外国製EVバスは勘弁して欲しい

2022年8月24日 11:12

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Photo:大阪市内でも稼動中のEVバス ©sawahajime

Photo:大阪市内でも稼動中のEVバス ©sawahajime [写真拡大]

 7月26日付日経新聞夕刊の1面トップに「EVバス、世界で快走」「中国製、安さ・技術で席捲」「水素重視の日本出遅れ」との記名記事が掲載された。

【こちらも】日本の電力事情とEV車押しの是非

 一応、日経は反日スタンスが目に付く新聞社と違うから、素人がこれを目にしたら、信じてしまうかも知れない。従って、少なくとも次の3点に関しては確認しておきたい。

・中国製EVバスが世界規模で見れば「台数を伸ばしているのは事実」だ
・「安い」という事実は認めるが、「技術で席捲」は言い過ぎだ
・水素重視が本来のあるべき姿で、日本は決して「EVに出遅れてはいない」

●上記3点を説明する

 いちいち解説しておくと、中国製EVバスが台数を伸ばしているのは、日本に代表される「先進技術を持つメーカー」は、「現在のEVバスのレベルに満足が行かず、市場投入を躊躇している」からであって、彼等なりに合格点をつけるレベルの製品が完成すれば、中国製なんぞは一瞬にして抜き去られるはずだ。

 安さに関しては『安いEV車には訳があるはず』(2022年5月5日付)で解説した。

 要するに、市場投入されたEVバスが少ないから「中国製しか選択肢がないだけ」で、「技術で席捲」出来るだけのレベルの技術を彼等は持ち合わせていない。

 ハイブリッドを造れる技術があれば、EV車は簡単に作れるが、ハイブリッドを造れないメーカーはEV車しか造れない。EV車自体が限定用途にしか適用出来ず、将来的には水素がメインとなり、FCV(燃料電池車)と水素エンジン車となる。

 また従来の内燃機関を搭載した車は、決して無くならない。

●既に急激なEVシフトへの反省も

 ヨーロッパでも、EV車に関しては既に、EVシフトは「暴走だった」との反省が拡がっている。

 産業基盤である「電力」の安定確保があってこそ、自動車としては未完成なEV車の活きる分野もあるが、世界的にも「節電」を騒がなければならない現状から見ても、自動車の将来像は「水素」であることは、明白だ。

 昨今は、中国では電力不足で「充電スタンドの稼動を抑制している」と報道されている。

 ガソリンスタンドが強制的に閉鎖されるのと同じで、燃料である「電気」の供給が抑制されれば、EV車は唯の箱でしかない。

●世界各地で発生しているEVバスの発火事故

 ネット情報には、玉石混交で、フェイクニュースも多く含まれている。

 気になる情報があれば、極力ニュースのネタ元にアクセスして確かめるのは、必須と考えたい。

 英語表記のサイトなら、英語が不得意でも、必要個所をコピーして、「Google翻訳」に貼れば、昔とは比べものにならない格段に精錬された日本語訳が読めるはずだ。フェイクを疑って、多方面にわたって検索して、いろいろな動画を目にすることが大事だ。

 いろいろと差し障りがあるから、直接URLを記載することはしないが、例えば「EVバス発火」で検索すれば、「電動バスが自然発火で次々炎上・・・連日40℃近い熱波で。」「パリ交通公団が導入している電気バスが、相次いで火災事故を起こした。EV普及の妨げにならないのか。」「ドイツ北部で電気バス車庫から出火、今後の電気バス政策に影響か。」等々、いろんな画像や記事が参照出来る。

 現代ビジネス『中国、韓国「EV電池」の発火が相次ぐ一方、「何もしていない」ように見える「日本の製造業」はやはり凄かった』で、TBSが6月24日、「電気自動車から発火、中国政府が普及進める『新エネルギー車』の火災が増加」では、「新エネルギー車」の火災事故は、1~3月だけでも640件と、昨年同時期に比べて32%増加したと伝えている事例も挙げている。

 救いは、「日本のEVバスに採用される東芝の新型EV電池が中国と韓国をつき崩す日」といった記事で、「東芝の新型電池は容量こそ小さいが、事故など外部からの圧力でも発火する可能性が低く、5分の充電で50キロの走行が可能」。しかも「2万回の充放電を繰り返しても劣化が少ない高い耐久性を持つ」といった、日本技術の優秀性だ。

 しかし現状は、近隣諸国製の「まともなバッテリーを搭載していない(外国製)EVバス」が頻繁に燃えている。

●タクシーなら忌避出来るが

 京都のタクシー会社が年内に150台のEV車を導入すると発表した。

 この150台には日産「アリア」、三菱「ekクロスEV」と、敢えて名を伏せておく「韓国製の車」が含まれている。

 前掲の国産メーカー2社の場合は、過去実績から見て、先ずは安心して乗れるが、問題は最近ネットで「衝突して3秒で発火し、7時間消火出来なかった」とか騒がれている車だ。

 いくら急いでいてタクシーがつかまらなくても、この車が空車で来たら、絶対にパスする。予定に遅れる方が、万一の発火事故で焼死するよりも良いに決まっている。

 タクシーなら忌避出来るが、バスの場合は停留所で待っていてEVバスが来た場合、乗らずにやり過ごして次を待つのは辛いものがある。

 大阪万博でもEVバスを検討しているとされるが、安心出来る国産バス以外は勘弁して欲しい。命を懸けて乗る様な代物を、公共の足に提供して貰いたく無いものだ。

 最後に、一流紙への記名記事なら、日本の自動車技術レベルを正しく認識し、「技術レベルの低さ」故にEV車に強権的にシフトを図った中国の思惑に乗せられず、冷静な分析記事で啓蒙して欲しい。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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