未来のクルマ社会はどうなる 開発途上国

2020年8月24日 16:38

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Photo:20系ランドクルーザーFJ25L 1957年式 ©sawahajime
20系は1955年~1960年

Photo:20系ランドクルーザーFJ25L 1957年式 ©sawahajime 20系は1955年~1960年[写真拡大]

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  • Photo:40系ランドクルーザー 1960年~1984年の24年間生産された(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

 先ず、2020年5月18日付「将来クルマは2極分化する」に関して再確認しておきたい。本論は、「自動車先進国」に於けるクルマ社会の将来像を分析したものである。

【こちらも】将来クルマは2極分化する

 「自動車先進国」といえるのは、地球上では極く一部の地域である。

●大きな部分を占める開発途上国

 地球上には、先進国の都会地から、開発途上国の、都会地を遠く離れた僻地までの、熱帯雨林から砂漠地帯、氷に覆われた地帯と、多様な環境が存在する。

 水を確保するだけの為に、長い距離を水汲み場に行かなければならず、水一杯の壺を頭に載せて、徒歩で戻らねばならない環境に、「自動運転のEV」なんて、異次元の物体でしか無いだろう。

●ランドクルーザー

 1951年に自衛隊の前身である警察予備隊への納入を目的に、「トヨタ・ジープBJ型」として生産が開始され、ジープの商標が抵触することにより、54年に「ランドクルーザー」と名称を改めた4輪駆動車だ。

 1955年8月にモデルチェンジにより20系となった(写真参照)。

 20系は60年前の1960年にフルモデルチェンジして、40系となり、1984年の70系までの24年間生産された。

 50年程昔の部品構成の自動車は、電子制御の燃料噴射では無くて「気化器」仕様。

 水没すれば窓が開閉できないパワーウインドウでは無くて、昔ながらの手回し式のウインドレギュレーターで、勿論パワーステアリングも不採用。即ち、使用環境に適応し、「現地の技術レベル」で問題が解決できる仕様である。

 トヨタは極力、現代的な電子化を回避した部品構成を守って、開発途上国の、いわゆる町の修理工場レベルでも特殊な計測器や器具、治具無しで修理、補修が可能な、旧来のモデルも供給している。

 これこそが、自動車先進国のトップメーカーとしての矜持ではないか。

●開発途上国では、「内燃機関」しか考えられない

 中東の紛争地域では、政府軍は勿論、反政府勢力側も「トヨタ・ランドクルーザー」が主役なのは万人が認めるところだ。命懸けの集団が選択する車が、一番信頼できる優秀な車だ。

 車の耐久性以外にも、「修復の容易さ」も重要な要因だと思われる。

 筆者は某国へ旅行した際に、その国の軍部が関与する射撃場で「AK47カラシニコフ」(Avtomat Kalashnikova-47)を実際に射撃した経験がある。

 『AK-47とは、ミハイル・カラシニコフが設計し、1949年にソビエト連邦軍が正式採用した自動小銃である。 実戦の過酷な使用環境や、戦時下の劣悪な生産施設での生産可能性を考慮し、部品の公差が大きく取られ、卓越した信頼性と耐久性、および高い生産性を実現した。』(Wikipediaより)

 この自動小銃が広く世界中に拡散したのは、解説にもある通り「部品の公差が大きい」ことが重要だ。実際に、射撃中に「弾詰まり」が発生したが、簡単に修復して射撃を継続することが出来た。逆に、劣悪な環境下では、アメリカ軍のM16の様な精密な自動小銃はすぐに故障する。

 「釘打ち機」は故障しても、「金槌」は故障しない。せいぜい頭と柄が外れる程度だ。

 反政府組織がアメリカ軍のM16を評価するなら、こちらを入手して使用するだろうが、70年以上も前に開発されたAK47を使用するのは、「釘を打つなら壊れない金槌を使う」のに似ている。

 過酷な環境下では、「機械」よりも「道具」が役に立つ。

●話を戻そう

 話が逸れたが、この地球上で、社会インフラが充実して、自動運転システムが実用可能となる地域が、どれくらいあるのか。

 その「自動運転車両」のうち、「車載電池のみのEV」はどれ位いるのだろうか。

 開発途上国の、紛争地域の反政府組織が、「トヨタ・ランドクルーザー」を捨てて「テスラ・サイバートラック」に乗り換える時代が来たら、筆者は「EV批判」は金輪際しない。

●現在の日本であっても

 日本だけを見ても、東京、大阪の都心部から、過疎の村まで、一律に社会インフラが行き渡ることは難しい。過疎地のガソリンスタンドが廃業する課題まで抱えているのが現状だ。

 先進国、都会地では、「極力人間が関与しなくて済む車」としての「自動運転」、「EV」が一定の割合を占めるだろう。

 そして、「運転を楽しむ為の車」として、スポーツカー・レーシングカーに代表される趣味性が高い「乗り物」は、現在の車社会同様に存続し続けるだろう。これ等の趣味性の高い「乗り物」は、主流は「水素エンジン車」と「燃料電池車」となり、純粋な「内燃機関」(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン)も存続するだろう。

 しかし、先進国であっても都会地から離れた郡部まで「水素インフラ」が張り巡らされないところでは、「内燃機関」は欠かせない。殊に、「内燃機関」は開発途上国には欠くべからざるものだ。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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