トヨタはなぜ利益を出せるのか? リストラなしで固定費削減が出来るわけは

2020年9月4日 07:25

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 トヨタの強さが目立つ。2020年4-6月期3カ月間の販売台数は、前年同期比でトヨタ-31%、日産自動車-47%、ホンダ-40%、スズキ-64%、三菱自動車工業-53%、SUBARU-49%、マツダ-30%と全て大幅な減少だ。この減少の中で、トヨタは利益を確保している。「原価低減を地道にしてきたのみ」としているが、2月からの数カ月で大幅な原価低減努力は出来るはずもない。

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 1つ考えられるのは、「ジャストインタイム」によって、材料などの仕入れ段階まで、他メーカーより急激なダウンに即座に対応でき、変動費のダウンも無駄なく出来ていることだ。そのため、変動費の下落が遅れることなく、必要のない材料などを買い込まずに在庫となっていないことが考えられる。だが、これも各メーカーの財務処理でキャッシュフローには表れるが、損益決算には表れないはずだ。

 ましてや、採算分岐点を下げるには固定費の削減を行うしかない。それは労務費の削減をすることとなるのだ。つまり、日産のように工場を閉鎖して人員を削減したこととなる。しかし、現在トヨタは目立った人員削減はしていない。今回の急激な減産に対応して、採算分岐点を直ちに下げられる仕組みには理解が及ばない。

 採算分岐点について生産能力を維持したまま下げるには固定費を下げる、つまり、すぐに出来ることは人件費を下げるしかない。しかし、研究開発費を維持したままにするとして、設備投資を抑えても減価償却費は過去のままなので、固定費はすぐには減らない。

 出来ることは人件費抑制なのだが、トヨタは人員削減していない。すると、採算分岐点は下がっておらず、これまで「儲かりすぎていた」ことになるのだ。たしかに利益率8%台は優秀であるが、これほどのバッファーになる数字でもないし、この数年変化は少ない。

 トヨタが発表しているとおり、「200万台ほどリーマンショック時より採算分岐点を下げられた」とすると、300万台減少しているのだからギリギリ耐えていることになる。しかし、「200万台下げられた理由は何か?」が最大の問題だ。

 サプライチェーンを含めてコストダウンに成功していることとなる。「仕入れ値を下げる」、つまり部品メーカーに毎年コストダウンを迫ってきたことと、社内でコストダウンしてきた積み上げとトヨタは説明している。

 これには数年分の積み上げがあり、コストダウンの成果は毎年の利益率の向上に現れる。しかし、トヨタの利益率は数年大きく変わっていない。TNGAの効果が決算書から読み取れる数字はどこなのであろうか?利益率の向上と研究開発費の増加、減価償却費の増加などであろうか?利益率が変わらないとすると、やはりCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対する開発投資に消えているのであろうか?

 もう1つ考えられるのは、「平準化」である。生産台数が全世界で30%急激に下がっても、車種ごとのばらつきがあり、平均して各生産拠点の生産ダウンが一律に30%になる訳ではない。「売れている車種と急激に売れなくなった車種」があるはずだ。これを調整して平準化の効果が出ているのであろうか?この効果も短期間では出にくいはずだ。トヨタの説明を聞いてみたいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード本田技研工業マツダトヨタ自動車三菱自動車日産自動車スズキTNGA

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