相場展望12月21日号 日経平均は、外資系短期筋から、個人の現物買いへ牽引役交代か

2020年12月21日 08:23

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)12/17、NYダウ+148ドル高、30,303ドルで最高値更新
  ・追加経済対策の早期成立期待と、FRBによる金融緩和の長期化観測が買いを誘った。
  ・一方、12/16発表の米小売売上高は市場予想以上に減少するなど懸念が高まっている。

【前回は】相場展望12月17日号 更なる株価上昇には、米FRBの追加緩和策が必要 ⇒ 前向きサプライズなら株価上昇、失望なら調整?

 2)12/18、NYダウ▲124ドル安、30,179ドル
  ・新型コロナに対する追加経済対策がなかなか合意に達せず、与野党協議を見極めようと、短期的な過熱感を意識した利益確定売りで下落、ワクチン期待が支え。(NHK)
  ・民主党下院ペロシ議長が会見を延期。FRBの緊急融資計画への財務省からの資金調達方針で議論されているようだが、合意は明日にでもあり得る模様。(フィスコ)
  ・今日は先物の決済日を迎えるため、通常より値動きが激しい展開が予想されていた。(ブルームバーグ)

●2.米国株式の今までの動向は、好材料に反応し、悪材料は無視してきた

 1)好材料((1)ワクチン (2)追加経済対策 (3)FRBの緩和策の長期化維持)に反応して、最高値を更新してきた。

 2)悪材料((1)感染拡大 (2)法人税増税 (3)経済指標悪化)には一時的反応のみ。

 3)今後の予想
  ・米追加経済対策は、民主党ペロシ下院議長も肯定的発言となり、今週12/21~25にも決着の可能性高い。
  ・米住宅関連指標は改善している。
  ・そのため、追加経済対策の議会決着までは、株高を予想する。
  ・しかし、その後は、フィラデルフィア連銀指数は大幅悪化しており、悪材料に市場の意識が向く可能性がある。

●3.米FDAは12/18、モデルナのコロナワクチンを緊急使用許可(ブルームバーグより抜粋

 1)米食品医薬品局(FDA)はモデルナが開発したワクチンを許可したと発表した。米ファイザーと独のビオンテックのワクチンに続き2例目となる。

 2)モデルナは、政府向けワクチン出荷を直ちに開始すると説明。

●4.米連邦準備制度理事会(FRB)は銀行ストレステストの結果、自社株買規制緩和(フィスコ)

 1)新型コロナ危機に伴う景気悪化で貸倒損失が最大6,290億ドル(約65兆円)に膨らむとの試算も、自己資本は基準を満たすとして、自社株買いの再開を認めた。(時事通信)

●5.米11月景気先行指数は+0.6%と、予想+0.5%を上回った(フィスコ)

 1)10月は+0.8%よりは下落した。

●6.米国7~9月期経常赤字▲1,785億ドルと、前四半期▲1,614億ドルから拡大(ブルームバーグ)

●7.米上場廃止できる中国企業等の監査強化法案に、トランプ氏署が12/18署名成立(時事通信)

 1)米上場の中国企業はアリババ含め217社。中国企業は自国の法律を盾に米当局の検査を受け入れないケースが多かった。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/17、上海総合指数+37高、3,404
  ・中国経済の回復を背景として、相場の先高観が根強く、買い優勢となった。(日経新聞)

 2)12/18、上海総合指数▲9安、3,394
  ・前日に+1.1%高の反動もあり、金融や酒造に利益確定売りが出た。(日経新聞)

●2.中国政府は12/19、外資が中国本土で企業買収などを行う際の安全審査規定を公表(共同通信)

 1)審査対象は、軍事、IT、資源、インフラ、エネルギー、金融などの経営権取得につながる投資。
 2)不合格なら、投資禁止。
 3)施行は2021年1月18日。

●3.米国は、中国のSMICを輸出規制リストに、中国半導体産業に打撃(朝日新聞より抜粋

 1)米商務省は12/18、対中国輸出規制リストに半導体受託で中国最大手SMIC(中芯国際集成電路製造)などを加え、リストにはファーウェイなど60社以上の中国企業を載せた。

 2)今回のSMICの規制では、10ナノ以下の半導体製造装置の輸出を禁ずる。

 3)SMICについては、米国防省が中国人民解放軍の影響下にあると既に認定している。

 4)中国政府は国内半導体業界を世界トップレベルに育て、米国から技術的自立を果たす上でSMICを中核に位置付けている。(ブルームバーグ)

●4.中国、半導体企業の企業所得税を最長10年間免除(新華社)

 1)中国財政部は12/20、国家奨励対象の各種集積回路(IC)の生産企業またはプロジェクトに応じた税優遇措置を講じる方針を明確にした。

 2)優遇の度合いが大きく、IC生産企業またはプロジェクトはが税コストを引き下げ、研究開発を強化し、産業の急速な成長を促進する上でプラスになる、と評価する。

●5.中国、2027年にアジアで米軍並みの軍事力にし、米国の台湾への接近を阻止が目標(共同通信)

●6.米司法省は12/18、ビデオ会議での政治的発言を監視したと、中国人を訴追(CNN、読売新聞)

 1)訴追された中国人は中国共産党とつながりを持ち、ズームに勤める中国在住の幹部だった。2019年1月から監視し、会議を妨害したとされる。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)12/17、日経平均+49円高、26,806円
  ・ワクチンへの期待と金融緩和の長期化で米国株高となったのを受けて、上昇した。

 2)12/18、日経平均▲43円安、26,763円
  ・新型コロナ感染者数の増加と景気下押し懸念が、利益確定売り優勢となった。
  ・ただ、ワクチンへの期待が下支えした。
  ・日銀の政策決定会合があったが、想定通りのため相場への影響はなかった。

●2.日経平均の動向は、買い主役が外資短期筋による先物買いから、個人の現物主導に移行

 1)買いの主役交代
  ・26,000円までは、外資系短期筋による先物の買いと、日経平均寄与度の高い値嵩株の買い上がりが主因。
  ・26,000円以上からは、先物から個別株の現物株主導でトヨタ株などの大型テーマ株の買いが牽引役に替わっている。

 2)27,000円の壁
  ・出来高は減少傾向となっており、円高・ドル安もあって上値が重く、27,000円が壁となり、揉み合い状況になっている。
  ・ドル円は、12/17に一時103円割れ。

 3)今週の予想
  ・外国人のクリスマス休暇もあって出来高が減少傾向にあり、個人の買いによる現物株主導となっているため、上値追いは限界があり、揉み合いを予想する。
  ・なお、株価収益率(PER)は12/18に24.99倍と割高水準を示しており、これ以上の買い上げはリスクを感じる向きも出てきそう。
      

●3.ドル円の為替動向は、ドル安・円高が進行

 1)米国の大規模財政支出案や米連邦準備制度理事会(FRB)による財政マネーの垂れ流しで、12/17は一時103円割れとなるなど、ドル売り・円高が進行。

 2)FRBは月額1,200億ドル(月当たり約12.4兆円)の資産購入で、財政マネーが膨らみ続けるため、為替はさらにドル安・円高が進行する地合いが継続すると思われる。

●4.コロナワクチンでファイザーから申請を「最優先審査」し、2月にも承認可否(共同通信)

 1)田村・厚労省大臣は12/18、「最優先で迅速に審査を指示した」と明らかにした。
 2)承認されれば、3月に医療従事者の接種が始まる可能性がある。
 3)高齢者には3月中に市町村が接種権を配布する計画を政府内で検討している。

●5.企業動向

 1)東芝      再生エネ事業の洋上風力発電(風車製造)に参入意欲(共同通信)
 2)オリンパス   希望退職を発表、国内従業員で950人程度(NHK)
 3)全トヨタ労連  2021年の春闘でベアゼロも容認(朝日新聞)
 4)ダイキン    ダイキンの現地法人がインド企業を買収し、現地生産拡大(NNA)

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・4516 日本新薬   好業績。
 ・2201 森永製菓   売られ過ぎ。
 ・3224 新明和    業績回復へ。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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