2四半期は売上高480億ドルで予想上回る EV事業縮小の一方、通期見通しを再上方修正
米ゼネラル・モーターズ(GM)が7月21日に発表した2026年第2四半期決算は、売上高が480億ドル(約7兆8,240億円、1ドル=163円換算)に達し、売上高と利益の両面で市場予想を上回った。同社は2026年通期の利益見通しを今年に入って2度目となる上方修正に踏み切った。
今回の決算からは、同じ企業内で対照的な2つの事業が動いていることが見て取れる。一方では、トラックとソフトウェアを中心とする事業が高い収益力を発揮し、北米事業の利益率を押し上げている。もう一方では、EV(電気自動車)事業の縮小に伴い、2025年後半以降の累計費用が109億ドル(約1兆7,767億円)に達している。
さらにGMでは、車両販売台数だけでなく、「OnStar」のコネクテッドサービスや運転支援システム「Super Cruise」の継続課金収入が、将来の売上高を示す重要な指標になりつつある。繰延デジタル売上高は58億ドルに達し、前年同期比で50%を超える伸びを示している。好調な調整後利益と、EV関連の減損・縮小費用をなお吸収しているGAAPベースの利益との差を踏まえて決算を読み解く必要がある。
■決算数値が示すもの:調整後利益とGAAP利益の差
GMの2026年第2四半期決算は、調整後ベースでは北米事業がここ数年で最も好調な四半期の一つとなったことを示している。調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は前年同期比29.8%増の39億ドル(約6,357億円)に達し、北米事業の調整後EBITマージンは2.5ポイント拡大して8.6%となった。調整後1株当たり利益(EPS)は3.57ドル(約582円)となり、市場予想の約3.18ドル(約518円)を大きく上回った。
一方、米国会計基準(GAAP)に基づく未調整の決算数値は異なる様相を呈している。株主に帰属する純利益は前年同期比31.1%減の13億ドル(約2,119億円)に落ち込んだ。EV事業の縮小に伴うサプライヤーからの請求の解決に関連して、現金項目と非現金項目を合わせた23億ドル(約3,749億円)の特別費用を計上したことが響いた。売上高は前年同期の471億ドルから1.9%増の480億ドルだった。
この調整後利益とGAAP利益の差は、単なる会計上の操作ではなく、実際に発生している有限の移行コストを反映したものだ。GMによると、EV事業縮小に伴って見込む総額72億ドル(約1兆1,736億円)の現金支出のうち、第2四半期末までに45億ドル(約7,335億円)を支払った。同社は、この計画に伴う主要な費用の計上を「実質的に完了した」と説明している。2025年後半以降に計上したEV事業縮小関連の累計会計費用は109億ドルに達している。
■車両を製品ではなくプラットフォームとして販売する戦略
今回の決算で最も重要な数値は、損益計算書には表れていない可能性がある。コネクテッドサービス「OnStar」や運転支援システム「Super Cruise」について契約済みで、今後の四半期にわたって売上高として認識される繰延デジタル売上高は、2026年第1四半期末時点で58億ドル(約9,454億円)に達し、前年同期比で50%を超えて増加した。GMは、加入者数が合計約1,300万人となることを背景に、この残高が2026年末までに75億ドル(約1兆2,225億円)に近づくと予想している。
繰延売上高は、通常の車両販売による売上高とは異なる性質を持つ。顧客が3年間のOnStar無料試用期間を含む車両を購入した場合、GMはサービス提供義務の現在価値を負債として計上し、実際にサービスを提供するのに合わせて売上高として認識していく。この58億ドルの残高は、実質的には契約によって確保された将来の売上高のパイプラインである。EVの販売台数が増えているか減っているかにかかわらず、コネクテッド機能を備えた車両が売れるたびに積み上がる。
Super Cruiseによるハンズフリー走行距離は、当四半期中に累計10億マイル(約16億キロメートル)を突破した。このシステムは、HERE Technologiesの事前作成済み道路地図、高精度GPS、前方カメラ、赤外線を使ったドライバー注意監視機能を組み合わせ、米国とカナダにある約40万マイルの地図作成済み道路でハンズフリー走行を可能にする。
すべての道路ではなく、検証済みの高速道路に利用範囲を限定するジオフェンス型の設計は、カメラ映像を中心に処理するテスラのシステムとの重要な技術的相違点である。累計10億マイルに及ぶ実際の走行データは、GMが規制当局に対してシステムの実績を説明するうえでも重要な意味を持つ。
2026年第1四半期に認識されたデジタル売上高は、前年同期比20%超増の7億5,000万ドル(約1,223億円)を超えた。通期のデジタル売上高見通しは約31億ドル(約5,053億円)となっている。車両ハードウェアの粗利益率が1桁台半ばであるのに対し、ソフトウェアサブスクリプションの粗利益率は約85%とされる。このため、デジタル売上高の成長はGM全体の利益構成に大きな影響を与える。
ただし、注意すべき点もある。OnStarのサブスクリプションモデルは、GMが顧客に十分に開示しないまま詳細な位置情報や運転行動データを保険会社に販売していたとニューヨーク・タイムズ紙が報じた後、2024年に規制上の監視対象となった。GMは報道後、LexisNexisおよびVerisk Analyticsとのデータ共有提携を終了したが、連邦裁判所では集団訴訟が継続している。コネクテッドサービスの利用者は、加入前にGMの現在のデータ共有条件を確認すべきだ。
■EV販売が急減した理由
GMの2026年第2四半期のEV販売台数は、ほぼすべてのラインナップで減少した。シボレー・エクイノックスEVは61.8%減、ブレイザーEVは68.1%減、GMCハマーEVは56.8%減となった。この下落幅には説明が必要だが、GMは各種の開示で一貫した理由を示している。
消費者にとってEVの実質的な購入価格を引き下げていた7,500ドル(約122万3,000円)の連邦EV税額控除は、One Big Beautiful Bill Act(Public Law 119-21)に基づき、2025年9月30日に終了した。控除の終了が迫ったことで、EV需要の相当部分が2025年後半に前倒しされた。その後、控除がなくなると需要が急減した。
この影響はGMに限らない。コックス・オートモーティブの推計によると、同じ期間にフォードの上半期のEV販売は10%を超えて減少し、テスラの販売台数も15%近く減少した。
こうした販売減の中でも、GMは米国EV市場においてテスラに次ぐ第2位を維持し、市場シェアは推定13.5~14%だったとしている。GMのEV販売台数は絶対数では減少したものの、市場全体も縮小した。GMは2026年上半期に5万6,679台のEVを納車し、2025年同期比では32.6%減となったが、業界全体が縮小する市場で2位を維持するには十分な台数だった。
GMは、Ultium(アルティウム)バッテリープラットフォームの継続的なコスト削減や、生産量縮小に伴う固定費吸収額の低下などにより、2026年のEV1台当たりの損失が2025年比で10億~15億ドル(約1,630億~2,445億円)改善すると見込んでいる。
■トラック部門と価格維持が支える中核事業
GMの従来型の中核事業は、第2四半期も規律ある運営を維持した。平均取引価格は1台当たり5万2,000ドル(約847万6,000円)を保ち、販売奨励金の支出はメーカー希望小売価格(MSRP)の平均4.7%と、業界平均の6.3%を大きく下回った。ディーラー在庫は目標とする50~60日分の範囲を維持し、前年同期比では3%減少した。これは需要の弱さというより、供給管理の結果を反映している。
GMは米国のトラック市場で32.5%のシェアを維持し、フルサイズピックアップトラックの販売で7年連続首位となる見通しだ。GMCシエラは、ライトデューティー仕様の販売が11.3%増加したことに支えられ、販売台数で過去最高の四半期を記録した。シエラ全体の販売台数は5%増加した。
メアリー・バーラCEOは株主への書簡で、Super Cruise搭載車の販売が四半期および上半期として過去最高を記録したと述べ、トラックとSUVのラインナップで安定した価格設定を維持していることにも言及した。
■2026年通期見通しを2度目の上方修正
GMは、2026年通期の調整後EBIT見通しを、従来の135億~155億ドルから140億~160億ドル(約2兆2,820億~2兆6,080億円)に引き上げた。上方修正後の調整後EPS見通しの中央値は13.00ドル(約2,119円)で、アナリスト予想の約12.79ドル(約2,085円)を上回った。自動車部門の調整後フリーキャッシュフロー見通しも95億~115億ドル(約1兆5,485億~1兆8,745億円)に引き上げた。
最初の業績見通し引き上げは2026年4月に行われた。最高裁判所が国際緊急経済権限法に基づいて課された関税を無効とする判断を示したことで、GMのコスト負担が約5億ドル(約815億円)軽減されたためだ。
第2四半期時点の通期見通しでは、価格が約0.5%上昇すること、EV事業の損失が10億~15億ドル改善すること、規制面で5億~7億ドル(約815億~1,141億円)の恩恵があることを前提としている。一方で、関税の総コストを25億~35億ドル(約4,075億~5,705億円)、DRAMチップのコストを含む商品・原材料価格の上昇を15億~20億ドル(約2,445億~3,260億円)と見込む。
この見通しには、エネルギーや物流コストに影響を与える可能性がある中東情勢の重大な緊迫化は織り込まれていない。
また、GM取締役会は、2026年9月4日時点の株主名簿に記載された株主に対し、同年9月17日に1株当たり0.18ドル(約29円)の四半期配当を支払うことを決定した。
■EV事業縮小開始後で最も強いフリーキャッシュフロー
自動車部門のフリーキャッシュフローは、前年同期比78.0%増の50億ドル(約8,150億円)に急増した。EV関連費用や設備投資を調整したこの数値は、GMの中核である製造・サービス事業が、配当や自社株買いプログラムを十分に賄えるペースでキャッシュを生み出していることを示す明確な指標となる。
自動車部門の営業キャッシュフローは9.0%増の51億ドル(約8,313億円)となった。
ポール・ジェイコブソンCFOは決算発表後、CNBCの番組「Squawk Box」に出演し、今回の業績は複数年にわたって続く傾向と一致していると述べた。さらに、2026年上半期のEPSは、GMの過去のどの上半期と比べても25%高いと説明した。
ジェイコブソンCFOは、約75ドル(約1万2,225円)で取引されていたGM株を「割安」とも表現した。しかし、決算発表後に株価は3.3%下落した。GAAPベースの純利益見通しが下方修正されたことや、EV関連費用の処理が完了する時期になお不確実性が残ることが影響した可能性がある。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、コリン・ランガン氏は、GAAP利益の先行きに対する懸念を理由に、GM株の投資判断を「アンダーウェイト」、目標株価を60ドル(約9,780円)に据え置いた。ジェイコブソンCFOの「割安」という見方とランガン氏のアンダーウェイト評価の隔たりは、GM株の評価に調整後利益とGAAP利益のどちらを用いるべきかをめぐって、実質的な意見の相違があることを示している。
■25億ドル以上の関税コストが購入者に与える影響
GMが見込む2026年の関税総コストは25億~35億ドルで、従来予想から変更されていない。主な要因は、通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム関税である。
同社によると、米国内での部品・材料調達比率の調整や、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠した調達が関税の影響緩和に寄与した。こうした相殺策を踏まえ、GMは関税コストの予想を引き上げずに据え置いた。
消費者にとっては、GMが販売奨励金をMSRPの4.7%に抑える価格規律を維持できている背景の一つに、現時点では関税コストを購入者に直接転嫁せず、企業側で吸収していることがある。関税コストが現在の予想を大幅に上回って増加した場合、この判断が変わる可能性がある。
■テスラは7月22日に決算発表、両社を直接比較へ
テスラは、7月22日水曜日の米国市場取引終了後に2026年第2四半期決算を発表する予定だ。月曜日に公開されたTechTimesの事前記事によると、アナリストは売上高を約264億ドル(約4兆3,032億円)、調整後EPSを0.36~0.54ドル(約59~88円)と予想している。
両社の対比は、2026年半ばにEV移行がどの段階にあるかを判断するうえで重要な材料になる。GMはトラックと成長するソフトウェアサブスクリプションからキャッシュを生み出す一方、大規模なEV関連減損の処理を進めている。
これに対し、テスラは引き続きEV専業メーカーの需要動向を示す代表的な企業であり、自動運転システム、人型ロボット「Optimus」、半導体製造に多額の投資を行っている。今後24時間の決算発表によって、税額控除終了後の市場で、GMの多角化されたソフトウェア・ハードウェア型プラットフォームと、テスラのEV・AI集中型戦略のどちらがより強い耐性を持つかについて、より明確な材料が得られることになる。
■注目ポイントQ&A
●市場予想を上回ったにもかかわらず、なぜGMの純利益は減少したのですか?
GAAPベースの純利益が31.1%減の13億ドルとなったのは、EV事業の縮小に伴うサプライヤーからの請求を解決するため、第2四半期に23億ドルの特別費用を計上したためです。この費用は調整後利益から除外されており、調整後EBITは29.8%増の39億ドルでした。
調整後利益とGAAP利益の差は、実際に発生しているものの、範囲が限定された移行コストを反映しています。GMは想定する総額72億ドルの現金支出のうち45億ドルを支払い済みで、主要な費用計上は実質的に完了したとしています。こうした費用の計上が終わるまでは、GAAP利益が調整後利益を下回る状態が続くことになります。
●繰延デジタル売上高とは何ですか?なぜ認識済み売上高より重要なのですか?
繰延デジタル売上高とは、OnStarやSuper Cruiseの無料試用期間を含む契約などを通じてGMが契約上すでに確保し、将来の期間にわたって売上高として認識する金額です。2026年第1四半期末時点の残高は、前年同期比50%超増の58億ドルに達しており、将来のソフトウェア収益を示す先行指標となっています。
ソフトウェアサブスクリプションの粗利益率は、車両ハードウェアよりも大幅に高いため、繰延デジタル売上高の1ドルは、同額の車両売上高よりも大きな割合で利益に結び付く可能性があります。GMは、加入者数1,300万人を目標とし、この残高が2026年末までに75億ドルに近づくと予想しています。
●GMのEV事業縮小に伴うコストは総額でいくらになり、すでに終了したのですか?
GMは2025年後半以降、EV関連で累計109億ドルの会計費用を計上しています。想定する総額72億ドルの現金支出のうち、2026年第2四半期末までに45億ドルを支払いました。
GMは主要な費用の計上を「実質的に完了した」と述べていますが、通期見通しには依然として35億ドルの調整項目が含まれており、追加費用が発生する可能性は残されています。EV事業の縮小は単発の出来事ではなく、EV需要をより強気に予測していた時期に結んだサプライヤー契約や製造上の契約義務を段階的に整理するプロセスです。
●投資家はGAAP利益と調整後利益のどちらを重視すべきですか?
どちらも重要ですが、示している内容が異なります。調整後EBITは29.8%増の39億ドルで、事業再編費用などの影響を除いたGMの中核事業の業績を示しています。一方、GAAP純利益は31.1%減の13億ドルで、EV事業縮小の実際のコストが損益計算書に与えた影響を反映しています。
長期的な投資家は、EV関連費用が有限であり、ソフトウェア売上高の成長が持続すると判断する場合、調整後指標をより重視する可能性があります。一方、短期的な投資家やバランスシートへの影響を懸念する投資家は、GAAP指標を注視することになります。
専門家の見方も大きく分かれています。ウェルズ・ファーゴは投資判断を「アンダーウェイト」、目標株価を60ドルとする一方、JPモルガンは「オーバーウェイト」、目標株価を110ドル(約1万7,930円)としています。どちらの指標を評価の中心に置くべきかについて、専門家の間でも明確な意見の相違があります。
元記事: GM Beats Q2 Forecasts with $48B Revenue, Raises Full-Year Guidance Again
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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