高額車の方が売り易いという現実

2021年7月17日 08:50

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Photo:トヨタより高級な位置づけのレクサス、IS350はV6 3.5Lで650万円する(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

Photo:トヨタより高級な位置づけのレクサス、IS350はV6 3.5Lで650万円する(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 一般的には、高額な品の方が安価な品より売り難いのが常識である。しかし、自動車に関しては全く逆で、高額車の方が売り易いのだ。

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 車を1台販売すると、色々な手続きや書類が必要となる。これは高額な車も安価な車も、原則として手続きに差は無いため、売る手間は同じだ。

 フェラーリを買おうがヤリスを買おうが、車庫証明は必要だ。却って自宅に車庫があるから、月極駐車場を探したりする必要も無い。

●車両購入手続き

 車を購入するには、色々な書類、手続きが必要となる。

 *現金購入以外ならローン申請手続き、割賦販売手続き
 *車庫が自家保有の場所以外なら駐車場契約、使用許諾書類等
 *下取り車があるなら、自動車税完納証明等
 *所有者名義が別なら、所有権解除や名義変更に関する書類
 *代替の場合の任意保険の車両変更関連手続き

 等々、まだ漏れがあるかも知れないが~。

 これ等の手続きは、100万円の車も2,000万円の車も同じであり、販売台数カウントは、同じ1台なのだ。

●車種ミクス

 自動車ディーラーの経営に際しては、販売台数目標や収益計算等が絡み合って、単に「今月の販売目標台数○○○台」とは行かない。

 ファミリーカーから高級車まで扱うなら、「ファミリーカー△△台、ミドルクラス□□台、高級車☆☆台」の様に、車種構成を勘案する。

 勿論、乗用車だけではなく、商用車も扱うだろう。営業拠点が下町か、高級住宅街か、商店が多いか否かも、販売車種構成に影響する。

 全社の分布する営業拠点の市場環境を勘案して、会社としての販売計画が立案される。

 薄利多売で台数を稼ぎ、高額車ではしっかり利益確保しと、単なる台数ではなくて販売する商品構成から利益を構築する。

●オーナーカーの購入行動

 オーナーカーといってもピンからキリまである。

 中古車という選択肢を除外して、新車購入を前提で話を展開するが、新車といっても軽自動車から、昔は「大衆車」と呼ばれたファミリーカーもあり、もっと大きくて高額な車もある。

 同じトヨタ製でありながら「トヨタ」じゃなくて「レクサス」だと差別化した、高級車もある。

 本来、国産車の方が日本の風土に合っているから、故障も少なく価格もリーズナブルな筈なのに、未だに「ガイシャ」に憧れでもあるのか、割高な輸入車を選ぶ向きも少なくない。

 筆者の居宅の近所も外車比率が結構高く、特にドイツ車が目立つ。お向かいさんはポルシェとフィットで、その隣はBMW。かくいう当家も、娘は輸入車を勝手に購入した。

 当人はメカにも全く興味は無くて、単に「デザインが気に入っただけ」だそうだ。その結果、当家は外車シェアが50%だ。

●大衆車ほど決定までに時間がかかる

 ディーラー現場での営業経験からも、高額車の方が購入決定までの時間が短い。

 金銭的に余裕がある階層が購入するのだから、「失敗すれば、また別の車に買い替えれば良い」みたいな割り切りがあるのかも知れない。

 それに対して、前提として「なけなしの金を払う」とか、「予算との折り合いをつける」必要がある購入階層では、最初に「車種選定」のプロセスがあり、続いて「グレードの選定」、その後には「オプション選択」のプロセスへと進む。

 その後に漸くボディカラー等の検討に入る。勿論、価格交渉も大きな割合を占めるテーマだ。

 結局、予算が限られているから、お財布との折り合いをつける必要がある訳だ。

●同居家族から横槍も

 そんなプロセス中にも障害が待ち受けていた。

 以前から「赤い車」が欲しかった息子夫婦が、念願の車を発注する際に、漸く注文書に印鑑を捺す段になって、同居する老親が、「私が死んだ時、こんな赤い車で霊柩車の後ろを走るつもりか?」みたいな嫌味をいって反対したりする場面もあった。

 複数台数を保有する事が可能な階層では、起こらない障害であった。

●富裕層の購入形態

 富裕層の場合は車種を選定したら、敢えて不必要な装備を避けてグレード決定をする以外は、大体はその車種の最高グレードをチョイスするケースが多い。

 高級外車の場合は、単純なオプションでも目玉が飛び出す位に高額だったりする。

 その問題を除けば、「最高グレード」なら、代替の場合も「相場価格の下落率」が少なくて済む。

 後はせいぜい納期との関係で、「どちらのモデルor色が早く納車出来ますか?」みたいな会話程度で、クレジットの与信なんて問題も起こらない。

 そんな訳で、自動車に関しては、「高額車の方が売り易い」のである。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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